用途開発に使える方法

用途開発に使える方法3つ ~自社技術の新用途を開発する手法と事例を解説

「独自の技術を持っているが、ビジネスにつながらない」という悩みは多くのメーカーが抱えており、売れる新用途の開拓が求められています。そこで本記事では、自社技術の新たな用途を開発するための実践的な手法を解説します。

まず、基本的な用途開発の手法として「論文や特許の調査」と「アイデア出し」について解説し、最後に、ユーザー候補へのヒアリング方法を解説します。それぞれ、具体的なツールの使い方や成功事例を交えて紹介します。

 

用途開発に使える論文や特許情報の調査方法

「セルロースナノファイバー」で検索した際のFタームランキング

「セルロースナノファイバー」で検索した際のFタームランキング(J-GLOBALで得られたデータを元に弊社作成。調査日:2021年3月31日)

 

用途開発に活用できる情報源は文献や口コミなど様々ですが、ここでは「世界中の知識を網羅的に入手できる情報源」として特許と論文に注目し、その調査方法を解説します。

特許情報のメリットとFタームを活用した技術用途の調査方法

特許情報はGoogle Patentsなどの検索ツールから収集でき、調査対象の技術が既にどんな用途に活用されているかを把握できます。特許調査の切り口は様々ですが、例えばFターム(File Forming Term)は発明の目的や用途などに基づく特許分類で、既存の用途を調べるのに便利です。

Fタームが検索できるツールとして、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が運営するJ-GLOBALなどが活用できます。例えば、セルロースナノファイバーに関する技術の用途を探索する場合、J-GLOBALで「セルロースナノファイバー」をワードとして検索した結果の特許メニューを開くと、左側にFタームランキングが表示されます。上図に示したように、ランキングに含まれるカテゴリーから、紙など主要な用途の他に、強化プラスチックや化粧料など応用的な用途を抽出できます。

それぞれのFタームが意味する内容は特許・実用新案分類照会(PMGS)から確認できます。また、弊社教材のe発明塾「開発テーマ・企画立案における特許情報分析の活用」では、Fターム分析を含む調査手法を詳しく解説しています。

論文情報のメリットとデータベースを活用した技術用途の調査方法

一方、論文情報はPubMedなどのデータベースから検索でき、最先端の研究テーマや具体的な実験データを入手できます。また、調査対象となる技術の先端的な用途開発を行っている研究者の動向を探れるのも、論文情報のメリットです。

例えば、研究知識の横断検索ツールであるDimensionsを使って、先ほどと同様に「セルロースナノファイバー」を検索した結果を見ると、関連する研究のカテゴリーや、主要な研究者が抽出できます。例えば、能木雅也氏の研究成果一覧を見ると、セルロースナノファイバーのペーパー電子デバイスへの用途開発などを進めていることが分かります。

 

アイデア出しによる用途開発の手法と3Mの成功事例

用途開発に向けたアイデア出しの準備と実践例

上記の調査プロセスでは「既存の情報」を広く抽出できますが、新規事業開発や特許取得においては「まだ世の中にない情報」を生み出す必要があり、アイデア出しのプロセスが必須になります。また、前準備として「用途開発を行う技術の特徴」を把握すると、より効率的にアイデア出しを行うことができます。

例えば、弊社の教材であるe発明塾「課題解決思考(1)」では、1つ目のケースで「ワサビの香り」の用途発明に取り組みます。ワサビの香りにも様々な特徴がありますが、1つの切り口として「覚醒効果」に着目すると、「眠気による事故の防止技術」などの発明創出につながります。

3Mにおけるマイクロポーラスフィルムの用途開発事例

次に、具体的な用途開発の例として、ケーススタディ 住友スリーエム (日経bizTech BOOKS) で紹介されているマイクロポーラスフィルムの事例を紹介します。

マイクロポーラスフィルムは、1970年代に3Mで開発されていた素材ですが、1990年以降に改めてその用途開発が進められました。通気性や軽量性などの特性を活かし、作業服などの開発が進められましたが、「皮脂が洗濯で落ちない」という課題もありました。

そんな中、日本法人である住友スリーエムのメンバーが、上記課題の原因である「皮脂を吸収する」というマイクロポーラスフィルムの特性を逆に利用し、「あぶらとり紙」として活用するアイデアを思いつきました。開発された「あぶらとりフィルム」は従来品より優れた皮脂吸収性を持つ商品としてヒットし、同社の主軸製品のひとつになりました。技術の特徴に注目した結果、良いアイデアが生まれた用途開発の事例と言えます。

 

ヒアリングを活用した用途開発の手法と成功事例

ヒアリングによる用途開発のメリットと具体的な手法

ヒアリングは、主に社外の人から情報を得る手法で、特に潜在顧客からより具体的な課題を聞き出す際に活用されます。あらかじめ具体的な課題の仮説を立てておく必要があるので、先述した調査やアイデア出しを先に行い、内容を整理した後に実施するのが一般的です。

ヒアリングの手法として、『Running Lean ―実践リーンスタートアップ』で解説されている「課題インタビュー」などの手法がよく知られています。インタビュアーは想定する課題の解決を顧客が本当に求めているかを確認すると共に、まだ把握できていないユーザーの考えを理解することに時間を割き、より本質的な顧客課題を抽出します。

特許情報を活用したヒアリングによる用途開発の成功事例

技術マーケティングにおける、特許情報による顧客価値の推定

技術マーケティングにおける、特許情報による顧客価値の推定 (弊社の無料配布資料「特許情報を用いた技術マーケティングと成功事例」をもとに作成)

 

一方、特にものづくり系のBtoBビジネスでは、顧客と会えない、情報開示してくれない、などの問題が生じることが多く、インタビューを成功させることは困難です。

その壁を突破する手段の1つが特許情報の活用です。例えば、ナノテクベンチャーのSCIVAXにおける事例では、自社の持つ「規則正しいナノ構造をつくる技術」について、特許情報分析による課題の設定、顧客抽出とヒアリングを進めています。

具体的には、LEDに関する特許の分析から、ナノ構造による「LEDの高輝度化」といった課題の候補と、それらを求めている顧客を把握し、ヒアリングを行っています。結果、顧客開拓と共に新たな課題の抽出も進み、用途開発の進展に成功しました。

上記の事例は弊社代表の楠浦が実際に体験したもので、詳細は技術マーケティングの事例として弊社の資料ダウンロードページより無料で提供しております。また、調査の項で紹介したe発明塾「開発テーマ・企画立案における特許情報分析の活用」では、ヒアリングの進め方も細かく解説しているので、実践したい方は是非ご活用ください。

 

用途開発の手法を組み合わせて活用し、自社技術を世に出そう

ここまで、技術の用途開発に使える手法として特許や論文の調査、アイデア出し、ヒアリングの3つを順に解説しました。各手法を個別に解説しましたが、実際の用途開発は複数の手法を組み合わせ、繰り返し活用しながら進みます。特に、調査とアイデア出しの繰り返しを事前に行うと、先行技術情報とアイデアが網羅でき、その後のヒアリングや事業化も効率よく進みます。

本記事で紹介した「課題解決思考(1)」「開発テーマ・企画立案における特許情報分析の活用」などのEラーニング教材については、資料ダウンロードページのe発明塾紹介資料にて詳細に記載しているので、そちらもぜひご参照下さい。

また、経験者の支援を受けながら用途開発を進めたい、という方には実働支援サービスの企業内発明塾をお勧めしております。こちらも資料ダウンロードページにて資料を無料提供しているので、ご興味のある方はご参照ください。

 

★書籍出版のお知らせ

弊社初となる書籍『新規事業を量産する知財戦略』を出版しました!新規事業や知財戦略の考え方と、実際に特許になる発明がどう生まれるかを詳しく解説しています。

※KindleはPCやスマートフォンでも閲覧可能です。ツールをお持ちでない方は以下、ご参照ください。

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