本記事は、当社が開催した電動化・自動運転普及に向けてデンソー・ボッシュはどう事業を変革するか?セミナーのエッセンスをお届けするものです。セミナーの重要な知見を、どなたでも気軽に学べる形でまとめています。
みなさん、こんな状況に直面していませんか?
「電動化や自動運転が叫ばれているけど、具体的にどう事業を変えていけばいいの?」
「大手メーカーは一体どんな戦略で動いているの?」
「うちの会社の強みを活かせる新しいビジネスモデルって何だろう?」
こんな疑問に、弊社代表取締役の楠浦がデンソーとボッシュの最新戦略分析から答えを導き出します!特許情報と企業の公開情報から読み解く、自動車産業の大転換期における勝者の条件とは?
自動車業界に革命的な変化が訪れています。特にデンソーはトヨタ依存からの脱却を目指し、大きく舵を切り始めました。
楠浦は「デンソーは売上の95%が自動車関連で、そのうち半分がトヨタ向け。この状況からどのように事業領域を拡大していくか、また内燃機関依存からどう脱却していくかが課題です」と指摘します。その戦略の核となるのが安全技術です。
なぜデンソーが安全技術に注力するのか?それは楠浦の言葉にヒントがあります。
「今まで衝突安全ボディと言っていたのは、病気になったら保険金が出ますと言っているのとほぼ同じ。でもぶつからない方がいいよねとなると、それはハードではなくソフトウェアの領域になる」
これこそがソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV:ソフトウェアで定義される車)の本質です。クルマの価値がハードウェアからソフトウェアへとシフトしていく大きな変化の波が来ているのです。
デンソーは2003年から衝突防止関連の技術開発を続けており、特許出願件数でも世界トップクラス。この蓄積がソフトウェア時代の強みになると楠浦は分析しています。
もう一つ重要なキーワードが「オーバー・ジ・エア(OTA)アップデート」。クラウドから車載ソフトウェアを更新する技術です。
「車はハードウェアと考えたら2年に一回の車検で済むかもしれませんが、リアルタイムでソフトウェアが更新される自動車の認証認定をどう確保していくのか。これは結構難しい問題です」と楠浦は指摘します。
ここに新たなビジネスチャンスがあります。楠浦は「命を任せられるメーカーの数は限られています。カーナビのような機能だけでなく、安全に関わる部分のソフトウェアが常に最新かつ最適な状態に保たれる仕組みづくりが求められるでしょう」と語ります。
データの分析からは「安全・安心はデンソー」というポジショニングで差別化を図る戦略が見えてきます。これは単なる技術戦略ではなく、「誰が安全を保証するのか」という社会的信頼の獲得競争でもあるのです。
電動化の鍵を握るパワー半導体。デンソーとボッシュの両社ともこの分野に力を入れていますが、その戦略には明確な違いがあります。
楠浦によると「デンソーはパワー半導体の特許出願件数でボッシュを大きく上回っています。ただし、その4割以上はトヨタとの共同出願です」。対してボッシュは「インフィニオンと提携して技術ライセンスを受ける戦略を取っています」。
両社とも「ハードウェアは他社と協力してとにかく安定供給、安全なものを安定的に作れる体制をどう作っていくか」に注力しているとのこと。これは単独でのリスク回避ではなく、業界全体での基盤確立の動きと捉えられます。
楠浦はこれについて「オープンクローズ戦略」という視点から解説します。「ハードウェアに関しては他社に頼るというか、他社と組んでとにかく安定調達を目指す。そこで差別化するというよりも、ソフトウェア側で勝負する」という戦略がそこに見えます。
自動運転技術においても差別化の方向性が見えてきます。特にAI技術の活用に関して、両社の戦略は対照的です。
「デンソーは衝突防止関連で圧倒的な特許数を誇り、安全技術に注力しています。一方、ボッシュはAI関連の特許出願が急増。NVIDIAやマイクロソフトとの提携を進め、生成AIの活用も始めています」と楠浦は解説します。
特に注目すべきは生成AIの自動運転への応用です。「道路の真ん中にボールが転がっていたら子供が飛び出すかもしれないというシナリオを生成AIに作らせて、それに対するアクションを取らせる」といった新しい取り組みが始まっています。
これまでプログラミングで対応しきれなかった予測困難な状況に対して、生成AIが「こんなケースもあり得る」と考えながら判断するという新しい段階に入りつつあるのです。
デンソーとボッシュの戦略比較から見えてくるのは、同じ自動車部品メーカーでも特許戦略や技術開発の方向性が大きく異なるという事実。楠浦は「両社とも自動運転に取り組んでいるとはいえ、デンソーが安全安心を軸にしているのに対し、ボッシュはAI・IoTプラットフォームとしての幅広い展開を視野に入れています」と分析します。
自動車産業は「ぶつからない安全」を実現するソフトウェア定義型モビリティへと大きく変わろうとしています。この変革期に勝者となるのは、単に新技術を追いかけるだけでなく、自社の強みを活かした明確な差別化戦略を持つ企業でしょう。
楠浦は「自動車事故ゼロ」という究極の目標を掲げ、こう締めくくりました。「モビリティに関する新規事業で、僕の中で一番強いのは、車とかモビリティの事故をゼロにしたいということ。便利に移動できるかよりも、それで命を落とすというのはあり得ないと思うんです」
今こそ、あなたの会社も強みを活かした独自の戦略を描くときかもしれません。それはきっと、より安全で豊かな社会への貢献にもつながるはずです。
※本記事はAI技術を活用して作成しています。内容の正確性に努めておりますが、表現や解釈に独自性がある場合がございます。
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