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投資と新規事業に役立つ「エッジ情報®」の見つけ方 ~VRの用途発明についての「先読み®」探索事例~

発明塾では、発明塾投資部と称し、分野を問わずほとんどの人がまだ気づいていないような技術や投資機会を見つけて討議する、ということを行っていました。
発明創出のきっかけに繋がる「エッジ情報®」探索は、新規事業のアイディア出しのためだけでなく、投資機会探しの側面もあります。つまり表裏一体として使えるものです。(エッジ情報®については「キーワード① エッジ情報®」をご参照ください)。

今回は、僕たちがどんなふうに技術開発・新規事業・投資機会につながるエッジ情報®を見つけているのか、その事例を簡単にご紹介します。
VR(バーチャルリアリティ)の用途探索発明を発明塾のOBチームでやったときのものです。調査したのは2016年。以下は当時のものです。

VRがどんなものかは、もう説明するまでもありませんね。その領域で「こういう取り組みが今後伸びそうだ」ということを先回りして見つけてみよう!と、「投資機会を探す」という名目でいろんな面白い情報を集めてみることにしました。「投資」というと、なんとなく参加者はワクワクするようです。楽しくやらないと結果は出ませんから、ワクワクするのは良いことですね。

     発明塾®動画セミナー「『発明塾』では、何をどう教え、実践しているか」資料より抜粋

 

分割出願が30以上! マジックリープ社の特許に注目

情報収集は、ニッチすぎるところからいきなり始めようとすると行き詰まってしまうので、話題性があり、かつ、ある程度情報が入手できてトレンドを作っている企業から始めるようにします。VRの用途探索において注目した企業は、VRグラスを開発しているアメリカのマジックリープ(Magic Leap)社でした。

特許情報を見ると、30以上も分割出願されている特許があります。US特許は、分割する際にある程度新しい内容を追加することも許容されている部分があります。だから分割した中に非常に重要な初期のコンセプトが含まれていたり、重要な技術について無理やり権利範囲を膨らましていくストラテジーをとることがほとんどです。多数分割されている特許は必ず読むべきで、読めばマジックリープがどの分野に力を入れようとしているか、開発や事業の方向性を推測できます。

そしてそれらの特許に、まだ自分も世間の人たちもまだ想像もしないような面白いアイディアが書かれてないか、初期の出願からどんな内容が追加されているのか、なども見ていきます。まだ世の中であまり話題になっていない情報やアイデアから、「先読み®」のヒントを得よう、というわけです。

 

     発明塾®動画セミナー「『発明塾』では、何をどう教え、実践しているか」資料より抜粋

 

精神疾患や脳機能向上などにVRを使うのではないか?という仮説

特許の中で「eye exams」という文字が目にとまりました。読み進めていくと、VRはゴーグル型のデバイスなので、視線のトラッキング(アイトラッキング)をして、目の動きに応じて画像を映し分けるといった技術と相性が良いことがわかりました。
また、アイトラッキングの技術を使えば、患者の目の動き、患者がどの画像にどれくらい注目しているかとか、目がちょっと泳いでいるから注意力散漫なんじゃないか、のような情報が取れて、それを医師や映像にフィードバックすれば治療効果を高められる、といった突っ込んだことが書いてあったんです。

VRは遠隔医療に使えそうだ、というのは世の中的にも言われていることでした。そこで、他のいろんな情報とも繋ぎ合わせて考えていくと、VRのゴーグルを使ってアイトラッキングをしながら画像を見せていけば、その画像がどれぐらい脳の機能を向上させているかをリアルタイムで把握できるんだな、とわかりました。要するに、VR画像を見ている患者について、治療効果が出ているのか、あまり状況が芳しくないのかというようなことが、わかってくるわけです。

僕たちは、マジックリープは「精神疾患の治療や脳機能の向上などを目的に遠隔医療でVRを使うんじゃないか」という仮説を立てました。

 

調べてみると、マジックリープが思いつきで考えているだけではなく、ケンブリッジ大学の人たちがそういう研究を実際にしているということがわかりました。なんと、その論文が掲載されていたメディアは「VR Medicine News」でした。まさにドンズバです。「VRは医療に利用できます」というような論文や情報が多数掲載されていたんですね。VR Medicine News は、VRの遠隔医療用途などエッジな情報がどんどん集まっているメディアだったんですね。ここで、芋ずる式に面白い情報がどんどん見つかりました。

 

VR画像が薬になる可能性あり。VRを使った痛みの緩和ケアが要チェック分野

「VR Medicine News」というメディアに掲載されていた、ある論文。これが、探索を行った2016年時点での「エッジ情報®」でした。僕は「VR Medicine」がまさに深掘りすべきキーワードだと思いました。見るべき未来は、VRが何か医療のツールとして使われるというレベルの「ふわっと」した話ではなく、VR画像自体が「薬」になる世界、かなと。

さらに、VR Medicine Newsを継続的にウオッチしていたら、2017年に入ってから「VRで痛みが軽減できる」というようなことが書かれている論文が見つかりました。繊維筋痛症という全身に激痛が走る、原因不明で治療困難な難病があるのですが、こういうのがVRでの治療の対象になっているという論文が出てきたんです。

実は、疼痛(痛み)というものも熱い分野の一つです。疼痛を軽減するためのデバイスはいろいろな人が熱心に開発されていたり、手法を探索されています。VRという現在伸びつつある技術は、課題が山積している「痛み」の分野と結び付いて、今後ますますその分野が発展していく可能性があります。

痛み止めの代表的なものに「モルヒネ」があります。要するに麻薬なんですよね。だから、アメリカでは痛み止めで中毒になる人が凄く増えて、労働生産性が下がるみたいなことも当時ニュースで報道されていました。「痛み」は「社会課題」なんですね。こう考えると、VRを使った痛みの緩和ケアは、要チェック分野じゃないかなと思いました。

 

専門家じゃなくても合理的な仮説が立てられ「先読み®」が可能

発明塾では、常時いろいろな分野のエッジ情報®を調べています。なので、別々の分野で起こっていることに、実は何か関係があるんじゃないかと考えたり、こっちでこんなことが起こるから、こっちでもこれが起こるんだろう、みたいな議論をよくします。断片的な情報を繋ぎ合わせて一つのストーリーを想定していったり、世の中の大きな流れからもう一歩上の目線で説き起こしていって、それとうまく照らし合わせながらもっと大きな世の中の流れの仮説を立てていくんですね。

このVRの用途開発の「先読み®」についてセミナーで話をしたら、ある大学の先生から「楠浦さん、2016、2017年くらいによくこんなことに気づきましたね」と言われました。アメリカでも当時そういうことを言う人はごく少数で、日本では皆無だった、そんなこと言ったら馬鹿にされていたと。
たまたまだったかもしれません。でも、VRの「先読み®」事例は、同業者の人たちや専門家でもなかなかそこまでは気づかない、ということについて、専門家じゃなくてもある程度合理的に推測できるという、一つのとてもわかりやすい例だと思っています。

 

発明とは、無から有を生み出すのではない。どこかにヒントが隠れていて、それをどう見つけるかとか、どう結びつけるかに発明の妙がある。そう僕は思っています。その肝の一つが「エッジ情報®」です。新規事業のアイデアや投資機会を見つけるための参考にしていただけたらと思います。

語り:楠浦崇央(弊社代表)
構成:鈴木素子

 

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