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特許の調べ方と読み方

特許の読み方と調べ方 ~GooglePatentsを活用して特許スキルを磨く

2021.1.13

本記事では、興味を持った企業の特許を読む際のGooglePatentsを使った「調べ方」と「読み方」を解説します。

また、漫然と読むのではなく、それらの特許の背景に企業のどんな「意図」が隠されているかを見抜く考え方も簡単に紹介するので、自社の開発戦略や投資判断にご活用頂けたら幸いです。

 

特許の調べ方 ~気になる企業の情報を集める

気になる企業の特許をGoogle Patentsで調べる 

企業名で特許を調べる方法(GooglePatentsより)

企業名で特許を調べる方法(GooglePatentsの検索結果に加筆して作成)


今回はフードテック分野の注目企業、
Innitの特許を調べます。Innitは、ユーザーごとに最適なレシピで調理ができるプラットフォームの構築を目指しており、同社のiPhoneアプリの説明でも「Culinary GPS (料理のGPS)」という表現が使われています。

では、Innitは目標を実現するためにどんな特許を出しているのか、検索ツールのGoogle Patentsを使って調べてみます。

まず、Google Patents Advanced searchを開き、左側のAssignee 欄にInnitの正式名称 ”Innit International S.C.A.” を入力すると2件の特許が表示されます(2020年12月24日現在)。さらに発明者に着目して掘り下げるため、サイト下部のInventorsランキングを参照し、トップ発明者としてEugenio Minvielle氏を抽出します。

発明者に着目し、まずは日本の登録特許を抽出する

日本出願の特許を抽出する方法(GooglePatentsより)

日本出願の特許を抽出する方法(GooglePatentsの検索結果に加筆して作成)


企業名と同様に、発明者の欄にEugenio Minvielle氏の名前を入れると、
約70件の特許が表示されました(2020年12月24日現在)。ちなみにLinkedInを見ると、同氏はInnitの創業者であり、大半の特許を社名ではなく創業者名で出願していることが分かりました。スタートアップの特許は、こういったケースも多く、調査の際は注意が必要です。

これらの特許から、今回は日本で特許登録された出願として、JP6194323B2を抽出します。ちなみに番号末尾の”B"は「特許登録されていること」を示しています。

 

特許の読み方 ~請求項・明細書を読み解く方法

請求項1から特許の概要を効率よく読み取る

請求項1から特許の概要を効率よく読み取る(GooglePatentsの検索結果に加筆して作成)

請求項1から特許の概要を効率よく読み取る(JP6194323B2に加筆して作成)

特許の権利情報は、右下の”Claims(請求項)” に記載されており、請求項1(メインクレーム)に発明の根幹となる内容が記載されています。そのままだと読みづらいので、以下にJP6194323B2のメインクレームの内容を箇条書きで抜粋します。

  • 権利の対象:栄養物質のためのコンディショナシステム
  • コントローラ、マイクロプロセッサ:コンディショニング前の生産元情報の取得と変化の推定
  • コンディショニングパラメータ:生産元情報・推定された変化に応じて適合させるパラメータ
  • コンディショナ:コンディショニングパラメータを用いて栄養物質をコンディショニング

用語は抽象的ですが、「栄養物質」を「コンディショニング」するシステムであることはわかりました。一気に全部理解しようとせず、先に進むのが挫折しないコツです。

続いて、詳しい内容をDescription(明細書)から読み取ります

明細書から用語の意味と実施形態を把握し、全体像を理解する

明細書3段落目を見ると ”従来、栄養物質は、栽培(植物)、飼育(動物)、または合成される(合成化合物)。” とあり、動植物や化合物を含む「食材」が「栄養物質」であることがわかります。

また、
”重要な問題は、さまざまな内部的および外部的要因によって栄養物質で起こる変化である。”

”消費者に提供すべき栄養物質の生産元、包装、および変換に関する情報を取得することが、本発明の目的である。”

”生産元、包装、および/または変換の情報に応じて栄養物質のコンディショニングを修正することが、本発明のさらなる目的である。”

といった記載から、「生産・輸送の過程で食材が変化(劣化)する」という課題を、「関連情報を取得した上でコンディショニング(調理)する」という解決手段で解決する発明であることが推測できました。

一方、明細書の後半では、「ユーザーの好みと肉の状態に合わせてステーキを調理するシステム」など実施形態が書かれており、イメージをつかむのに役立ちます。拾い読みですが、特許の全体像が大枠として理解できたのではないでしょうか。

 

特許情報を元に、企業の戦略を読み解く

出願時期による絞り込み(GooglePatentsの検索結果に加筆して作成)

出願時期による絞り込み(GooglePatentsの検索結果に加筆して作成)

 

特許情報から企業が目指す未来を推測する

冒頭で述べたように、Innitが調理のプラットフォーマーを目指していることを踏まえて特許を見直すと、「生産・流通段階」から「調理」までのプロセス全体で食材データを管理する仕組みを権利化していることがわかります。

ここから、生産・流通段階まで含めた「食」のプラットフォーマーになる未来を見据え、必要な権利を先に押さえるInnitの戦略が見えてきます。

特許ポートフォリオから企業の意図や周到さが見えてくる

また、70件の特許について、Google Patentsのソート機能で特許の出願時期を調べたところ、全体の8割以上にあたる57件が2012~13年に出願されていました。Innitの創業は2014年であり、創業前から大量の特許出願を行い、周到に準備を進めていたことが分かりました。

 

特許を読んで「頼れる技術者」に

ここまで、Innitを題材に、気になる企業の特許を調べ、請求項・明細書を参照しながら読み解く手法、企業の戦略を見抜く方法を簡単に解説しました。特許が読めるようになると、知財部とも円滑にコミュニケーションし、戦略立案もできる頼れる技術者に成長できます。

本記事を読み、特許から企業戦略を見抜く手法を身に着けたいと思った方には、弊社教材のe発明塾「本質から学ぶ特許概論」をお勧めします。優れた特許戦略で市場を支配した3Mなどの特許を読み解き、実力をつけて頂けます。

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いずれも実務で使うことにフォーカスした内容になっているので、技術者としてのステップアップに向けてご活用頂ければ幸いです。

 

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畑田 康司

畑田康司

TechnoProducer株式会社シニアリサーチャー
発明塾東京一期生。現在は企業内発明塾™における発明創出支援、教材作成に従事。
個人でも発明を創出し、権利化を行う。

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