・・・ e発明塾通信 vol.770(2020年10月12日号)
「「「 ノーベル化学賞技術「CRISPR-Cas9」基本特許紹介と発明者インタビュー~2014年の発明塾より 「「「
おはようございます、「発明塾」塾長の楠浦です。
本日は、過去の
「発明塾」(学生版)
での討議振り返りを兼ねて、先日、ノーベル化学賞に選ばれた技術
「CRISPR-Cas9」
について、過去配信ダイジェストと最新情報を、ご紹介します。
●「CRISPR-Cas9」って何?
CRISPR-Cas9は、「遺伝子を自由に編集できる画期的な技術」であり
「iPS並みの新技術」とする声が、以前から挙がっていました。
(京都大学の山中教授も、ご自身のノーベル賞受賞後、CRISPRが
数年以内に選ばれるだろうと発言されていたようです)
以下の記事が、わかりやすいと思います。
【図解:3分で解説】クリスパー・キャスナインとは|遺伝子改変、ゲノム編集技術
(「STEM教育×脳科学×AI」から未来を考えるブログ より)
http://neuro-educator.com/crisprcas9/
誤解を恐れず、専門知識のない方が直感的に理解できるように言うと
「(狙った場所について)自在に切り貼りして、遺伝子を編集できる」
技術です。
●基本特許は誰が持っている?
発明塾で、この技術を集中的に話題にしていた2014年頃に、この技術に
詳しい発明塾生(大学院生)に確認したところ、
「これが基本特許」
と言い切るのは難しいが、可能性が高いものの一つは、この分野の第一人者
「フェン・チャン」
の初期の出願です、と教えてくれました。
特許を読んでみたい、という方のために、フェン・チャン による初期の出願を、
以下に取りあげます。
既に権利化されており、CRISPR-Cas9 についての基本特許の1つと思われます。
(登録特許:日本語:GooglePatentへ移動します)
https://patents.google.com/patent/JP6545621B2/ja
米国特許庁のサイトで関連出願と出願/権利化の経緯を確認すると、
仮出願をベースに、多くの分割出願を行い、巧妙に権利化を進めていることがわかります。
ご参考までに、今回のノーベル賞受賞者の一人、ジェニファー・ダウドナ の特許も
一つ見ておきます。
(登録特許:日本語:GooglePatentへ移動します)
https://patents.google.com/patent/JP2018138054A/ja
こちらも、ものすごい分割がなされており、ポートフォリオ化が徹底
されています。
これら特許は、ジェニファー・ダウドナ が創業したスタートアップ企業に
ライセンスされているようです。
CRISPR遺伝子編集の発見者ダウドナ教授のスタートアップが新Casタンパク質の特許ライセンスを得た
https://jp.techcrunch.com/2020/08/17/2020-08-12-mammoth-biosciences-lands-exclusive-license-to-new-crispr-proteins-that-could-boost-gene-editing-precision/
ノーベル賞級の発明が、あっという間に特許ポートフォリオ化され、
スタートアップを経由して産業応用が進む、というダイナミズムを垣間見た
感じがします。
私も、産業技術総合研究所の研究員を兼務しながら、スタートアップ立ち上げ、
CTOと事業責任者も兼務して、3足わらじでナノインプリント技術の産業化に
奔走しましたので、とても懐かしい感じがします。
●天才研究者「フェン・チャン」の思考回路
フェン・チャンですが、この方、なかなか凄腕の研究者です。
以下に、塾生さんによるインタビューを掲載しております。
【発明塾】エジソンに学ぶ 発明と特許(008)~遺伝子編集技術CRISPR
https://edison-univ.blogspot.com/p/crispr.html
全文は長いですので、一部を抜粋して紹介します。
==以下、抜粋
<研究者に向いた人材>
Q :研究系の発明に向いている人材ってどんな人材だと思う?
Ans:#英語のまま書きます.
現段階でのFeng氏による
「結果を残せるgood students and post Docsの特徴」
Open Minded, Optimistic, but VERY CRITICAL when they see data.
Good at BREAKDOWN big problem into pieces of solvable problems.
If there are some steps in a technology for example, he/she is VERY CAREFUL and
does not stop thinking about which step causes the problem.
(大文字は,彼が強調してたこと)
Open Minded はIT系のカルチャー.MITの奴は大概そう.
Optimistic only ; 米国にめちゃいるらしい.大したこと言うけど,結果に近づけないらしい.
Critical only ; レアキャラ.
危ないプロジェクトに手を出さないから,そもそもFeng Labのような小さなラボには少ない.
Critical を身につけるには,Criticalにデータを見るトレーニングを積まないといけない.
課題にfocusした実験をどれだけやって,どれだけCriticalな人と一緒に解釈したかが重要.
MITとかHarvardの学生はめちゃめちゃ頭が良い.でもそれでは足りない.
(#"Very smart"を連呼してた.)
賢い人たちはしばしば,散漫.注力するべき課題をしぼれない.
僕らのラボは小さいから,課題を選んでフォーカスしないと結果はでない.
フォーカスして努力できるかは分かれ目.
==抜粋、以上
CRISPRについては、2016年の配信で取りあげています。
【エッジ特許:CRISPR】「e発明塾通信」バックナンバーより(2)
https://edison-univ.blogspot.com/2016/01/crispre2.html
当時、アストラゼネカ社が以下のプレスリリースを出し、CRISPR-Cas9 は
「疾患の機転に関わる重要な遺伝子の操作や、改変の影響を検