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強い特許を持つベンチャー企業 SONOS

強い特許ってどのようなものだと考えますか? 今回はスマートスピーカーを製造・販売しているアメリカのベンチャー企業、SONOS(ソノス)を例に、その答えの一つをお話します。

SONOSは音のいいハイエンドスピーカーを開発しているスピーカーブランドで、近年よりスマートスピーカー事業を展開している企業です。同社スマートスピーカーの代表製品は「Sonos One」。日本でも2~3年前から販売されているので、ご存知の方もいるでしょう。

スマートスピーカーと言えば、アメリカではAmazon(アマゾン)とGoogle(グーグル)だけで80%以上のシェアを持ち、残り20%の中にもApple(アップル)がいるという、巨大企業で大部分が占められている分野です。SONOSは、そのような領域に食い込んできて、じわじわ頭角を現しているんですよね。実際、2020年の統計では、アップルを上回り第3位になっています。なぜ後発参入の企業が大手プラットフォーマーと伍して戦える製品になったかというと、まさに特許。そして特許を生かした特許戦略なんです。

 

図:アメリカにおけるスマートスピーカーのシェア推移 2018-2020

図:アメリカにおけるスマートスピーカーのシェア推移 2018-2020 (出所/Voicebot ai WEBサイトより)

           

やっていそうで誰もやっていなかった、シンプルな音楽再生同期の技術

SONOSのスマートスピーカーの主要特許の一つは「音楽のデジタルビットをタイムスタンプして同期させる」という技術に関するものです。簡単に言うと、家の中のどの部屋でも完全に同期した音楽を聴くことができるスピーカーシステムの技術です。

いくつもの部屋にスピーカーを置く家で、同じ音楽を鳴らせて家中どこからでも聴けるようにしようと思うと、無線で飛ばして再生する方法になるわけですが、そうするとマイクロセカンド、ナノセカンドレベルで音がズレて「音のうねり」が出てしまいます。体験したことある人なら分かると思いますが、こっちの部屋から聞こえる音と、別の部屋から聞こえる音が微妙にズレていると気持ち悪いですよね。そこで、SONOSは、無線で送信される音楽データにタイムスタンプをつけて、同じタイミングで再生できるようにしたんです。

これって、言われてみると当たり前の方法で、やるとなると、もしかしたら高度な技術が必要なのかもしれませんが、仕組みとしては簡単なことなんですね。同時に音が鳴るようにするにはそれ以外あり得ないんです。なんでこんなこと今まで誰もやっていなかったんだろうと、僕は特許を見て驚きました。

実は、こういうことって発明ではよくあるパターンなんです。実際、SONOSの社長も「しばらくの間なぜ誰も取り組もうとしていないのか、不思議に思っていた」とHPで述べています。

やっていそうでやっていなかったことを思いつくのって実はすごいこと。この音楽再生同期の特許も、最初に思いついた人って本当にすごいな!って感動しました。

みんなが気づいていそうで気づいていないもの、かつ、それがその方法しかないというぐらいシンプルな技術であればあるほど、強い特許になります。誰も気がつかなかっただけ、と片付けてしまえばそれまでなのですが、そこには深い理由があるのかもしれません。大事な問いですね。みなさんも、改めて身近なものから考えてみてはいかがでしょう。

 

巨大企業に訴訟で勝利できる圧倒的な特許数

ちなみに、SONOSのスピーカーにはAmazonのアレクサとGoogleアシスタントの両方が搭載されています。普通はどちらか片方のみなので、こんなことはあり得ないんですね。すごいと思いませんか? 何故それが可能になっているかというと、SONOSは先出の主要特許以外にスマートスピーカーだけで500以上の特許を取得し、それを武器にAmazonとGoogleに特許侵害を訴えたんです。そして「特許ライセンスするから、お宅のをうちのスピーカーに実装させてよ」とGoogleとAmazonに交渉して、使えるようにしたのです。

こんなに膨大な特許を持っていたら、GoogleやAmazonもぐうの音もでなかったんでしょう。2021年8月には、SONOSがGoogleを訴えていた裁判で、5件の特許侵害(音声の同期、音量調整、WiFi接続に関するもの)の予備判決が下ったというニュースが報道されました。決定されればGoogleはSONOSに数億ドルを支払うことになるようです。


主要特許の強さもさることながら、特許戦略を上手に活用することでベンチャー企業でも既存の市場、巨大企業に食い込むことができることの証明です。強い特許とはなにか。もっといろいろな例を知りたいという方は、弊社の
e発明塾講座「強い特許の作り方」、発明塾動画セミナー「知財・特許で得すること」、テーマ別深掘りコラム「OPTiMの特許戦略~スタートアップの知財戦略のニューノーマル~」でも学ぶことができますのでぜひご覧ください。

語り:楠浦崇央(弊社代表)
構成:鈴木素子

 

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【その2】特許の鉄則 記事一覧

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