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e発明塾通信 vol.788(2020年12月21日号)「エネルギー完全自給」「廃棄物ゼロ」のホテルが誕生~変革は北欧から

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・・・ e発明塾通信 vol.788(2020年12月21日号)


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おはようございます、「発明塾」塾長の楠浦です。

本日は、年末ということもあり、軽い話題にします。


過去の配信で、

「エネルギーや食料の自給」
「ゼロ・エネルギーの空調」

など、再生可能エネルギーや、エネルギー自給関連のトピックを取りあげています。

私が、大学院でエネルギー科学を専攻、コマツ時代に風力発電の新規事業を担当していた関係もありますが、やはり、

「時代の大きな流れ(とお金)」

がここに向かっており、エッジの効いた取り組みが多くあるから、に尽きます。


今回注目するのは、以下の記事です。

ノルウェー北部で建設中! 消費エネルギー以上の電力を自ら生み出す世界初の創エネホテル「Svart」
https://emira-t.jp/topics/15079/

ぜひ、リンク先のTOPの写真だけでもご覧ください。

エネルギーを生み出す、というコンセプトに相応しい洗練されたデザインですが、日照などを考慮した機能的なものだそうです。

機能美、ですね。


時間がない方のために、このホテルが

「解決しようとする課題」

に関する記載を、抜粋引用しておきます。


==抜粋引用、ここから

観光地に耐えられる以上の観光客が押し寄せ、環境への負荷が大きくなる状態を指すオーバーツーリズム。
フィリピンのボラカイ島が環境保全のため半年間にわたって閉鎖(2018年)に追い込まれ、世界中で報道されたことは記憶に新しい。
一方で、新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)が行われたイタリア・ベネチアでは運河が透き通るほどきれいになるなど、ツーリストが減ることで本来の姿に戻ることも確認できた。
コロナ禍の収束後の観光産業は、いかに環境との共生を図っていくかがポイントとなるだろう。

==抜粋引用、ここまで


「自然との調和」

を求めてくる人間が、自然を破壊する。

よく言われることです。

「気をつけましょう」
「我慢しましょう」

ではなく、

「テクノロジー」

で解決する。

それが発明です。


2022年に開業を目指しており、5年以内に

「オフグリッド」(既存の電力網から独立し、自給自足になる)

を目指す、とあります。


これだけ見ると、いきなり感がありますし、

「ほんとにできるの?」

と思ってしまいますが、既に、先行事例で実績を積んできているようです。


上記ホテルの設計を手掛ける 建築設計事務所スノヘッタ(Snohetta)は、消費電力の2倍の電力を生成するオフィスビルを、すでに手掛けています。

消費電力の2倍を生成する黒いオフィスビル。ノルウェー発、年間500,000kWhの再生可能エネルギーをつくりだす「Powerhouse Brattorkaia」
https://greenz.jp/2019/11/15/powerhouse_brattorkaia/

パワーハウス!

強そう(笑


ポイントは省エネかもしれません。たくみな工夫が凝らされているようです。

・建物を最大限の効率で断熱する
・暖房の必要性を減らすために空気の流れを管理する
・空気とグレイウォーター(トイレ以外の排水)を換気するための熱回収技術を導入する
・冷暖房に海水を使用する
・エネルギー効率の高い電化製品のみを導入する
・太陽光を最大限に活かす全体設計によって人工的な照明の使用を最小限に抑える


元の記事の「エネルギーを生み出すホテル」について、更に詳しい情報が欲しい方は、以下英語記事を参照ください。

Snohetta Designs the World's First Energy Positive Hotel in Northern Norway
https://www.architectmagazine.com/technology/snhetta-designs-the-worlds-first-energy-positive-hotel-in-northern-norway_o


別の記事には

「entirely off-grid and zero waste」

とあり、廃棄物ゼロも目指しているようです。
(HPにも、completely self-sufficient in terms of electricity and waste management とあり)


私が注目したのは、このプロジェクトに、世界第5位 スウェーデンの建設会社

「スカンスカ」

が入っていることです。

コマツ時代に、土木・建設業界について調査する中で、

「エッジが効いた企業」(エッジ企業)

として、よく名前があがっていた企業です。


彼らもまた、先進的なエネルギー関連技術の開発で知られています。

スカンスカは

「熱エネルギー貯蔵」

技術に注目しているようです。

蓄熱、と言わず、熱エネルギーと呼んだのは、今

「Power to Heat, Heat to Power」(電気を熱に、そして、熱を電気に)

という

「エネルギー貯蔵・変換技術」

の流れがあるからです。


彼らの特許を、一つご紹介しておきます。

環境に優しい屋内栽培
https://patents.google.com/patent/JP2018509892A/ja

Fig2A、2B あたりが、特徴をよく表しているでしょう。

巨大な地下設備がありますが、これが、熱エネルギー貯蔵施設です。


これからは

「ビニールハウス」

ではなく、

「地下熱貯蔵」

を利用した農業、特に、植物工場が生まれるでしょう。

そうなると、エネルギーだけでなく

「食料」

まで自給できるホテルも、視野に入ってきます。
(当然、入れているはずです)


脱線しました。


以下に、もう少しわかりやすいイメージ図があります。

SKANSKA TESーTHERMAL ENERGY STORAGE
http://etkhpcorderapi.extweb.sp.se/api/file/2042

岩(岩盤)と水を熱貯蔵に利用するのが、彼らの技術の特徴です。

昼に発電したエネルギーを貯めておいて夜使う、などだけでなく、

「夏に貯めたエネルギー(熱)を、冬に使う」

のような

「季節を超えた貯蔵」

も可能な技術です。


日本でも、

「大規模地下構造物」

に注目している エッジ企業 があります。

「技研製作所」

です。


地下に文化を、地下に機能を
https://www.giken.com/ja/products/developments/eco_cycle/


彼らの技術は、今後

「熱エネルギー貯蔵」

にも活かされていくでしょう。


地下利用については、Googleが出資した

「ゼロエネルギー・エアコン」

のスタートアップに関する配信でも、取り上げました。

Dandelion HP
https://dandelionenergy.com/how-geothermal-works


今回も、調査した、すべての情報を取り上げることはできませんでした。

「再生可能エネルギーの利用拡大」
「エネルギー・ポジティブな建造物」
「熱エネルギー貯蔵と、電力から熱へ、熱から電力へ」
「エネルギーの長期貯蔵、特に、季節を超えた貯蔵」
「大規模地下利用」
「完全自給自足型の施設」

について関心がある 企業内発明塾 参加企業の方は、別途共有する調査メモをご参照ください。


調査結果がアイデアを呼び、アイデアがさらなる情報を呼び、それらが繋がり、さらにぶっ飛んだ発明が生まれる。

それが、

「発明塾式」

です。



楠浦 拝

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