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IPランドスケープに関するQ&A ~リアルタイムIPLと実践のヒントを中心に~

IPランドスケープに関するQ&A ~リアルタイムIPLと実践のヒントを中心に~

本記事では、IPランドスケープに関するよくあるご質問とその回答をご紹介します。

IPランドスケープ(IPL)は、知財情報を活用して研究開発や経営判断を支援するアプローチです。しかし、実務の現場では「どのように始めればよいのか」「他部門とどう連携するのか」など、さまざまな疑問や課題に直面することも少なくありません。

「資料作成に時間がかかるためタイムリーな情報提供ができない」ことも、一般的なIPランドスケープの課題です。本記事では、その解決手段となる「リアルタイムIPランドスケープ™」に関する話題も含め、実践のヒントをQ&A形式でご紹介します。

リアルタイムIPランドスケープとは何か?

Q1. 相手のニーズをどんどんくみ取って、先回りして情報を出す、「リアルタイムIPL」とはどのように実践するのか?

A1.
リアルタイムIPランドスケープ(IPL)は、たとえばSNSのチャットツールなどを使い、やり取りをしながらその場で必要な情報を提供するアプローチです。

特に有効なのは、開発や営業、新規事業創出の現場で今まさに困っていることを解決するヒントを出す場面。
特許や論文から技術情報を即座に探したり、「この人に聞けば良い」という専門家や企業の連絡先を調べて面談を手配することもあります。

レポートを1か月かけて作成しても、その間に状況が変わってしまえば意味がありません。まずは30点の情報でよいので、タイムリーかつコンパクトに情報を提供するのが重要です。

IPランドスケープを支援するツール

Q2. 特許を効率よく読むためのツールを教えてください

A2.
NotebookLMなどのAIツールは、1件の特許公報を対話形式で要約してくれるため、特許文書を読むのが苦手な方にもおすすめです。

また、Google Patentsは無料で利用でき、国内外の特許を横断検索できる優れたツールです。引用・被引用関係も一目で確認でき、「短時間でざっと傾向をつかむ」リアルタイムIPL的な調査にも活用できます。

投資分析とIPランドスケープの関係

Q3. 「投資情報」としてどんな情報に注目する?

A3.
IR情報にある設備投資や研究開発費も重要ですが、M&Aやスタートアップへの出資といった動きから、企業の中長期戦略を読み解くことも可能です。

こうした動きの裏には、「何を強化しようとしているのか」「どの領域に賭けようとしているのか」という明確な意思が隠れています。

「本気度の高い特許」の見極め方

Q4. 本気度の高い特許を見極めるコツは?

A4.
以下のようなポイントに着目することで、企業の本気度を読み取ることができます。

  • 継続的に特許出願しているか

  • 審査過程で粘り強く権利化しているか

  • 海外出願や分割出願が行われているか

  • 発明者数やチーム構成に動きがあるか

例えば、筆者がトヨタの全固体電池開発を分析している際に、発明者の動きから「開発の優先度が上がったタイミング」を推測できました。

詳細は、弊社書籍『Patent Information For Victory ~「知財」から、企業の“未来”を手に入れる!~』のChapter3でも解説しています。
▶︎ 書籍紹介ページはこちら

組織としてのIPランドスケープとの向き合い方

Q5. IPランドスケープの専門チームを組む企業も増えているが、IPランドスケープばかりやっているわけにはいかない、という声もあるのでは?

A5.
実際、「やりたいが手が回らない」「一部で進めているが継続が難しい」という声は多く寄せられています。
IPランドスケープに積極的な企業であっても、必ずしも全てが順調とは限らないのが実情です。

営業・経営との橋渡しとしての知財

Q6. 知財部門は技術部門とは話がしやすいが、営業部門や経営層とのコミュニケーションが難しい。どのようなコミュニケーションの取り方があり得るか?

A6.
具体的な成果につなげるという観点では、講演でも触れた「新規顧客開拓」の支援が考えられます。弊社の支援先でも、特許から読み取った顧客候補の情報を営業の方に提供することで、成果につながった例が多数あります。「売れる」「儲かる」につながるので、成果として経営者にも伝わりやすい取り組みです。

「経営戦略」に関するIPランドスケープがふわっとした話で終わってしまい、具体的なアクションにつながらない、という方は、まず営業支援から始めると良いかもしれません。

ご意見・アンケートのご案内

リアルタイムIPランドスケープに関して、皆様の現場でのご意見やお悩みもぜひお聞かせください。
以下のアンケートフォームよりご回答いただいた方には、後日集計結果をお送りします。

▶︎ リアルタイムIPランドスケープに関するアンケートはこちら(所要時間:約5分)

おわりに

今回のQ&Aが、IPランドスケープに関する日々の実務や課題解決のヒントとなれば幸いです。
引き続き、皆様の声をもとに、より実践的な知財・事業開発支援を行ってまいります。

 

 

★本記事と関連した弊社サービス

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畑田 康司

畑田康司

TechnoProducer株式会社シニアリサーチャー
大阪大学大学院工学研究科 招へい教員
半導体装置の設備エンジニアとして台湾駐在、米国企業との共同開発などを経験した後、スタートアップでの事業開発を経て現職。個人発明家として「未解決の社会課題を解決する発明」を創出し、実用化・事業化する活動にも取り組んでおり、企業のアイデアコンテストでの受賞経験あり。その経験を会社の仕事にも活かし、「起業家向け発明塾」では起業に向けた発明の創出と実用化・事業化を支援している。

あらゆる業界の企業や新技術を徹底的に掘り下げたレポートの作成に定評があり、「テーマ別 深掘りコラム」と「イノベーション四季報」の執筆を担当。分野を問わずに使える発明塾の手法を駆使し、一例として以下のテーマで複数のレポートを出している。
IT / 半導体 / 脱炭素 / スマートホーム / メタバース / モビリティ / 医療 / ヘルスケア / フードテック / 航空宇宙 / スマートコンストラクション / 両利きの経営 / 知財戦略 / 知識創造理論 / アライアンス戦略

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