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技術マーケティングの考え方と事例を簡単に解説

技術マーケティングとは? ~ 考え方と事例を簡単に解説 ~

本記事では、「技術があるが、売り上げにつながらない」「自社技術のメイン市場が飽和しており、新市場を開拓したい」といったお悩みをもつ方々に向け、技術の収益化に向けた「技術マーケティング」の基本を解説します。

まず、技術マーケティング戦略に共通した基本的な考え方と、成功に向けた課題と解決方法を解説し、最後に具体的な成功事例を紹介します。

 

技術マーケティングの基本的な考え方と技術者の役割

技術マーケティングの成功につながる技術者の関わり方

技術マーケティングの成功につながる技術者の関わり方

 

技術を通じて顧客価値を提供する

一般的にマーケティングとは、「企業が顧客に対してサービスを通じて独自価値を提供するための一連の活動」を指します。このことを踏まえると、技術マーケティングとは、「技術を使って顧客に新たな価値(顧客価値)を提供するための活動」と言えます。

よって、自社技術の強みをどのように活かし、顧客価値を創出するかが技術マーケティング戦略の基礎となります。

技術者がマーケティング全体に関わることが成功につながる

 

一般的なマーケティングの領域として、製品(Product)、価格(Price)、流通チャンネル(Place)、販売促進(Promotion) の4つ(マーケティングの「4P」)があるとされています。多くの企業では技術者が関わるのは、製品・価格の2領域(機能開発や量産技術など)に限定されますが、技術を主軸においたマーケティング戦略の実践では、これら4つの全てに技術者が関わることが成功のカギになります。

特に、開発要素の大きい技術は予想できないトラブルが生じることも多いので、開発者が率先して状況を確認し、技術の開発方針を見直しながら進めることが重要です。

 

技術マーケティングの課題と解決方法

技術シーズと顧客ニーズをどうつなげるかが技術マーケティングの課題

先述の通り、技術を通じて顧客価値を提供するのが技術マーケティング戦略の基本ですが、開発中の技術(技術シーズ)がどのような顧客ニーズに結びつくかは多くのばあい不明確です。また、明確なニーズは既に他社が取り組んでいることが多く、差別化するには独自の顧客ニーズを見つけることが必要です。

ただ、技術者は技術に対する理解が深くても、顧客ニーズをつかむのは不得意な傾向があります。一方、マーケティングや営業のメンバーは、顧客をよく知っていても、技術は分からないことが多く、技術に合うニーズを抽出するのは困難です。ここをどう解決するかが技術マーケティングの難所になります。

調査・アイデア出しでニーズの仮説を立て、顧客ヒアリングで検証する

そこを打開するのが、調査やアイデア出しにより顧客ニーズの仮説を立てる手法です。

調査により、関連する技術で既に満たされている顧客ニーズや、まだあまり解消されていない顧客ニーズが抽出できます。また、調査の欠点である「既に知られている情報しか見つけられない」という問題を解消するのがアイデア出しで、着目されていなかったニーズを見出すことが可能です。

ただ、調査やアイデア出しから抽出される顧客ニーズはあくまで仮説であり、それが実際に求められているか、自社の技術で解決できるか、は検証が必要です。顧客へのヒアリングは、顧客の視点で具体的な意見を聞けるので、仮説の検証や、より顧客のニーズに合った技術の開発につながる有用な手法です。

これらの手法については、用途開発に関する記事で詳しく解説しているので、具体的な手法が知りたい方はそちらをご参照ください。

 

技術マーケティングの成功事例

ここまで、技術マーケティングの考え方や課題の解決方法を解説してきましたが、より具体的なイメージを持って頂くため、2つの事例を紹介します。一般消費者を顧客とするBtoCの事例としてTOTOの例を、企業を顧客とするBtoBの事例としてSCIVAXの例をそれぞれ紹介します。

 

BtoC事例:TOTO「ネオレスト」における洗浄技術のマーケティング

従来型の洗浄方法とトルネード洗浄の違い(TOTOのHPを参考に弊社作成)

従来型の洗浄方法とトルネード洗浄の違い(TOTOのHPを参考に弊社作成)

 

「ネオレスト」はTOTOにおける衛生陶器(便器と周辺商品)のブランドで、2002年に「ネオレストEX」として登場しました。その開発に関する知見が、『技術者のためのマーケティング 』(千倉書房)で紹介されています。

ネオレストで採用されている「トルネード洗浄」は、便器の1か所から壁面に沿うように水を流す洗浄方法で、従来の技術に比べて「洗浄力が高い」「節水できる」など様々なメリットがありました。

トルネード洗浄による「優れた洗浄力」などを前面に打ち出すことも可能でしたが、TOTOは優先度の高い顧客ニーズは何かを調査し、「フチがなく、掃除が楽な便器」というコンセプトで開発を進めました。従来の洗浄方法ではフチに複数の吐出口を設ける必要がありましたが、トルネード洗浄によりそれを解消することが可能になり、多くの消費者から支持される商品が生まれました。

顧客ニーズを見据え、自社の洗浄技術を「掃除の簡便さという価値を提供する技術」として再定義することで成功を収めた例と言えます。

 

BtoB事例:SCIVAXにおけるナノインプリント技術のマーケティング

 

ナノテクスタートアップのSCIVAXのコア技術である「ナノインプリント」は、ナノレベルの凹凸のある型を押し付けて微細パターンをつくる技術です。2004年の設立から数年は、半導体チップやディスプレイ分野に向けた開発が進められましたが、顧客ニーズと技術がマッチせず、2006年に戦略の見直しを迫られました。

ここでSCIVAXのメンバーは、顧客ニーズをあらためて把握する必要に迫られました。しかし、ナノインプリント技術の潜在顧客は企業の技術者であり、具体的な顧客ニーズに関する情報はほとんど公開されていませんでした。

そこで役立ったのが特許情報の調査でした。SCIVAXの技術者は、ナノインプリントの利用を検討する企業を特許公報から抽出し、顧客ニーズの仮説を立てました。また、特許には「発明者」の情報も記載されているので、顧客ターゲットとなる「人」の抽出も特許情報から行い、顧客へのヒアリングを進めることができました。

上記のようなマーケティング活動により、SCIVAXはLEDや細胞培養分野への事業展開を成功させています。特許情報の活用という「調査」の工夫によって技術にマッチした顧客ニーズの抽出に成功した事例と言えます。

 

技術マーケティングを実践し、顧客ニーズを満たす製品を生み出そう

ここまで、顧客価値の提供に向けた技術マーケティングの基本的な考え方や、技術シーズと顧客ニーズをつなぐための手法、BtoB, BtoC領域における事例について簡単に解説しました。

技術によって顧客ニーズを満たす上では、技術を理解する技術者の活躍が不可欠です。ぜひ、技術者や研究開発者の方にも積極的にマーケティング活動に参加して頂き、顧客に喜ばれる製品を生み出して頂きたいです。

最後にBtoB事例として紹介したSCIVAXの例は、弊社代表の楠浦が実際に体験したもので、動画セミナー「特許情報分析を用いた技術マーケティング」でマーケティングのプロセス全体を解説するとともに、e発明塾「開発テーマ・企画立案における特許情報分析の活用」にて調査・ヒアリング手法を詳しく解説しています。技術マーケティングを実践したい方は是非ご活用ください。

教材については、資料ダウンロードページのe発明塾紹介資料にて詳細に記載しているので、そちらもぜひご参照下さい。

 

★本記事と関連した弊社サービス

特許情報を用いた技術マーケティング

開発テーマ・企画立案における特許情報分析の活用

★書籍出版のお知らせ

弊社初となる書籍『新規事業を量産する知財戦略』を出版しました!新規事業や知財戦略の考え方と、実際に特許になる発明がどう生まれるかを詳しく解説しています。

※KindleはPCやスマートフォンでも閲覧可能です。ツールをお持ちでない方は以下、ご参照ください。

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