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材料メーカー日立化成が世界シェア70%を獲得した「川下特許戦略」

本記事は、当社が開催したクアルコムに学ぶ「知財戦略」の基礎セミナーのエッセンスをお届けするものです。
セミナーの重要な知見を、どなたでも気軽に学べる形でまとめています。

材料メーカーの経営者・営業責任者の皆さん、こんな悩みはありませんか?
・お客さんから「3%値引きしてくれ」と言われて困る
・せっかく良い材料を開発したのに、価格交渉では常に劣勢
・競合他社との価格競争に巻き込まれて、利益がどんどん削られてしまう

実は、材料メーカーの日立化成(現:レゾナック)がこの状況を打破した事例があるんです!
その秘密は「川下特許戦略」という考え方にありました。

要約 - 材料メーカーが価格交渉で主導権を握る「川下特許戦略」の実践法

材料メーカーが価格競争から脱却し、価格交渉で主導権を握るための「川下特許戦略」について解説します。自社の材料技術だけでなく、顧客の製造工程や使用方法まで特許でカバーすることで、競合他社との差別化を図る革新的なアプローチです。

本記事では以下の内容を解説します。

  • 川下特許戦略の基本概念と従来の特許戦略との違いを理解する
  • 日立化成が世界シェア70%を獲得した具体的な特許戦略を分析する
  • 顧客の製造工程に着目した「当たり前の課題」の特許化手法を学ぶ
  • バリューチェーン全体をカバーする特許ポートフォリオの構築方法を把握する
  • 実践時の重要ポイントと注意すべき観点を整理する

それでは、価格競争から脱却するための具体的な手法を詳しく見ていきましょう。
まずは川下特許戦略の基本的な考え方から解説します。

川下特許戦略の考え方

「川下特許戦略」とは何か?

まず、川下特許戦略とは何でしょうか?

従来の材料メーカーの特許戦略は、自社の材料技術に関する特許を取って、それを守ることが中心でした。でも川下特許は全く違います。

川下特許戦略とは、材料メーカーが自社の材料だけでなく、お客さんの製造工程や使用方法まで特許で押さえる戦略のこと。つまり、材料を売った後の「使い方」まで知財でカバーしてしまうんです!

顧客の製造工程への徹底した着目

発明塾を運営する楠浦が注目したのは、日立化成の独特なアプローチでした。

日立化成は自社のテクニカルレポートで、こんなことを明言していたんです。
「お客さんがその材料をどう使うかというところまで研究開発しています」

さらに驚くのは「装置メーカーのプロセス領域の発明の抽出もして特許取得しています」という発表。材料を作るだけでなく、その材料を使ってお客さんが製品を作る工程まで研究し、そこで生まれる発明を特許化していたんです。

これって、材料メーカーの常識を覆す発想ですよね!

日立化成が世界シェア70%を獲得した戦略

この川下特許戦略の効果は、実際の数字に表れています。

日立化成のダイアタッチフィルム(半導体製造で使用されるフィルム)は「当時」という条件付きですが「世界シェア70%」を達成していました。この圧倒的なシェアの背景には、巧妙な特許戦略がありました。

「当たり前の課題」を特許化

例えば、どんな特許を取っていたのでしょうか?

楠浦が分析したところ、圧着する時に樹脂がはみ出して装置が汚れるという課題を解決する特許がありました。これって「絶対にそうなるもの」で、誰でも経験する当たり前の問題です。

でも、その解決方法を特許にしてしまった!

さらに「ダイボンディング装置という装置の特許を彼が取っている」という事実も判明。材料メーカーなのに、その材料を使う装置の特許まで押さえていたんです。

バリューチェーン全体をカバー

楠浦は「各工程でこんな特許を取ってますよ」と彼らの戦略を分析しています。実際に日立化成の特許を調べてみると、材料の製造から顧客での実装まで、バリューチェーン(原材料から最終製品までの一連の流れ)全体を特許でカバーしていることがわかりました。

結果として、競合他社が同じ分野に参入するのが非常に困難になったんです。

なぜ川下特許が価格交渉で有利になるのか?

楠浦は重要な指摘をしています。利益率10%の製品で3%値引きされると、利益は30%も減少してしまうのです。

つまり、わずかな値引きでも利益への打撃は甚大。しかし川下特許を持っていれば、お客さんは材料だけでなく、その使用方法についてもある意味依存することになります。簡単に他社に切り替えることができなくなり、材料メーカーが価格交渉で優位に立てるようになるんです。

実践時の重要ポイント

では、この川下特許戦略を自社で実践するには、どんなことに注意すればよいでしょうか?

顧客の製造工程を深く理解する

川下特許戦略を成功させる最も重要なポイントは、顧客の製造工程を深く理解することです。

材料メーカーだからといって、材料を作って「はい、どうぞ」では終わらない。お客さんの工場で、その材料がどう加工されるのか、どんな課題が生まれるのか、どんな装置を使うのか。そこまで踏み込んで研究することが不可欠です。

日立化成の場合、お客さんが材料を使う際の「困りごと」を、自分たちが解決して特許化するという徹底した戦略を取っていました。

「当たり前の課題」に注目する

特に重要なのは、誰もが経験する「当たり前の課題」に注目することです。

圧着時に樹脂がはみ出して装置が汚れる問題のように、誰でも経験する課題。こうした問題の解決方法を特許にすることで、お客さんにとって「なくてはならない存在」になれるんです。

材料から装置まで研究範囲を広げる

川下特許戦略では、自社の専門分野を超えて研究範囲を広げることが重要です。日立化成は材料メーカーでありながら「ダイボンディング装置という装置の特許」まで取得するほど徹底していました。

材料だけでなく、その材料を使う装置や工程まで研究することで、バリューチェーン全体をカバーした強固な特許ポートフォリオを構築できます。

まとめ

川下特許戦略は、材料メーカーが価格競争から脱出する強力な武器です!

自社の材料技術だけでなく、お客さんの製造工程まで特許でカバーすることで、単なる材料供給者から「なくてはならないパートナー」へと立場を変えることができます。

日立化成の世界シェア70%という当時の成果が、この戦略の有効性を物語っています。

材料メーカーの皆さん、今度お客さんとの価格交渉で苦戦したら、この川下特許戦略を思い出してみてください。顧客の製造工程に目を向けることで、きっと新しい突破口が見えてくるはずです!

※本記事はAI技術を活用して作成しています。内容の正確性に努めておりますが、表現や解釈に独自性がある場合がございます。


この記事の元となった動画セミナーについて

今回ご紹介した日立化成の川下特許戦略は、発明塾®動画セミナー「優れた知財戦略で世界を変えたクアルコムに学ぶ『知財戦略』の基礎」で解説されている内容の一部です。セミナーでは、川下特許戦略以外にも、世界を変えた企業の知財戦略が体系的に学べます。

受講者からは「特許をうまく活用する戦略的な企業探しに活かします」「クアルコム理解の入門セミナーとしてお薦めします」といった声をいただいています。今回ご紹介した川下特許戦略のような具体的な事例を通じて、材料メーカーの方にも実務に役立つ戦略的思考が学べる内容です。

特許戦略をより深く理解し、他の成功事例も学びたい方は、ぜひ完全版のセミナーをご覧ください。

▼詳細・お申込みはこちら
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