3行まとめ
DXを5領域で推進し安全・環境・品質を強化
川崎汽船はDXを重要な経営戦略に位置づけ、「陸上のDX」「海上のDX」「データのDX」「人材のDX」「セキュリティ」の5領域で施策を展開している。統合船舶運航・性能管理システム「K-IMS」は中長期傭船への搭載率98%を達成している。
環境技術で2050年GHG排出ネットゼロを推進
「“K” LINE 環境ビジョン2050」に基づき、温室効果ガス排出ネットゼロに向けた技術実装を進めている。自動カイトシステム「Seawing」は設計の基本承認や張力検証の第三者鑑定を取得し、バイオLNG燃料やアンモニア供給実証にも取り組んでいる。
第157期売上高は1,047,944百万円に拡大
第157期(2025年3月期)の連結売上高は1,047,944百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は305,384百万円を計上した。自己資本比率は74.59%で、財務基盤を背景にDX・環境技術・自動運航技術の社会実装を進めている。
この記事の内容
川崎汽船株式会社は、有価証券報告書(2025年6月19日提出)によると、神戸市中央区に本店を置き、ドライバルク船、自動車船、LNG船、エネルギー事業戦略、電力事業、コンテナ船等の多岐にわたる事業セグメントを展開する海運企業である1。同社は1968年に日本初のフルコンテナ船を竣工させて以降、1970年に日本初の自動車専用船、1983年に邦船初のLNG運搬船を導入するなど、特定貨物に最適化された船舶の運用実績を有する2。コーポレートガバナンス体制に関して、サステナビリティレポート2025によると、迅速な意思決定と経営の透明性向上を目的として、2025年3月に「指名委員会等設置会社」へ移行した実績がある3。また、同社の有価証券報告書およびコーポレートガバナンス開示によると、取締役会には労働法や知的財産をはじめとする専門的な知識・経験を有し、技術的な側面から安全運航に関与する社外役員を配置している2。
川崎汽船株式会社の有価証券報告書(2025年6月19日提出)によると、第157期(2024年4月1日〜2025年3月31日)実績の連結売上高は1,047,944百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は305,384百万円を計上した2。第153期(2021年3月期)実績の連結売上高625,486百万円から継続的な事業規模の拡大を記録している2。第157期末実績の純資産額は1,677,449百万円、総資産額は2,210,049百万円であり、自己資本比率は74.59%である2。最新の四半期報告である2026年3月期第1四半期決算短信(2025年8月1日提出)によると、当第1四半期連結累計期間(2025年4月1日〜2025年6月30日)実績の連結売上高は2,449億円、営業利益は198億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は299億円となっている5。
川崎汽船株式会社の統合報告書("K" LINE REPORT 2025)によると、同社の行動規範において「自社の知的財産の適切な保護と活用に努めるとともに、他者の知的財産を尊重する」という知的財産に関する基本方針を明記している3。具体的な技術開発実績として、サステナビリティページ(2026年3月25日更新)によると、自動運航技術分野において、釧路と日立を結ぶ「第二ほくれん丸」がRORO船として日本で初めて自動運航船としての船舶検査に合格した事実を2026年3月24日に公表している1。さらに、風力を推進力に変える自動カイトシステム「Seawing」の開発において、2020年に船級協会から設計の基本承認を取得し、2026年3月16日には二つの船級協会から張力検証に関する第三者鑑定を取得した実績を有する1。
川崎汽船株式会社のサステナビリティページによると、デジタルトランスフォーメーション(DX)を重要な経営戦略として位置づけ、「陸上のDX」「海上のDX」「データのDX」「人材のDX」「セキュリティ」の5領域で基本方針と具体的な施策を策定している1。この施策の一環として、人材育成プログラム「D+プロジェクト」の実施や、情報安全確保支援士等のサイバーセキュリティ専門人材の育成・確保を推進しており、経済産業省が定める「DX認定」を取得している1。サステナビリティレポート2025によると、環境分野における成長戦略として、風力発電関連事業の強化を目的に2026年4月3日にケイライン・ウインド・サービス株式会社を完全子会社化し、次世代エネルギーサプライチェーンへの参画体制を構築している3。
サステナビリティレポート2025によると、川崎汽船株式会社は全12項目のマテリアリティのうち「環境・技術」分野を設定し、2050年までの温室効果ガス排出ネットゼロに向けた「“K” LINE 環境ビジョン2050」を推進している3。環境負荷低減の具体的な取り組みとして、2026年4月1日に自動車船でのバイオLNG燃料の継続使用開始を公表し、2026年4月22日には曳船「びさん丸」における国内初のバイオ燃料混合装置および超音波船体防汚装置の採用を報告した3。さらに、2026年4月23日にはシンガポールにおける船舶向け燃料アンモニア供給の実証事業が経済産業省の補助金に採択されている3。これらの環境対応実績により、CDP AリストおよびS&P/JPXカーボンエフィシェント指数への選定実績を獲得している1。
川崎汽船株式会社(英訳名:Kawasaki Kisen Kaisha, Ltd.)は、金融商品取引法第24条第1項に基づき関東財務局長宛てに提出された有価証券報告書(2025年6月19日提出)によると、第157期(2024年4月1日から2025年3月31日まで)の事業年度において、神戸市中央区海岸通8番に本店を置き、東京都千代田区内幸町二丁目1番1号を最寄りの連絡場所として事業を展開している2。同資料によると、同社の代表執行役社長は五十嵐武宣が務め、事務連絡の担当窓口として神戸総務グループ長および経理グループ長が配置されている2。また、法定開示書類の縦覧に供する場所として、東京都千代田区の本社、名古屋市中村区の名古屋支店、および東京都中央区の株式会社東京証券取引所が指定されている2。同社が展開する事業セグメントは、ドライバルク船、自動車船、LNG船、液化ガス事業、エネルギー事業戦略、原油・製品事業、電力事業、コンテナ船、ターミナル事業、および物流事業を含んでおり、海運業を中心とした多角的な輸送・エネルギー関連事業を構成している1。
有価証券報告書(2025年6月19日提出)の沿革に関する記述によると、川崎汽船株式会社の技術的および事業的な発展は、特定貨物に最適化された専用船の持続的な開発と導入実績によって形成されている2。同社は1919年に設立されて以降、段階的に船舶技術の高度化を推進してきた2。具体的な技術革新のマイルストーンとして、1968年10月に同社初のフルコンテナ船となる「ごうるでん げいと ぶりっじ」を竣工させた事実が記録されている2。続いて1970年7月には、日本国内で初となる自動車専用船(PURE CAR CARRIER:PCC)「第十とよた丸」の竣工実績を有する2。
特殊貨物およびエネルギー資源輸送に関する船舶の技術展開として、1983年8月に日本の海運会社として初となる液化天然ガス(LNG)運搬船「尾州丸」を竣工している2。さらに1994年6月には、電力炭の輸送に最適な幅広浅喫水設計を採用した石炭専用船「CORONA ACE」を竣工した2。2000年代以降の環境負荷物質および深海資源開発への対応としては、2007年5月にアンモニア輸送船「NORDIC RIVER」を竣工させ、2009年6月にはブラジル国営石油会社ペトロブラス社向けの大水深掘削船(ドリルシップ)に関する傭船サービスを開始した実績が記載されている2。
川崎汽船株式会社の統合報告書("K" LINE REPORT 2025)およびコーポレートガバナンスに関する開示資料によると、同社は企業が社会的責任を果たし、持続的に成長していくためにコーポレートガバナンスの確立を必須事項として位置づけている3。サステナビリティレポート2025によると、変化の激しい環境下における技術投資や事業変革に向けた執行体制の強化、ならびに迅速な意思決定と経営の透明性向上を目的として、同社は2025年3月に「指名委員会等設置会社」へ移行した実績を有する3。
取締役会による経営指導および監視体制の構成要件として、専門性を有する人材の配置が行われている。有価証券報告書等に基づく役員選任の記述によると、労働法や知的財産に関する専門的な知識および経験を有する人材を社外役員として配置している4。この社外役員は、日本航空株式会社への在籍時に一等航空整備士資格を取得した実績を持ち、技術的な側面から安全運航に関与した経歴を有しており、運輸業における実践的な知識・経験を同社のガバナンス体制に反映させている4。職務執行の組織体制としては、サステナビリティレポート2025によると、研究開発や技術に関わる部門として「技術ユニット」が設置されており、イノベーション、環境経営、およびデジタルトランスフォーメーションを推進する体制として「CFOユニット」等と連携して業務を遂行している3。
川崎汽船株式会社の知的財産に関する管理方針は、統合報告書("K" LINE REPORT 2025)に記載された企業行動規範によって規定されている。同規範の項目2-8において、「自社の知的財産の適切な保護と活用に努めるとともに、他者の知的財産を尊重する」という方針を明文化している3。また、同社のサステナビリティレポート2025によると、価値提供の基本方針として「専門性を追求した川崎汽船ならではの価値の提供」を掲げており、イノベーションの促進を通じて独自の技術力を競争力の源泉として管理する体制をとっている3。
情報管理とコンプライアンスの観点からは、同行動規範の項目2-9において、内部者取引やそれと疑われる行為を防止するために社内規則を整備し、グループ関係者全員に周知徹底を図る方針を示している3。さらに項目2-10において、内部通報制度を含めた法令・規範遵守(コンプライアンス)体制を整備し、遵守状況を監視する体制を構築している事実を開示している3。これらの規定に基づく技術開発およびイノベーションの進捗は、全12項目のマテリアリティ(重要課題)のうち「環境・技術」分野および「経営基盤」分野に割り当てられ、基本方針、中長期目標、および重要業績評価指標(KPI)を通じて一元的に管理・モニタリングされている3。
川崎汽船株式会社の有価証券報告書(2025年6月19日提出)によると、第153期(2021年3月期)から第157期(2025年3月期)までの直近5事業年度に関する主要な連結経営指標等の実績は、以下の通り推移している2。
連結売上高は、第153期(2021年3月期)実績の625,486百万円を起点とし、第154期(2022年3月期)実績には756,983百万円へと増加した2。続く第155期(2023年3月期)実績では942,606百万円、第156期(2024年3月期)実績では957,939百万円と段階的な拡大を示し、最新通期である第157期(2025年3月期)実績において1,047,944百万円を計上した2。
経常利益の実績は、第153期(2021年3月期)実績の89,498百万円から、第154期(2022年3月期)実績において657,504百万円へと変動した2。第155期(2023年3月期)実績は690,839百万円を計上し、その後第156期(2024年3月期)実績で132,728百万円となったのち、第157期(2025年3月期)実績において308,089百万円となった2。
親会社株主に帰属する当期純利益は、第153期(2021年3月期)実績が108,695百万円であり、第154期(2022年3月期)実績で642,424百万円、第155期(2023年3月期)実績で694,904百万円を計上した2。第156期(2024年3月期)実績は101,989百万円となり、第157期(2025年3月期)実績において305,384百万円を記録している2。
包括利益の推移については、第153期(2021年3月期)実績が119,956百万円、第154期(2022年3月期)実績が667,264百万円、第155期(2023年3月期)実績が794,036百万円、第156期(2024年3月期)実績が254,972百万円、第157期(2025年3月期)実績が291,806百万円である2。
純資産額の実績は、第153期(2021年3月期)実績の316,162百万円から継続的な増加傾向を示している。第154期(2022年3月期)実績で984,882百万円、第155期(2023年3月期)実績で1,546,679百万円、第156期(2024年3月期)実績で1,624,600百万円となり、第157期(2025年3月期)実績においては1,677,449百万円に到達した2。
総資産額の実績も同様に、第153期(2021年3月期)実績の974,608百万円から拡大し、第154期(2022年3月期)実績が1,574,960百万円、第155期(2023年3月期)実績が2,052,616百万円、第156期(2024年3月期)実績が2,109,432百万円、第157期(2025年3月期)実績が2,210,049百万円となっている2。
自己資本比率の推移は、第153期(2021年3月期)実績が22.39%であったのに対し、第154期(2022年3月期)実績で56.17%、第155期(2023年3月期)実績で73.83%、第156期(2024年3月期)実績で75.47%、第157期(2025年3月期)実績で74.59%を記録している2。
自己資本利益率(ROE)の推移は、第153期(2021年3月期)実績が68.09%、第154期(2022年3月期)実績が116.50%、第155期(2023年3月期)実績が57.91%、第156期(2024年3月期)実績が6.56%、第157期(2025年3月期)実績が18.85%となっている2。
1株当たり純資産額の実績は、第153期(2021年3月期)実績が259.92円、第154期(2022年3月期)実績が1,053.82円、第155期(2023年3月期)実績が2,042.80円、第156期(2024年3月期)実績が2,251.81円、第157期(2025年3月期)実績が2,609.68円である2。
1株当たり当期純利益金額の実績は、第153期(2021年3月期)実績が129.48円、第154期(2022年3月期)実績が765.28円、第155期(2023年3月期)実績が857.01円、第156期(2024年3月期)実績が141.37円、第157期(2025年3月期)実績が460.11円である(なお、潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、全期間において「−」と記載されている)2。
株価収益率(PER)は、第153期(2021年3月期)実績が2.18倍、第154期(2022年3月期)実績が1.16倍、第155期(2023年3月期)実績が1.18倍、第156期(2024年3月期)実績が14.31倍、第157期(2025年3月期)実績が4.40倍で推移している2。
営業活動によるキャッシュ・フローの実績は、第153期(2021年3月期)実績の33,397百万円から増加し、第154期(2022年3月期)実績が226,460百万円、第155期(2023年3月期)実績が456,049百万円、第156期(2024年3月期)実績が202,449百万円、第157期(2025年3月期)実績が273,173百万円となっている2。
川崎汽船株式会社が2025年8月1日に提出した2026年3月期 第1四半期決算短信によると、当第1四半期連結累計期間(2025年4月1日から2025年6月30日まで)の業績実績として、連結売上高は2,449億円、営業利益は198億円、経常利益は216億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は299億円を計上した5。
同決算短信の経営成績等の概況によると、各事業セグメントにおける市場環境と輸送需要の見通しに関する詳細な状況が記載されている5。国際物流事業においては、フォワーディング事業における海上および航空輸送の需要は底堅く推移することを見込んでいる一方で、米国の関税政策や中東情勢に起因する市況の変動、それに伴う不確実性が継続する可能性も考えられるとしている5。海外の完成車物流事業に関しては、輸送台数および保管台数ともに引き続き堅調に推移する見込みを示している5。
その他のセグメントの状況として、曳船事業の作業数および倉庫事業の取扱量については前期と同水準を見込んでいる5。近海事業においては、バイオマス燃料の増加によって全体の輸送量が前期を上回る見込みである5。内航事業のフェリー輸送に関しては概ね前期並みの輸送量を見込んでいる5。定期船輸送の領域においては、製紙関連貨物や飲料等加工食料品の輸送需要は減少するものの、鋼材等の需要を取り込むことで前期並みの輸送量を目指す方針を開示している5。
川崎汽船株式会社の有価証券報告書(2025年6月19日提出)に含まれる個別財務諸表の抜粋によると、2025年3月31日時点における提出会社の個別貸借対照表上の無形固定資産(ソフトウエア)の計上額は515百万円であった2。
連結研究開発費等の具体的な金額に関する事項は、有価証券報告書の全体版における「第2 事業の状況」内の「研究開発活動」項目に記載される内容であるが、今回の調査範囲内で入手した有価証券報告書の抜粋資料(第1「企業の概況」の一部、および第5「経理の状況」のうち個別財務諸表に関連する抜粋のみ)においては、該当するセクションが含まれておらず、具体的な連結研究開発費の実績額については今回の調査では未確認である2。
川崎汽船株式会社は、サステナビリティページ(2026年3月25日更新)においてデジタルトランスフォーメーション(DX)を重要な経営戦略の一つとして位置づけ、専用の「DX戦略」項目を設けてグループ全体で戦略的な取り組みを推進している1。同社のDX戦略の基本方針は、情報および業務プロセス、ならびに船舶のデジタライゼーションを一層進め、データやデジタル技術を活用することで、「安全・環境・品質」というコアバリューを磨き上げ、競争力の源泉として付加価値を向上させることとしている1。この基本方針に基づき、具体的な取り組み内容は以下の5つの領域で展開されている。
第一の領域である「陸上のDX」においては、2つの主要な施策が明示されている。1点目は「情報の見える化とIT環境の整備」であり、情報を可視化しIT環境を整えることで、顧客の要望や社会ニーズに対して柔軟に対応できる能力を獲得するとしている1。2点目は「顧客パートナーシップの深化」であり、データとデジタル技術を駆使して新たな価値を提供し、顧客との関係性をより深いものへと進化させる方針を掲げている1。
第二の領域である「海上のDX」においても、2つの具体的な目標が設定されている。1点目は「全体最適運航の実現」であり、長年蓄積されたビッグデータとAIを活用した解析技術を融合させることで、全体最適化された運航を目指している1。2点目は「安全運航の堅持と負担軽減」であり、「統合船舶運航・性能管理システム」などの高度な実装システムの導入や運航支援を充実させることで、船員の負担を軽減しながら安全運航を徹底する取り組みを推進している1。
第三の領域である「データのDX」では、「業務のデジタライゼーション完遂」を目標とし、データの利活用を前提として、これまでの業務プロセスをデジタライゼーションし最新テクノロジーを導入する方針を示している1。さらに、「エコシステムへの参画」として、顧客や他社とつながるエコシステムに加わることで、社会や海運業界全体に対して新たな価値を創出する取り組みを展開している1。
第四の領域である「人材のDX」では、DXの推進を担う人的資本の強化を目的とした施策が実行されている。具体的には、DXを推進できる人材を育成するための専門の育成プログラム「D+プロジェクト」を設計・実行している1。推進体制の構築に関しても、経営層を中心とした推進委員会と組織横断的な推進部門を設置し、グループ全体での共創体制を整えている1。
第五の領域である「DXを支えるセキュリティ」に関しては、サイバーリスクに対応するための5つの詳細な施策が実施されている。第1に、船と陸の両面でサイバーセキュリティの基盤を強化し、DX推進を継続的にサポートする「デジタル基盤の拡充」を行っている1。第2に、グローバル規模でガバナンスを強化し、サイバーインシデントに迅速に対応できる組織を構築する「セキュリティガバナンスと組織構成」を推進している1。第3に、技術的な対策だけでなく、教育や啓蒙活動を通じて社員の意識を高め、セキュリティを最優先する文化を育てる「セキュリティファーストの文化醸成」に取り組んでいる1。第4に、「情報安全確保支援士」をはじめとするサイバーセキュリティの専門人材の育成・確保に努める「専門人材の確保」を実施している1。第5に、最新の脅威動向を把握し、継続的にセキュリティ管理のレベルを高度化させる「管理の高度化」を推進している1。
これらのDXおよびセキュリティ領域における戦略的な取り組みと実績が評価され、同社は外部評価として経済産業省が定める「DX認定」を取得している事実を公表している1。
川崎汽船株式会社は、サステナビリティレポート2025によると、全12項目のマテリアリティ(重要課題)のうち「環境・技術」分野を設定し、2050年までの温室効果ガス(GHG)排出ネットゼロに向けた「“K” LINE 環境ビジョン2050」を推進している3。同社は「気候変動への対応」「自社からの海洋・大気への環境影響低減」「社会の環境改善支援」の3つの柱を中心に、環境技術の活用と影響低減に向けた具体的な技術開発と設備投資を実行している1。
環境負荷低減技術の中核的取り組みとして、風力を推進力に変える自動カイトシステム「Seawing」の共同研究開発および実証実験を推進している1。本システムは、大型のカイト(凧)を船首に取り付け、海風を利用して推進力を得る環境対策技術である3。関連技術の開発は、AIRBUS社から分社し、革新的なエネルギー効率ソリューションを海運にもたらす飛行制御技術やモデリング技術における航空技術ノウハウと海事テクノロジーを持つAirseas SASと連携して進められている6。
本システムの技術的信頼性を担保する認証プロセスとして、2020年8月19日に船級協会であるClassNKから設計の基本承認を取得した事実を公表している6。さらに、サステナビリティに関するニュースリリース(2026年3月16日公表)によると、二つの船級協会から同システムの張力検証に関する第三者鑑定を取得した実績が報告されている1。
将来的なアンモニアや水素を燃料とするゼロエミッション船の導入を目指し、代替燃料の活用と関連技術の実装を推進している3。サステナビリティ関連の公式ニュースによると、自動車船においてバイオLNG燃料の継続的な使用を開始した実績を2026年4月1日に公表している3。また、2026年4月22日には、曳船(タグボート)である「びさん丸」において、国内で初めて「バイオ燃料混合装置」および「超音波による船体防汚装置」を採用した実績を報告している3。
アンモニア燃料の領域においては、シンガポールにおける船舶向け燃料アンモニア供給の実証事業が、経済産業省の「令和6年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」に採択された事実を2026年4月23日に公表している3。水素燃料の領域においては、川崎重工業株式会社との協業を通じ、先進技術分野および液化水素運搬船の実証実験などの脱炭素への取り組みを継続しており、中長期的な関係維持のために同社の株式を保有して技術的な連携を図っている3。従来の重油から環境負荷の小さいLNG燃料への転換を進める投資も並行して実施している3。
新たなエネルギーサプライチェーン構築に向けた挑戦として、同社は世界初の本格的な二酸化炭素回収貯留(CCS)プロジェクトに従事する液化CO2船の船舶管理を担い、輸送技術の確立に寄与している3。これに関連して、2026年4月21日には、アジアにおけるCCUS(二酸化炭素の回収・有効利用・貯留)拠点開発の実現性を調査するコンソーシアムに参画したことを公表している3。
また、洋上風力発電支援等の周辺事業への展開を目的として、風力発電関連事業の強化を図り、2026年4月3日にケイライン・ウインド・サービス株式会社を完全子会社化した実績を報告している3。これにより、水素やアンモニアの海上輸送技術のほか、洋上風力発電支援船等の関連事業への関与を組織的に強化している3。
これらの統合的な環境マネジメントに対する外部機関からの客観的な評価として、同社はCDP Aリストへの選定実績や、S&P/JPXカーボンエフィシェント指数への選定実績を獲得している1。
川崎汽船株式会社は、安全運航技術の向上に関して「安全運航の推進」を掲げており、ハードウェアとソフトウェアの両面からのアプローチを実施している1。サステナビリティレポート2025によると、運航最適化と安全性向上のためのデジタル技術として、自社開発または独自のシステムとして構築した統合船舶運航・性能管理システム「K-IMS」の中長期傭船への搭載率98%を達成している3。同社はこのシステムを用いた運航データの収集および分析を通じて、燃費向上や安全運航の最適化を図っている3。
自動運航・安全運航分野における技術開発の顕著な実績として、同社のサステナビリティページ(2026年3月24日付ニュースリリース)において、釧路と日立間を結ぶ「第二ほくれん丸」が、RORO船として日本で初めて自動運航船としての船舶検査に合格した実績を公表している1。この船舶検査の合格は、同社が主要な技術として位置づける「統合操船者支援システム」をはじめとする自動運航技術の実証と社会実装が進展している事実を示すものである3。
運用面における安全管理体制の推進施策として、2025年度の「“K” LINE安全キャンペーン」の実施を公表(2026年3月24日付ニュースリリース)し、継続的な安全啓発活動を行っている1。さらに、人材育成の観点からフィリピンに船員研修施設を保有しており、高度な安全技術や実装システムを適切に運用できる人材の育成を組織的に行っている3。
本調査において、提供された一次情報源から確認された川崎汽船株式会社の主要な組織・事業展開、IR・開示関連日程、および財務データの推移に関する情報を表形式で整理する。
有価証券報告書、サステナビリティレポート、および公式サイト等の記述から確認された主要な組織構造、拠点、および事業領域の展開状況は以下の通りである。
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組織・事業・拠点名 |
区分・役割 |
備考・ステータス |
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本店 |
拠点 |
神戸市中央区海岸通8番2 |
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連絡場所(本社) |
拠点 |
東京都千代田区内幸町二丁目1番1号2 |
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名古屋支店 |
拠点 |
名古屋市中村区那古野一丁目47番1号2 |
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指名委員会等設置会社 |
コーポレートガバナンス体制 |
2025年3月に移行3 |
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技術ユニット |
職務執行体制 |
研究開発や技術に関わる組織3 |
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CFOユニット |
職務執行体制 |
サステナビリティ・環境経営推進等3 |
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DX推進委員会 / 推進部門 |
DX推進体制 |
経営層を中心とした委員会と組織横断的部門1 |
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ケイライン・ウインド・サービス株式会社 |
グループ会社 |
2026年4月3日に完全子会社化3 |
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ドライバルクセグメント |
事業セグメント |
5 |
提供された一次情報資料において確認された、法定開示書類の提出日や、公式ニュースリリース等を通じた主要な公表・認定実績の日付は以下の通りである。
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開示書類・イベント・公表案件名 |
対象期間・期次 |
提出日・公表日・更新日 |
備考 |
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自動カイトシステム“Seawing”基本承認 |
- |
2020年08月19日 |
ClassNKによる設計の基本承認取得6 |
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有価証券報告書 |
第157期 (2024.4.1 - 2025.3.31) |
2025年06月19日 |
関東財務局長宛て提出2 |
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第1四半期 決算短信〔日本基準〕(連結) |
第1四半期 (2025.4.1 - 2025.6.30) |
2025年08月01日(※) |
URL日付による5 |
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第2四半期 決算短信〔日本基準〕(連結) |
第2四半期実績 |
今回の調査では未確認 |
IRライブラリにリンク有7 |
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第3四半期 決算短信〔日本基準〕(連結) |
第3四半期実績 |
今回の調査では未確認 |
IRライブラリにリンク有7 |
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自動カイトシステム「Seawing」第三者鑑定 |
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2026年03月16日 |
二つの船級協会から張力検証に関する鑑定1 |
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自動運航船 船舶検査合格 |
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2026年03月24日 |
「第二ほくれん丸」1 |
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サステナビリティページ更新 |
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2026年03月25日 |
1 |
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自動車船でのバイオLNG燃料使用開始 |
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2026年04月01日 |
3 |
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アジアにおけるCCUS拠点開発コンソーシアム参画 |
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2026年04月21日 |
3 |
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曳船「びさん丸」バイオ燃料・超音波装置採用 |
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2026年04月22日 |
3 |
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シンガポール燃料アンモニア供給実証事業採択 |
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2026年04月23日 |
経産省補助金採択3 |
有価証券報告書(2025年6月19日提出)に記載された、第153期から第157期までの直近5事業年度に関する主要な連結経営指標の実績推移である。
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項目 |
単位 |
第153期 (2021年3月) |
第154期 (2022年3月) |
第155期 (2023年3月) |
第156期 (2024年3月) |
第157期 (2025年3月) |
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売上高 |
百万円 |
625,486 |
756,983 |
942,606 |
957,939 |
1,047,944 |
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経常利益 |
百万円 |
89,498 |
657,504 |
690,839 |
132,728 |
308,089 |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
百万円 |
108,695 |
642,424 |
694,904 |
101,989 |
305,384 |
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包括利益 |
百万円 |
119,956 |
667,264 |
794,036 |
254,972 |
291,806 |
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純資産額 |
百万円 |
316,162 |
984,882 |
1,546,679 |
1,624,600 |
1,677,449 |
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総資産額 |
百万円 |
974,608 |
1,574,960 |
2,052,616 |
2,109,432 |
2,210,049 |
|
1株当たり純資産額 |
円 |
259.92 |
1,053.82 |
2,042.80 |
2,251.81 |
2,609.68 |
|
1株当たり当期純利益金額 |
円 |
129.48 |
765.28 |
857.01 |
141.37 |
460.11 |
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自己資本比率 |
% |
22.39 |
56.17 |
73.83 |
75.47 |
74.59 |
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自己資本利益率 |
% |
68.09 |
116.50 |
57.91 |
6.56 |
18.85 |
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株価収益率 |
倍 |
2.18 |
1.16 |
1.18 |
14.31 |
4.40 |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
百万円 |
33,397 |
226,460 |
456,049 |
202,449 |
273,173 |
(注)表内のデータはすべて有価証券報告書(2025年6月19日提出)に基づく実績値である2。
本調査の過程において、一次情報に基づく事実確認を試みたものの、以下の事項については「今回の調査では未確認」または「調査範囲内では確認できず」という結果となった。
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