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新規事業企画書の書き方~成功する企画書3つの視点とは

新規事業企画書の書き方と成功事例【見本あり】 ~3つの視点で事業の魅力を伝える

2021.11.2

新規事業の企画書は、これから立ち上げる事業のビジョンを文書化し、他者に伝えるための重要なツールです。また、自分自身が納得して事業を推進するための指針にもなるため、後でブレないよう納得のいくまで作り込むことが大切です。

本記事では、新規事業の成功に結び付く企画書の考え方を解説した後、コマツの成功事例を3つの視点から企画書にまとめた例を示し、具体的なイメージをつかんで頂きます。

 

まず新規事業企画書作成の目標を見直す ~決裁者・出資者は何を求めているか

新規事業企画書に書くべき内容を整理したロジックツリー(e発明塾「開発テーマ企画・立案における特許情報分析の活用」より)

自社の新規事業を評価する際の視点を理解する

新規事業の企画書は、社長や役員など決済権のある人物に「自社がその事業に取り組むべきであること」を説得するために作成します。よって、「そもそも自社が取り組むべき新規事業とはどのようなものか?」を深く考える必要があります。

その答えは企業によって異なりますが、例えば両利きの経営の解説記事で取り上げたAGCでは、新規事業を評価する際に、収益性など一般的な指標に加え、「うちで造れそうか」「粘れそうか」という問いを立てています(『両利きの組織をつくる』第1版・p94参照)。これは、地道な素材の開発と量産化技術に強みをもつAGCらしさが感じられる視点と言えます。

企画した新規事業が成功する根拠を集め、ストーリーをつくる

重要な視点が整理できたら、それぞれの視点から事業が成功する根拠を集め、説得力のあるストーリーを組み立てます。弊社代表の楠浦が、スタートアップで新規事業の企画書を作成した際は、特許情報分析の結果をもとに、「売れる」「勝てる」「儲かる」という3つの視点で事業が成功する根拠をまとめました(上図参照)。この企画書は投資家からも高く評価され、億単位の資金調達に成功しています。

次項では、企画書の具体的なイメージをつかんで頂くため、成功企業の事例を元にした仮想ケースを紹介します。

 

新規事業成功の根拠を企画書に書く ~コマツの成功事例を3つの視点で整理

コマツKOMTRAXを題材にした企画書サンプル(『エフェクチュエーションと認知科学による製造業のサービス・イノベーション』等の情報を参考に自作)

「KOMTRAX」は、2001年からコマツの建設機械の標準装備となった遠隔管理システムです。その開発経緯は『エフェクチュエーションと認知科学による製造業のサービス・イノベーション』等の書籍で紹介されており、建機業界の技術革新における代表的な成功事例として知られています。

では、KOMTRAXを立ち上げた1999年ごろに、その構想を新規事業の企画書にまとめると仮定した場合、どんな内容になるでしょうか?以下、先述した「売れる」「勝てる」「儲かる」の視点で、KOMTRAXの魅力を整理してみます。

企画書の視点①  KOMTRAXは売れる:盗難防止など顧客の深刻な課題を解決する

建設機械業界では、1996年ごろから建設機械の盗難問題が増加し、海外への転売やATM強盗に建設機械が利用される事件の発生など、社会問題化していました。KOMTRAXの「GPSによる機械の位置特定」や「遠隔操作によるエンジンの強制停止」などの機能は、顧客の深刻な課題に対するスジの良い解決手段でした。

また、「稼働時間の遠隔管理」によりメンテナンスが必要な時期も予測でき、「故障によるダウンタイム」など顧客の別の課題の解決手段も提供できます。以上の理由から、KOMTRAXは「顧客ニーズを多面的に満たす、売れるシステム」の構想だったと言えます。

企画書の視点②  KOMTRAXは勝てる:先見性と特許網の構築

KOMTRAXは機械(モノ)の情報をネットワーク経由で管理するInternet of Things (IoT) 分野の技術ですが、IoTという言葉の誕生(1999年頃)より前の1985年から開発が進められており、非常に先見性のある取り組みでした。

また、コマツは1990年代後半からKOMTRAXに関連した特許を多数取得しており、アイデアが追従されないための障壁も入念に構築しています。よって、KOMTRAXは「先見性があり、特許による参入障壁を構築することで圧倒的に勝てる技術」の構想でした。

企画書の視点③  KOMTRAXは儲かる:データ活用のビジネスモデルが継続的な収益をもたらす

前述の通り、KOMTRAXにより現場の稼働状況がモニタリングできるため、パーツの交換タイミングも管理でき、過剰生産によるロスなどなくパーツ販売のビジネスも回すことができます。

さらに、機械に負荷の大きい使い方をしている顧客への改善提案など、サービス向上にもデータを活用できるため、顧客満足度も上がり、リピーターを増やすことができます。よって、KOMTRAXは「重要な顧客データを大量に取得し、継続的に利益の出るビジネスモデルの構築」を可能にするシステムの構想と言えます。

以上、後付けの評価ではありますが、KOMTRAXの構想を3つの視点から解釈してみました。実際の企画書ではより詳細なデータを示す必要がありますが、多面的に根拠を積み上げることで説得力のある企画書をつくるイメージの理解につながれば幸いです。

 

新規事業を成功させる武器となるスキの無い企画書を仕上げよう

ここまで、新規事業企画書の書き方について、評価する側の視点の理解や根拠集めなど基本的な考え方と、コマツのKOMTRAXを題材にした具体例を紹介しました。KOMTRAXの例のように、どの視点から見てもスキの無い新規事業の企画書は、社内外を巻き込む説得材料として使えるので、事業の大きな武器になります。

弊社の実働支援サービス「企業内発明塾」では、支援者とともにアイデア出しと調査を繰り返し、スキのない企画書を仕上げる作業を実際に行っていただけます。本稿でも紹介したe発明塾「開発テーマ企画・立案における特許情報分析の活用」に加え、KOMTRAXの特許戦略を分析した資料など、勝てる事業の構想に役立つ教材も多数提供します。

また、起業支援サービス「起業家向け発明塾」では、同様のサービスを起業したい個人の方に提供します。新規事業の成功に向け、自分自身が学び、成長する意欲のある方の挑戦をお待ちしております。

 

★本記事と関連した弊社サービス資料

企業内発明塾資料ダウンロード

起業家向け発明塾資料ダウンロード

 

★書籍出版のお知らせ

弊社初となる書籍『新規事業を量産する知財戦略』を出版しました!新規事業や知財戦略の考え方と、実際に特許になる発明がどう生まれるかを詳しく解説しています。

※KindleはPCやスマートフォンでも閲覧可能です。ツールをお持ちでない方は以下、ご参照ください。

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iPhone, iPad用
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畑田 康司

畑田康司

TechnoProducer株式会社シニアリサーチャー
発明塾東京一期生。現在は企業内発明塾™における発明創出支援、教材作成に従事。
個人でも発明を創出し、権利化を行う。

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