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特許情報から見える、企業の本気度 

特許は、新規事業を目指す技術者だけでなく、投資家にとっても企業の先読みができる情報の宝庫です。
特許情報に書かれてあるのは、「技術情報」と「人と組織の情報」と「権利情報」。この3つを読み解くことが必要なのですが、同時に3つの情報を意識して分析していくのは意外と大変です。以前当コラムで「人と組織の情報」から分かることをお話ししました(「特許からレオン自動機の将来を読む」参照)。今回は「技術情報」と「権利情報」の側面からわかることをお話しします。

 

強固な特許網を作り上げたいときの典型的な手法は、「分割出願」と「後続出願」

一つ目は、分割出願がされているか、どれくらい分割されているかに注目します。
分割出願とは、ある特許出願(原出願)に記載された複数の発明の一部を新しい発明として出願することですが、分割出願するというのは「原出願の中に隠れた重要コンセプトがある」ということであり、その企業にとってそのコンセプトは絶対に特許を取りたいものなんです。
アメリカでは分割数が30以上というケースも珍しいものではありませんが、日本の企業では10分割もしていれば要チェックです。

例えば僕が知っているところでは、川崎重工がシスメックスと提携して医療ロボットを開発していて(2013年に共同出資会社メディカロイド社を設立)、両社名義の特許が国際出願段階で20分割ほどされていました。川崎重工はこんな特許出してんのか、なかなかやるなあと思ってよく読んだら、その分野の基本特許と言っていいぐらいのコンセプトでした。かなり気合いの入った特許の取り方に日本の企業も変わってきたなと思いましたね。

分割を見たら、次は被引用です。
例えば、朝日インテックという、血管の中を通す医療機器「カテーテル」を作っている企業を見てみましょう。ある特許を、その後の自社特許がめちゃくちゃ引用しています。このような場合、後続のコンセプトを次々出しているということです。このような出願の仕方を見たら、特許網をつくり、特許を自社で固めにいっていると判断できます。また、自社の他の特許によく引用される特許、つまり自社特許による被引用が多い特許は、自社で独占したい重要なコンセプトを含んでいる特許だ、ということになりますね。関連特許の「親玉(おやだま)」みたいなイメージですね(笑)。

こんなふうに、ある技術を独占したいのかどうかは、分割と後続出願(被引用)の2つを見るというのが基本パターンというのを覚えておいてください。


          出所発明塾®動画セミナー「知財・特許で得すること」スライド資料より

 

 

特許の移転に注目する

そしてもう一つ注目するべきは、M&Aなどで買収したケースなど、所有が移転された特許です。よく見ていると企業のいろいろな意図がわかるんですね。
僕が調べた例として、医療用ロボットを開発・製造しているアメリカのインテュイティブ・サージカルについてお話ししましょう。
インテュイティブ・サージカルは、ボヤージュメディカルが出願人となっている特許を購入しているのですが、その特許についている54件の被引用が注目すべきところです。
誰が出願しているのかを読んでいくと、2013年まではボヤージュメディカルが出願し、2014年公開からの被引用はすべてインテュイティブ・サージカルとなっていて、この2社で固めています。でも購入したので結局のところインテュイティブ・サージカル一社ということですね。つまりこの分野で完全独占しているわけです。インテュイティブ・サージカルはこの特許がよっぽど欲しかったのだなとわかります。

         出所:発明塾®動画セミナー「知財・特許で得すること」スライド資料より

 

一般情報からは得られない技術と人の流れも推測できる

ちなみにですが、よく調べていたら、実はM&Aによるものではありませんでした。ボヤージュメディカルは倒産していました。ボヤージュメディカルの特許を見たら、一旦、銀行のものになっていたんです。銀行が破産財産整理で接収したわけですね。だから、インテュイティブ・サージカルは、ボヤージュメディカルが倒産して銀行に名義が変更された後に、銀行から特許を買ったのでしょう。
あくまでも僕の想像ですが、恐らく潰れるまで待っていたのではないかと思います。潰れたら銀行が債権整理し始めるので、二束三文で買える可能性がありますから。僕だったらやっぱり同じように待ちますね。なかなか賢い企業です。
その後どうなったかというと、ちゃんと製品化されています。カテーテルのようなフレキシブルアームタイプになっているロボットや、ほぼ自動で精密検査ができる肺がん検査ロボットなどです。

技術がどう生まれてどこからどこに渡っていったか、開発者はどうなったかなど、特許を読んでいくと、一般の情報には出ていない情報まで分かってきますし、IRで発表されるより早く製品開発の動向やこの先やろうとしていることが分かります。まだまだいろいろな読み解き方はありますが、まずは分割や被引用を、そして特許の移転などにも注目して企業の本気度を探ってみてください。特許の調べ方や読み方の詳細は下記の深掘りコラムやセミナーをぜひご覧ください。

語り:楠浦崇央(弊社代表)
構成:鈴木素子

 

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【その4】投資に活かせる特許・企業の読み方 記事一覧

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