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「先読み」の新規事業を読み解く特許情報分析

「先読み」の新規事業を読み解く特許情報分析とは? ~第213回「知財実務オンライン」出演報告

2024年10月24日の知財実務オンラインにて代表の楠浦が講演を行いました。
以下よりアーカイブがご視聴頂けます。

https://www.youtube.com/live/FWc79GDPJFw


テーマは「先読みの新規事業」です。
X(Twitter)で実況中継した内容を整理してお届けします。
補足情報として、弊社の関連コラムも紹介しますので、理解を深めたい方はぜひご活用ください。今後もイベント速報を弊社のTwitter(X)で出すので、最新情報をキャッチしたい方はぜひフォローしてください!

 

1) 企業の思考回路を把握するための「特許」と「IR」情報の読み方

特許情報とIR情報の違い

特許情報とIR情報の違い


まずは基本情報として特許とIR情報の読み方を紹介。
IRも重要ですが、特許は読みこなせると強い情報源です。

特許情報で特に重要なのが「人と組織の情報」。
発明者の動向を見ると開発動向はかなり分かります。

2)「未来を見据えている企業」をどう見つけるか?

特許とIR情報を組み合わせて分析した結果、「10年後を見据えてしっかり仕込みをしていた企業」として抽出されたのがテルモ。

テルモのような企業を早期に見つけると、「投資」(長期投資)の観点でもチャンスがあります。

投資家の方がどこまで特許情報を活用できているのか、ははっきりとは把握できていませんが、一つ言えるのは「いい情報」を先取りしてアドバンテージを得るのに特許情報は使える、ということでしょう。

3) 世界に先駆けて「IoT」の新規事業を育てたコマツの思考回路

IoTという言葉ができるより前に、建機のIoTというかなり先進的な取り組みをやっていたのがコマツ。先読みの決断が未来の大きな成功につながっています。

ただ、弊社楠浦がコマツ時代に提案した風車IoTの事業は技術者からも反対されています。
つまり、Komtraxの開発者も周囲にはいろいろ言われながらもあきらめずに開発を続けたことが推測されます。

「先読み」の新規事業を成功させるのには「胆力」が必要、というのが今回の話で一番重要なポイントかもしれません。ちょっと反対されたら止めるようだと大きく育たないようです。

※もちろん、胆力だけではなく企画としての完成度の高さもKomtrax成功の要因です。以下の記事では、Komtrax事業を優れた新規事業企画の事例として考察しています。

新規事業企画書の書き方と成功事例【見本あり】 ~3つの視点で事業の魅力を伝える


4) Komtrax の成功を支えたコマツの特許ポートフォリオ

Komtrax関連特許出願(特願2000-605983)の分割出願ツリー(J-PlatPatより)

Komtrax関連特許出願(特願2000-605983)の分割出願ツリー(J-PlatPatより。赤線・赤字は筆者追記)

 

まずは特許情報分析の基本的なアプローチから解説。
① 「技術分野(技術分類)」ごとの「年次推移」
② 「技術分野(技術分類)」ごとの「発明者ランキング」
③ 「発明者」ごとの「年次推移」
の3つを分析することが多いです。

コマツのKomtraxはIoT技術により「異常を早期に判定できること」がポイントですが、特許網の構築において重視されたのは「データ量・電力消費の節約」のようです。

質疑でも議論になりましたが、当時は分割出願の活用はそこまで重視されてませんでしたが、コマツは徹底的に活用しています。
できることを考え抜いた結果ではないかと推測されます。

※分割出願戦略については以下の記事でも解説しています。他社に付け入るスキを与えない強い特許網を構築したい方には必須の知識です。

【図解】分割出願テクニックと戦略 ~スタートアップ・起業家向けの戦略と、花王・コマツの事例に学ぶ周到な特許戦略を紹介

 

5) 「モノ」から「コト」へシフトするコマツの事業戦略

コマツはKomtraxで高度化した技術をさらに進化させ、スマートコンストラクションの事業に力を入れています。
「建機」は儲からないという話をしていた20年前から、「施工プロセス全体」のプラットフォーマーに進化したと考えると、大きな飛躍ですね。

スマートコンストラクション関連の特許は次々に出願されているので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

6) まとめ ~ 未来を先取りする企業を育てる ~


最後に、コマツでの経験が大きな財産になっているか、という質問に対して。

 

ご視聴頂いた皆様、ありがとうございました!

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畑田 康司

畑田康司

TechnoProducer株式会社シニアリサーチャー
大阪大学大学院工学研究科 招へい教員
半導体装置の設備エンジニアとして台湾駐在、米国企業との共同開発などを経験した後、スタートアップでの事業開発を経て現職。個人発明家として「未解決の社会課題を解決する発明」を創出し、実用化・事業化する活動にも取り組んでおり、企業のアイデアコンテストでの受賞経験あり。その経験を会社の仕事にも活かし、「起業家向け発明塾」では起業に向けた発明の創出と実用化・事業化を支援している。

あらゆる業界の企業や新技術を徹底的に掘り下げたレポートの作成に定評があり、「テーマ別 深掘りコラム」と「イノベーション四季報」の執筆を担当。分野を問わずに使える発明塾の手法を駆使し、一例として以下のテーマで複数のレポートを出している。
IT / 半導体 / 脱炭素 / スマートホーム / メタバース / モビリティ / 医療 / ヘルスケア / フードテック / 航空宇宙 / スマートコンストラクション / 両利きの経営 / 知財戦略 / 知識創造理論 / アライアンス戦略

 

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