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FY2021Q3_Amazon-Innovation_ロボット、IoT戦略

【FY2021 Q3】アマゾン最新イノベーション ~家庭用ロボット・IoT戦略

前回記事では、キャッシュフローを最大化してイノベーションに投資するアマゾンの戦略と、アマゾンの創出したイノベーションの具体例を紹介しました。本記事ではより最新の動向にフォーカスし、アマゾンのFY2021 Q3(2021会計年度、第3四半期;2021年7月~9月)の四半期決算報告からイノベーション関連情報を抜粋し、背景にある戦略の考察も含めて簡単に解説します。

具体例として、Amazon Glow、家庭用ロボットのAmazon Astroなどハードウェア関連、IoTデバイス管理などに使われるGrafana、Panorama ApplianceなどAmazon AWS関連の最新情報をそれぞれ紹介します。

<参考:アマゾン・ドット・コム基本情報>
ティッカーシンボル:AMZN
創立年月日:1994年7月
ウェブサイト:www.amazon.com

※前回記事ではアマゾンの経営戦略とイノベーション事例一覧を紹介しているので、全体像をつかみたい方はご参照ください。

アマゾンのイノベーション経営戦略とは?【最新事例解説】キャッシュフローを新規事業に再投資するビジネスモデルの今後

Amazon Glow、家庭用ロボットAstro などハードウェア関連のイノベーション

Amazon Glowによる物と仮想空間をつなぐコミュニケーション

Amazon Glowは、ビデオ通話用ハードウェアに小型プロジェクターとスキャナーを内蔵した子供向けデバイスで、2021年9月のプレスリリースで発表されました。

デバイス前方は、映像を投影するだけでなく、スキャンできるエリアになっており、子供が「おもちゃ」など現実空間の「物」を操作した情報を取り込み、仮想空間に反映することが可能です。仮想空間で完結しないため、物品の販売網を持つアマゾンのビジネスと相性の良いサービスと言えます。

また、仮想空間は遠隔で閲覧したり操作できるので、例えば親子で通話しながら一緒に絵を描いたり、パズルをするといったコミュニケーションができます。

実際の利用シーンをチェックしたい方はAmazon Glowの紹介ページをご参照ください。

家庭用ロボットAmazon Astroによる安心の提供

一方、Amazon Astroは2021年10月のプレスリリースで発表された家庭用ロボットで、ビデオモニタリングによる外出中の安全確認や、家庭内の物の輸送、緊急対応などの機能を備えています。

Astroは遠隔モニタリングやリマインダーなど、介護支援の機能も充実しており、前回記事で紹介した介護サービス「AlexaTogether」とも併用できるようです。

また、プライバシー対策も入念に行っており、Astroのプライバシーページでセンサーの記録をオフする機能や遠隔プロテクト機能などが解説されています。

これらの例から、「安心してコミュニケーションできるプラットフォーム」を強化し、顧客を家族ぐるみで取り込むアマゾンの戦略が着々と進んでいることがわかります。

 

IoT戦略を支援するGrafana、Panorama ApplianceなどAmazon AWSのアップデート

データ視覚化・分析サービスAmazon Managed Grafanaの一般提供

Amazon Managed Grafanaは、IoTデバイスなど様々なソースから得られたデータを視覚化し、分析できるサービスで、2021年8月のAWS News Blogで一般提供を開始することが発表されました。

Amazon Managed Grafanaの日本語ページによると、顧客企業の「Area52」は、水産加工の現場で使われるIoTデバイスや、他のシステムから取得したデータのグラフ化にAmazon Managed Grafanaを活用しています。視覚化されることでキーになる指標を簡単に追跡でき、生産目標の管理などが効率化できたようです。

カメラ管理用デバイスAWS Panorama Applianceの一般提供

AWS Panorama Applianceは監視カメラなどの映像データを分析し、顧客のオペレーションを改善することを目的とした開発キットで、2021年10月のプレスリリースで一般提供がアナウンスされています。

検査の自動化に使えるスマートカメラの多くは高額ですが、Panorama Applianceの利用により、既存のカメラ映像をローカルで自動分析できるようになるため、顧客はスマートカメラへの買い替えをせずに高度なAI画像解析が可能になります。

例えば小売業のユーザーの事例として、消費者の動きをカメラで解析し、店舗レイアウトの最適化などを実現した例があるようです(Panorama Appliance提供開始を報じた日本語記事参照)。

前回の記事では医療・金融関連のAWSサービスを紹介しましたが、上記の例から生産管理や画像解析などの分野でも次々に新サービスを創出していることがわかります。

 

アマゾン最新情報からモノとWebのイノベーションが俯瞰できる

以上、アマゾンの2021年Q3決算報告から、イノベーション関連の情報をピックアップして紹介しました。紹介できたのはごく一部で、4半期という短い期間で大量のイノベーションが創出されていることがわかります。

また、前回記事で紹介したAlexaTogetherと、本記事で紹介したAmazon Astroの連携など、イノベーションどうしが連鎖しながらプラットフォームが進化していることもわかります。

アマゾンは、物流やデバイスなどモノのプラットフォームと、AWSなどクラウドプラットフォームの両方を保有し、刷新し続けているのが特徴です。紹介した例だけでも、3Dスキャン、スマートホーム、IoT、AI画像解析など各分野の最新テーマにつながっています。

アマゾンをウォッチするだけで、様々な業界のイノベーションの流れが見えるのが、同社の最大の魅力と言えます。

今後も4半期レポートがアップデートされる度に記事を追加していきますので、ご期待ください。アップデート情報は無料のメールマガジンにてお届けしているので、アマゾンのイノベーションをリアルタイムで追いかけたい方はぜひご活用下さい。

 

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畑田 康司

畑田康司

TechnoProducer株式会社シニアリサーチャー
工場設備エンジニア、スタートアップでの事業開発を経て現職。現在は企業内発明塾®における発明創出支援、教材作成に従事。個人でも発明を創出し、権利化を行う。発明塾東京一期生。

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