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特許は「弱者」ほど意味がある  ~後発・スタートアップの知財戦略~

GAFAやBATに勝つのはもう無理?

受講者の方から、GAFAや、あるいは中国のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)などに勝つにはどうしたらいいのでしょう、というご相談がよくきます。しかも多くは悲観的で、もうその分野では我々は勝てないですよね、という諦めを含んだご相談です。
それに対して僕は「いやいや、アメリカで特許を武器に結構えげつなくやってる会社もあるから、自分たちには絶対できないとか思わない方がいいですよ」と言っています。
その時にいつも引き合いに出すのが、スマートスピーカーを製造しているSONOS(ソノス)という企業ですね。当コラムで以前ご紹介しましたが(強い特許を持つベンチャー企業 SONOSをご参照)、SONOSはAmazonやGoogleなどプラットフォーマーが強い分野のなかで技術を磨き、後発参入でありながら知財を駆使して彼らと伍しているんです。

僕は、「弱者」の戦略としては基本的に技術の一点突破に可能性があると思っていて、その一点突破のツールには特許がすごく武器になると考えています。ここで言う「弱者」とは企業規模の大小ではなくて、今から後発で始めよう、新規で始めようとしている、という意味です。スタートアップはもちろん、大手企業の方でも新規事業部門なども入ります。

 

1件の特許が持つ重みをライセンスフィーで考えてみよう

では、特許はなぜ「弱者」である、売上規模もしくは企業規模が小さい会社ほど意味があるのか。みなさん分かりますか?
答えは、払わないといけないライセンスフィーは売り上げに比例するからです。

例えば、ある会社から「うちの特許をライセンスしますから1%のフィーをください」と言われた場合、売上が2兆円の会社なら結構な金額になりますよね。でも、売上が500万円の会社がライセンスフィー1%を払わないといけないとなると、今払うわ!となる。まあ「ちょっと痛いな。今日の晩飯はパンにしようかな」と思っているかもしれませんが、でもすぐに払える額ですよね。
どちらも支払いは1%なので、会社としてのインパクトは同等なはずなのですが、動く金額の桁が違ってきます。

それと同様で、もし事業規模の小さい会社が大企業に特許をライセンスできたらどうでしょう。入る金額が大きいですよね。だから1件の特許が持つ重みというのは、弱者ほど大きいのです。お金がかかるからではなくて、ライセンスの相手がでかいからです。ここすごく大事です。裏を返すと、大きな会社は狙われやすい。そのために大企業側は膨大な数の特許を保持して、他社と対抗できるようにする必要があるわけです。
これが特許の本質でもあり、特許戦略というのは実は根底にこの考え方(相対的知財力)があります。

また、ライセンスフィーのやりとりだけでなく、特許をお互いに使えるようにするクロスライセンスという手法も使われます。基本的にはまずお金をやりとりする以前に、お互いの特許をバーターのようにして、例えば「お宅は売上100倍だから、うちは1件出すけれど、お宅は100件出してね」みたいな交渉が行われます。
これも事業規模の小さい会社にとって有利なのがわかりますよね。自分たちの虎の子かもしれない特許でも、1件ライセンスしたら相手から100件特許がもらえるわけです。100件の特許が使えたら、もうやりたい放題です(笑)。

 

少なくてもいい、戦える特許を取得してそれを武器にするべき

取るべき特許の数については、新規事業などを行う際、このフェーズに来たらまず何件出しましょうというベンチマークをされている企業もあります。例えば、古い文献ですが、僕が知る公開可能なものでは、日立グループさんが5FP(Five Fighting Patents)という考え方をされていました。狭い領域において、どこかと喧嘩になることを想定して、絶対武器になる特許を5件作るというものです。

この考えは納得がいきます。なぜ5件かというと、1件、2件の特許ではぶっちゃけ何がしか回避されたり、無効化されたりする可能性があるのですが、5件となると、まともな特許であれば無効にするための調査が大変なので、そう潰されないからです。
以前、弊社はそのような調査を請け負っていましたが、無効資料の調査だけで何千万円もかかるんですよね。世界中で文献探したりしますから。だから潰したい側もそれを考えると、5件全部回避するぐらいなら1億円するんだけどライセンス費払ってもいいんじゃないか、とか、相手とバーターにした方がいいんじゃないか、っていう経済合理性のある判断がなされるということです。

 

スタートアップや後発参入など考えている企業の方は、数は少なくてもいいのでぜひ戦える特許を作りましょう。スタートアップの知財戦略の例をもっと知りたい方はテーマ別深掘りコラム「OPTiMの特許戦略~スタートアップの知財戦略のニューノーマル~」もぜひお読みください。また、特許や知財についてもっと学びたいという方は、e発明塾®講座「強い特許の作り方」や、発明塾®動画セミナー「知財・特許で得すること」もご覧ください。

語り:楠浦崇央(弊社代表)
構成:鈴木素子

 

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