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部品メーカーが業界の中心になる:リファレンスデザイン戦略

本記事は、当社が開催したクアルコムに学ぶ「知財戦略」の基礎セミナーのエッセンスをお届けするものです。
セミナーの重要な知見を、どなたでも気軽に学べる形でまとめています。

あなたの会社は、業界の中でどんな立ち位置にいますか?

  • 顧客一社一社に個別営業をかけて疲れ果てていませんか?
  • 競合他社との価格競争で利益が削られていませんか?
  • 自社の技術力があるのに、なかなか業界での存在感が高まらないと感じていませんか?

実は、これらの悩みを一気に解決する方法があります。

「クアルコムのリストに載るかどうかで売上が変わる」
こう語ったのは、ある日本の部品メーカーの担当者です。一体どういうことでしょうか?

要約:部品メーカーが業界の主導権を握るリファレンスデザイン戦略

部品メーカーが業界の中心的地位を獲得するためのリファレンスデザイン戦略について、クアルコムの成功事例を通じて解説します。
従来の個別営業から脱却し、業界全体のエコシステムをコントロールする手法を紹介します。

本記事では以下の内容を解説します。

  • リファレンスデザイン戦略の基本概念とクアルコムの成功事例
  • 部品メーカーの営業プロセスがどのように劇的に変化したか
  • 効果的なリファレンスデザインを作成するための具体的手法
  • 戦略導入時に企業が注意すべき重要ポイント
  • 業界エコシステムの主導権獲得に向けた実践方法

クアルコムが部品調達の仕組みを変革し、部品メーカーの営業先を根本的に変えた秘策を詳しく解説します。

リファレンスデザイン戦略とは

リファレンスデザイン戦略とは、リファレンスデザインを活用したビジネス戦略のことです。

リファレンスデザインは、半導体メーカーが自社チップを使った製品設計の見本として提供する設計書のことで、「参照設計」とも呼ばれます。

クアルコムは、このリファレンスデザインを戦略的に活用しました。自社チップを使う時に「どういう基盤を作ったらいいか」「その基盤にどういうコンデンサーやフィルターを使えばいいか」といった部品リストを全部まとめて顧客に提供したのです。

この取り組みにより、クアルコムは部品メーカーから端末メーカーまで、業界全体に影響を与える立場に立ったのです。

このクアルコムの事例から、自社を中心としたエコシステム構築の重要性が見えてきます。今回は、その具体的手法をクアルコムの事例を通じてご紹介します。

従来の部品営業プロセスの劇的変化

想像してみてください。昨日まで末端の端末メーカーに直接売り込みをかけていた部品メーカーが、突然営業先を変えることになったとしたら?

クアルコムが2013年から積極的に打ち出した「リファレンスデザイン戦略」は、まさにそんな変化を業界にもたらしました。

従来、部品メーカーは端末メーカーに対して個別に営業をかけ、自社の部品を採用してもらうよう働きかけていました。

しかし、クアルコムがリファレンスデザインで推奨部品を指定するようになると、部品メーカーはクアルコムに営業をかけることが最優先となったのです。なぜなら、クアルコムのリファレンスデザインに採用されれば、それを使用するすべての端末メーカーで自動的に自社部品が使われることになるからです。

ある日本の部品メーカーの担当者は、こう証言しています。

「今まで、末端の端末メーカーさんに売り込みに行ってたのが、まずクアルコムにお伺いを立てないといけなくなりました。従来の営業より、めっちゃ大変です」

しかし、その一方でメリットも大きいのです。一度リファレンスデザインに採用されれば、自動的に多くの端末メーカーで使用されるため、営業効率は格段に向上します。

この戦略により、クアルコムに対する部品メーカーの営業プロセスは根本的に変わりました。

効果的なリファレンスデザインの作成方法

完全な製造ノウハウパッケージの提供

では、どうやって効果的なリファレンスデザインを作るのでしょうか?
クアルコムの事例を見ると、そのポイントが見えてきます。

重要なのは、単なる部品リストではないということです。クアルコムは部品リストだけでなく、製造ノウハウそのものを製造メーカーに提供しています。

これにより、驚くべき効果が生まれました。

「例えば中国の企業がクアルコムからライセンスを受けたら、それを銀行に持っていくと、1週間ぐらいで融資が下りて、1ヶ月か2ヶ月以内にファブが立つという時代があった」(楠浦)

つまり、リファレンスデザインの信頼性が高いため、銀行もそれを見て「この設計書通りに作れば成功する」と判断し、融資を決定するのです。製造工場(ファブ)の立ち上げまでが短期間で実現してしまいます。

2社による市場開拓の成功例

注目すべきは、この戦略を成功させたのはクアルコム単独ではないということです。

「実はクアルコムだけじゃなくて、競合他社であるMEDIATEKという会社も同じモデルをとって、その2社が中国企業にスマートフォンの製造を一気に持ちかけたため、爆発にスマホ製品が出てきた」(楠浦)

つまり、2社が同じ戦略を採用することで、業界全体の製造環境が劇的に変化したのです。
競合同士でも、同じプラットフォーム戦略を使うことで市場全体を拡大させることができる好例です。

日本企業による成功事例も存在

実は、この手法は日本企業でも成功例があります。

「名前は控えますが、日本の企業でもそういうふうなことを非常にうまくやっている会社さんがあって、別に僕はアメリカ人がどうのこうので、日本人が駄目とか、そういう短絡的なことを申し上げているわけではなくて、どの業界でもその業界にフィットした普及戦略ってのはあるんです」(楠浦)

つまり、業界特性に合わせてアレンジすれば、どの分野でも応用可能な手法なのです。

導入企業が注意すべきポイント

業界特性に合わせたアレンジが必須

リファレンスデザイン戦略を自社で実践する際に、最も重要なのは「業界にフィットした普及戦略」を考えることです。
通信業界で成功したモデルでも、他の業界では異なるアプローチが必要になります。

知財・ノウハウ・ソフトウェアの統合活用

単純に部品リストを作るだけでは、真のリファレンスデザイン戦略にはなりません。

重要なのは「自分たちの製品をいかにうまく使っていただくか。そのために知財とかノウハウ、ソフトウェアをどうやって使っていくか」という統合的な視点です。
これらの要素を組み合わせることで、単なる推奨リストを超えた強力なエコシステム構築が可能になります。

IoT時代への対応が急務

現在、この戦略は「IoTデバイスと言われるもの全てに展開している」状況です。つまり、スマートフォンだけでなく、あらゆる接続機器でこの仕組みが使われているのです。
これからのIoT時代において、リファレンスデザイン戦略の重要性はますます高まっていくでしょう。

まとめ:エコシステム主導権の獲得

リファレンスデザイン戦略の真の価値は、単なる営業効率化ではありません。
業界全体の調達構造をコントロールし、自社を中心としたエコシステムを構築すること。それが最終的な目標です。

「クアルコムのリストに載るかで売上が変わる」という部品メーカーの証言は、まさにこの戦略の成功を物語っています。個別営業から脱却し、業界のプラットフォーマーとしての地位を確立できれば、競争のルール自体を変えることができるのです。

あなたの業界でも、きっと同じような変革のチャンスがあるはずです。重要なのは、自社の強みを活かしながら、業界特性に合わせたリファレンスデザイン戦略を描くことです。

まずは小さな一歩から。あなたの会社が業界のハブになる日も、そう遠くないかもしれません!

※本記事はAI技術を活用して作成しています。内容の正確性に努めておりますが、表現や解釈に独自性がある場合がございます。


このコラムの元となった動画セミナーについて

本記事で解説したクアルコムのリファレンスデザイン戦略は、同社の知財戦略と密接に関連しています。この動画セミナーでは、クアルコムがどのようにして知財を活用し、業界のエコシステムを構築したかをより詳しく学ぶことができます。

受講者からは「直近で新規テーマを提案する機会があるので、参考にしたい。特許をうまく活用する戦略的な企業探しに活かします」「クアルコム理解の入門セミナーとしてお薦めします」といった声をいただいています。

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