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新規事業・起業アイデアの フレームワーク

新規事業アイデアのフレームワーク3つ【リーンキャンバス見本あり】

2021.10.13

新規事業や起業アイデアの創出に役立つフレームワークは多数存在しますが、単に使ってみるだけでは良いアイデアは育ちません。
そこで本記事では、良いアイデアが育つ具体的なイメージをつかんで頂くことを目標に、アマゾンの成功事例を参照しながら、3つのフレームワークを順に解説します。

①新規事業におけるアイデア見極めのフレームワーク ~課題の質と解の質

価値のあるアイデアのポイントは「課題の質」

新規事業や起業のアイデアは、単に新しいだけではなく、世の中にある重要な課題を解決することが求められます。ヤフーCSOの安宅和人氏は、著書『イシューから始めよ』において、価値の高い仕事をするために「課題の質」と「解の質」を共に高める必要があること、多くの人は「課題の質」を軽視しがちであることを指摘しています。

特に技術者が集まってアイデアを出すと、「技術的な高度さ」(解の質の高さ)に注目し、「その技術が解決する課題は重要か?」という視点が疎かになりがちです。

「課題の質」の高いアイデアを出すための考え方と具体例

では、課題の質が高いアイデアとは具体的にどのようなものでしょうか?
前出の『イシューから始めよ』では、 ”多くの人が不可能だと考えているが、自分なら解決できる「死角的なイシュー(課題)」” を見極められるのが理想としています。よって、「自分にしか見えていない秘密」を見出すことが重要になります。

そのような秘密を、ピーターティール氏は著書『ゼロ・トゥ・ワン』で「隠れた真実」と表現しており、隠れた真実を見つけた例として、個人間取引により新たな市場が創出されることに気づいたAirbnbやUberを紹介しています。後述するアマゾンも、「オンライン販売」の可能性にいち早く気づいた例と言えるでしょう。

※具体的なアイデアの出し方が知りたい、という方は以下の記事をご参照ください。

新規事業・起業アイデアの考え方と出し方 ~発想法と成功事例を紹介

②新規事業アイデアの市場検討フレームワーク ~状況を把握し局地戦で勝つ

TAMを広げる際の考え方(企業内発明塾教材より。『起業の科学』1-3を参考に作成)

 

PEST分析により市場環境の全体像をつかむ

一方、死角を突くアイデアは偏ったものになりがちなので、世の中の流れから見て、本当に「今」解決すべき課題になっているか、冷静に判断することも重要です。

マクロ環境を多角的に把握するためのフレームワークの例として、状況を「政治」「経済」「社会」「技術」の4視点から分析するPEST分析が知られており、『起業の科学』などの書籍で紹介されています。アイデアの事業化を考える際に、法規制、経済の動向、人々の考えや文化、技術革新の動向などの視点で多面的に分析すると、チャンスとリスクがどこにあるかが見えてきます。

例えば先述したAirbnbが取り組む「民泊」では、旅客業法による規制や、個人宅に宿泊することへの心理的な抵抗感などがリスク要因として考えられます。

TAMが小さくても良いので、まずは局地的な市場を独占する

また、「死角的なイシュー」を解決するアイデアが出せたとしても、いきなり大きな市場を取るのは難しく、市場規模の見極めが重要です。

市場規模見極めの指標としてTotal Addressable Market (TAM)が知られており、「エンドユーザー数」×「その人がプロダクトやサービスに支払う年額」で計算されます。最初はTAMが小さくてもよいので局地的な市場を独占することが事業創出のセオリーとされており、オンライン販売の中で書籍に絞ってビジネスを始めたアマゾンは典型例として知られています。

 

③新規事業アイデアの仮説を書き出すフレームワーク ~リーンキャンバス

初期のアマゾンのオンライン書籍ビジネスのリーンキャンバス例(リーンキャンバスのフォーマットは『Running Lean』のものを元に作成。記載内容は筆者が推定したもので、個人の見解です)

 

リーンキャンバスでビジネスモデルを分解し、俯瞰する

続いて、アイデアをビジネスモデルとして具体化するためのフレームワークとしてリーンキャンバスを紹介します。

リーンキャンバスは、アッシュ・マウリャ氏が著書『Running Lean』で提唱したツールで、事業のビジネスモデルを要素ごとに分解しつつ、1枚のキャンバス上で俯瞰できるのが特徴です。「課題」や「顧客セグメント」など、事業のコアになる要素を並列して書き出し、リスクのある要素や、具体化が不十分な要素を把握できます。

アマゾンのオンライン書籍販売ビジネスのリーンキャンバスを書いてみる

次に実践例として、オンライン書籍販売を始めた当初のアマゾンを想定し、リーンキャンバスを書いてみます(上図参照)。

オンライン書籍販売が解決する課題として、「本の探索と入手に時間がかかる」などが想定されます。その課題を切実に感じている顧客として、例えばビジネススクール教授など、「新旧の書籍を大量に読み込む必要がある人」がリードユーザー候補として想定されます。

そのソリューションとして「大量の在庫確保」や「Web上で検索・購入可能なシステム」が考えられる、という感じでキャンバスが埋まっていきます。埋まったキャンバスを改めて見直すと、例えば「在庫管理・配送コストがかかる割に、収益構造が脆弱」というリスクが見えてきます。

アマゾンのメンバーが同じように考えたかは分かりませんが、「出品者から利用料を徴収する」、「年会費のプランで固定収入を得る」など現在のアマゾンが取っている戦略は、上記のリスクを解消する打ち手になっており、リーンキャンバスが次の一手を考える手法として有用であることがわかります。

※フレームワークを使ってまとめたアイデアを、決裁者向けの企画書に仕上げる方法については以下の記事をご参照ください。

新規事業企画書の書き方と成功事例【見本あり】 ~3つの視点で事業の魅力を伝える

フレームワークを試して終わり、にならない新規事業・起業アイデアの育て方

ここまで、新規事業・起業アイデア評価のポイントとなる「課題の質」の考え方と事例、事業化における市場検討のためのPEST分析やTAMの考え方、リーンキャンバスでビジネスモデルを評価する際の考え方を紹介しました

アマゾンの例から、アイデア構想~具体化のイメージが少しご理解頂けたのではないかと思います。

ただ、リーンキャンバスなどのフレームワークを使っても、「とりあえず埋めてみた」で終わり、「他社でも思いつく程度のアイデア」から抜け出せないケースが多いようです。

弊社サービスの「企業内発明塾」では、アイデア出しで終わらず、最先端の情報を徹底的に調査し、「これなら世界最先端にさらに先回りし、勝てる」という確信の得られる新規事業アイデアを育てて頂けます。


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畑田 康司

畑田康司

TechnoProducer株式会社シニアリサーチャー
工場設備エンジニア、スタートアップでの事業開発を経て現職。現在は企業内発明塾®における発明創出支援、教材作成に従事。個人でも発明を創出し、権利化を行う。発明塾東京一期生。

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