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効率のよい企画の立て方、情報の集め方は存在する ~紙業界の事例でみる情報の取り方~

新規事業のネタを探す際、他の人はまだ気付いてないんだけど、実はこれに今後チャンスがあるんじゃないか、というのを探しますよね。それがいわゆる発明塾で言う「エッジ情報®」探しなのですが、その第一歩として例えば、○○業界とか、○○産業といったアバウトなくくりの中で議論せず、「その中で ”実は” どうなのか」を見つけることに注力します。今回は、そのテーマ探索の調べ方、考え方の方法をお話しします。
(資料や内容は2019年時点のものです)

 

紙業界は低成長なのか?

紙業界はペーパーレス化が謳われてからもう30年ほど経っていますし、業界全体としても低成長だと言われていますよね。銀行が発行した業界分析レポートによると(下記資料参照)、紙業界は先進国では停滞、アジアでも低成長だろう、国内の紙産業ももう成長しないと書いてあります。

 

             発明塾®動画セミナー「エッジ情報®とその探索」資料より

 

この銀行のレポートだけでなく、他のレポートでも同じ見解のものがいくつもありましたが、本当に「紙・パルプ」は停滞市場なのでしょうか。


世界最大手企業のInternational Paper(インターナショナル・ペーパー) の実態はどうなんだろうと気になり、見てみました。すると意外と堅調で、特にリーマン・ショック以降は右肩上がり。直近では過去最高益を更新し続けている状態になっています。利益率を改善しているからですね。
なぜ利益率を改善しているかというと、価格が上昇したからです。単純に数量の増加だけではないんです。
紙業界は、International Paper を筆頭に上位3社で7割ぐらいのシェアを占めている寡占業界ということもあって、実はすごく儲かる産業になっているんですね。

 

                                                           発明塾®動画セミナー「エッジ情報®とその探索」資料より

 

紙の価格に反映される原料価格が上がっている

これは2019年の8月の投資家向けロードショーの資料ですが(下記図参照)、これによれば紙の原料であるパルプ材の価格は年々上がっています。

 

                                          発明塾®動画セミナー「エッジ情報®とその探索」資料より

 

パルプ材の価格が上がる理由ははっきりしていて、一つは、木の本数は減り続けていることによるものです。今、世界の森林は1分間で東京ドーム2個分ぐらいの面積が消失していると言われています。よほど植林などにお金をかけない限り、森林面積が増えることは二度とないと思います。

また、現在、地球上で大規模な森林が残っている場所はインドとロシア、カナダ、ブラジルの4カ所ですが、International Paper はその全てに拠点を持っています。そこで何をしているかというと、木を伐採し、刻んでパルプにして、それを世界中に輸出してダンボールにして売っているんです。

そう、実は今、ダンボール市場がめちゃくちゃ伸びているんですよね。ネット通販の増加によるもので、アリババなんて1日に1億箱以上出荷しているらしいです。1億箱ですよ、ダンボールがいくらあっても足りないですよね。これが二つ目の理由です。

つまり、原料は減少し需要は増えている。需給のバランスで価格って決まりますから、このギャップが価格に反映されているというわけです。

 

二次情報に惑わされず、具体的で密度の高い一次情報にあたっていく

テーマ探索のときに役立つのは、このような具体的な情報です。紙業界の中でもダンボールというすごいマーケットが実際存在するんだ、ということまで読み解くことが大事で、前述の銀行の情報を見て「銀行が言ってるからもう紙パルプ業界はもう終わりなんやな」と思っていてはダメなんです。その中から光るものを見つけるのが、企画の仕事のはずですよね。その他大勢、一般論を語る人と一緒の意見で終わってはダメ。それは、職務放棄です(笑)。

もう一つ、医療や病院経営の分野を例にあげると、基本的に先進国ではもう成熟産業です。市場はある程度は拡大するかもしれない。けれども、実際は一部の医療や治療に関しては、今後かなり積極的な投資が行われる予定で、急成長が見込まれている分野があります。この辺は、「知財情報活用投資セミナー」で、詳しくお話しています。

 

ちなみに、プロの投資家はちゃんと一次情報を読んでいます。この背景にはこういう流れがある。彼らはどこに売ってんの? アリババに売ってるのか、Amazonにも売ってるな、Amazonは今後どれぐらいのダンボールの引き合いがあるんだろう。というようなことを、ずっとバリューチェーンに基づいて解析しているので、業界分析レポートのような二次情報はあまり読まないし、読んでも鵜呑みにしません。
もちろん、プロの投資家に聞いても、どこまで先の具体的な情報がとれるのかは分かりません、それが彼らのお金儲けのネタですからね。知ってても言わないですよね(笑)。
だから、誰かに聞くのではなく、情報密度の高い、個別の具体的な一次情報に自らあたっていくんです。それが企画の時の基本的な考え方だと思います。

 

企画はスピード勝負! 具体的な情報をダイレクトに掴み、それ基づいてアイデア出そう

それをもうちょっととがらせた考え方が、「エッジ情報®」という考え方です。その中でも、特に最先端や、読む価値のある「気づき」が多い情報、他の人があまり見てない情報にアクセスしましょうということです。

仮説を持ってピンポイントで探さないと見つからないような、個別具体的な情報をダイレクトにつかみにいって、それ基づいてアイデア出しをしましょう、企画を立てましょう、というのが発明塾の考え方です。「紙業界がどうのこうの」とか十把一絡げに言っててはダメ、ってことです。せめて「実は、紙は低迷業界と言われながら、意外なことにInternational Paperがめちゃくちゃ儲かってまして・・・」ぐらいから、入ってほしいんです。

今はスピード勝負の時代。他の人より早く思いついて、他の人より早くやる、他の人より早く特許出願する。そういうことによってしか、競争優位が確立できない時代になっています。だから、限られた時間で「新たな価値」を創造することが大事なんですね。

また、新たな価値を創造するという作業について、それにどれぐらいの資源を投入するか、という視点、いわゆる「コスパ」視点で最初から考える人が多いようですが、僕は情報探しの段階では、コスパ云々じゃなくて、まずはとにかく早い者勝ちの世界なんですよ、とお話しています。

もちろん、限られた資源の中で、効率的に新たな価値を創造していくことは大事です。そのためにも、やはり最初の一歩の情報探しがものすごく重要で、いい情報に早く当たらないといけないんですね。なぜかというと、一歩遅れたら作業は振り出しに戻るわけで、そこまでの作業はすべて水の泡、だからです。

そういう意味では、「紙パルプは今後だめ」みたいな、一般的で漠然とした情報を読んで、それに踊らされている暇はないわけで(笑)、いきなり具体的な情報にアクセスする「効率的」で「コスパ」の良い情報探しの技を身につける必要があります。それが「エッジ情報®」の考え方です。みなさんもぜひ、「エッジ情報®」の考え方を身につけて、新規事業や投資のネタ探しに活用してみてださい。

語り:楠浦崇央(弊社代表)
構成:鈴木素子

 

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