オープンイノベーションを学ぶ必読本3冊

【オープンイノベーションを学ぶ】必読本3つとその要約

2021.5.12

オープンイノベーションの概要に関する記事では、そのメリットと課題について、P&Gのオープンイノベーションに関する記事ではP&Gのオープンイノベーション戦略について解説しました。本記事では、さらに詳しく学びたい人に向けて、オープンイノベーションに関する書籍を取り上げます。

オープンイノベーション関連書籍は多数ありますが、まず最初に押さえるべきものとして、オープンイノベーションの提唱者であるヘンリー・チェスブロウ氏の書籍を中心に取り上げ、その要点を解説します。

 

ヘンリーチェスブロウ(2004) 『OPEN INNOVATION―ハーバード流イノベーション戦略のすべて』 (産能大出版部)

 

オープンイノベーション・モデルの提唱

オープンイノベーションの概念が広まるきっかけになったチェスブロウ氏の代表的な著作です。オープンイノベーションの基本的な考えとして、「イノベーションのプロセスを社外の知識やアイデアに対してよりオープンにすべきであること」、また、「社内のアイデアが社内で活用されてなければ、それらを積極的に社外に公開すべきであること」を提示しています。

また、旧来のクローズドモデルの限界を示す事例として、特にXerox社のPalo Alto Research Center (PARC) で生まれたイノベーションについて詳しく解析しています。クローズドモデルで開発を進めるXerox社内では、PARCで生まれた優れたイノベーションのごく一部しか活用できなかったことが示されており、イノベーションのマネジメントを考える上でも示唆に富んだ知見が紹介されています。

オープンイノベーションの成功企業における取り組みの紹介

本書では、オープンイノベーションに成功した企業の事例も複数紹介しています。例えばIBMの事例では、中央研究所を主体とするクローズドな研究開発モデルからオープンモデルに移行するプロセスが紹介されており、その過程でビジネスモデルや知財戦略がどのように変化したか、も解説されています。

また、IBMのような中央研究所を持たず、社外の知識を活用するオープンイノベーションを進めて成功した企業の事例としてインテルを取り上げています。外部の組織とのネットワークを活用した研究開発の進め方や、知的財産権の取得に並行して普及のための知識の公表も進める知的財産マネジメントなど、オープンイノベーションの実践方法を具体的に紹介しています。

オープンイノベーションの古典と言える書籍ですが、イノベーションの本質を考える上で現在でも参考になります。

 

ヘンリー・チェスブロウ(2007)『オープンビジネスモデル~知財競争時代のイノベーション』(翔泳社)

 

オープンイノベーションの成功におけるビジネスモデルの重要性と課題

前著『OPEN INNOVATION』に続くチェスブロウ氏の著作で、オープンイノベーションを成功させるためのビジネスモデル構築の重要性と、実現に向けた課題を詳細に解説しています。本書における「ビジネスモデル」とは、「アイデアやテクノロジーを経済的な結果に結びつけるための枠組み」のことで、オープンなビジネスモデルを構築することがオープンイノベーションの成功につながることが主張されています。

また、オープンなビジネスモデルの構築に成功した企業の事例として、前回の記事で紹介したP&Gなどが紹介されており、それらの企業がビジネスモデルを構築する上でどのような課題に直面し、乗り越えたかが詳しく記載されています。

知的財産マネジメントを活用したオープンイノベーション

一方、オープンなビジネスモデルの設計における知的財産マネジメントの重要性について詳しく書かれているのも本書の特徴です。例えば特許権の他社へのライセンスやクロスライセンスを活用したビジネスモデル、パテントマップを活用した自社の状況のマッピングなど、幅広い知的財産の活用方法が解説されています。

また、知的財産を巧みに活用した先進的な企業の事例として、CDMA関連技術のロイヤリティ収入を基軸としたビジネスモデルで成功したクアルコムや、発明に対する投資を目的に創立されたインテレクチュアル・ベンチャーズなどが紹介されています。

これらの事例は、オープンイノベーションを進めるツールとして知的財産権が重要な役割を果たすことを示しており、自社の知財戦略をオープンイノベーションの観点から見直すうえでも、参考になる一冊です。

ちなみに、クアルコムの知財戦略については弊社の動画セミナーで詳細に解説しているので、ご興味のある方はぜひご参照ください。

 

ヘンリーチェスブロウ, ウィムヴァンハーベク, ジョエルウェスト編(2008)『オープンイノベーション~組織を越えたネットワークが成長を加速する』(英治出版)

 

オープンイノベーションの研究成果を集めた研究書

先に紹介した2冊がチェスブロウ氏1人の著書であるのに対し、本書はチェスブロウ氏を含む15人の研究者によるオープンイノベーションの研究成果を集めた研究書です。それぞれの研究者が本書のために特別に執筆しており、他の書籍や論文の転載ではない点も特徴です。

本書のメインテーマとして「企業」「知財」「ネットワーク」の3つが設定されており、それぞれ多様な視点で研究成果が紹介されています。例えば、「オープンな標準規格」や「オープンソースを活用したビジネスモデル」など、他の書籍では詳しく解説されていないテーマを掘り下げた研究成果が参照できます。

オープンイノベーションにおけるネットワークにも着目

一般的にイノベーションの研究は企業単位で行われることが多いですが、組織間のネットワークに着目した研究を複数取り上げているのも本書の特徴です。オープンイノベーションのプロセスでは少なくとも2つの組織の間でイノベーションがやりとりされるため、組織間のネットワークが重要になります。

例えば第13章では、アグリバイオの新製品の実用化における組織間ネットワークに関する事例を取り上げており、遺伝子組み換え作物のような新規テクノロジーを普及させるためのオープンイノベーションの活用を学ぶことができます。例えば、遺伝子組み換えトマトの「フレイバー・セイバー・トマト」の市場投入において、開発を行ったカルジーン社が農家や小売店、消費者などネットワーク内の関係者に協力を求めながら進めた様子が描かれています。

 

オープンイノベーションを活用し、世界で活躍する企業に

ここまで、ヘンリー・チェスブロウ氏の著作を中心に、オープンイノベーション関連の書籍を紹介しました。これらの書籍を通じ、オープンイノベーションの考え方から、実践する上で生じる課題の解決手段など、様々な知見が得られます。

二冊目にあげた、『オープンビジネスモデル』で主張されているように、オープンイノベーションの成功に向けて鍵になるのが、技術的なインプットを経済的なアウトプットをつなぐビジネスモデルの構築です。特に、既存のビジネスモデルに適合しないテクノロジーを世に出すには、有効活用できるビジネスモデルを新たに創出することが求められます。これらの書籍の知見を参考にしながら優れたイノベーションを創出し、世界で活躍する企業が多く生まれることを願っています。

また、弊社サービスの企業内発明塾では、技術を世に出すためのビジネスモデル構築も含め、新規事業企画の創出を支援しています。これまでにも優れた事業アイデアが数多く生み出され、事業化が次々に進められています。サービスの詳細に興味がある方は、資料ダウンロードページにて資料を無料提供しております。ぜひご参照ください。

一方、オープンイノベーションの律速要因となるのが、他社とのアライアンス契約の進め方がわからない、という問題です。e発明塾「アライアンスと知的財産」ではアライアンス契約の考え方と進め方を解説しています。そちらもぜひご活用ください。

 

 

★書籍出版のお知らせ

弊社初となる書籍『新規事業を量産する知財戦略』を出版しました!新規事業や知財戦略の考え方と、実際に特許になる発明がどう生まれるかを詳しく解説しています。

Kndle版は6月末までは定価80%OFFの99円にてご提供しておりますので、この機会に是非ご一読下さい!

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