テーマ別 深掘りコラム 1分で読める!発明塾 塾長の部屋
会社概要 発明塾とは? メンバー
実績 お客様の声

e発明塾通信 vol.800(2021年2月8日号)研究者・技術者は「プロデューサー」「カタリスト」へ~新たな「技術」を新たな「価値」へ転換する「建設テック」のエッジ企業たち

e発明塾通信・・・ e発明塾通信 vol.800(2021年2月8日号)

 

「「「 研究者・技術者は「プロデューサー」「カタリスト」へ~新たな「技術」を新たな「価値」へ転換する「建設テック」のエッジ企業たち 「「「 


おはようございます、「発明塾」塾長の楠浦です。

800号に到達いたしました、皆さまの日々のご支援に深謝申し上げます。
毎回、皆さまから何らかの「お便り」をいただきます。

「そうそう、ホントそうですね!」
「背中を、押されました」

というような、ライトな(?)ご感想もあります。

遠慮なくお寄せください。


さて、今週は木曜日が祝日ということもあり、内容を

「エッジ情報の解説を兼ねた、技術屋さんへのメッセージ」

といたします。

800号記念の特別号です。


さて、今回取りあげるのは、

「建設テック」(Con-Tech)

企業です。

先日、弊社のコラム(以下)で紹介いたしました

「フードテック」

と共に、昨年末から注目している分野です。


特許の調べ方と読み方(フードテックを事例に)
https://www.techno-producer.com/column/patent-search-read/


以前の配信で、

「バイオ コンクリート」
「自己修復 コンクリート」

技術を取りあげました。


e発明塾通信 vol.782(2020年11月30日号)
サステナブルな道路を「バイオ」「自己修復」で実現する知られざる日本企業
(未公開)


そこで紹介した

「會澤高圧コンクリート」

という企業、なかなかエッジが効いた企業でした。

紙幅の都合で、調査内容をすべて紹介できませんでした。

ぜひ、ここで続きを紹介させてください。


ネタは2つあります。
(特別号です 笑)

1つは、會澤高圧コンクリートの、非常にエッジな取り組み。

もう1つは、その背後にいる、別のエッジ企業の取り組みです。

順に、説明します。


● 「3Dプリンター」でつくる「完全自立型トイレ」をインドへ

前回紹介できなかった、會澤高圧コンクリートのエッジな取り組みに

「インドにおける完全自立トイレ建設」

があります。


「世界最高峰」と評価される日本のトイレがある国を救う?~オフ・グリッドの3Dプリント公衆トイレを日本企業が開発
https://skhonpo.com/blog/toilet3d


なぜインドなのか、など

「課題」

に関する記載を、まず、紹介しておきます。


==抜粋引用、ここから

インドでは未だにトイレといえば汲み取り式が一般的であり、また野外排泄をする人も多い(その数、なんと5億人以上)。
これがインド国内において大規模な水質汚染の原因、あるいは感染症の蔓延の原因になっているというのだ。
実際、インドにおいては幼児の死因の2割は下痢と合併症であり、その原因の8割が野外排泄による水質汚染である(略)

==抜粋引用、ここまで


実は、数年前の発明塾で、発明投資ファンド/ビル ゲイツ 財団の要望ということで、

「自立型トイレ」(記事内では「オフグリッドトイレ」)

の発明に取り組みました。

高校生塾生さんを中心に、皆さん熱心に取り組んでくれました。
その一部は、発明者の許可を得て、TRIZ学会で発表させていただきました。


公衆衛生という点で、非常に社会的インパクトが大きい、

「発明のやりがいがある」

分野だと思います。


当時は、やや時間切れ感がありましたが、成長した塾生さんたちが、再び、

「ビジネスモデル」

まで考え抜いて、発明してくれることを期待します。

「ビジネスで世界を変える」

これが、発明塾の考え方です。


脱線しました。


記事で紹介されている「オフグリッド トイレ」、なかなかエッジが効いています。

技術に関する記載を、紹介しておきます。


==抜粋引用、ここから

會澤高圧コンクリート株式会社はSDGsの目標のうち6番目の『安全な水とトイレを世界中に』の
実践を掲げ、女性スタッフを中心とする開発チームをインドに派遣、現地のニーズや課題などを調査。
その末に作り出したのが、この3Dプリント公衆トイレだ。

野外排泄が問題になっている地域には、まず上下水道が完備されていない。

すると、通常の水洗式では設置したところで使えないという問題があるわけだが、
そこで會澤高圧コンクリート株式会社が用意したのは、上下水道と連結しなくても使用できる
自己完結型のオフグリッド・トイレ(独立型トイレ)である。

協業したのはバイオによるトイレの処理技術や空気中から水を抽出する技術を持つベンチャー企業。

仕組みとしては、おがくずを利用するものとなっているようで、まず、
スクリュー付きタンクにおがくずを充填しておくと、おがくずが排泄物によって保水される。

その後、タンクに設置されているヒーターで加熱(50℃)し、スクリューで攪拌することにより
排泄物の90%の成分である水を蒸発させる。

残った約10%の固形分を微生物(好気性バクテリア)が分解し、発散させるという仕組みだ。

これに際して特別な菌の使用は不要、基本的には排泄物内の細菌と自然界の微生物の働きで
分解していくとのことで、最終的に残った残渣はおがくずに吸着するため、肥料使用することができる。

まさに一石二鳥というわけだ。

==抜粋引用、ここまで


あとで紹介するが、「3Dプリント技術」を導入し、活用しようとする會澤高圧コンクリートは

「オフグリッド トイレ」

を実現するために、

「バイオによるトイレの処理技術や空気中から水を抽出する技術を持つベンチャー企業」

から

「別のエッジな技術」

を取り入れます。
(別の、と言っているのは、コンクリートの3Dプリンター自体、充分エッジだからです)


「空気中から水を取り出す技術」

について、説明がありませんが、以下のようなものです。


イスラエルに拠点を置くWatergen(ウォータージェン)社の技術紹介
https://soi-ri.jp/alliance/watergen.html


記事内で紹介されている企業ではありませんが、比較的わかりやすい動画があるため、掲載します。

簡単に言うと

「空気を冷やすと、結露しますよね、それを飲めば?」

というものです。


「自動車用」

も開発されているようです。

これがあれば、

「自販機」
「コンビニ」

を探して、キョロキョロする必要はありません。

安全運転にも、貢献できそうな技術です。


やや脱線しましたが、よくまぁ、いろいろな技術をきっちり探してきて、一つの

「製品」(ソリューション)

へ落とし込んだな、と感じます。


発明塾では

「自社技術を活かす」

場合に

「別の、エッジな技術を取り入れ、組み合わせる」

視点を忘れないよう、お話ししています。

発明塾での、過去の数多くの発明創出経験と、私の新製品・新規事業開発経験から、

「自社技術だけ(単体)で解決できる課題」

にこだわりすぎると、スケールが小さくなる傾向があるからです。


これは、私が、典型的な

「組立て産業」(アセンブリ―メーカー)

で、設計の仕事をしていたからかもしれません。

常に新たな技術を探し、サプライヤーと意見交換し、それらの技術を使って、
新たな価値を生み出す、これが、いわゆる

「設計者の仕事」

だからです。
(図面を書くのが仕事ではありません)


僕は、川崎重工業で、オートバイ設計の仕事を通じ

「設計者とは、プロデューサーである」

そう、教えられてきました。

「TechnoProducer」(テクノプロデューサー)

という社名には、その教えが刻まれています。


また、

「技術を組み合わせ、新たな化学反応を起こし、新たな価値を生み出す」

という点で

「カタリスト」(触媒)

だと、考えています。

これは特に、前職のナノテクスタートアップで、感じたことです。

だれも成し遂げていない技術の実用化に向けて、世界中の技術者・顧客と協力して

「化学反応」

を起こす必要がありました。


會澤高圧コンクリートの皆さん、いい仕事をされています。

機会があれば、ぜひお会いして、

「発明物語」

をお伺いしたい、そう思いました。


ちなみに同社は、3Dプリンター技術を既に、自社工場の建築で利用しています。

會澤高圧コンクリート、 PC建築分野に本格参入し深川工場新棟に初採用!コンクリート3Dプリンタで非構造壁を“印刷”
https://www.atpress.ne.jp/news/227233


● 「セメント系3Dプリンターで建設業を再定義する」企業~サイビーコンストラクション

上で紹介した記事に、こう書かれています。

==抜粋引用、ここから

3DプリンタについてはオランダのCyBe Construction(サイビー・コンストラクション)との
技術交流を通じてABB(スイス)製の大型アームロボット式プリンタを導入したほか、
独自にセメント系プリント材料の開発に取り組むなど、コンクリート分野における
積層造形技術の確立に力を入れています。

==抜粋引用、ここまで

「独自にセメント系プリント材料の開発に取り組む」

って、なかなか気合が入ってます。


ところで、

「オランダの CyBe Construction」

って、どんな企業でしょうか。


3Dプリンタの従来のイメージを覆す?!自走式建築用3Dプリンターマシン
https://news.sharelab.jp/column/cybe-construction/


どんなものか、以下で大体わかります。

「オランダの企業、CyBe Construction社のRC 3Dpは、高さ4mを超える 建築用の大型3Dプリンターマシンである。
キャタピラを使って自走しつつ、コンクリート状の素材で建物を作り出すことができる。」

あー、そうか、

「建設用3Dプリンター」

って、要するに

「建設機械」

なんですね。


「キャタピラ」

がついていて、あちこち走り回りながら、

「コンクリートを吐き出して、柱や壁を作っていく」

そういう姿が、目に浮かびました。

元コマツ社員として、納得です。


「CyBe Constructionは、創業者の建設業界に対する想いから生まれた企業だ。
業界に身を置いていた当時から、他の業界と比較して自動化プロセスに向けて全く変わっていかない有り様に疑問を感じていた。
このような従来の方式に固執し続ける複雑な建設業界の作業をもっとシンプルにして、効率的に働けるよう建設業を再定義する したい、という想いが強くあった。」


3Dプリンターが、建設業をどう変えるか。

考えてみると、事業機会が見えるでしょう。


例えば、

「専用材料を販売する、消耗品ビジネス」

の香りがしてきます。

「ネスレのカプセル式コーヒー」
「インクジェットプリンタ」

のビジネスモデルですね。

「装置を買ってもらった後、カートリッジを買い続けてもらう」

という仕組みです。


「エッジ情報」

を読めば、どんどんアイデアが湧いてきます。


以上、

「エッジな技術を持つ、エッジなスタートアップ」

と、それを巧みに使いこなし、さらに、他のエッジな技術と組み合わせ

「ソリューションとして、技術をプロデュースした」

エッジ企業のご紹介でした。


「テクノプロデューサー」

を世界中に増やすのが

「TechnoProducer株式会社」

の使命であり、そのためのサービスが

「発明塾」

です。


801号は、来週月曜日の配信です。

引き続き、ご支援をよろしくお願いいたします。


楠浦 拝

e発明塾通信バナー

01. エッジ情報の紹介 記事一覧

2022.10.20 e発明塾通信 vol.801(2021年2月15日号)ぶつかっても壊れないクルマができる~「虫」と「シャコ」に学び「耐衝撃」素材を生み出せ!

2022.10.13 e発明塾通信 vol.800(2021年2月8日号)研究者・技術者は「プロデューサー」「カタリスト」へ~新たな「技術」を新たな「価値」へ転換する「建設テック」のエッジ企業たち

2022.09.29 e発明塾通信 vol.798(2021年2月1日号)「精密医療のプラットフォーム」へ進化するカテーテル~最先端「がん治療」に挑むエッジ企業「朝日インテック」

資料ダウンロードへ遷移するバナー

5秒で登録完了!無料メール講座

ここでしか読めない発明塾のノウハウの一部や最新情報を、無料で週2〜3回配信しております。

・あの会社はどうして不況にも強いのか?
・今、注目すべき狙い目の技術情報
・アイデア・発明を、「スジの良い」企画に仕上げる方法
・急成長企業のビジネスモデルと知財戦略

無料購読へ
TechnoProducer株式会社
© TechnoProducer Corporation All right reserved