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スマホ大容量化を支える技術|半導体積層と未来のナノインプリント

本記事は、当社が開催した発明塾®動画セミナー ナノインプリント・EUV比較分析~セミナーのエッセンスをお届けするものです。
セミナーの重要な知見を、どなたでも気軽に学べる形でまとめています。

あなたのスマホ、写真でパンパンになっていませんか?
動画を撮りすぎて容量不足の警告が出て慌てたことはありませんか?
昔のデジカメは厚くて重いのに、メモリーカードもすぐいっぱいになっていましたよね?

でも不思議に思いませんか。
スマホはどんどん薄くなっているのに、保存できるデータ量は年々増えています。
今では何千枚もの写真、何時間もの動画が、手のひらサイズの薄い端末に収まってしまいます。

この進化を支えているのが、半導体の「縦積み技術」
まるで高層ビルのように、記憶装置を何百層にも積み重ねる技術です。

要約:スマホの大容量化を支える半導体技術

スマホが薄いのに大容量な理由は、半導体メモリーの「縦積み技術」にあります。従来の平面的な回路配置から高層ビルのような立体構造へと変化し、何百層もの積層を実現しています。

本記事では以下の内容を解説します。

  • NANDフラッシュメモリーの積層構造による大容量化の仕組み
  • 平面から立体へと変化した半導体製造技術の革新
  • キヤノンが10年がかりで開発したナノインプリント技術の特長
  • データ需要の拡大と省電力化への貢献
  • 技術の段階的普及と将来展望

これらの技術革新が、私たちの日常的なデジタル体験をどのように支えているのか詳しく見ていきましょう。

スマホの記憶容量が劇的に増えた本当の理由

スマホの大容量化を支えているのは、NANDフラッシュメモリー(写真や動画を保存する記憶装置)の進化です。

従来の記憶装置は平面に回路を並べる方式でした。でも、これには限界がありました。
面積を大きくするか、回路をより細かく作るかしかなかったのです。

そこで登場したのが「積層構造」という発想の転換でした。

平面から立体へ「高層ビル化」する半導体技術

弊社代表の楠浦は、この革新を「同じパターンで上に上に積んでいくもの」と説明します。
土地が限られた都市部で高層ビルが建てられるのと同じ理屈。
横に広げられないなら、縦に伸ばそう、というわけです。

現在のNANDフラッシュメモリーは、なんと何百層もの積層を実現しています。
メモリートランジスタ(情報を記憶する基本部品)という電荷を貯めて情報を記憶する仕組みを、まるで高層マンションのように積み重ねているのです。

この積層技術により、プロセスコストを下げながら、スマホが薄いままでの大容量化が可能になったのです。

100層以上を積み重ねる製造プロセスの課題

では、実際にどうやって何百層もの記憶装置を作るのでしょうか?
メモリー製造では「1層ずつ積んでいかないといけない」のが基本。
しかも少しでもズレたら全てが台無しになってしまいます。

髪の毛の太さよりもはるかに細い回路を、何百層も正確に重ねていく作業。想像を絶する精密さが求められるのです。

次世代製造技術への挑戦「ナノインプリント」

そんな中、新しい製造技術として注目されているのが「ナノインプリント」です。

この技術は、各層の回路パターンを作るためのリソグラフィ(パターニング)手法の一つ。キヤノンが「2014年にMIIを買収してから重産化に向けた技術開発を10年がかり」で実用化にこぎ着けました。
2017年に装置が導入され、5年間の検証を経て、ようやく正式発表に至ったのです。

この技術の特長は驚異的な精度にあります。「1ナノメートル以下の位置補正が可能」というレベル。1ナノメートルは10億分の1メートル、原子数個分という極めて高い精度です。

従来技術との大きな違い

従来の光を使った製造方法(フォトリソグラフィ)では、マルチパターンプロセスという何回も露光する必要がありました。何回も露光すると、位置合わせの精度がどんどん厳しくなってしまいます。

でも、ナノインプリントなら型を物理的に押し付けるので、エッジがシャープに切れて「1発でやれる」のです!

まだ普及途上の新技術

ただし、ナノインプリントはまだ実用化の初期段階にあります。
2023年にキヤノンが装置を発売し、2017年からの実機導入で検証を重ね、現在は研究・試作での活用が報告されている状況です。

EUV露光装置の代替技術として期待されていますが、まだ広く普及しているわけではありません。まずは特定の用途での実用化から始まり、徐々に展開していく段階です。

DRAMでも活用される可能性

実は、スマホのメインメモリーであるDRAMでも、この技術が注目されています。
DRAMの構造を作るためにも複雑な製造プロセスが必要で、ナノインプリントの精密さが有効だとされています。

実際、2024年2月にマイクロンが「7年ぶりのナノインプリント使った」発表を行うなど、新しい動きも出てきています。ただし、これは学会での検討発表であり、本格的な量産はこれからです。

データ需要の拡大と技術の将来性

この積層技術の需要は、私たちの生活の変化とともに拡大しています。
「メモリーのニーズも当然それに応じて拡大しますので、ナノインプリントの需要も結果的に拡大する」と予測されています。なぜなら現代はデータ量が飛躍的に増える時代だからです。

データセンターの驚異的成長

具体的には「NVIDIAのデータセンター事業の売上が前年比で約50%伸びている」という成長ぶり。これはAI技術の普及が大きく影響しています。これがメモリー需要を押し上げているのです。

省電力化への貢献

積層技術の大きなメリットは省電力性とコスト削減にあります。
脱炭素化の流れの中で「省電力化は必須になってくる」とされており、この技術が環境負荷軽減にも重要な役割を果たします。

未来への展望:段階的な技術展開

技術の将来性についても現実的な見通しがあります。「1度NANDフラッシュに使われ始めれば、そこから広がる」という段階的普及です。

楠浦は「1回使われ始めれば、そこから広がる」可能性は高いと分析しています。一度使われ始めると、その技術を使い続ける理由が生まれ、ノウハウも蓄積されるからです。

特に「メモリー分野でまずうまく使われれば」、世界が持っている「ナノインプリントを使いこなすノウハウが身に付いてくる」。この技術蓄積が、他の半導体分野への応用を可能にしていくのです。

まとめ:現実と未来の技術バランス

スマホが薄いのに大容量な理由、それは半導体の「縦積み技術」にありました。
現在の3D積層は主に同一チップ内での高層化によって実現されています。

一方で、キヤノンが10年がかりで開発したナノインプリントのような新しい技術は、まだ実用化の初期段階にありながらも、将来の半導体製造を変える可能性を秘めています。

これらの新技術は段階的に普及し、私たちのデジタルライフを支える基盤技術として発展していくでしょう。

あなたが今日撮った写真も、こうした技術革新の積み重ねに支えられているのです。

※本記事はAI技術を活用して作成しています。内容の正確性に努めておりますが、表現や解釈に独自性がある場合がございます。

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