3行まとめ
550億円の研究開発と2,302件の特許で電動化・水素技術を加速
日野自動車は研究開発費550億円、累計特許2,302件を背景に知財基盤を強化し、2025年10月には国内初の燃料電池大型トラック量産モデル「日野プロフィア Z FCV」を発売した。車両総重量25トン、積載量約11,600kgという実用仕様は、同社が電動化と水素社会対応を事業の中核に据えていることを示す。
2026年4月のARCHION発足で、三菱ふそう統合を軸に新体制へ移行
日野自動車は2025年6月10日に4社間で経営統合契約を締結し、2026年4月1日発足予定の新持株会社「ARCHION」のもとで三菱ふそうとの再編を進める。取締役会は9名中4名が独立社外取締役という体制で、競争力強化とガバナンス刷新を同時に進める構想が明確になっている。
減収でも黒字転換し、再建と成長投資を進める余力を確保
2026年3月期第3四半期累計では、売上高が1兆1,412億円で前年同期比10.9%減だった一方、営業利益は627億円で39.3%増、純利益は305億円へ黒字転換した。通期純利益予想も750億円まで上方修正されており、今後は統合後の事業再編と電動化・知財投資を両立できる財務余力が実践的な注目点となる。
事業概要
日野自動車株式会社は、国内外におけるトラック・バスの製造および販売事業、ならびにトヨタ自動車株式会社向け車両の製造を中核事業として展開している。同社は企業活動の基盤として「HINOクレド」を制定しており、コンプライアンスの徹底、商品・サービスの安全・品質の追求、環境経営の推進、人権の尊重、公正な取引と責任ある調達活動、および情報開示とステークホルダーとの対話の6項目を基本方針として掲げている。事業の抜本的な再編に向けた動きとして、2025年6月10日(完了)にトヨタ自動車株式会社、三菱ふそうトラック・バス株式会社、ダイムラートラック社の4社間で経営統合契約を締結した。この合意に基づき、2026年4月1日の発足(計画)を目指し、新持株会社「ARCHION(アーチオン)株式会社」を設立し、日野自動車および三菱ふそうの両社がその傘下の事業会社として再編される株式交付計画を作成している。この統合を通じて、商用車事業の持続可能な発展と競争力の強化を目指す方針が公表されている。
財務
日野自動車の2026年3月期における連結財務業績は、販売台数の減少による減収に直面しつつも、固定費の抑制や価格改善により利益面での大幅な増益を記録している。2026年3月期第3四半期の連結累計期間における売上高は1,141,237百万円(実績・2025年4月〜12月・前年同期比10.9%減・2026年3月期第3四半期決算短信)となった。一方で、営業利益は62,764百万円(実績・2025年4月〜12月・前年同期比39.3%増・2026年3月期第3四半期決算短信)、経常利益は55,008百万円(実績・2025年4月〜12月・前年同期比179.2%増・2026年3月期第3四半期決算短信)と大幅な増益を達成した。親会社株主に帰属する四半期純利益は30,580百万円(実績・2025年4月〜12月・前年同期の265,366百万円の純損失から黒字転換・2026年3月期第3四半期決算短信)を計上した。通期の親会社株主に帰属する当期純利益は75,000百万円(会社予想・2026年3月期・2026年3月期第3四半期決算短信)を見込んでおり、第2四半期および第3四半期の各決算発表時点において段階的な上方修正が実施された。
技術・知財
知的財産に関する基本方針について、日野自動車は「HINOクレド」において「日野グループが権利を保有する知的財産を守り、他者の知的財産を尊重します」と明記し、適正な知的財産の管理と活用を推進している。研究開発に対する投資実績として、研究開発費は550億円(実績・2025年3月期・統合報告書2025)を計上した。また、特許取得実績として、特許件数は2,302件(実績・2004年〜2025年3月末累計・統合報告書2025)を記録している。新製品の開発動向として、環境性能と実用性を両立した国内初の燃料電池大型トラック量産モデルである「日野プロフィア Z FCV」を2025年10月24日(完了)に発売した。さらに、技術基盤およびトータルサポートの強化策として、販売会社メカニックを対象とした三級自動車整備士の養成施設を開設し、整備技能の向上を図る取り組みを実施している。
戦略・成長
2026年4月1日発足(計画)予定の「ARCHION株式会社」における経営体制が、2025年11月4日(完了)に公式発表された。ARCHIONの代表取締役・CEOには三菱ふそうのカール・デッペン氏が、取締役・CTOには日野自動車の小木曽聡氏が就任する体制が内定している。新持株会社の取締役会は全9名で構成され、そのうち4名を独立社外取締役が占めることにより、透明性の高いガバナンス体制を構築する。事業会社としての日野自動車の新たな代表取締役社長・CEOには、ダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークルズCEOのサティヤカーム・アーリャ氏が就任する予定である。また、三菱ふそうの代表取締役社長・CEOにはフランツィスカ・クスマノ氏が就任する内定が発表された。各機能の責任者であるチーフオフィサー(CxO)には日野自動車および三菱ふそうの両社から人材が選出されている。
リスク・ESG
過去のエンジン認証不正問題に対する対応として、米国当局との和解に基づく刑事制裁金の一部および民事制裁金を支払った。これにより、2025年12月31日時点の現金及び預金、ならびに認証関連損失引当金が前期末比で減少している。コンプライアンスおよびガバナンスの強化策として、3月4日を「再出発の日」と制定し、全社的な誓いと風化防止の取り組みを実施している。環境マネジメントにおいては、中長期目標「日野環境マイルストーン2030」を策定し、6つのチャレンジを推進している。2024年度の環境実績として、工場からのCO2排出量は60%削減(実績・2024年度・2013年度比グローバル総排出量・サステナビリティページ)、廃棄物排出量は41%削減(実績・2024年度・2018年度比グローバル総排出量・サステナビリティページ)を達成しており、資源循環や環境負荷の最小化に関する施策を継続している。
日野自動車株式会社は、企業活動の根幹となる理念および行動指針として「HINOクレド」を制定している。同社は事業の前提として、「コンプライアンス」「商品・サービスの安全・品質」「環境経営」「人権の尊重」「公正な取引と責任ある調達活動」「情報開示、ステークホルダーとの対話」という6つの主要項目を企業活動の基盤として定めている1。
コンプライアンスの項目において、同社は法令、その精神、社会規範、および社内諸規則を遵守し、公正に企業活動を遂行することを宣言している1。具体的には、自由かつ公正な競争に基づき、カルテルや談合に一切関与せず、公明正大な事業活動を行うこと、輸出入に関する法令を遵守すること、反社会的勢力と関係のある組織と取引を行わないこと、ならびに反テロ行為や反マネーロンダリングに関する法令を遵守することが明記されている1。また、贈収賄や汚職に関する法令を遵守し、賄賂や不正な贈答・接待・利益の供与およびその申し出や要求を行わず、またこれを受けない方針を示している1。
商品・サービスの安全・品質の項目では、技術・技能の継承と創造・革新・改善を続け、安全かつ高品質で顧客のビジネスの役に立つ商品およびサービスを提供することが規定されている1。環境経営の項目においては、「豊かで住みよい世界と未来」の実現に貢献するため、環境にやさしい商品・サービスの開発および提供に加え、企業活動で生じる環境負荷の低減に主体的に取り組む姿勢が示されている1。
人権の尊重の項目では、国際的に認められた人権を理解し、企業活動に関わるすべての人々の人権を尊重し保護することが宣言されている1。人種、宗教、思想信条、性別、年齢、国籍、障がい等による差別や、児童労働、強制労働、ハラスメント等を含む、いかなる人権尊重に反する行為も許さない方針が明記されている1。
公正な取引と責任ある調達活動の項目では、取引先と公正な取引を行い、信頼関係を構築して相互発展を目指すことが規定されている1。また、サプライチェーンにおいても、コンプライアンス、安全および品質への取り組み、環境負荷低減、ならびに人権尊重などの方針内容が確実に実行されるよう、責任ある調達活動を行うことが示されている1。
情報開示とステークホルダーとの対話の項目では、社会からの信頼が不可欠であるとの認識のもと、企業情報を適切に開示し、ステークホルダーとの誠実なコミュニケーションを通じて相互理解と信頼関係を育む方針が示されている1。
知的財産および個人情報の保護ならびに資産管理に関する具体的な方針として、「日野グループの資産管理、知的財産と個人情報の保護」という項目が設けられている1。同項目内において、日野グループの資産や機密情報を適切に管理し会社の認める目的の範囲で使用すること、「日野グループが権利を保有する知的財産を守り、他者の知的財産を尊重します」という方針が規定されている1。さらに、個人情報保護の重要性を認識し、適正に個人情報の取得、利用、提供および廃棄を行うことが明記されている1。デジタル領域におけるプライバシー方針に関連して、カリフォルニア州プライバシー権利法(CPRA)に基づき、利用者が自身の個人情報の販売または共有をオプトアウトする権利を保障する体制を構築している2。
日野自動車は、事業の抜本的な再編と新たな成長基盤の構築に向け、三菱ふそうトラック・バス株式会社との経営統合を推進している。2025年6月10日(完了)に、日野自動車、三菱ふそうトラック・バス、トヨタ自動車株式会社、およびダイムラートラック社の4社間において、経営統合に関する契約が締結された3。
この経営統合契約の合意内容に基づき、日野自動車および三菱ふそうの両社を統合する新持株会社として「ARCHION(アーチオン)株式会社」が設立される予定である3。同社は2025年11月4日(完了)に株式交付計画を作成し、ARCHION株式会社を株式交付親会社とし、三菱ふそうトラック・バス株式会社を株式交付子会社とする株式交付を実施することを決定した3。ARCHIONグループの発足は2026年4月1日(計画)を予定している3。
ARCHION株式会社の取締役会は、透明性の高いガバナンス体制を構築するため、全9名で構成され、そのうち4名を独立社外取締役が占める体制が内定している4。2025年11月4日(完了)に公表されたARCHIONグループの経営体制における役員の氏名および各氏の現職(発表時点)は以下の通りである6。 代表取締役・CEOにはカール・デッペン氏(三菱ふそう 代表取締役社長・CEO、ダイムラートラック 取締役)が就任する6。代表取締役・CFOにはヘタル・ラリギ氏(三菱ふそう 代表取締役副社長・CFO)が就任する6。取締役・CTOには小木曽聡氏(日野自動車 代表取締役社長・CEO)が就任する6。 非常勤の取締役として、伊勢清貴氏(住友理工 社外取締役、元アイシン 代表取締役社長)およびクリスチャン・ヘルマン氏(ダイムラートラック 副社長、コーポレート・ディベロップメント部門責任者)の2名が就任する6。 独立社外取締役として、安部和志氏(ソニーグループ アドバイザー、東海理化電機製作所 社外取締役)、江藤彰洋氏(パナソニックホールディングス 社外監査役、三菱ケミカルグループ 社外取締役)、君嶋祥子氏(中外製薬 上席執行役員 法務知的財産統括、日野自動車 社外取締役)、および小林いずみ氏(オムロン 社外取締役、富士通 社外取締役)の4名が就任する6。
各機能部門を統括するチーフオフィサー(CxO)の体制も内定している5。CAdO(Chief Administrative Officer)には輿水学氏(日野自動車 経営企画部部長)が就任する5。CHRO(Chief Human Resource Officer)には河地レナ氏(三菱ふそう 人事本部長)が就任する5。CCLO(Chief Compliance & Legal Officer)兼内部監査担当には吉田憲生氏(日野自動車 CCO、内部監査機能機能長)が就任する5。CDO(Chief Digital Officer)には萩原恭太郎氏(日野自動車 CDO)が就任する5。
さらに、持株会社化に伴い事業会社として再出発する日野自動車および三菱ふそうの新たなトップ人事も内定している5。日野自動車の代表取締役社長・CEOにはサティヤカーム・アーリャ氏(ダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークルズ CEO)が就任する予定である5。また、三菱ふそうの代表取締役社長・CEOにはフランツィスカ・クスマノ氏(ダイムラートラック スペシャルトラック事業部門責任者)が就任する予定である5。
日野自動車の2026年3月期における業績推移について、各四半期の決算説明会等で公表された公式記録に基づき詳細を記述する。
2026年3月期第1四半期(2025年4月1日〜2025年6月30日)の連結業績において、グローバル販売台数は26,400台(実績・2025年4月〜6月・前年同期比8.9%減・2026年3月期第1四半期決算説明会動画)となった7。地域別の内訳として、国内のトラック・バス販売台数は7,800台(実績・2025年4月〜6月・前年同期比21.3%減・2026年3月期第1四半期決算説明会動画)であった7。この減少要因として、主に小型トラックの切り替え遅れの影響により販売台数が減少したことが説明されている7。海外の販売台数は18,600台(実績・2025年4月〜6月・前年同期比2.4%減・2026年3月期第1四半期決算説明会動画)となった7。トヨタ事業における車両販売はSUVが前年費で増加し、30,800台(実績・2025年4月〜6月・前年同期比19.3%増・2026年3月期第1四半期決算説明会動画)を記録した7。 第1四半期の売上高は364,200百万円(実績・2025年4月〜6月・前年同期比46,900百万円減・2026年3月期第1四半期決算説明会動画)となり、販売台数の減少や為替の円高影響により減収となった7。一方で、諸経費の抑制により利益面は改善し、営業利益は16,900百万円(実績・2025年4月〜6月・前年同期比10,500百万円増・2026年3月期第1四半期決算説明会動画)を計上した7。経常利益は20,200百万円(実績・2025年4月〜6月・前年同期比14,900百万円増・2026年3月期第1四半期決算説明会動画)となった7。当期純利益は13,600百万円(実績・2025年4月〜6月・前年同期比13,800百万円増・2026年3月期第1四半期決算説明会動画)を記録した7。営業利益10,500百万円増の増減要因として、国内における価格改善やトータルサポートの収益拡大による4,300百万円の増益、トヨタ事業等のSUV台数増などによる3,800百万円の増益があった一方で、海外の台数減による6,900百万円の減益、為替による2,600百万円の減益、市況による1,000百万円の減益が含まれていることが説明された7。純利益の増減要因として、有価証券売却益が前年同期比で4,700百万円減少した一方、米国製造固定資産の減損損失の計上額減少により2,300百万円増加したことが示されている7。
2026年3月期第2四半期(累計:2025年4月1日〜2025年9月30日)の連結業績において、グローバル販売台数は53,500台(実績・2025年4月〜9月・前年同期比13.9%減・2026年3月期第2四半期決算説明会動画)となった8。国内のトラック・バス販売台数は15,600台(実績・2025年4月〜9月・前年同期比25.6%減・2026年3月期第2四半期決算説明会動画)であり、小型トラックの切り替え遅れの影響により前年同期比で5,400台減少した8。海外の販売台数は37,900台(実績・2025年4月〜9月・前年同期比7.9%減・2026年3月期第2四半期決算説明会動画)となった8。主要市場であるインドネシアの販売台数は8,800台(実績・2025年4月〜9月・前年同期比14.2%減・2026年3月期第2四半期決算説明会動画)となり、マクロ経済の不透明感により低水準が継続した8。タイ市場の販売台数は2,800台(実績・2025年4月〜9月・前年同期比1,100台減・2026年3月期第2四半期決算説明会動画)であり、経済低迷やローン審査の厳格化継続が影響した8。トヨタ向け車両はSUVが増加し77,700台(実績・2025年4月〜9月・前年同期比11.4%増・2026年3月期第2四半期決算説明会動画)を記録した8。 第2四半期累計の売上高は742,859百万円(実績・2025年4月〜9月・前年同期比12.4%減・2026年3月期第2四半期決算短信・ニュース)となった8。営業利益は38,073百万円(実績・2025年4月〜9月・前年同期比58.0%増・2026年3月期第2四半期決算短信・ニュース)を計上した8。経常利益は36,500百万円(実績・2025年4月〜9月・前年同期比17,100百万円増・2026年3月期第2四半期決算説明会動画)となった8。最終損益(純利益)は22,502百万円(実績・2025年4月〜9月・前年同期は219,598百万円の赤字から黒字転換・2026年3月期第2四半期決算短信・ニュース)を記録した8。純利益の大幅な増益要因として、営業利益の増加に加え、前年同期に計上された北米認証関連損失の減少により230,400百万円増加したこと、為替損益の影響により34,100百万円増加したことが説明されている8。
2026年3月期第3四半期(累計:2025年4月1日〜2025年12月31日)の連結業績において、グローバル販売台数は80,700台(実績・2025年4月〜12月・前年同期比15.3%減・2026年3月期第3四半期決算説明会動画)となった10。国内のトラック・バス販売台数は23,000台(実績・2025年4月〜12月・前年同期比25.4%減・2026年3月期第3四半期決算説明会動画)であり、小型トラックの切り替え遅れにより全体で7,800台の減少となった10。海外の販売台数は57,700台(実績・2025年4月〜12月・2026年3月期第3四半期決算説明会動画)となった10。インドネシア市場の販売台数は10,400台(実績・2025年4月〜12月・前年同期比15.9%減・2026年3月期第3四半期決算説明会動画)となり、タイ市場の販売台数は3,800台(実績・2025年4月〜12月・前年同期比1,300台減・2026年3月期第3四半期決算説明会動画)となった10。トヨタ向け事業における車両販売はSUVの増加により113,000台(実績・2025年4月〜12月・前年同期比3.1%増・2026年3月期第3四半期決算説明会動画)となった10。
第3四半期累計の売上高は1,141,237百万円(実績・2025年4月〜12月・前年同期比10.9%減・2026年3月期第3四半期決算短信)であった11。減収の一方で、営業利益は62,764百万円(実績・2025年4月〜12月・前年同期比39.3%増・2026年3月期第3四半期決算短信)を計上した11。経常利益は55,008百万円(実績・2025年4月〜12月・前年同期比179.2%増・2026年3月期第3四半期決算短信)となった11。親会社株主に帰属する四半期純利益は30,580百万円(実績・2025年4月〜12月・前年同期の265,366百万円の純損失から黒字転換・2026年3月期第3四半期決算短信)を記録した11。包括利益は45,617百万円(実績・2025年4月〜12月・2026年3月期第3四半期決算短信)であった12。1株当たり四半期純利益は53.27円(実績・2025年4月〜12月・2026年3月期第3四半期決算短信)となった12。
決算説明会で公表された営業利益の増減要因(前年同期比17,700百万円増分)として、以下の内訳が示されている。国内市場においては、小型トラックの切り替え遅れによる台数減があったものの、価格改善やトータルサポートの収益拡大により11,800百万円の増益要因となった10。海外市場においては、価格値上げによる増益要因はあったが台数減が影響し、3,700百万円の減益要因となった10。トヨタ事業他においては、北米トヨタ事業の収益改善等により13,600百万円の増益要因となった10。環境面の変化として、USドルを中心とした各国通貨の円高影響により7,800百万円の減益要因となり、前年の材料市況等の影響により4,000百万円の減益要因となった10。諸経費については、認証問題に関わる一時的な費用の減少、品質費用の見直し、不採算な海外事業の整理などにより30,600百万円の増益要因となった10。純利益の増減要因としては、前年に計上していた北米認証関連損失がほぼ解消したため、前年同期比で254,600百万円の増加要因となったことが説明されている10。
第3四半期累計におけるセグメント別の状況は以下の通りである。 日本セグメントの売上高は781,524百万円(実績・2025年4月〜12月・前年同期比12.3%減・2026年3月期第3四半期決算短信)、セグメント利益(営業利益)は35,340百万円(実績・2025年4月〜12月・前年同期比5,517百万円増・2026年3月期第3四半期決算短信)となった12。決算短信によると、国内のトラック・バス総需要において小型トラックが供給面の影響で前年同期に比べ大幅に減少した12。日野ブランドの国内売上台数は23.4千台(実績・2025年4月〜12月・前年同期比24.3%減・2026年3月期第3四半期決算短信)であった12。トヨタ向け車両はSUVが増加したものの、小型トラックの減少により全体では減収となったが、固定費削減等により増益を確保したと記載されている12。 アジアセグメントの売上高は291,642百万円(実績・2025年4月〜12月・前年同期比11.0%減・2026年3月期第3四半期決算短信)、セグメント利益(営業利益)は14,436百万円(実績・2025年4月〜12月・前年同期比15.9%減・2026年3月期第3四半期決算短信)であった12。減収減益の主な要因として、インドネシアをはじめとするアセアン地域での販売減少が影響したことが記載されている12。 その他セグメントの売上高は206,594百万円(実績・2025年4月〜12月・前年同期比17.8%減・2026年3月期第3四半期決算短信)、セグメント利益(営業利益)は10,738百万円(実績・2025年4月〜12月・前年同期の925百万円から大幅増益・2026年3月期第3四半期決算短信)となった12。北米および中南米での売上台数減少により減収となったが、損益面では大幅な改善が見られたと説明されている12。
日野自動車の2026年3月期通期連結業績予想は、各四半期の実績および経営環境の変化を踏まえて段階的に修正されている。
第2四半期決算発表時(2025年11月4日完了)における通期見通しの修正では、売上高は当初予想の1,500,000百万円を据え置いた8。一方で、営業利益は当初予想から25,000百万円上方修正し65,000百万円に引き上げた8。経常利益は60,000百万円に、純利益は40,000百万円にそれぞれ上方修正された8。この上方修正の要因として、国内における価格改善とトータルサポートの収益増による5,000百万円の増益、海外の台数減による19,000百万円の減益、トヨタ事業における価格改善と車両・ユニット増による17,000百万円の増益、円安影響による7,000百万円の増益、材料費における3,000百万円の増益、および固定費効率化などによる11,500百万円の増益が見込まれたことが説明された8。
その後、第3四半期決算発表時(2026年1月29日完了)において、通期業績予想はさらに上方修正された10。最新の通期連結業績予想は以下の通りである。
第2四半期公表の予想値からの修正幅として、営業利益は10,000百万円の上方修正、純利益は35,000百万円の上方修正となった10。純利益の大幅な上方修正については、営業利益の増加に加え、台湾の和泰自動車株式の売却等による利益計上が反映されたことが説明されている10。また、前提となる為替レートは第4四半期で1ドル152円、通期で1ドル149円と設定された10。
2025年12月31日時点の財政状態の概況として、総資産は1,361,305百万円(実績・2025年12月31日時点・前連結会計年度末比116,875百万円減・2026年3月期第3四半期決算短信)となった12。総資産減少の主要因として、現金及び預金が85,213百万円(実績・2025年12月31日時点・前期末比減少額・2026年3月期第3四半期決算短信)、棚卸資産が16,226百万円(実績・2025年12月31日時点・前期末比減少額・2026年3月期第3四半期決算短信)減少したことが記載されている12。 負債は1,069,513百万円(実績・2025年12月31日時点・前連結会計年度末比157,645百万円減・2026年3月期第3四半期決算短信)となった12。負債減少の内訳として、認証関連損失引当金が99,353百万円(実績・2025年12月31日時点・前期末比減少額・2026年3月期第3四半期決算短信)、未払金が16,085百万円(実績・2025年12月31日時点・前期末比減少額・2026年3月期第3四半期決算短信)、長期未払金が17,666百万円(実績・2025年12月31日時点・前期末比減少額・2026年3月期第3四半期決算短信)減少したことが挙げられている12。決算短信の特記事項において、現金及び預金ならびに認証関連損失引当金が減少した理由について、同社のエンジン認証問題を起因とする米国当局との和解に基づく刑事制裁金の一部および民事制裁金を支払ったためであると明記されている12。 純資産は291,791百万円(実績・2025年12月31日時点・前連結会計年度末比40,770百万円増・2026年3月期第3四半期決算短信)となった12。親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等により増加し、自己資本比率は15.8%(実績・2025年12月31日時点・2026年3月期第3四半期決算短信)に上昇した12。期末発行済株式数は574,580,850株(実績・2025年12月31日時点・2026年3月期第3四半期決算短信)、期末自己株式数は536,444株(実績・2025年12月31日時点・2026年3月期第3四半期決算短信)と記録されている12。自己資本の金額は215,236百万円(実績・2025年12月31日時点・2026年3月期第3四半期決算短信)であった12。
日野自動車は技術開発と知的財産権の確保に向けた投資を継続している。統合報告書2025において開示された研究開発関連の実績として、研究開発費は550億円(実績・2025年3月期・統合報告書2025)を計上した13。知的財産の創出実績として、特許件数は2,302件(実績・2004年〜2025年3月末累計・統合報告書2025)を記録している13。なお、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)などの特定技術領域における詳細な特許ポートフォリオの構成、出願人別の特許取得ランキング、および有価証券報告書等に記載される個別の研究開発プロジェクトの詳細や各プロジェクトへの投資額内訳については、調査範囲内では確認できず13。
製品開発の具体的な動向として、カーボンニュートラルおよび水素社会の実現に向けた取り組みを進めている。2025年10月24日(完了)に、環境性能と実用性を両立した国内初の燃料電池大型トラック量産モデルである「日野プロフィア Z FCV」を発売した15。当該車両の公式仕様として、全長は11,990mm、全幅は2,490mm、全高は3,780mmであり、車両総重量は25トン(25t)である16。シャシ設計においては、燃料電池自動車(FCV)の特性に最適化された専用設計が採用されており、荷台スペースの最大化が図られている16。その結果、荷台の室内長は約8,900mm、積載量は約11,600kgが確保されている16。架装仕様としては、ドライバンやウイングバンに対応しており、乗車定員は2名と設定されている16。
研究開発および製品提供の基盤を支えるトータルサポートの領域において、整備技術者の育成によるサービス品質の向上を図っている。具体策として、日野販売会社のメカニックを対象とした自動車整備士検定合格を支援する養成施設「日野自動車21世紀センター特定分教場」を開設した。当該施設において、2025年8月20日から9月26日(完了)の期間にわたり、三級自動車整備士の養成講習を実施している17。
過去のエンジン認証不正問題に対するガバナンス強化と風化防止の取り組みとして、同社は3月4日を「再出発の日」と制定している17。この取り組みを通じてコンプライアンス遵守を礎とした従業員の意識改革と行動規範の徹底を図る活動が継続して実施されている17。
日野自動車グループは「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」という使命のもと、環境マネジメントを経営の重要課題と位置づけている19。持続可能な地球環境への貢献を目指し、「日野環境チャレンジ2050」の環境ビジョンを達成するための中間目標として「日野環境マイルストーン2030」を策定し、以下の6つのチャレンジ(方策)を推進している19。
これらの長期目標を遂行するための5カ年計画「2025年環境取り組みプラン」に基づく、直近の2024年度の環境関連指標の実績は以下の通り公表されている2。 工場からのCO2排出量は60%削減(実績・2024年度・2013年度比グローバル総排出量・サステナビリティページ)を記録し、マイルストーンの削減目標を上回る進捗を示した2。廃棄物排出量については、41%削減(実績・2024年度・2018年度比グローバル総排出量・サステナビリティページ)を達成している2。自社内で発生した廃プラスチックの排出量は1,417t(実績・2024年度・サステナビリティページ)であった2。また、梱包包装資材の原単位は31%削減(実績・2024年度・2018年度比・サステナビリティページ)となった2。資源循環の指標であるASR(自動車再資源化)のリサイクル率は97%(実績・2024年度・サステナビリティページ)に達し、法定基準値である70%を上回る水準を維持している2。
大気・土壌・水質の保全および化学物質管理に関する2024年度の実績として、大気汚染防止の取り組みにおけるVOC(揮発性有機化合物)原単位は17%削減(実績・2024年度・サステナビリティページ)を記録した2。土壌・水質管理においては、対象区域における土壌調査を5件(実績・2024年度・サステナビリティページ)実施し、汚染対策を1件(実績・2024年度・サステナビリティページ)施工した2。廃棄物の適正管理に関わる新規廃棄物の契約締結件数は6件(実績・2024年度・サステナビリティページ)であった2。製品生産プロセスにおける化学物質管理として、新規補助剤における禁止物質の評価を454件(実績・2024年度・サステナビリティページ)実施した2。 環境マネジメントの運用およびコンプライアンス状況に関して、2024年度中に環境に関連する違反が2件、異常が5件発生したことが記録として公表されている2。社内啓発および教育の取り組みとして、外部セミナーの受講者は110名(実績・2024年度・サステナビリティページ)、環境機能長による社内勉強会の受講者は130名(実績・2024年度・サステナビリティページ)であった2。
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イベント名 |
実施(予定)日 |
出典 |
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2025年3月期 第3四半期決算発表 |
2025年1月30日 |
公式IRカレンダー |
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2025年3月期 通期決算発表 |
2025年4月24日 |
公式IRカレンダー |
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2026年3月期 第1四半期決算発表 |
2025年7月30日 |
公式IRカレンダー |
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2026年3月期 第2四半期決算発表 |
2025年11月4日 |
公式IRカレンダー |
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2026年3月期 第3四半期決算発表 |
2026年1月29日 |
公式IRカレンダー |
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役職(就任予定) |
氏名 |
現職(2025年11月4日発表時点) |
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代表取締役・CEO |
カール・デッペン |
三菱ふそう 代表取締役社長・CEO、ダイムラートラック 取締役 |
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代表取締役・CFO |
ヘタル・ラリギ |
三菱ふそう 代表取締役副社長・CFO |
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取締役・CTO |
小木曽聡 |
日野自動車 代表取締役社長・CEO |
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取締役(非常勤) |
伊勢清貴 |
住友理工 社外取締役、元アイシン 代表取締役社長 |
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取締役(非常勤) |
クリスチャン・ヘルマン |
ダイムラートラック 副社長 |
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独立社外取締役 |
安部和志 |
ソニーグループ アドバイザー、東海理化電機製作所 社外取締役 |
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独立社外取締役 |
江藤彰洋 |
パナソニックHD 社外監査役、三菱ケミカルG 社外取締役 |
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独立社外取締役 |
君嶋祥子 |
中外製薬 上席執行役員 法務知的財産統括、日野自動車 社外取締役 |
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独立社外取締役 |
小林いずみ |
オムロン 社外取締役、富士通 社外取締役 |
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チーフオフィサー・CAdO |
輿水学 |
日野自動車 経営企画部部長 |
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チーフオフィサー・CHRO |
河地レナ |
三菱ふそう 人事本部長 |
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チーフオフィサー・CCLO |
吉田憲生 |
日野自動車 CCO、内部監査機能機能長 |
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チーフオフィサー・CDO |
萩原恭太郎 |
日野自動車 CDO |
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日野自動車 代表取締役社長・CEO |
サティヤカーム・アーリャ |
ダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークルズ CEO |
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三菱ふそう 代表取締役社長・CEO |
フランツィスカ・クスマノ |
ダイムラートラック スペシャルトラック事業部門責任者 |
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項目 |
数値 |
単位 |
対象期間 |
区分 |
出典表記名 |
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研究開発費 |
550 |
億円 |
2025年3月期 |
実績 |
統合報告書2025 |
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特許件数 |
2,302 |
件 |
2004年〜2025年3月末 |
累計実績 |
統合報告書2025 |
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