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スキルアップに欠かせない「暗黙知」獲得の理論と実践法(1)~「省察」(せいさつ)で気づく

スキルアップに欠かせない「暗黙知」獲得の理論と実践法(1)~「省察」(せいさつ)で気づく

「発明塾」塾長の楠浦です。
今日は、2025年4月に開講する新規事業サポーター養成講座(支援者向け発明塾 公開講座)」に関連する内容を、紹介していきます。

新規事業サポーター養成講座(支援者向け発明塾公開講座)
https://www.techno-producer.com/news/business-supporter-course/

どこかに書きましたが、「企業内発明塾」は、基本的に「結果がすべて」「結果にコミットする」場として運営していますので、「学び」の優先順位は下げています
いろいろな理由がありますが、一つは「結果が出ていない方法を学びたい人はいない」ことがあります。
結果が出てから、それを学びたいかどうか、判断してもらえばよいわけです。

ただ実際には、「結果が出れば、そこで一安心」(笑)になって、それ以上学ぼうとしない人も多い。
まぁ、皆さん忙しいですからね。
僕は、それはそれで悪いことではないと思っていますが、もう少し「学べる」場に振った「発明塾」もあってよいだろう、ということで「支援者向け発明塾」の提供を開始しました。

「支援者向け」と書いていますが、事実上「発明塾の手法を純粋に学びたい人向け」の講座だと考えていただいて問題ありません。
「支援者向け発明塾」には、支援者しかいませんので、結果にコミットしません(できません)。
ここからしばらく、「プロになるために、どうやって学ぶのか」という「学びの技術」について、僕が日々指導し実践していることを、書いていきます。

ちなみに発明塾式の「学びの技術」は、企業内発明塾では教えていませんなんか変ですね(笑)。
教えたいのですが、教える時間がないのです。

一応、企業内発明塾のオプションとして提案していますが、採用実績はありません(笑)。
企業にとっては、結局のところ「まず結果が大事」だということですね(笑)。当然です。

なので、学生向け発明塾以外、つまり社会人向けでは、「支援者向け発明塾」で初めて指導する内容がほとんどですね。
「ほとんど」としているのは、最近は、月額顧問サービスで、一部の内容を指導しているからです。
月額顧問サービスも、最近は一定の割合で「学びたい」という方が利用されていますので、その場合は指導しています。
気のせいかもしれませんが、月額顧問では「学びたい」「考え方を教えて欲しい」という方が増えている気がします。

不思議なことに、「教えます」というと「結果が大事だ」といわれ、「結果が出ます」というと「教えてくれ」といわれるんですよね。
これ何なんですかね(笑)。まぁ、わかる気はしますけどね。

脱線はこれぐらいにして、「発明塾の学びの技術」の本題へ。

1.プロは、知識を使いこなす「暗黙知」を持っている

教育学の分野では、熟達者と呼ばれる、いわゆる「プロ」「仕事のデキる方」の共通点は、詳細かつ豊富な知識と共に、それらを使いこなす「暗黙知」を持っている、とされます。
ここで、暗黙知とは「言語化」できない、しづらい知識のことを指します。よく、「ノウハウ」とか言ったりしますけど、その中でも言葉でうまく説明できない部分ですね。
「スキル」という言葉にも、「説明できない部分」を多く含む、というニュアンスがあります。知識とスキル、のような対比で使うことが多いですからね。
暗黙知と対になる言葉は「形式知」です。学校で学ぶような知識だ、という意味で「学校知」などと呼ぶ場合があります。学校知と対になる言葉は「実践知」です。

整理すると、こんなイメージですね。

暗黙知 ⇔ 形式知
実践知 ⇔ 学校知
知識  ⇔ スキル
知識  ⇔ ノウハウ

ただし、 「知識」という言葉は、暗黙知と形式知の両方を含む意味で使われることもありますので、注意が必要です。
例えば、野中郁次郎先生の「知識創造理論」では、「知識」という言葉は暗黙知と形式知の両方を含んでいます。

2.「暗黙知」の身につけ方を知っているか?がスキルアップの成否を分ける

熟達者(プロ)は、非常に多くの知識を自動的に使いこなすことができるから、仕事ができる。その使いこなしの能力というか知識が、「暗黙知」だ、と考えてもらってOKです。
この「自動的に」というのは結構重要で、
熟達者本人は特に意識せずに自動的に行っている部分が多いので、説明しづらい、言語化しづらい、ということになります。
熟達者は、それにより効率よく高度な仕事を次々とこなし、さらに経験を積んでいきますので、
ますます「暗黙知」が増えていく、という仕組みです。

この仕組みを構築できるかどうかが、プロへの道、いわば「熟達者への高速道路」に乗れるかどうか、成否を分けると僕は考えています。
なので、
「暗黙知の身につけ方」は、プロになれるかどうか、あるいは、そこに向けたスキルアップがうまく進むか、の生命線だと言えるでしょう。
もっと言うと、「教えてらっていること(形式知)」だけでなく、
「教えてもらっていないこと/誰かが教えてくれているわけではないこと(暗黙知)」を、目の前の状況や環境から、積極的に探し出し、自身のものにしていくことが、重要なんですね。
実際、熟達者(プロ)は、この能力が高いとされています。

3.「暗黙知」の存在に気付くための第一歩が「省察」(せいさつ)

実はこの、

「教えてもらっていないこと/誰かが教えてくれているわけではないこと(暗黙知)」を、目の前の状況や環境から、積極的に探し出し、自身のものにしていく

プロセスを回すために欠かせないのが、「そこで行われたこと、そこで起こったことを振り返る」という作業なんですね。
専門用語で「省察」(せいさつ)と呼んだりします。英語では、リフレクション(Reflection)です。

一つ注意したいのは、暗黙知を生み出すために重要な「省察」は、「反省」ではないんですよね。
特に、僕が「発明塾」を行う際に非常に注意しているのが、この点です。
省察も、人や業界によっていろいろな形で定義され、実施されているのですが、
「失敗を振り返る」タイプの振り返り、つまり反省では、あまり新しい知識に気づくことができないんですよね。
それよりも、些細なことや、偶然起こったことでもよいので、
「上手く行ったこと」をしっかり拾い上げることが重要です。

誰も教えてくれない、誰も説明してないけれど、実はそこに「上手く行く法則・方程式(知識)」が存在している。
まさに「暗黙知」ですね。
それに気づけるかどうか。気づくためにどうするか。
この手法や習慣が身についている人は、明らかに早く、そして大きく伸びることが、学生版の発明塾での結果から、わかっています。
要するに「振り返りが巧みな学生は、飛躍的に発明が上手くなった」ということですね。
彼らは「反省」はしませんでした。
その代わりに
「目の前で起こっていることを、微に入り細に入り観察・分析し、成功のヒントを得る」ことを、毎回の討議後に必死でやっていました。
これなんですよね。
僕は、彼らのメモを全部持っています。もちろん、僕も毎回分析してメモを作成し、学生に説明していました。
その時のノートが20冊以上あります。これらの一部は、教材になっています。

 

次回は、プロになるため、スキルアップするために欠かせない「暗黙知」獲得の方法について、別の観点から、説明します。お楽しみに。

4月に開講する「新規事業サポーター養成講座(支援者向け発明塾 公開講座)」では、支援者として活躍いただくのに必要な知識とスキルを、「省察による暗黙知形成の手法」を実践しながら、身につけていただきます。「プロになるためのスキル」を身につけつつ、支援者としてもスキルアップいただく、という感じですね。

新規事業サポーター養成講座(支援者向け発明塾公開講座)
https://www.techno-producer.com/news/business-supporter-course/

上記のページから、資料請求と説明会の申し込み、収録済みの説明会動画の視聴申し込みなどが可能です。
既に申し込みも受け付けを開始しております。
皆さまのご参加をお待ちしております! m(__)m

 

楠浦 拝

 

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