2024年10月24日の知財実務オンラインにて代表の楠浦が講演を行いました。
以下よりアーカイブがご視聴頂けます。
https://www.youtube.com/live/FWc79GDPJFw
テーマは「先読みの新規事業」です。
X(Twitter)で実況中継した内容を整理してお届けします。
補足情報として、弊社の関連コラムも紹介しますので、理解を深めたい方はぜひご活用ください。今後もイベント速報を弊社のTwitter(X)で出すので、最新情報をキャッチしたい方はぜひフォローしてください!
この記事の内容
まずは基本情報として特許とIR情報の読み方を紹介。
IRも重要ですが、特許は読みこなせると強い情報源です。
【2つの一次情報】
— 企業内発明塾®のTechnoProducer株式会社 (@techno_producer) October 24, 2024
・IR情報:主にお金の話。経営サイド目線
・特許情報:出てくるタイミングは不定期だが、技術に関する細かい情報。かつ経営者が基本的に関与しない、現場からの情報の側面が大きい
→読み手を選ぶが、読みこなせると強いのが特許情報#知財実務オンライン
特許情報で特に重要なのが「人と組織の情報」。
発明者の動向を見ると開発動向はかなり分かります。
特許情報で特に重要なのが「人と組織の情報」
— 企業内発明塾®のTechnoProducer株式会社 (@techno_producer) October 24, 2024
例えば「新分野に進出しているか」をざっくり推測するだけなら、新規IPC数の年次推移を見るだけでも可能。
特に、発明者群の動向を見ると開発の動きはそれなりに詳しくわかる。
IR情報との組み合わせはテルモ事例で#知財実務オンライン
特許とIR情報を組み合わせて分析した結果、「10年後を見据えてしっかり仕込みをしていた企業」として抽出されたのがテルモ。
テルモの分析
— 企業内発明塾®のTechnoProducer株式会社 (@techno_producer) October 24, 2024
・リーマンショック挟んでも研究開発への投資は継続(特許分析)
・営業利益の減少は一時的にあるが業績は伸びてる(IR)
・バランスシートを見ると2011年に先行投資(IR)
→ 買収による血液システム事業強化らしい
・買収・開発等で出費が増えると株価は下がりがち#知財実務オンライン
テルモのような企業を早期に見つけると、「投資」(長期投資)の観点でもチャンスがあります。
企業が先読みで投資している時期は「すぐに結果の出ない出費」が増えるので、投資家の反応はネガティブになる(株価が下がる)ことが多い。
— 企業内発明塾®のTechnoProducer株式会社 (@techno_producer) October 24, 2024
10年以上前から新規事業を仕込んでいる企業を、どう見抜くか#知財実務オンライン
投資家の方がどこまで特許情報を活用できているのか、ははっきりとは把握できていませんが、一つ言えるのは「いい情報」を先取りしてアドバンテージを得るのに特許情報は使える、ということでしょう。
他の投資家より優れた結果を出すなら
— 企業内発明塾®のTechnoProducer株式会社 (@techno_producer) October 24, 2024
・優れた分析をする
・他の人が持っていないいい情報を取る
のどちらか
とすると、特許情報の活用はアドバンテージのタネになる#知財実務オンライン
IoTという言葉ができるより前に、建機のIoTというかなり先進的な取り組みをやっていたのがコマツ。先読みの決断が未来の大きな成功につながっています。
コマツの坂根さんは名経営者
— 企業内発明塾®のTechnoProducer株式会社 (@techno_producer) October 24, 2024
やるべき時にやるべきことを決断できる人
大きな決断の1つがKomtraxの標準装備化で、その後20年コマツを支えてきた
KomtraxはIoTの走り#知財実務オンライン
ただ、弊社楠浦がコマツ時代に提案した風車IoTの事業は技術者からも反対されています。
つまり、Komtraxの開発者も周囲にはいろいろ言われながらもあきらめずに開発を続けたことが推測されます。
Komtraxをやっていたコマツですら、楠浦さんが風車IoTをやろうとしたら「データ量が大きすぎて無理だろう」という批判を技術の人かわ言われるような状況だった。
— 企業内発明塾®のTechnoProducer株式会社 (@techno_producer) October 24, 2024
その状況でKomtraxが成功したのは担当者の相当な努力があったと推測される。#知財実務オンライン
「先読み」の新規事業を成功させるのには「胆力」が必要、というのが今回の話で一番重要なポイントかもしれません。ちょっと反対されたら止めるようだと大きく育たないようです。
※もちろん、胆力だけではなく企画としての完成度の高さもKomtrax成功の要因です。以下の記事では、Komtrax事業を優れた新規事業企画の事例として考察しています。
まずは特許情報分析の基本的なアプローチから解説。
① 「技術分野(技術分類)」ごとの「年次推移」
② 「技術分野(技術分類)」ごとの「発明者ランキング」
③ 「発明者」ごとの「年次推移」
の3つを分析することが多いです。
発明塾では、定型的に以下の「3つ」の特許分析を行う
— 企業内発明塾®のTechnoProducer株式会社 (@techno_producer) October 24, 2024
① 「技術分野(技術分類)」ごとの「年次推移」
② 「技術分野(技術分類)」ごとの「発明者ランキング」
③ 「発明者」ごとの「年次推移」#知財実務オンライン
コマツのKomtraxはIoT技術により「異常を早期に判定できること」がポイントですが、特許網の構築において重視されたのは「データ量・電力消費の節約」のようです。
異常が起きそうかどうかを早期判定してメンテナンスする、がKmotraxの搭載によりできる。
— 企業内発明塾®のTechnoProducer株式会社 (@techno_producer) October 24, 2024
がKomtraxの基本コンセプトだが、
いかにデータ量・電力消費を少なくするか?に注目した特許ポートフォリオが
「特許の出し方」
の観点では重要で、弊社顧客にも参考にして頂いている#知財実務オンライン
質疑でも議論になりましたが、当時は分割出願の活用はそこまで重視されてませんでしたが、コマツは徹底的に活用しています。
できることを考え抜いた結果ではないかと推測されます。
分割出願の有効性は20年前はそこまで議論されてなかったが、
— 企業内発明塾®のTechnoProducer株式会社 (@techno_producer) October 24, 2024
コマツは徹底的に分割出願で権利網をつくっている。
そういう企業をどう探すか#知財実務オンライン
※分割出願戦略については以下の記事でも解説しています。他社に付け入るスキを与えない強い特許網を構築したい方には必須の知識です。
コマツはKomtraxで高度化した技術をさらに進化させ、スマートコンストラクションの事業に力を入れています。
「建機」は儲からないという話をしていた20年前から、「施工プロセス全体」のプラットフォーマーに進化したと考えると、大きな飛躍ですね。
スマートコンストラクション
— 企業内発明塾®のTechnoProducer株式会社 (@techno_producer) October 24, 2024
> 現場の工事をどう高度化するか
> 建機の高度化、から20年かけてここまで進んだ
> その起点となる先読みがKomtraxの発明と採用#知財実務オンライン
スマートコンストラクション関連の特許は次々に出願されているので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
コマツの最近の特許を調べるとスマコン関連が多くヒットします#知財実務オンライン pic.twitter.com/TBJD1UkOrx
— 企業内発明塾®のTechnoProducer株式会社 (@techno_producer) October 24, 2024
講演まとめです!#知財実務オンライン pic.twitter.com/hHKwx1PdiB
— 企業内発明塾®のTechnoProducer株式会社 (@techno_producer) October 24, 2024
最後に、コマツでの経験が大きな財産になっているか、という質問に対して。
最後の質疑から
— 企業内発明塾®のTechnoProducer株式会社 (@techno_producer) October 24, 2024
楠浦さんのキャリアで、コマツ・SCIVAX時代の経験はうまくいかなかった部分も含めて大きな糧になっている。
上司に恵まれ、その方たちの下で働けたことが財産。
良い上司につくことが自身の成長につながる。#知財実務オンライン
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畑田康司
TechnoProducer株式会社シニアリサーチャー
大阪大学大学院工学研究科 招へい教員
半導体装置の設備エンジニアとして台湾駐在、米国企業との共同開発などを経験した後、スタートアップでの事業開発を経て現職。個人発明家として「未解決の社会課題を解決する発明」を創出し、実用化・事業化する活動にも取り組んでおり、企業のアイデアコンテストでの受賞経験あり。その経験を会社の仕事にも活かし、「起業家向け発明塾」では起業に向けた発明の創出と実用化・事業化を支援している。
あらゆる業界の企業や新技術を徹底的に掘り下げたレポートの作成に定評があり、「テーマ別 深掘りコラム」と「イノベーション四季報」の執筆を担当。分野を問わずに使える発明塾の手法を駆使し、一例として以下のテーマで複数のレポートを出している。
IT / 半導体 / 脱炭素 / スマートホーム / メタバース / モビリティ / 医療 / ヘルスケア / フードテック / 航空宇宙 / スマートコンストラクション / 両利きの経営 / 知財戦略 / 知識創造理論 / アライアンス戦略
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