本記事は、当社が開催したロジックツリーを用いた研究・新製品・新事業開発テーマの創出法セミナーのエッセンスをお届けするものです。
セミナーの重要な知見を、どなたでも気軽に学べる形でまとめています。
あなたも一度は悩んだことがあるのでは?
「次の研究テーマをどう選べばいいのか分からない」
「たくさん調べても良いアイデアが出てこない」
「発明したいのに方向性が定まらない」
こんな状況に技術者は何度も直面するものです。
実は特許情報にはその解決のヒントが眠っています。しかし、多くの人はその読み方を知りません。
弊社代表の楠浦が語る「課題解決ロジックツリー」という手法を使えば、特許情報から未来の課題を読み解き、「筋の良い」技術テーマを見つけることができます。ロジックツリーの作り方から、特許情報の新たな読み方、そしてビジネスモデルと知財戦略の統合まで、技術経営の核心に迫ります。
特許情報を眺めるだけで技術トレンドを把握しようとしても、多くの場合は似たような内容に見えてしまいます。楠浦は「特許情報の読み方が違うのかもしれません」と指摘します。
「多くの特許は開発した結果、つまり開発成果を特許出願するものになっていますが、一部の特許出願は将来こういうものが必要になるはずだという予測に基づいて出されています」と楠浦。実はこの「予測に基づいた特許出願」こそが、未来を読み解くカギなのです!
特許情報から将来の課題を読み解くには、特許制度や特許戦略を熟知する必要があります。楠浦は「特許は基本的に使わせるか使わせないかを後で決められる権利ですので、将来開発する予定の技術について権利を取っていこうとする場合がある」と説明します。
例えば、2011年にAppleが出願した折りたたみ型スマホの特許。実際にはGalaxyが先に製品化しましたが、この特許からAppleの将来構想が見えてきます。楠浦は「誰がどれぐらい本気でやろうとしているのかというのを特許情報から読み取る」ことの重要性を強調します。
「貴重な情報や有望な事業機会が特許情報に埋もれている可能性があるんです」と楠浦。件数が多すぎて全部読めないからこそ、「うまく選び出して繋ぎ合わせることで、新しい文脈が見えてくる」というのです。
楠浦は「エッジ情報」という考え方を提唱しています。これは、既に開発されているものではなく、これから開発され得るもの、そこに隠された課題を読み解くための情報のこと。通常の特許検索ではなく、特許分析(データの観察・評価)を通じて見えてくるものです。
「膨大な情報から何がしか特徴のあるもの」を選び出し、「主流とそうでないものも合わせて見ていく」というアプローチで、競合他社でさえ気づいていない課題を発見できるのです。そして、その課題こそが「筋の良いテーマ」につながる金鉱石となります。
複数の技術アイデアが出てきたとき、どれが「筋が良い」のか判断できず、どのテーマに研究リソースを投入すべきか悩むことがあります。楠浦はそんな状況を打破する視点を提供します。
「筋の良いアイデアっていうのは、課題が根深いかどうかで決まります」と楠浦。課題解決ロジックツリーを作る際に最も重要なポイントは、その課題がどれだけ「根深い」かという点です。
楠浦はノーベル医学生理学賞を受賞された利根川進博士の「ちょっと面白いぐらいで選んでたらやることが増えすぎて、本当に重要なことが埋もれてしまいますよね」という言葉をとりあげます。単に面白いというだけでなく、本当に重要な課題に取り組むことが大切なのです。重要な課題であれば技術的に難しくても取り組む価値があります。
さらに楠浦は「最後の一歩のところで断念されているようなものを埋めに行っているかどうか」も重視します。
つまり、他の企業や研究者が「あと少し」というところで諦めてしまった技術課題に挑戦することの価値を説いています。多くの人が「もう少しで解決できそうだが難しい」と判断して手放した領域には、実は大きなビジネスチャンスが眠っていることが多いのです。
「勝てるロジックがある。技術の優れた点だけで勝てるほど甘くないです」と楠浦は言い切ります。ポーターの5フォースを例に、技術の優位性だけでなく、競合、顧客、サプライヤーとの力関係を把握した上で勝てるシナリオを描く必要があると説明します。
「発明ってのはビジネスモデル付きのアイデアだ」と楠浦は定義します。単なる技術的工夫ではなく、収益を生み出す仕組みまで考慮したものが真の発明なのです。例えば、コピー機というハードウェアだけでなく、カートリッジという消耗品ビジネスを組み合わせたモデルが典型例です。
楠浦は「我々は課題が重要だと思っている」と繰り返し強調します。新しい研究開発テーマの価値を決めるのは、解決手段の新しさよりも、発見・定義した課題の価値なのです。
「課題が見つかればテーマが8割決まったようなもの」という言葉には、研究開発の本質が凝縮されています。課題の上位概念化を通じて顧客価値を見出し、それを知財で守りながらビジネスモデルに落とし込むことこそ、成功への近道なのです。
楠浦が提唱する「筋の良いテーマ」の見つけ方は、単なる特許調査の枠を超えた戦略的アプローチです。特許情報から「エッジ情報」を見つけ出し、課題の根深さを評価し、ビジネスモデルと知財戦略を統合する――この一連のプロセスが技術経営の核心といえるでしょう。
「テーマの価値は課題の価値で決まる」という楠浦の言葉を胸に、明日からの研究開発に新たな視点を取り入れてみてはいかがでしょうか?
特許情報を活用した「筋の良い」テーマ発掘によって、あなたの技術開発は新たな段階へと進化するはずです。
※本記事はAI技術を活用して作成しています。内容の正確性に努めておりますが、表現や解釈に独自性がある場合がございます。
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