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クボタのSDGs経営戦略【地べたのGAFAへ】~GMB2030実現に向けたスマート農業・IoT取り組み事例

株式会社クボタは、農業機械と水道を事業の軸に発展してきた創業130年の大企業です。
近年はSDGs(持続可能な開発目標)など重要な社会課題への取り組みを強化し、長期ビジョン「GMB2030」を策定しています。

また、「地べたのGAFAになる」というエッジの効いたコンセプトを示している点にも注目しています。
本記事では、スマート農業やIoT技術を武器に食料・水関連のSDGsに取り組むクボタの経営戦略と、具体的な取り組みを紹介します。

<参考:株式会社クボタ基本情報>
証券コード:6326
創業:1890年2月
資本金:841億円(2020年12月31日現在)

 

クボタGMB2030の具体的な内容と、取り組むSDGsテーマ

GMB2030の実現に向けたクボタの事業展開と関連するSDGs(KUBOTA REPORT 2021の記載を参考に自作)

GMB2030の実現に向けたクボタの事業展開と関連するSDGs(KUBOTA REPORT 2021の記載を参考に自作)

 

「命を支えるプラットフォーマー」として自社の役割を再定義

クボタのGMB2030は、2030年を見据えた長期ビジョンとして策定されたもので、その詳細は同社の統合レポートで解説されています。

GMB2030において、クボタは自社のめざす姿を「豊かな社会と自然の循環にコミットする”命を支えるプラットフォーマー”」と表現しています。同社は創業時から、水道インフラの整備など人々の生活を支える事業に取り組んでいますが、「生活に不可欠なプラットフォームを、持続可能な形で提供する」という決意が改めて示されています。

食料・水・生活に関するソリューションを提供

前記の統合レポートでは、GMB2030の実現に向けて強化するテーマとして、「食料生産の効率化・安全性向上」、「水資源・廃棄物の循環促進」、「都市環境・生活環境の向上」などが紹介されています。

SDGsの中では、「2.飢餓をゼロに」、「6.安全な水とトイレを世界中に」、「11.住み続けられるまちづくりを」などの達成に向けたソリューションの提供がクボタのミッションになっています。

次項では、クボタが取り組む具体的なソリューションの例として、スマート農業分野と、水分野の事例を紹介します。

化学分野でSDGsに積極的に取り組む三井化学については以下記事で解説しています。

SDGs達成に向けた三井化学の戦略 ~強みを活かした新規事業の創出事例

SDGs達成に向けたクボタのソリューション ~スマート農業・IoTの事例

農機自動化とICTプラットフォームによるスマート農業の実現

クボタは自動運転機能持つ農業機械「アグリロボ」シリーズを2017年からリリースしており、人が監視する条件下で無人運転ができるシステムを実現しています。スマート農業に関する同社のWebページによると、将来的には遠隔操作による完全無人化も視野に入れており、より高度な省力化が進みそうです。

さらに、ICTプラットフォーム「KSAS(Kubota Smart Agri System)」により、農機の稼働状況や作物の収量、土壌などに関するデータを解析し、作業の最適化を実現しています。例えば、農機のトラブルを遠隔でサポートしたり、作物や土壌のデータを元に、肥料や農薬の量を最適化することができ、高効率で環境負荷も低いスマート農業の実現につながります。

また、果樹栽培のデータ取得では、オランダのスタートアップAurea ImagingがもつドローンやIoT技術も活用しており、他社とのアライアンスによるプラットフォームの高度化も進んでいます。

ドローン農業技術を持つ国内スタートアップであるオプティムの戦略は以下記事をご参照ください。

オプティムの特許戦略 ~スタートアップの知財戦略のニューノーマル~

IoT技術プラットフォームを駆使した水環境インフラの管理

一方、クボタは水インフラのメーカーでもあり、世界70か国以上に水道管を供給しています。水道管などの設備の老朽化・管理コストの増加が問題になっていることを背景に、同社は2017年よりKSIS(Kubota Smart Infrastructure System)と呼ばれるシステムを構築しています。

KSISの主な特徴として、IoTを活用した設備の遠隔監視・診断や、故障検知などの機能があげられます。例えば、水道管に設置したセンサーの情報から故障しそうな箇所を事前に検知し、メンテナンスすることが可能になります。

クボタは貯水ダムから排水まで水道インフラ全体を管理しており、プラットフォーマーとして幅広いデータを把握しています。

上記の例からも分かるように、クボタはハードウェアの開発だけでなく、農業や水に関わるデータプラットフォーム構築にも力を入れています。DXに関するクボタのWebページによると、同社はデータシステムの高度化に向けてマイクロソフトとの戦略的提携を行い、Microsoft Azureへの全面移行を進めています。他社とのアライアンスによるプラットフォームの改善も積極的に行っているようです。

※カーボンネガティブで世界最先端をゆくMicrosoftの戦略については以下の記事で詳しく解説しています。

マイクロソフトのカーボンネガティブ経営戦略【図解あり】 ~Azure, Climate innovation Fundの最新情報

命を支えるプラットフォーマーとしてのクボタの挑戦と経営戦略 ~地べたのGAFAになる

ここまで、SDGs達成に関連したクボタの取り組みとして、長期ビジョンGMB2030の概要と、スマート農業や水環境分野での具体的な事例を紹介しました。農機や水道管など「モノ」のメーカーというイメージが強いですが、データプラットフォーマーとしても進化を続ける企業であることがご理解頂けたのではないかと思います。

ちなみに、クボタの北尾社長は日経ビジネスのインタビュー記事で、「地べたのGAFAになる」という目標を述べています。北尾氏は、イノベーションセンター所長も経験した研究開発部門出身の経営者で、農機が管理する地上エリアや、水道管が通る地下エリアなど、自社の開発成果を結集した領域では絶対に負けないという強い意志が感じられます。

持続可能な社会のプラットフォーマーとしての、クボタの今後の活躍に注目していきたいと思います。また、本記事がSDGsに取り組む企業の皆様の参考になれば幸いです。

 

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畑田 康司

畑田康司

TechnoProducer株式会社シニアリサーチャー
工場設備エンジニア、スタートアップでの事業開発を経て現職。現在は企業内発明塾®における発明創出支援、教材作成に従事。個人でも発明を創出し、権利化を行う。発明塾東京一期生。

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