東京ビッグサイトで開催中の国際ロボット展2023に取材に行ってきました!
X(Twitter)で実況中継した内容を整理してお届けします。
補足情報として、弊社の関連コラムも紹介しますので、理解を深めたい方はぜひご活用ください!
巨大な産業用ロボットで存在感を示していたのが、産業用ロボット分野のトップメーカーであるファナック。自動車を持ち上げるデモは圧巻でした。
ファナックさんの7軸ロボット。7軸の活用により従来よりも省スペースで作業ができ、脱炭素化にも貢献。#国際ロボット展2023 #ファナック pic.twitter.com/H11fMDjb83
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パーツメーカーのワコーテック社は、ファナックにも導入実績のある力覚センサを展示していました。
ワコーテック社のセンサは静電容量式で、一般的なひずみゲージ式よりも安価につくれることがポイント。ファナック、安川電機などで導入実績があるようです。#国際ロボット展2023 #ワコーテック pic.twitter.com/NHkyuE01mX
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人との共同作業を行う協働ロボットの世界トップメーカーであるユニバーサルロボットも出展していました。実際に使った方の話も伺いましたが、ティーチングなどの使い勝手のよさが他社より圧倒的に優れているとのこと。
ユニバーサルロボットの強みは名前の通りあらゆる作業にユニバーサルに対応するところ。
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構造の特徴が、あらゆる工作機器を装着できる先端部のようです。#国際ロボット展2023 #ユニバーサルロボット pic.twitter.com/PwyJNfbtje
最新機種は可搬重量が大きく増加しており、開発スピードの速さが伺えます。
協働ロボットの世界シェアNo.1のユニバーサルロボット社の最新ロボット。
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数日前に発表されたばかりの製品で、これまでの可搬重量20kgを大幅に上回る30キロまで、対応。
コンパクトなロボットのイメージがありましたが、大型ロボットも対応し始めているようです。#国際ロボット展2023… pic.twitter.com/bfnegq0ArG
※ユニバーサルロボットについては以下の記事で解説しています。
【詳説】Universal Robots(ユニバーサルロボット)とは? ~協働ロボットNo.1メーカーの技術戦略を解説
協働ロボットのさらに先を目指す「協調ロボット」を開発するのがオムロンです。
オムロンの協調ロボットのデモ。弊社のコラムでも紹介したように、外部のカメラと連携しており、単なるロボットハンドではなく工場全体を変革する仕組みのようです。#国際ロボット展2023 #オムロン pic.twitter.com/Du3ikX7ib2
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技術の方に確認したところ、展示されている外部カメラは現時点ではドライブレコーダー的な使い方のようです。ただ、今後はより高度なシステムの実用化が進みそうで、楽しみです。
※オムロンの協調ロボットについては以下の記事で解説しています。
【図説】協調ロボットとは? 〜先進メーカー「オムロン」の開発事例と「i-Automation!」のビジネスモデル
また、物を「運ぶ」機械としてロボットハンドだけでなく小型の電動モビリティも展示していたのがヤマハ発動機。電動モビリティの分野をリードする日本企業として弊社でも注目しています。
ヤマハ発動機ブースの電動モビリティ給電の様子。
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こちらはeve autynomyが開発したモビリティとのこと。#国際ロボット展2023 #ヤマハ発動機 pic.twitter.com/HLjRQonLNa
ヤマハの小型低速モビリティ。
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コンパクトで無駄がない設計ですね。
ライントレースなどの機能があるようで、自動走行に対応。#国際ロボット展2023 #ヤマハ発動機 pic.twitter.com/dNnh60J1Sa
※ヤマハ発動機の超小型モビリティについては以下の記事で解説しています。
【図解】ヤマハ発動機の超小型モビリティ(マイクロモビリティ)の最新動向を特許から分析
一方ニコンは、精度の高いロボットハンドを自作できるエンコーダー、アクチュエータを展示。
ニコンのエンコーダー、アクチュエーターの展示。
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エンコーダーを入力側だけでなく出力側にもつけることで、動作で生じたズレを検知して補正可能。
高精度のロボットアームを自作することもできるようです。最新のエンコーダは全固体電池搭載!#国際ロボット展2023 #ニコン pic.twitter.com/Yl49gTrqM6
別のブースで展示されていたビジョンシステムも組み合わせると、「低コストで高精度の位置決めができるロボット」が実装できそうです。
ニコンのビジョン技術を使って微妙な位置合わせを可能にしたロボット。カメラの技術がうまく活用されています。#国際ロボット展2023 #ニコン pic.twitter.com/bhDgyH3YIw
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※ニコンはロボット分野の新規事業にも力を入れていますが、「金属3Dプリンタ」でもSLMを買収して世界トップを狙っています。以下の記事で解説しています。
SLM Solutionsとは?【企業分析】ニコンが買収した金属3Dプリンタメーカーの技術戦略を徹底解説
まず注目すべきはエヌビディア。デジタルツインやAIを使った制御の分野でさらに影響力を拡大することが予想されます。
エヌビディアのデジタルツインの展示。シンプルですが、デジタルツインのイメージとしてわかりやすいですね。#国際ロボット展2023 #Nvidia pic.twitter.com/KzZRFEXpKn
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工場内を走行するロボットの参照デザインも展示。
デジタルツインの普及が加速するほどチップの販売も進む仕組みができてますね。
エヌビディアのブースでは、工場内の走行シミュレーションができるシステムと、走行するモビリティの参考デザインが紹介されてました。… pic.twitter.com/OBeqkxieIh
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エヌビディアについてはどこかのタイミングで追加調査を行い、続報を上げる予定です。情報をキャッチアップしたい方は弊社の無料メルマガにご登録いただけたら最新情報をお伝えします。
キーエンスは得意の画像検査技術を展示していました。
キーエンスの多面検査ロボット。画像検査のトップ企業らしい技術ですね。#国際ロボット展2023 #キーエンス pic.twitter.com/8sILEdoW0V
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顧客の課題をシンプルに解決するAIの使い方も流石です。
正常画像をAIに覚え込ませることで、複雑なワークでも簡単な設定で正常/異常判定ができるキーエンスの検査システム。こちらも顧客の課題ベースで開発を進めるキーエンスらしい製品です。#国際ロボット展2023 #キーエンス pic.twitter.com/BEPrL6lkRC
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※キーエンスの開発戦略は以下の記事で分析しています。
キーエンスの特許戦略 ~オムロンとの比較で見える今後の技術開発
安川電機はロボットハンドのハードウェア制御が強みの企業として認識していましたが、今回の展示ではデジタルツインやAI技術についても紹介されていました。
安川電機のブースでは工場のデジタルツインYASKAWA cell simulationを紹介。
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ハードウェアやセンサ技術のトップ企業のイメージが強かったですが、さらに進化しているようです。#国際ロボット展2023 #安川電機 pic.twitter.com/W8YwOIj7PF
安川電機の子会社、AI Cubeの資料。安川電機の社内ベンチャー的にスタートした企業のようです。
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AIやデジタルツインなどの新規事業の今後も楽しみですね。#国際ロボット展2023 #安川電機 pic.twitter.com/igP2v0H5dd
※安川電機のハードウェア制御技術については以下の記事でも取り上げています。
【図解】工場ロボットの全体像 ~産業用ロボットから協働ロボットへの流れとメーカーの最新技術を紹介
川崎重工のブースでは、複数のソーシャルロボットが紹介されていました。
こちらは川崎重工のソーシャルロボット。研究開発用みたいですが、Nyokkeiというロボットは量産化も進んでいるようです。#国際ロボット展2023#川崎重工 pic.twitter.com/Ik36dPR6IM
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同じブースで、川崎重工とシスメックスの合弁会社であるメディカロイドが開発する手術ロボット「hinotori」も展示されていました。
メディカロイドのhinotori。実機は迫力がありますね。#国際ロボット展2023 #メディカロイド #川崎重工 pic.twitter.com/rZMBshp0D1
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※手術ロボットについては以下の記事で主要メーカーを紹介しています
【図解】ロボット支援手術の最先端 ~ダビンチ手術のメリット・デメリットと手術ロボットメーカーの最新動向
小型のユニークなソーシャルロボットを展示していたのがヴィストン株式会社。少人数で開発しているようですが、かなり多彩なロボットを商品化しており、エンジニアの実装力の高さを感じました。
ヴィストン株式会社のソーシャルロボット。日本らしさを感じる。#国際ロボット展2023 #ソーシャルロボット #ヴィストン pic.twitter.com/PH2l3Jo2OC
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※ソーシャルロボットの概念については以下の記事で解説しています。
【図解】ソーシャルロボットとは? ~Intuition Robotics ElliQやアマゾンAstroなど海外最新事例を解説
農業用ロボットブースでも、ユニークな製品が展示されていました。
特に面白かったのは、水田の泥を巻き上げて雑草を抑えるアイガモロボット。マネタイズまでトータルで考えられており、シンプルで優れた発明だと感じました。
有機米デザイン株式会社のアイガモロボット。泥を巻き上げて遮光し、雑草の発生を抑えるというユニークなロボット。
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除草剤をなくせるので、付加価値のついた有機米の販売でマネタイズまで考えられており、面白い商品でした。#国際ロボット展2023 #有機米デザイン株式会社 #農業用ロボット pic.twitter.com/O0x6gS2hu7
ササキコーポレーションの草刈りロボット。先端を交換して様々な作業に対応できるようです。芝刈り機よりも難易度の高いエリアで活躍しそうです。
ササキコーポレーションの草刈ロボット。
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パネルの下など人が入りにくい部分の草刈にも対応できるのが特徴#国際ロボット展2023 #ササキコーポレーション pic.twitter.com/mvK5JGyxqc
※農業用ロボットの分野でしのぎを削るクボタとディアの比較分析については以下の記事をご参照ください。
ディアアンドカンパニーとクボタの比較 ~トラクター世界トップ企業の技術戦略を特許から分析
弊社は在宅勤務で、ふだんは調査している企業の方と実際にお会いできる機会はほとんどなかったので、とても楽しく有意義な時間を過ごすことができました。
出展者の皆様、ありがとうございました!
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畑田康司
TechnoProducer株式会社シニアリサーチャー
大阪大学大学院工学研究科 招へい教員
半導体装置の設備エンジニアとして台湾駐在、米国企業との共同開発などを経験した後、スタートアップでの事業開発を経て現職。個人発明家として「未解決の社会課題を解決する発明」を創出し、実用化・事業化する活動にも取り組んでおり、企業のアイデアコンテストでの受賞経験あり。
あらゆる業界の企業や新技術を徹底的に掘り下げたレポートの作成に定評があり、「テーマ別 深掘りコラム」と「イノベーション四季報」の執筆を担当。分野を問わずに使える発明塾の手法を駆使し、一例として以下のテーマで複数のレポートを出している。
IT / 半導体 / 脱炭素 / スマートホーム / メタバース / モビリティ / 医療 / ヘルスケア / フードテック / 航空宇宙 / スマートコンストラクション / 両利きの経営 / 知財戦略 / 知識創造理論 / アライアンス戦略
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