・・・ e発明塾通信 vol.779(2020年11月16日号)
「「「 「絹」の新たな用途は「環境にやさしい食品包装」だった 「「「
おはようございます、「発明塾」塾長の楠浦です。
今日はひとつ、ご報告があります。
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本題に戻ります。
本日は、過去に発明塾や本メール講義で取りあげたエッジ情報の続報、関連情報を取りあげます。
今回は
「フードテック」
関連です。
発明塾(学生向け)では、2011年頃に、
「環境負荷が少ない食品包装」
「保存期間を延ばせる食品包装」
などをお題に、発明 に取り組んでいました。
いつものように、その後の動向を調べていると、当時発明を出していた
「可食性」(たべられる)
食品包装の分野で、いくつかユニークな技術・企業が出てきていることがわかりました。
関連情報含め、紹介いたします。
英語力に自信がある方は、以下記事も参照ください。
(Six inventions for protecting our food with materials that protect the environment, too.)
https://apps.bostonglobe.com/ideas/graphics/2020/07/the-future-of-food/articles/ditch-those-plastic-packages/
英語力に自信がない方、以下で簡潔に解説しますので、ご安心ください。
最初に取り上げるのは、
「絹を使った、食品包装」
の技術です。
●「絹」のコーティングで食品を長持ちさせる ~ Mori 社
絹の「フィブロイン」と言われる、繊維状のたんぱく質を
「スプレー」
で塗布することで、食品の保存寿命をのばす、としています。
Mori 社のHP
https://www.mori.com/technology/
保存期間のことを、英語で
「Shelf Life」(Shelfは 棚 の意味)
と呼びます。2011年頃に発明塾(学生版)で取り組んだ際
「常温での、野菜や果物の長期保存」
を可能にできないか、というニーズが強いことがわかりました。
例えば、野菜や果物などの植物の保存において、以下がポイントだとされています。
・水分の維持
・酸化防止
・殺菌/菌の繁殖抑制
水分の維持は、植物の呼吸を抑えることで、実現できます。
野菜や果物は、収穫後も生きています。
したがって、彼らの活動を抑えること、分かりやすく言うと
「眠らせる」
ことが重要になります。冷蔵は、その一つの手段ですが、それ以外にも
「CO2濃度の制御」
などにより、呼吸を抑制できるとされています。
彼らの出願した特許の図を見てみると
「アボガド」
「バナナ」
での実験結果(写真)が示されています。
Compositions and methods for polymer based shelf life extension
https://patentimages.storage.googleapis.com/2b/e8/75/c1a8282f58b991/US20200178576A1.pdf
重量減少や、色の変化(バナナは色が黒くなりますね)を防げるとのことで、
「常温保存」
での保存期間を伸ばそう、という狙いがありそうです。
●樹木の「葉」を保護する成分を活用 ~ Apeel Sciences 社
こちらも、HPを見ると
「アボガド」
が出てきます。
Apeel Sciences 社のHP
https://www.apeel.com/science
Moriと同様に、スプレー式の食品コーティング剤です。
常温保存の寿命を2-3倍にし、冷蔵を不要にすることに取り組んでいます。
(既に実用化されています)
特許を見ると
「クチン」
という物質を使う、とあります。
保護コーティングを形成するための植物抽出物組成物
https://patents.google.com/patent/JP6549326B2/ja
クチンは、植物の葉の表面にある保護層から取れる物質で、
「リグニンなどとは異なる、新たなバイオマス」
として注目されているようです。
絹、植物の葉、など、
「自然の知恵」
には、まだまだ利用できるものが多い、ということかもしれません。
●カラフルで「食べられる」「食べたくなる」包装 ~ Incredible Foods 社
Incredible Foods 社のHP
https://incrediblefoods.com/
キャッチフレーズが、なかなかいいです。
「THE FUTURE OF EATING. ONE BITE AT A TIME.」
一口大の、可食性パッケージに、ペースト状や液状の食品を封入したもので
ここまでくると、食品包装ではなく
「新たな食品の提案」
になっていますね。
「プラスチックの個別包装」
は、避けられる方向になるでしょうし、
「そのまま食べられる」
というのも魅力です。
最新の特許出願を見ると、
「フルーツのピューレ」
を封入するというアイデアが書かれています。
「フルーツを、いつでも、どこでも、手軽に」
ということでしょう。
食べてみたい、と思いました。
可食性のもの以外の食品包装も取りあげたかったのですが、長くなりましたので、
また別の機会とさせてください。
過去、発明塾(学生向け)で何度も発明に取り組んだこともあり、個人的に、
フードテックは大変興味があるテーマですので、また取りあげます。
企業内発明塾・起業家向け発明塾へ参加されている方々には、発明塾(学生向け)
で取り組んだ発明に関する資料を共有しております。
関心ある方は、ぜひ、そちらもご覧ください。
(本配信の元になる調査も、共有します)
企業内発明塾
https://www.techno-producer.com/kigyounai-hatsumeijuku/
起業家向け発明塾
https://www.techno-producer.com/kigyoukamuke-hatsumeijuku/
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を、新規事業や新規研究テーマ創出に、存分にご活用ください。
楠浦 拝
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