TechnoProducer株式会社CEO/発明塾塾長 の 楠浦(くすうら) です。
本日は、新著「Patent Information For Victory」について、著名な個人投資家の方がBlogで書いてくださった際のコメントが、新規事業や事業開発を担当される方に、非常に参考になると思いましたので、紹介します。
新著「Patent Information For Victory」に関するニュース、イベントは、以下でお知らせしております。
投資や投資を前提としたボトムアップ型の企業分析(ボトムアップリサーチ)を通じ、投資家・経営者の目線を学ぶことは、ビジネスパーソンにとって非常に有益であることも、ご理解いただきたいと考えています。
では、早速本題へ。
この記事の内容
Blogで取りあげてくださったのは、「ろくすけ」さんです。
個人投資家として、非常に著名な方です。
実は、新著「Patent Information For Victory」内で ろくすけさん のX(旧:ツイッター)でのコメントを引用させていただいており、僕は、ろくすけさんのXでいつも学ばせていただいております。
楠浦崇央『Patent Information For Victory ~「知財」から、企業の“未来”を手に入れる!』を読む。 | ろくすけの長期投資の旅
https://6suke.com/pifv/
早速お読みいただき、本質を非常に簡潔にまとめておられるのですが、一つひとつが非常に学びのあるコメントになっています。
一字一句、噛みしめて読みたいので、ここで解説します。
最初に注目したいのは、以下の部分です。
企業のキャッシュフロー(CF)の観点から考えてみますと、長期的な投資CFの動向を端緒に、設備投資や資本提携・企業買収の戦略を読み解くことはある程度可能です。
しかしながら、研究開発については営業CFの中に隠れてしまっています。
さすが、ろくすけさんですね。
ご指摘の通り、企業の成長の源泉になりうるものとして、「設備投資」や「企業買収」などと並んで、「研究開発」があります。
設備投資は「投資」として「投資キャッシュフロー」に分類されていますし、バランスシートでも「資産」として計上されますが、研究開発は、実態としては「(将来への)投資」であるにもかかわらず基本的に費用として処理されており、「営業キャッシュフロー」の中に埋もれているんですよね。
これを表(おもて)に引きずり出して評価する一つのツールとして、「特許情報」があるわけです。
投資と特許情報について、少し理解が深まったでしょうか。
こんな感じで、特許情報を活用した企業分析には、財務や会計の基礎知識が不可欠なんですよね。
ここで思い至るのは、長期投資の肝は企業自身による複利成長であり、利益をキャッシュのままにせず再投資すること、すなわち「拡大再生産」にあるということです。
それを外部成長ではなく内部成長、企業自身のイノベーションによって成し遂げようとするのであれば、当然、投資家側としてもそれを評価する術が必要となります。
そのための安定的な基盤はあるのかどうか。
そこで特許情報の出番となるわけですね。
長期で企業価値が(指数関数的に)増大するのは、企業が利益を再投資するから、つまり、「拡大再生産」「複利成長」が起きるからだ、というのが、長期投資家の考え方です。
その一つが、「研究開発投資」であり、その状況や基盤が「特許」から見えてくるよね、ということですね。
つまり、「複利成長の仕組みづくり」がどう進んでいるか、特許を手掛かりに読み解いていくわけです。
長期投資家から見ると、「複利成長の仕組みづくり」が、経営や事業開発の本質なんですね。
だから、それがちゃんとできているか、をいろいろな角度から知りたい、裏を取りたいわけです。
IRで格好いいこと言ってるけど、実際どうなんだと。
そういうことです。
脱線しました。
各企業が、研究開発投資によるイノベーションで「複利成長」をどこまで達成できるか。
これを評価する材料として、特許情報が使えますよ、ということです。
「研究開発投資」という、良く見えないものを、「見ようとする」ためのツールが「特許」なんですよね。
良く見えないものを、見ようとする。
これも、長期投資家の基本的なスタンスだと、僕は思っています。
良く見えないものの中に、実は、本質があるんですよね。
特許を読むとは、そういうことだと、僕は考えています。
多くの長期投資家の方に、僕の手法や特許情報分析の結果に対して、圧倒的な支持をいただいているのも、これが理由だと僕は考えています。
良く見えないものが、楠浦さんと特許を読むと、意外に見える。
そういうことですね。
僕は以前から、「個人的に特許分析を学びたい」と相談された方には、必ず「まず、特定の企業を分析することから始めたらいいですよ」とお話してきました。
そもそも、そういう相談はあまりありませんでした(笑)が、仕事以外のシチュエーションで特許や知財を学ぶ動機が少ないことが、「知財・発明教育サービス」を手掛ける僕にとってはなんとなく寂しかったので、積極的に相談に乗っていました。
ただ、仕事であったとしても、特定企業の動向を分析する必要があるシチュエーションは、あまり多くありませんので、個人で、どこかの企業について日常的に調べたいと思う人は、ほぼ皆無でしょう。
何がイイかなー、と思って、試行錯誤の末に結びついたのが「投資」です。
特許情報が投資に使えそうだ、と分かった時は、これだ!という感じでしたね(笑
これなら皆さん、特許についてまじめに勉強してくれそうだ、と(笑
学生向けの発明塾OBOGを対象に、「投資部」を開催していたのも、彼らのスキルが錆びついていくことをおそれたからなんですよね。
彼らが就職すると、学生時代に比べて、特許を調べなくなることは、僕には明白だったからです(笑
ただ「投資で儲ける」を目的にすると、儲かるか儲からないか、みたいなことが気になって、かえって上手くいきません。
儲けることを目的にするのではなく、結果として、勉強のために購入した書籍や費やした時間に相当する、「授業料」が賄える程度の投資収益があればよい、ぐらいに考えて、まずは新著を下敷きに、企業分析を始めてもらうのがよいと、僕は考えています。
「分析」「仮説構築」「特許」「知財」「財務」「会計」に関するスキルが、確実にアップします。
そして何より、「投資家目線」「経営者目線」が、確実に身につき、鍛えられます。
投資家目線は、その名の通りなので身につくことは説明不要でしょうが、なぜ、「経営者目線」が身につくか。
経営者は、毎日投資家(資本市場)と向き合っているわけですし、彼ら自身「経営資源の配分」を意思決定する、「投資家」だからです。
(僕が書籍で示すような方法で)特許を入り口に投資を学ぶことで、ビジネスパーソンとして大きく成長できることは、僕が保証します。
多くの塾生が、証明してくれています。
繰り返しですが、特許分析を学ぶ場合、「企業分析」から始めるのが、取り掛かりやすく結果も見えやすいので、ベストだと思います。
結果が出ないことは続きませんし、取り掛かるまでにいろいろ学ばないといけない、となると、そもそも着手すらできません。
企業分析なら、特許データベースに「企業名」を入れれば終わりです(笑
(もちろん実際には、出願人の名寄せなどの面倒な作業が「プロの世界」では生じますが、それはそれとして、、、)
実際、弊社では「営業の準備」として、僕が作ったテンプレにもとづいて、営業担当者が企業分析を行う、という決まりにしていましたが、特許とは縁もゆかりもない業界から中途入社した新人メンバーが、あっという間に、一通りの分析ができるようになりました。
(もちろん、弊社は知財関連教材を多数保有してますので、その効果も無視はできませんが、、、)
そういう視点で、新著「Patent Information For Victory」を、個人で、または企業で、活用いただけると嬉しいです。
企業分析スキルが身について、特許の知識も深まって、ついでに授業料も稼げる。
そんな感じの書籍です。
理想的な、参考書/教科書だと思いませんか(笑
新著をベースに、社内や有志で、ぜひ勉強会を開催してみてください。
お声かけくだされば、時間や都合が許す範囲で、僕か弊社メンバーの誰かが参加させていただきます。
皆さんが、どのように「Patent Information For Victory」を読まれているか、大変興味があります(笑
楠浦 拝
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