・・・ e発明塾通信 vol.798(2021年2月1日号)
「「「 「精密医療のプラットフォーム」へ進化するカテーテル~最先端「がん治療」に挑むエッジ企業「朝日インテック」 「「「
おはようございます、「発明塾」塾長の楠浦です。
本日は、過去に発明塾や本メール講義で取りあげたエッジ情報の続報、関連情報を
取りあげます。
今回取り上げるのは、以下配信の続編です。
e発明塾通信 vol.499(2018年7月18日号)
【発明塾】アブレーションカテーテル市場の拡大はまだまだ続く~次のターゲットは「肺がん」/日本ライフラインの最新動向から
https://note.com/ehatsumeijuku/n/n6df96ea25143
最近申し込まれた読者の方のために、簡単に復習をしておきます。
カテーテルとは、血栓(血管の詰まり)の除去などに使われる、細い管のことだとお考え下さい。
例えば、足の付け根や手首の血管からカテーテルを挿入し、心臓周辺の血管を治療します。
血管のような、細く、複雑に入り組んだところで
「手術」
を行える器具ですから、他にもいろいろなところで使われ始めています。
その例の一つが
「肺がん」
の検査や治療です。
肺の中も、血管と同じように、空気を通す管(細気管)が張り巡らされています。
その奥に、がんがありますから、検査も治療も、容易ではありません。
ここで、
「カテーテル」
と
「カテーテル手術に熟達した医師」
の出番です。
上記配信の前に、勉強会で知り合った心臓内科医の方に、カテーテル手術について
ヒアリングをしました。
その方は、東京のとある病院におられる、カテーテル手術の権威の先生に
弟子入りするため、大阪の病院から転職してきたそうです。
よく
「手技」
などといわれますが、名医の腕があってこそのカテーテル手術、ということだそうです。
発明塾は現場主義を貫いており、できる限り、顧客やバリューチェーンの関係者に
ヒアリングするよう、推奨しています。
私も、上記の通り、率先してヒアリングしています。
こんなにカテーテルに詳しい、一般の方は初めてだ、とおっしゃっていただき、
なかなか聞けないであろう、ここだけの話を、いろいろお聞かせいただきました。
いつも発明塾で申し上げている通り、ヒアリング前の綿密な調査が重要、ですね。
さて、過去配信では、上記のような調査と取材にもとづき、手術や検査の難易度が高い
「肺」
に関する疾患において、
「カテーテル」
が活躍しつつある、という
「最先端の流れ」
を、継続的にご紹介してきました。
今回はその、続編です。
カテーテルは、
「精密医療」
において、ますます重要なデバイス、いわば
「プラットフォーム」
になりつつあります。
最近、朝日インテックから、以下のプレスリリースが出ました。
2020/12/10
朝日インテック株式会社及びオンコリスバイオファーマ株式会社の資本業務提携に関するお知らせ
http://www.asahi-intecc.co.jp/r/2653/
これだけを読んでも、ピンとこない方も多いかもしれません。
もう少しわかりやすい記事を紹介しておきます。
オンコリスバイオファーマ 代表取締役 のメッセージです。
■第95回(1月18日)『株主の皆様へ』
https://www.oncolys.com/jp/column/
以下、参考になる部分を抜粋引用します
長くなりますが、非常に重要な情報と捉えておりますので、ご容赦ください。
==以下、抜粋引用
当社は,皆様もご存知のように,アデノウイルスを遺伝子改変したがんのウイルス療法「テロメライシン」を食道がんに応用してきましたが,
その際,現場担当の医師から「テロメライシン」を注射する際にいくつもの課題があると言われていました。
まず,1つの腫瘍の色々な場所に注射したくてもアングルを変えられず,注射したい場所に打てない可能性があります。
次に,注射部位1か所あたり一定量以上を,複数個所に注射するという,やや難しいテクニックが必要とされます。
更に,既存のカテーテルを使った時には注射が終わった後でも,貴重な「テロメライシン」がカテーテルの管の中に残り,それが使われずに廃棄されてしまいます。
我々はこのような医療現場の課題を解決するために,あしかけ5年の間このようなデバイス開発のパートナーを探してきましたが,
到達の難しい患部へのアクセスを可能とするガイドワイヤー・カテーテル技術を持つ朝日インテック社と出会うことができ,これらの課題を解決できる糸口が見つかってきました。
これは,将来商品化された「テロメライシン」の現場での利便性が高くなるだけではなく,第二世代のOBP-702にも応用が可能ではないかと考えています。
当社はアデノウイルスによるがんのウイルス療法を世界で先導し,より良い医療を皆様のもとに届けられるよう,朝日インテック社と共に開発を推進してゆきたいと考えています。
==抜粋引用、ここまで
要旨は、以下です。
・オンコリスバイオファーマは、がんのウイルス療法(治療薬)「テロメライシン」を提供している
・テロメライシンを、「食道がん」に適用する際、がん細胞を狙って「注射」する必要がある
・一定箇所に一定量以上、複数個所にテロメライシンを注射する必要がある
・上記は、テクニック的に難しい
・また、既存のカテーテルでは、貴重なテロメライシンがカテーテル内に残存し、廃棄されている
これらの課題を解決するため、
「5年」
の歳月を費やし、ようやく、
「カテーテルのダントツ企業 朝日インテック」
に、たどり着かれたそうです。
朝日インテックの技術・特許については、過去の投資家向けセミナーで、詳しく取り上げています。
投資家向け知財セミナー動画講座
https://e-hatsumeijuku.techno-producer.com/douga-toushi1
セミナーでは、技術者視点では見えなかった機会が、投資家視点だと、よく見えますよ、
そういうお話をしています。
朝日インテックの最新の特許出願を、再度チェックしたところ、
「がん」
治療に使うカテーテルの出願が見つかりました。
光照射システム、カテーテル、及び、光照射デバイス
https://patents.google.com/patent/WO2020230516A1/ja
これは、
「光免疫療法」
と呼ばれる、がんの新たな治療法に関する出願です。
昨年9月に、切除不可能な頭頚部(首の部分)がんの光免疫療法が国内で
認可されるなど、広がりつつある治療法です。
がん「光免疫療法」年内にも使用可能 楽天メディカル
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64357880Z20C20A9EAF000
どうやら、朝日インテックの
「ダントツのカテーテル技術」
は、
「切除が難しいがんを、ピンポイントで治療する」
ための、切り札になりそうです。
以前から発明塾では、
「カテーテルは、精密医療のプラットフォームになる」
と読み、注目して、継続的に調査をしてきました。
以前の調査とヒアリングから、朝日インテックは
「ガイドワイヤー」
と呼ばれる、カテーテルを細い血管内に導入する、
「極細の金属ワイヤー」
の製造技術、たとえば、熱処理技術に強みを持っていることがわかっています。
私の大学時代の専門が、金属材料の強度、特に、熱処理が物性に及ぼす影響の評価と
数理モデル化でしたので、非常に興味深く調査させていただきました。
今後の精密医療とがん治療を支える、医療機器のダントツ企業だと考えます。
続きも調べていたのですが、長くなりましたので、今回はこのあたりまでといたします、
あまり長いと、読み切れないということで、皆様からお叱りが来てしまいます(笑
続編は後日ということで、ご了承ください。
企業内発明塾参加者の方には、後日、楠浦の詳細調査/取材メモ(速報版)をお送りします。
新規事業のヒントになさってください。
楠浦 拝
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