本記事は、当社が開催した調べすぎて行き詰まらないための「テーマ探索」の方法セミナーのエッセンスをお届けするものです。
セミナーの重要な知見を、どなたでも気軽に学べる形でまとめています。
情報を探している際に、どこかで行き詰まった経験はありませんか?
そんな情報過多の時代に効率よく価値ある情報を見つけ出す方法があります。
それが楠浦による「極端思考」です。
発明塾を運営する楠浦が長年の経験から編み出した、この情報収集テクニックは、企業の開発部門でも高い評価を得ています。
今回は、膨大な情報の海から本当に価値あるものを掘り出す「極端思考」の考え方をご紹介します。
この記事の内容
多くの人は情報を集めて理解することで満足してしまいます。でも、そこで終わっていませんか?
楠浦によれば、「情報を理解するっていうところで終わるのではなくて、この先どうなるかを考えて仮説を立てる」ことが重要なのです。
では、良い仮説はどうやって立てるのか?
そこで役立つのが「極端思考」です。
楠浦は「良い仮説を立てるために、良い制約条件を早く決める」と説明します。極端思考とは、物事の両極端な事例や状況に注目して、そこから本質的な構造や軸を見出す思考法なのです。
極端な事例に注目する理由は効率性にあります。「情報が少ない方が、効率よく仮説を立てて仮説検証を回していける」と楠浦は述べています。情報過多になると整理できず、時間切れになってしまうのです。
例えば、京都と東京という2つの極端な環境(「情報量が少ない静かな環境」と「情報が溢れる賑やかな環境」)を比較することで、「構造化された情報が少ない方が創造性が高まる」という軸がみえてきました。
「極端なところを、一旦考えて、その特徴を取り出して抽象化していく」と楠浦は説明しています。これにより、膨大な情報から効率よく本質を見抜くことができるのです。
極端思考を実践するには、まず対照的な結果を示す事例に注目することから始めます。楠浦は講演の中で興味深い例を挙げています。「ファンドに採択されるような発明の数は京都が圧倒的で、東京はすごく少なかった」という現象があったのです。
この結果の違いを分析するために、「情報量」と「構造化」という2つの軸を見出しました。
「東京っていうと、例えば渋谷ですね。それで京都は例えば竜安寺のような感じ」と楠浦は両者の環境を対比します。情報が多すぎて混沌としている東京と、適度な情報量で構造化された京都という極端な比較です。
「情報が少ない。ある程度少ない方がいい」のは、「効率よく仮説を立てて仮説検証を回していける」からなのです。つまり、情報の「量」よりも「質」と「構造」が重要だということです。
東京の発明塾の学生たちは多くの情報に埋もれ、京都の学生たちは少ない情報から効率よく仮説を立てていました。結果として京都の方が優れた発明を生み出すことができたのです。
この事例から、効率的な情報収集には「情報量を絞る」「構造を持って情報を抜き取る」という極端思考のポイントが見えてきます。楠浦は「やっぱりどこを捨てるか、どこに絞るかっていうのはテクニックというか、それがむしろ本質的な方法」と指摘しています。
極端思考を日常の情報収集に活かすには、具体的にどうすればいいのでしょうか?
楠浦の講演から、効果的な3つのステップが見えてきます。
ステップ1:極端な事例を見つける
まずは、対照的な事例や状況を意図的に探します。「できるだけ極端な情報を一旦考えて」と楠浦は言います。東京と京都のように対照的な環境や状況を比較するのは、このアプローチの一例です。ほかにも全く異なる分野間の類似点を見つける方法もあります。
具体例として、「精密農業」というテーマを調べていた際のエピソードを紹介しています。
「例えば精密農業だと精密って何が精密なんだろうな」と考え始めたとき、「種子を精密にまく」という視点に注目しました。
そこで楠浦は発想を転換し、農業という専門分野の中だけで考えるのではなく、「精密印刷」という全く異なる分野と比較しました。「精密に農地に種をまくっていうのと、精密に紙に印刷するって、まあ一緒じゃないですかね」と楠浦は説明します。
この異分野の関連付けから、新たな視点が生まれました。ありきたりの考え方から抜け出し、農業と印刷技術という一見関係のない分野の共通点を見出すことで、より革新的な発想につながったのです。
ステップ2:軸を見つけ出す
次に、極端な事例を比較して本質的な「軸」を抽出します。楠浦が東京と京都の発明塾を比較したとき、「情報量が多いか少ないか」「情報が構造化されているかカオス状態か」という2つの軸が浮かび上がりました。
楠浦は「3つの情報、3つの写真をうまく並べて何かラベルを付けてみる」と説明しています。この方法で東京と京都の例を分析したことで、「情報量が少なく構造化された状態」が創造性にとって最適だという洞察が生まれたのです。
極端思考で重要なのは、表面的な違いではなく、本質的な差異を示す軸を見つけることです。
多くの人は情報を集めすぎる傾向があるか、あるいは構造化できずに混乱してしまう傾向があります。しかし、両極端な事例から適切な軸を見つけることで、その偏りを克服し、適切なバランスポイントを見出すことができるのです。
ステップ3:サイクルを早く回す
最後に、見つけた軸に基づいて情報収集と仮説立案のサイクルを短い間隔で繰り返します。「10分、15分ぐらいで回していく」と楠浦は強調します。
ここでのサイクルとは、見つけた軸に基づいた仮説を立て、それを検証するための情報を調べ、その結果をもとに仮説を修正する、というプロセスです。
一度に長時間調べても新しい発見は少なく、むしろ「考える時間と調べる時間はバランスよく」することが重要なのです。彼はこのプロセスを「常に結論が出てる状態」と表現し、「ちょっと調べたらちょっと整理するというか、見直して考えて、前提条件を抽出する」と説明しています。
「単に決め打ちで情報を絞るってのは本当にカオスになっちゃう」と楠浦は警告します。重要なのは「構造を持って情報を抜き取っていく」こと。極端思考はその効率的な方法なのです。
情報過多の時代には、すべての情報を集めることは不可能です。楠浦は「情報の量ではなく新しさが大事」と強調しています。極端思考は、まさにこの「新しさ」を効率よく探し出すための思考法なのです。
「極端を使うと無限にサンプリングができる」と楠浦は言います。両極端なケースを押さえれば、その間にある無数の可能性が見えてくるのです。
情報収集と効率的な発想のためには、具体的すぎる思考と抽象的すぎる思考のちょうど真ん中にボールを置くことが理想的です。極端思考はそのための橋渡しとなる強力なツールなのです。
楠浦の言葉を借りれば「よく考え、何がネックになってるかを見つけ、そこに注力する」ことで、同じ時間でも大きな成果が得られるようになります。
極端思考を実践して、あなたの情報収集と分析のスキルを次のレベルに引き上げてみてはいかがでしょうか?
※本記事はAI技術を活用して作成しています。内容の正確性に努めておりますが、表現や解釈に独自性がある場合がございます。
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