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無人トラクターの自動運転とは

【図解】無人トラクターの自動運転とは? ~クボタ・ディアなどメーカーの最新動向と特許技術を解説

トラクターは、農地の耕うんや肥料の散布などを行う農業機械です。近年、人が乗らずに作業できる「無人トラクター」と、その自動運転に関する技術が急速に進歩しています。

本記事では、無人トラクターの自動運転に使われるシステムの概要と、ディアやクボタなど主要メーカーの動向を解説します。後半では、日本のトップメーカーであるクボタの制御技術やAI(人工知能)技術を詳しく解説します。農業自動化の最前線をキャッチアップしたい方は是非ご参照ください。

※食料問題の解決や脱炭素化など、SDGs達成に向けたクボタの取り組みについては以下の記事で詳しく解説しています。

クボタのSDGs経営戦略【地べたのGAFAへ】~GMB2030実現に向けたスマート農業・IoT取り組み事例

無人トラクターの自動運転技術の概要とメーカーの最新動向

無人トラクターの自動運転システムの概要

無人トラクターの自動運転システムの概要(ヤンマーの特許 JP6630298B2 の図に追記して作成)

無人トラクターの自動運転システムの概要(ヤンマーの特許 JP6630298B2 の図に追記して作成)

まず、無人トラクターを制御するシステムの全体像を簡単に解説します。

上図のように、無人トラクターはタブレットなどから遠隔で操作することが可能です。無人トラクターにはカメラなどのセンサーが搭載されており、周囲の状況を把握して障害物との衝突を回避できます。

無人トラクターの位置は、衛星を使ったGPS技術により把握できるので、トラクターが計画通りに作業を進めているかどうかをリアルタイムで確認できます。また、農地の特定のポイントに「基準局」と呼ばれる測定装置を配置することで、衛星からの測定データを補正し、より正確な位置情報を得ることができます。

屋外でトラクターを長時間運転するのは大変ですが、上記のシステムにより少ない負担で農作業を進めることができます。また、1人の作業者が複数のトラクターを管理することもできるため、人件費削減にもつながります。

無人トラクターの実用化における課題

上記のように便利な無人トラクターですが、実用化においては以下のように複数の課題がありました。

  • 一般道と違って農地には農作物があるため、障害物と農作物を見分けて安全に自動運転を行うには、高度なセンシング技術が求められる
  • トラクタは単に走るだけでなく、種まきや肥料散布などの作業を行うため、作業を効率よく正確に行うための調整を遠隔で行うのは難しい
  • トラクターの位置を正確に把握するのが難しい

このため、数十年前は無人トラクターの実現は不可能と考える人も多くいました。しかし、センサやGPS、機械学習などの技術が急速に進歩し、2010年代後半あたりから実用化が進んでいます。

無人トラクターを開発する主要メーカーの最新動向

続いて、上記の課題を解決し、無人トラクターを実用化を進める国内外のメーカーの動向を紹介します。

トラクターの世界市場では米国のディア(ディア・アンド・カンパニー;Deere & Company)がダントツのトップシェアを持っており、無人トラクターの開発でも他社に先行しています。2022年1月のWIREDの記事によると、同社の新型トラクターは6対のカメラと人工知能(AI)により周囲の環境を認識するシステムを搭載しており、自律的に走行することが可能です。

日本でも、クボタやヤンマーなどのメーカーが農機の自動運転技術を開発しています。クボタは2021年に農機の自動運転技術を開発する米国スタートアップのアグジャンクション社を買収しており、無人トラクターの開発を加速しています(クボタの2021年12月のリリース参照)。

次項では、日本のトップメーカーであるクボタが開発する技術の詳細を解説します。

クボタの無人トラクター自動運転技術を特許から読み解く

農地の傾斜に対応するクボタの制御システム

トラクターの傾きに対応するクボタの制御システム概要(クボタの特許 JP6837767B2 の図に追記して作成)

トラクターの傾きに対応するクボタの制御システム概要(クボタの特許 JP6837767B2 の図に追記して作成)

トラクターを使う農地は一般道のように整備されていないので、地面の凹凸などによる課題が生じます。

例えばクボタの特許  JP6837767B2 では、「傾斜が大きい農地では無人トラクターの自動運転が難しい」という課題を解決する技術が記載されています。クボタの無人トラクターには、車体の傾斜を検知するセンサーが搭載されており、上図のように一定以上の傾斜がある場所ではアラームを出し、手動操作に切り替えることができます。

さらに、傾斜センサーのデータはGPSを使った位置情報と紐づけて記録されます。「この農地のこの場所は傾斜が急である」という情報がマッピングされるので、2回目以降の作業は傾斜によるトラブルを予測し、事前に対策できます。

AIを活用したトラクター運転計画の自動化

先述したように米国のディアは人工知能(AI)を使った自動運転システムを開発していますが、クボタもAI技術の開発を進めています。

例えば同社の特許出願 WO2023106158A1 には、運転計画をAIによって自動生成する技術が記載されています。この技術により、従来は人の手で行われていた「トラクターの走行ルートの計画」を自動的に作成でき、さらに省力化が進みます。

また、2021年5月のクボタのリリースによると、同社は米国の半導体メーカーであるNVIDIAと戦略的パートナーシップを提携しています。NVIDIAは高度な画像処理技術を保有しており、トラクターが周囲の環境を正確に把握するシステムにも同社の技術が使われています。

上記の事例から、クボタが無人トラクタの「作業計画の自動化」や「周囲の環境把握」など複数のテーマでAI開発を進めていることがわかります。2023年7月の日経新聞によると、クボタは世界トップメーカーのディアに負けない研究開発体制の構築を目指しており、今後の活躍に期待が集まっています。

トラクターなど農機の自動運転技術による農業の未来

以上、無人トラクターの自動運転技術について、米国のディアアンドカンパニーや日本のクボタの技術動向を中心に解説しました。クボタはセンサや衛星を使った制御技術に加え、AIを使ったシステムの開発にも積極的に取り組んでおり、今後の活躍が楽しみです。

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畑田 康司

畑田康司

TechnoProducer株式会社シニアリサーチャー
大阪大学大学院工学研究科 招へい教員
半導体装置の設備エンジニアとして台湾駐在、米国企業との共同開発などを経験した後、スタートアップでの事業開発を経て現職。個人発明家として「未解決の社会課題を解決する発明」を創出し、実用化・事業化する活動にも取り組んでおり、企業のアイデアコンテストでの受賞経験あり。

あらゆる業界の企業や新技術を徹底的に掘り下げたレポートの作成に定評があり、「テーマ別 深掘りコラム」と「イノベーション四季報」の執筆を担当。分野を問わずに使える発明塾の手法を駆使し、一例として以下のテーマで複数のレポートを出している。
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