本記事は、当社が開催した障害特許網の突破事例紹介
~突破方程式®による突破発明®の創出(米国3M社の特許網を突破した事例)~セミナーのエッセンスをお届けするものです。
セミナーの重要な知見を、どなたでも気軽に学べる形でまとめています。
特許を読んでいて、こんな経験はありませんか?
数式や複雑なパラメーターがずらっと並んでいて、何のことだかさっぱり分からない。専門用語ばかりで、結局この特許が何を守っているのか理解できない。競合の特許が本当に脅威なのかどうかも判断できないまま...。
でも実は、正しいアプローチでチームで取り組めば、これらの数式に隠された「本当の狙い」を読み解けるんです!学生向け発明塾の頃に大学生と一緒に400件の特許と格闘した弊社代表取締役の楠浦の、まるで謎解きゲームのような体験談をお話しします。
この記事の内容
「体積1000立方マイクロメートル」って何のこと?複雑な数式で特許範囲を決める「パラメーター特許」の謎を解けば、競合他社の本当の狙いが見えてきます!
本記事では以下の内容を解説します。
楠浦の実体験から、複雑な数式の向こう側にある競合他社の本当の狙いを見抜くコツを学んでみましょう。
まず「パラメーター特許」って何でしょう?簡単に言うと「数式を使って特許で守られる範囲を決める特許」のことです。
楠浦が大学生と一緒にスリーエム(あの有名な3M!)の400件の特許を調べた時の話です。楠浦自身は「知財担当とか、そういう仕事をしていたわけではなくて」「知財の専門家ということではない」と謙虚に言いますが、CTOとして特許取得などは経験していて、だからこそ実践的な視点で分析できたのかもしれません。
今回調べた特許は、スマホの保護フィルムなどを貼る時に気泡が入らないよう、細い溝で空気を抜く技術です。市場シェア90%以上という、すごい製品の特許なんです。
普通の特許だと「この形のものは我々の特許です」ってシンプルに書いてある。でもスリーエムの特許は違ったんです。
「数式を駆使して技術の範囲を規定してくる」
つまり、数学の計算式を使って複雑に権利範囲(特許で守られている範囲)を決めている。数式で表現することで、一見何を守っているのか分からないようにしているんです。
スリーエムの特許を詳しく読んでいくと、特許の請求項に「ピッチ400ミクロン以下で幅や深さが1ミクロン以上」といった数値と一緒に、「直径500ミクロンに体積1000立方マイクロメートル」という謎めいた数字が書かれていたんです。
楠浦も最初は「体積1000立方マイクロメートルとピッチ400ミクロン、どんな関係があるの?どういうこと?」と困惑状態。
この数字と他のパラメーターがどういう関係にあるのか、数学的に計算して規定しているはずなのに、一体どんなつながりがあるのか全く見えなかったそうです。
でも、あきらめずに計算してみると...
実は「ピッチ400ミクロンで溝深さが1ミクロン、幅が1ミクロンの溝でも、体積1000立方マイクロメートルを超えちゃう」ことが判明!
これ、すごいトリックなんです。なぜなら1ミクロン以下、たとえば0.5ミクロンみたいな極小の溝は「つけても意味がない」レベル。つまり「実質上全ての溝が入るようにしている」設計だったんです。
要するに「普通に作れる溝は全部ウチの特許に引っかかるよ〜」という仕組みを、複雑な数式で隠していたんですね。
実際にどうやって数式の謎を解いたのか?楠浦の体験談を聞いてみましょう。
まず知っておきたいのは、これって「結構難易度の高いパラメーター」だということ。楠浦も「過去の参加者の方もほとんどの方がちょっとよくわからなかった」と言うくらい難しい!
でも、だからこそやりがいがあるんです。
パラメーター特許(数式を使った特許)を理解するには、様々な数学の知識が必要になります。楠浦も「算数レベルから本格的な数学まで」使うと言っています。
でも心配しないでください。一人で全部理解する必要はないんです。
楠浦の印象的なエピソードがこれ!
「これは僕が多分これちゃうと言ってホワイトボードに書いてみたら、「やはりこれや!」ってみんなでかなり盛り上がりました」
みんなで「あー!そういうことか!」ってなったんですね。まさに数学パズルを解く楽しさです。
数式解読で、もう一つすごいトリックが見つかりました。
「アスペクト比1から11」という数字があったんですが、これを計算してみると「溝幅が0のぎりぎりのところまで取れている」ことが判明!
どういうことかというと、一つの数字(幅)を決めると、他の数字(高さ)も自動的に決まってしまうという仕組みになっているんです。まるで連立方程式のようなかたち。
つまり、どんなに小さな溝を作ろうとしても、必ずどこかのパラメーターに引っかかる仕組みが作られていたんです。
楠浦も「パラメーター同士が連関させて、分かりづらくしていい権利を取っている」と感心してました。
「よく思いついたなと思いますね」(楠浦)
数式の謎が解けたら、次は「どうやって抜け道を見つけるか?」です。
楠浦たちが最初に考えたのは、数値を変えることでした。「目の前にある特許の数字を外したからうまくいくというわけでもない」と楠浦は振り返ります。
なぜダメだったのか?
「細かい溝はもう全部押さえられている」「多少パラメーターを外そうと思っても、結局なんかどれかの特許に触れちゃう」状況だったからです。
400件の特許でがっちり囲まれている状態。これは困った!
でも、学生との議論で素晴らしいアイデアにたどり着きました。
「溝じゃない、突起じゃない何かでできないですかね」
これ、すごい発想の転換ですよね!
スリーエムは「溝」や「突起」の専門家。だったら、溝でも突起でもない、全く違う方法で同じ効果を作れないかって考えたんです。
楠浦は「制約条件」(やっていいことと、やっちゃいけないことのルール)を上手に決めることが大事だと言います。
複数のルールを同時に満たそうとすると「混乱しちゃう」から、「剥離ライナー(はがせる紙)は使うけど、溝や突起は使わない」みたいにシンプルに決める。
そうすると、アイデアが出やすくなるそうです。
具体的にどんな解決策にたどり着いたかは、今回のセミナーでは詳しく話されませんでしたが、大事なのは「アプローチの仕方」なんですね。
パラメーター特許って、楠浦の言葉を借りると「数学のパズルを解くような感じ」なんです。
最初は「どういうこと?みたいな」状態でも、あきらめずにチームで議論することで必ず謎は解けます。
そして謎が解けたら、相手の本当の戦略が見えてくる。今回の例では「実用的な溝は全部取ってやる」という、スリーエムの巧妙すぎる戦略でした。
戦略が分かれば、今度は「相手の土俵から降りる」発想で突破策を考えられます。楠浦たちのように「溝じゃない、突起じゃない」新しいアプローチが見つかるかもしれません!
パラメーター特許は「結構難易度の高い」分野ですが、チームで粘り強く取り組むことで突破の糸口が見えてくる可能性があります。複雑な数式の向こう側にある競合他社の真の狙いを見抜き、自社の技術開発や特許戦略に活かしていく—それがパラメーター特許解読の本当の価値なのです。
※本記事はAI技術を活用して作成しています。内容の正確性に努めておりますが、表現や解釈に独自性がある場合がございます。
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