【要約】
「発明塾」塾長の楠浦です。
今回は、2025年4月に開講し討議を行った「新規事業サポーター養成講座(支援者向け発明塾)」の第4回ワークショップから第5回ワークショップの間の振り返りです。
新規事業サポーター養成講座(支援者向け発明塾)
https://www.techno-producer.com/news/business-supporter-course/
(上記は公開講座のご案内ですが、企業内開催も承ります)
これまでの振り返りは以下のコラムをご覧ください。
第1回振り返り:新規事業支援者の心得とは? 成功する提案を導く支援の本質と実践法
第2回振り返り:新規事業「支援者」と「指導者」の違い~たった1回の指導でここまで変わる! 成果を出す支援者育成の本質
第3回振り返り:決断力を育てる新規事業支援~「頭がちぎれるほど考えたか?」で成果を変える
第4回振り返り:“チラシ思考”で動かす新規事業企画~支援者が築くエコノミック・モートと決断支援の技術
「第4回ワークショップから第5回ワークショップの間」って、どういうことやねん!と思った方もいるでしょうね(笑)。
実はこのコラムを書いたのは、7月4日の「新規事業サポーター養成講座(支援者向け発明塾)第5回ワークショップの直前でした。
一週間、提案者役の参加者の作業を、他の参加者(支援者)がどう支援するか、じっくり見ていました。
やはり、さすがに4回、というか4週間もやってくると、かなり行き届いた支援ができるようになってきましたね。
6名の支援者が、確実に育ってます。
企業内発明塾は、「企業内」ですから、その企業の方だけで行うクローズドなものですが、今回は公開講座ですので、様々な企業や組織の方が参加されています。
これも、なかなか面白いですね。
ということで、「支援者は育てるもの」というお話です。
「新規事業サポーター養成講座(公開講座)」は、「支援者育成」に特化した、発明塾として初めての講座です。
弊社の「企業内発明塾」は、「実働支援サービス」だとご説明しています。
つまり僕は、皆さんの新規事業の企画立案を支援しているわけですね。
多くの場合、開催企業からも「支援者」の方が参加されます。
つまり、「提案者数名」(1~4名)と、「支援者数名」と、僕で開催するわけです。
「支援者」の方は、企画部門・知財部門の方など、自身が提案するわけではなく、その提案を促進する部署や立場の方が多いですね。
僕は通常、支援者として参加される方に「支援法」を教えたりはしません。
僕がどういう考え方や手法を使って、支援しているかを解説することもありません。
参加者が主人公ですから、そんな時間はないのです。
(僕は、提案者の思考回路をかなり細かく読んで支援しますので、その種明かしをすると、提案者がやりづらくなる部分もあります)
しかし、今回は「支援者育成」の講座ですから、支援者が主役です。
「支援」という目線で楠浦が何を考え、実行しているか。
目の前の実際の状況(例:提案者の行き詰まり)に、実際に僕が対応し、それを解説する。
皆さんもそれを、すぐにその場で実践し、企画を育てていく。
ここまで丁寧に、「僕が毎日何をしているか」解説するのは、「学生向け発明塾」以来です。
(学生向け発明塾は2022年に活動を中止しており、現在学生はおりません)
支援とは、「やってくれと言われたことをこなすこと」だけではないんですよね。
それは必要最低限の作業でしかありません。
発明塾として支援者に期待したい支援とは、提案者の
といった、“行間を読む力”や“関わりの作法”が求められる行為です。
つまり、発明塾の支援には、支援の「技術」と「哲学」があるんですね。
また、「過去に事業経験がある=支援がうまい」とは限りません。
経験は一つの経験。
大事な財産だけどそれにとらわれてはいけない。
自分がうまくいったやり方をそのまま押しつけていると提案者の可能性を狭めることもありますよね。
実際、僕はそう言う状況をたびたび目撃しています。
支援者を「自然発生に任せる」のではなく、「育てる」必要があると、僕は考えています。
やってみて、改めて分かったこと。
ただ同席するだけ、では育たない(成長が遅い)。
見ているだけでも、育たない。
支援者育成専用のカリキュラムが必要だということが、確認できました。
今回の参加者の方々の成長が、とにかく著しいんですよね。
もう、ある程度任せられそうだな、という方もいらっしゃいます(笑)。
では、成長の速さは、どこで決まるか。
まだこれは、サンプル数が足りないので僕の仮説ですが、「振り返り」の精緻さだろうと考えています。
これは、「企業内発明塾」の提案者でも同じ傾向があるので、おそらく正しい仮説でしょう。
実は、過去の参加者の振り返りは、すべて記録し保存してあります。
それらと比較すると、「この人はどれぐらい伸びそうだな」ということが、だいたい把握できるんですよね。
僕の記憶ではなく、過去データを見て、僕は参加者の習熟度についてあたりをつけています。
同席しているだけでは、「僕がやっていること」「僕が考えていること」が見えているかどうか、僕にはわかりません。
振り返りを見ると、「この人は見えてたんだな」ということがわかるわけですね。
そして、「解像度高く、見る」ためにも、常に見えているものを書き出していく。
記録することで、観察できるようになるんですよね。
これは、ここまで何度かお話しした、暗黙知の話や、野中郁次郎先生の「知識創造モデル(SECI:セキモデル)」とも関連する話です。
「支援者は、ただ関わらせるだけでは育たない。専用のカリキュラムを準備すれば、確実に育つ」
今回の「新規事業サポーター養成講座(公開講座)」で、僕はこれを実感しました。
支援者育成には、以下のような学びの仕組みが不可欠だと、僕は現在考えています:
「支援」もまた専門スキルとして“学ぶべきもの”であるということですね。
なんとなく手伝えばよい、ということではないんです。
それが逆に、「阻害要因」になるリスクを理解して、「関わり方」の専門家になってほしい、ということ。
特に支援者に身に着けていただきたいスキル、向上させていただきたいスキルが、「メタ認知」力ですね。
支援者が本質的に成長するためには、
「いま自分は何をしていて、それが相手にどう役立っているのか」
を意識的に捉えるメタ認知的な視点が欠かせません。
発明塾では、このメタ認知の力を養うために、
といった仕掛けが組み込まれています。
メタ認知とは何か、なぜ重要か、どうすれば向上するのか、などについてのテキストも、今回新たに作成しています。
メタ認知を意識して、何かをトレーニングする機会は、多くの方にはあまりないでしょうね。
このように、支援の「意味」「意図」を常に言語化し、共有し、学びあい、技術を毎秒向上させていく仕組みが、「新規事業サポーター養成講座(公開講座)」にはあるんです。
僕がなぜ、そのタイミングで、その情報を出したのか。
あるいは、その発言をしたのか。
その効果は何だったのか。
ほんとにそれでよかったのか。
これらを、一つひとつ分析し、言語化し、共有し、皆さんが実践できるようにしていくわけです。
まぁ、ここまでやれば、誰でも成長しますわね(笑)。
これは、学生版で高い効果があった方法なのですが、社会人での効果は確認できていませんでした。
今回、確認できました。
今のところ、非常に効果的です。
ただ、まだ実績は「6名」ですので、今後のデータも注視したいと思います。
(学生版では150名程度の実績があり、それなりのデータが整っていて、効果があることは確認できています)
皆さんの参加をお待ちしています。
このように、支援者は、偶然や経験任せではなく、「意図的に育てる」ことができる。
というか、そうしないと育たない、というお話でした。
今回の参加者の皆さんは、ほんとに成長しましたね。
これって、見方を変えると「部下を育てる」ことになるでしょうし、「若手を支援できるベテランを育てる」ことにもつながるでしょうね。
実際、今回の参加者の方には、「部長さん」がいらっしゃいます。
「部下の育成」「ベテラン支援者育成」に興味がある方は、ぜひお問い合わせください。
企業内でクローズド形式での開催も、可能です。
公開講座は3か月間、終わってみればあっという間です。
僕が皆さんにここまで指導できるのは、多くの方の場合、一生に一度。
貴重な機会、一期一会ですね。
楠浦 拝
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