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情報検索の手法は“習熟×切り替え”で決まる──15分で正解に近づく効率的調査の進め方

情報検索の手法は“習熟×切り替え”で決まる──15分で正解に近づく効率的調査の進め方

「発明塾」塾長の楠浦です。
今回は、企業内発明塾や月額顧問で、皆さんと一緒に作業をしている時に、よく出る質問に一つお答えしておきます。

取り上げる質問は、ズバリ
「楠浦さんは、なんでそんなに情報を見つけるのが速いんですか?」
です。

過去のお声でも、「魔法」とか「手品」のような表現もあります。
また、知財部の方から、「自分より早く、わずか数分で、楠浦さんがズバリの特許を見つけてしまうのが悔しい(笑)」といった声も、過去に何度も寄せられています。

なんでそんなに、速いのか。
どうやって情報を見つけているのか。
もともと知っているのではないか(笑)。

手掛かりになる情報を知っていた、という例もありますが、それだけでは説明できません。
では、本題へ。

1.「手品のように速い」「一発必中」の効率的な情報検索に、カラクリはあるのか?

楠浦さんの調査は手品のように速い
よく言われます(笑)。
僕も、説明してくれ、と言われたら「手品なので、タネがあります」と答えています(笑)。

ただし、「企業内発明塾」では結果が優先ですので、通常、タネ明かしをすることはありません
出し惜しみしているわけではなく、単純に、時間がないからです。
質疑応答の時間が最後にありますが、時間オーバーした上に、時間切れになることが多いですね。

参加者の皆さんも、できれば知りたいけど、それよりも企画を詰める時間がない、という状態ですので、長々手法を教わっている余裕はない。
さっと説明できるほど簡単ではないのです。
手品ですからね(笑)。

先日、4月に開催した「新規事業プロデューサー養成講座」のリアル懇親会を行った際、やはり同じような話題になりました。

新規事業プロデューサー養成講座
https://www.techno-producer.com/business-supporter-course/
(新規事業サポーター養成講座は、新規事業プロデューサー養成講座に名称を変更します)

「新規事業プロデューサー養成講座」は、提案者を支援できる人材の育成が目的ですので、どちらかというと「タネ明かし」がメインの講座になっています。
ただ、「手品」を見せないと「タネ明かし」は成立しません。
やはり、その場で実際に皆さんで取り組んでみて、いったん手品を見て、すごさを実感いただいて(笑)、タネ明かしすることになります。

懇親会には、弊社の畑田(はただ)も出席していたのですが、皆さんの質問を受けて、畑田が面白いことを言ってました。

実際に見ていると、最後の一手で見事に答えを引き当てるので「一発必中」に見える。
でも、それは誤解だと。

彼は、東京での学生向け発明塾一期生ですから、発明塾の手法、というか、楠浦が裏で(笑)何をしているか、よく理解していますね。

2.皆さんは何を「誤解」しているのか? 手品のような効率的情報検索のタネ明かし

ココからは、畑田の解説です。
正確には、畑田の解説を、僕と「楠浦さんAI」が整理したものです。

 ・ 確かに楠浦さんは、あっという間に必要な情報を見つけてしまう
 ・ 外から見ると「秘伝の方法を知っている」ように映る
 ・ 実際には、複数の手法を瞬時に切り替えながら、高速に試行錯誤している
 ・ だから、速いのは「特殊なテクニック」や「天才的直感」ではなく「習熟と切り替え」の結果

そうですね。だいたい合ってますね(笑)。

その場でも僕は、以下の点を補足しています。

 ・ そもそも、特許検索や分析を長らく仕事にしているので、引き出しが多い
 ・ 多くの人があまり使わない手法も、日々、使っているので慣れている
 ・ 結果が出ればなんでも良いので、「母集団作って・・・」のような、王道の方法にこだわらず、最短距離の方法を試す

常に結果にコミットし続けているからだ、と僕は考えています。
あとで説明できるかどうかなんて、どうでもいいんですよね(笑)、もはや。
もっとも、僕はメモ魔であり、調査のログは常に細かく残していますので、説明は可能です。

3.楠浦の効率的な調査法について、畑田による解説のまとめと補足

畑田の解説、続きがあります。

 ・ 15分で、普通の人が1日~1か月かけるぐらいの試行錯誤をしている
 ・ 各調査手法に習熟しているからこそ、見切りも早く切り替えが速い
 ・ そのため常に高いアウトプットを短時間で出せる。
 ・ 楠浦さんは、調査作業において、粘りと見切りのバランスが絶妙

慣れているというか、毎日やっているので、作業一つひとつに迷いはないですね。
やり方を思い出す必要もない。
手が勝手に動いていく感じです(笑)。

もう一つは、「粘りと見切り」のバランスですね。
これについても、よく質問があります。
説明はできるのですが、教えるのは難しいかもしれませんね。

調査作業の中で、仮説と検証を高速で繰り返して
「もっと出てくると思ったけど、意外に出てこないな」
「キーワード変えてみたけど、あまり変わらないな」
みたいな判断を、次々に行っているだけです。

忙しいので、時間がないですから、迷ったりはしないんですよね。
迷う前に、次の作業を思いついてしまう
あるいは、自分がいま行っている調査の方針(方略)が、筋が良いか悪いか、他の手法で確認する。

そんな感じですね。
「悩まない」というのが、ポイントだと思います。
悩む前に、次の手法を次々試すのが、コツです(笑)。

企業内発明塾では、制限時間が3分、5分、8分なので、悩んでいる時間がないんです!
多くの方が、「難しいこと」をやろうとしますが、僕の方針は「簡単なことを早くやる」なんですよね。
これは結構難しいので。
いいトレーニングになりますよ。

4.効率的な調査法には、一部の人が知っている「あの理論」が重要

僕が、懇親会の帰り道にとったメモから、もう少し「理論的」な内容を紹介しておきましょう。
これは、学生向け発明塾では教えていましたが、社会人向けでは教えていません。
ある程度、数学か物理の素養が必要で、すこし説明が面倒だからです(笑)。

 ・ 多くの人の試行錯誤は「毎回ゼロからやり直し」のリセット型。
 ・ 楠浦の試行錯誤は「ニュートン法」をイメージしている。

僕の中で「試行錯誤」は、「毎回ゼロに戻る」ことを意味しません。
得られた情報をもとに、少しずつ近づく
あるいは、近づける方法を探る。

これを、具体的にどうやるのか?

実は、情報調査・情報検索において僕が常に意識しているのは、「ニュートン法」と呼ばれる手法です。
「ニュートン法」というのは、数学的に解けない問題について、近似的に答えを得る手法として、非常に古典的なものです。
理・工学部の学生は、おそらく2回生ぐらいの物理か数学の授業で、全員学ぶと思います。

ニュートン法を簡単に説明すると、以下のような感じです。

 ・ 何でもいいから「仮の答え」を置く
 ・ そこから、一定の手順で、「次の答え(らしきもの)」を得る
 ・ それを繰り返すと、「正しい答え」に近づいていく

こう書くと簡単ですが、現実の問題に当てはめる場合は、「正しい答えに近づいているのか」を評価する方法が必要です。
(物理の場合は、「目的関数」というものを設定し、その数値の変化で判断するのが通常です)

僕が、「ニュートン法」で調査する場合、以下のような感じです。

 ・ 仮説(これがあるはず)を持ち
 ・ 得られた情報をもとに、次のステップを考え、実行
 ・ 解に近づいているかを逐次判断して、仮説に近い情報にいたる

だんだん、答えに近づいているな、という感覚(確証)を持ちながら、進めていくわけですね。
近づいていないと判断すれば、調査の方法を変えます。

5.効率的な情報調査法を学びたい方へ

ここまでの内容を、楠浦が行っている「手品のような」効率的な情報調査・情報検索手法を学びたい方のためにまとめ、補足しておきます。

 ・ 調査や検索において「一発で当てる」必要はない
 ・ 大事なのは、仮説を持ち、試行錯誤の解像度を上げ、前進しながら修正すること。
 ・ あなたの試行錯誤は「リセット型」?それとも「ニュートン法型」?
 ・ 楠浦の情報調査の速さは、「ひらめき」「才能」「直感」ではなく、地道かつ高速で欲しい情報に近づいていく「仕組み」にある

初学者の方には、以下の順番で学習とトレーニングを行うことを、お勧めしています。

 ・ まず「引き出し」を増やす
 ・ それぞれの手法について、迷いなく高速で(無意識で)行えるところまで習熟する
 ・ 使い分けに悩まないように、日々使って、各手法の特徴を身体知(暗黙知)化する

 

楠浦 拝

 

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