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AIの答えを「否定する」か「育成する」か―AI時代のアイデア育成能力とは

AIの答えを「否定する」か「育成する」か―AI時代のアイデア育成能力とは

「発明塾」塾長の楠浦です。
今回は、生成AI活用をうまく進めるためのスキル、あるいは、マインドセットについて、取りあげます。
これは、僕が「企業内発明塾」「月額顧問」あるいは、メンバーの指導・育成の際に、常に感じていること、考えていること、行っていることです。

僕は、ズバリ「アイデア育成能力」が、生成AI活用の成否を分ける、と、多くの方を見て、感じています。
これについて、ある論文の内容を精査しながら、解説していきます。

では、本題へ。

TRIZ×LLMの発明力は人間を超えるか?/プロンプトが可能性を狭めている?

今回取りあげる論文は、TRIZと生成AI(LLM)を組み合わせることの効果を検証した論文です。
前置きとして、弊社で実際に試した内容を含め、この論文の概要を紹介しておきます。

論文1)Case study: is there a space for TRIZ in the era of ChatGPT?(生成AI時代にTRIZはどう使えるか:楠浦意訳)
https://www.cambridge.org/core/journals/proceedings-of-the-design-society/article/case-study-is-there-a-space-for-triz-in-the-era-of-chatgpt/7173B2DD63E89B35D7D550679F24059D

なお、この論文を含む、生成AIの発明への利用については、以下のnoteにまとめています。
アイデア出しに、生成AIを有効活用したい方は、ぜひご一読ください。

生成AI×発明・発想法(1)~TRIZ×AIの最新事例
https://note.com/kusuura/n/n7a6f4e943f27

論文1の結論としては、LLM(ChatGPT)単独のケースと、LLMとTRIZを組み合わせたケースで、いずれも人間単独の場合よりもスピードと質において上回ったとしたうえで、両者に差は見られない、としています。
ただ、これはLLMとTRIZの最適な組み合わせが見つかっていない、とも言えるため、今後の研究をウォッチしたいと考えています。
「人間を超えるか」については、「すでに超えている」という結論でよいのだろうと、僕は思っています。

一方、僕がTRIZの教科書に出ている各種問題をChatGPTに解かせてみたところ、TRIZのフレームワークをプロンプトで指示した場合と、指示しない場合で、少し変化が見られました。
「TRIZ」のフレームワークを指示しないほうが、より広範な切り口の答えが出てきたんですよね。
一般的には、プロンプトを多数書くのがよい、とされるようですが、ケースバイケースだな、ということを感じます。

これを「プロンプトエンジニアリングの罠」と、僕は呼んでいます。
人間の不用意な指示が、AIの創造性を妨げている可能性がある
部下の育成と同じですね(笑)。

前置きは終わりです。

「AIの答えは使えない」が、イノベーションを阻害する時代へ

この論文を読んでいて、TRIZとは関係なく、非常に面白いことに気づきました。
生成AIによって生み出されたアイデアに対する評価が、立場によって微妙に異なるんですよね。

例えば、実際に作業に取り組んだ、あるエンジニアは、以下のように回答しています。

チーム1のエンジニア:「ChatGPTからの提案を検討しました。提案は妥当で優れたものでした。しかし、提案された解決策はすべて既に私たちが知っているものでした。これらの解決策は既に知っているか、実装できないかのどちらかです(例えば、形状の制約、溶接機の制限など)。」

(論文1の該当部についてのGoogle翻訳による日本語訳)

チーム2のエンジニア:「ChatGPTは、システムの動的強度を向上させるという点で、革新的なものや私たちが知らないような提案をしていません。唯一、私たちが考えていないのは、『熱処理』によって本当に何かメリットがあるかどうかです。おそらくテストしてみるつもりです。仮にできたとしても、量産化の実現可能性については疑問です。」

(論文1の該当部についてのGoogle翻訳による日本語訳)

・すでに知っている
・それは難しい

あるあるですね(笑)。

一方で、ディレクター、および、元従業員の専門家は、以下のようにコメントしています。

研究開発ディレクター:「AIとTRIZ手法の助けを借りて生成されたソリューションを精査することで、アイデアの質的な拡張が得られます。そして、専門家によって、より迅速かつおそらくより正確に、アイデアが選別・評価されます。これらのツールを日常的に使用することで、開発活動を効果的に支援し、加速させることができるという第一印象です。」

(論文1の該当部についてのGoogle翻訳による日本語訳)

元従業員の専門家:「ChatGPTの結果は、社内で既に知られている解決策をいくつか示唆しました。TRIZ/LLM手法(Teamwork3)によって提案された解決策は、ChatGPTの結果と同等です。しかし、ChatGPTとTRIZ/LLMは、Teamwork1では特定されなかった、有望と思われる興味深い解決策をいくつか提案しました。問題の性質上、実用性と改善の程度は、広範なテストなしには評価できません。問題3に対する技術的解決策の実用的価値と革新的価値は、最初の2つの問題に対する解決策よりも優れていると考えられます。問題3は純粋な設計問題ではなく、製造プロセスと密接に関連しています。適用可能な様々な技術が探索空間を拡大します。提案された技術は現在、社内では使用されていません。これは、ChatGPTとTRIZ/LLMが社内の専門家の思考を超えたことを意味します。」

(論文1の該当部についてのGoogle翻訳による日本語訳)

実際にどのようなアイデアが出ているのか、論文に記載されていないのでこれ以上の考察は難しいのですが、「アイデアをどう扱うか」が、AIの成果を活用できるか、成否を分けると僕は感じました。
エンジニアリングは、基本的に課題解決の連続ですので、「従来、実装できないとされた解決手段」も、その課題をさらに深掘りすることで、実装できる可能性もあるわけです。

結局は、「アイデア育成能力」が重要、というのが僕の印象です。
アイデア育成能力がないと、AIのアウトプットが使いこなせない
これは、部下の育成や、外部リソースの活用でも、全く同じですね。

「部下のアイデアを否定する」と「AIのアイデアを否定する」は同じ構図

重要なことは、「目の前の情報から、どう可能性を見出すか」なんですよね。

「斬新なアイデアを提案する部下と、そのアイデアを否定する上司」という構図が、「斬新なアイデアを提案するAIと、それを否定する人間」に置き換わっただけ、と思うのは僕だけでしょうか(笑)。
AIの答えが使えない、を連呼する若手は、いずれ「部下の提案が使えない」を連呼する上司になるわけですね(笑)。

さて、これをどうすればよいか。
「アイデアの育て方」を学びませんか?
これが、僕の答えです。

「アイデアの育て方」は、まさに弊社が18年追求してきたことです。
その成果は、「発明塾」のサービスとしてどなたでも利用可能です。

企業内発明塾
https://www.techno-producer.com/kigyounai-hatsumeijuku/

新規事業プロデューサー養成講座
https://www.techno-producer.com/business-supporter-course-corporate/

弊社サービスカタログ
https://www.techno-producer.com/wp-content/themes/TechnoproducerTheme/pdf/tp-service-menu.pdf

 

楠浦 拝

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