3行まとめ
売上高6,584億円・営業利益は前年同期比約2.7倍と大幅増益を達成
2026年3月期第3四半期累計の連結売上高は6,584億6,300万円(前年同期比10.3%増)、営業利益は273億9,300万円(同174.9%増)を記録。Rane NSK Steering Systemsの連結子会社化によるステアリング事業の新設や負ののれん発生益が利益を押し上げた。
「4つのコアテクノロジー+1」を軸に研究開発費125億円超を投下
トライボロジー・材料技術・解析技術・メカトロ技術に生産技術(スマートファクトリー化)を加えた技術基盤のもと、制度会計ベースの研究開発費125億5,400万円、管理会計ベースの技術関連費用244億100万円を計上。世界初の「食用油劣化抑制フィルター」など機械要素の枠を超えた新技術も創出している。
知財の社会課題対応と統合報告書による非財務資本の開示体制を整備
コロナ対策支援宣言への賛同により特許権等の権利不行使方針を表明し、社会課題解決型の知財運用を推進。2021年度以降は「NSKレポート(統合報告書)」で知的資本・技術資本を財務情報と一体的に開示する体制を構築しているが、特許保有数等の定量的な知財KPIは公開情報では未確認という課題も残る。
日本精工株式会社の対象期間(2026年3月期 第3四半期連結累計期間:自 2025年4月1日 至 2025年12月31日)における連結経営成績の実績は、売上高および各段階利益において前年同期を上回る結果を示している。売上高の実績は6,584億6,300万円(前年同期比10.3%増)であり、営業利益の実績は273億9,300万円(前年同期比174.9%増)、税引前四半期利益の実績は240億6,400万円(前年同期比315.7%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益の実績は152億8,400万円(前年同期比461.3%増)であった(出典:2026年3月期 第3四半期決算短信 13ページ表、継続事業)。事業セグメント別に見ると、産業機械事業の売上高実績は2,753億5,200万円、営業利益実績は86億4,500万円であった(出典:同短信 13ページ表)。この事業では、日本や欧州における工作機械向け需要が低迷したものの、半導体製造装置向けなどで回復の兆しが見られたことが実績の背景として説明されている。自動車事業の売上高実績は3,025億9,900万円、営業利益実績は126億8,300万円であった(出典:同短信 13ページ表)。さらに、2025年9月1日付でRane NSK Steering Systems(現 NSK Steering Systems / NSKC)を連結子会社化したことにより、新たにステアリング事業がセグメントとして追加され、同事業の第3四半期(3ヶ月間)の売上高実績は425億6,300万円、営業利益実績は21億9,800万円であった(出典:同短信 13ページ表および注釈)。通期連結業績の計画/見通しについては、売上高9,000億円、営業利益370億円を掲げており、配当金については、第2四半期末実績15.00円、期末予想15.00円、年間合計計画30.00円を示している(対象期間:2026年3月期、出典:決算短信 配当の状況、業績予想修正に関するお知らせ)。 1
研究開発分野において、日本精工株式会社は「4つのコアテクノロジー+1」を自社の技術基盤として設定し、製品性能の向上と生産体制の高度化を図っている。第一のコアテクノロジーであるトライボロジー(摩擦制御技術)は、運動しながら接する物質間の摩擦・摩耗を潤滑や材料表面で制御する技術として定義されている(出典:研究開発ページ コア技術)。第二の材料技術は、材料組成や熱処理条件を最適化した金属材料や高分子材料を活用する技術である(出典:同ページ)。第三の解析技術は、シミュレーションを用いて製品性能をバーチャルに試験・評価する技術であり、第四のメカトロ技術は、機械要素技術にモーターやセンサーを組み合わせて制御を行う技術として位置づけられている。さらに+1として、これらから生み出された技術を形にし、省エネルギー化などのスマートファクトリー化を推進する生産技術が定義されている(出典:同ページ)。これらの技術開発活動を支える資本投下として、研究開発費の実績が計上されている。制度会計ベースの研究開発費実績は125億5,400万円(対象期間:2026年3月期 第3四半期累計期間、出典:決算短信 15ページ表)であった。また、管理会計ベースの技術関連費用の実績は244億100万円であった(対象期間:同累計期間、出典:決算短信 15ページ表)。製品開発の具体的な実績事例として、食用油を長持ちさせる新技術「食用油劣化抑制フィルター」の開発が2026年3月に公表されており、同技術は2025年9月時点で世界初の新技術である旨が技術レポートにおいて記載されている(出典:NSK Technical Review No.2611)。 1
知的財産に関する開示や運用方針について、日本精工株式会社は社会課題への対応として特許権を戦略的に取り扱う方針を示している。「知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言」に賛同し、対象範囲における特許権・実用新案権・意匠権・著作権の権利行使を行わない方針を宣言している(公表日:2020年5月22日、出典:公式ニュース)。この宣言は、侵害調査やライセンス交渉などの対応を不要とし、迅速な開発及び製造を支援することを目的としたものである。また、知的資本や特許戦略に関する企業情報の開示体制については、2021年度以降、従来のサステナビリティレポートと統合された「NSKレポート(統合報告書)」において行われている。同レポートの「知的資本」セクションや「技術資本(Technological Foundation)」において、知的財産を含む非財務的な成果が開示される枠組みとなっている(出典:サステナビリティライブラリ)。ただし、特許保有数や出願数、ランキングといった具体的な知財KPIの数値実績については、公式IRページや提供された統合報告書の範囲内では直接的なデータとして特定されていない(調査範囲内では確認できず)。サステナビリティやESG関連の各種データは、統合報告書の他に「ESG Data Book」や「SASB Standards Index」「GRI Standard Index」といったデータインデックスを通じて管理・開示する体制が構築されており、財務資本と非財務資本の統合的理解を促進する方針が示されている(出典:サステナビリティページ)。 5
製造・開発基盤の維持と環境負荷低減に向けた資本投下について、設備投資額の実績は288億5,300万円であった(対象期間:2026年3月期 第3四半期累計期間、出典:決算短信 15ページ表)。同期間の減価償却費の実績は406億4,800万円であった(出典:同表)。また、環境保全コストに関する財務的実績として、環境省発行の「環境会計ガイドライン2005」に準拠した算出結果が開示されている。2024年度の環境保全コスト投資額の実績は2,068百万円(対象範囲:国内グループ、出典:ESG Data Book 2025 環境マネジメント表)であった。内訳として、事業エリア内のコスト実績は1,205百万円、公害防止コスト実績は317百万円、地球環境保全コスト実績は738百万円、資源循環コスト実績は150百万円であった(対象期間:2024年度、出典:同表)。環境マネジメントの対象範囲については、2024年3月期第1四半期連結会計期間よりステアリング事業が非継続事業に分類されたことに伴い、当該事業を除外した数値が表示されている(ただし、「ISO 14001認証取得事業所カバレッジ」の指標については除外対象外)(出典:同表注記)。さらに、従業員の環境保全に関する意識向上を図るための施策として、eラーニングを実施したことにより受講人数の実績が増加したことがデータブック内に明記されており、人材育成を通じた環境マネジメント基盤の強化が図られていることが示されている(出典:同表注記)。 1
2026年3月期の業績に大きな影響を与えた要因として、ステアリング事業の再編と外部環境の変動が挙げられる。2025年9月1日付で実施されたRane NSK Steering Systemsの連結子会社化に伴い、同社およびその子会社の業績が連結決算に含まれるようになった(出典:決算短信 13ページ注釈)。これにより、新たにセグメントとして追加されたステアリング事業から負ののれん発生益などの一回的要因が営業利益に含まれる結果となっている。また、2026年2月4日開催の決算説明会質疑応答によれば、ステアリング事業に関する通期予想の上方修正は、想定以上の物量増加によるものであり、第3四半期の営業利益実績が想定を上回ったことが背景として説明されている(出典:決算説明会質疑応答 Q1)。一方で、外部環境の影響として、産業機械事業では欧州の市販向け需要の回復が弱かったこと、自動車事業では中国市場における補助金打ち切りに伴う在庫調整の影響により発注が絞られていること、およびレアアース関連の影響が物量Mixのマイナス要因として指摘されている(出典:同質疑応答 Q2)。インフレや売価改善の状況については、当初の想定よりも鋼材価格や物流費、消耗品などの影響が縮小したことにより、インフレ賃金上昇に関するマイナス影響額が圧縮された実績が示されている。通期業績予想の前提となる為替レートの計画/見通しは、1USD=150円、1EUR=180円、1CNY=21円(対象期間:2026年1月1日から2026年3月31日)と設定されている(出典:業績予想修正に関するお知らせ)。 1
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発行体(会社名) |
許可ドメイン |
根拠URL |
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日本精工株式会社 |
https://www.nsk.com/jp-ja/company/news/2024/nsk-report-2024/ |
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日本精工株式会社 |
disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp |
https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100LLON.pdf |
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公的特許データベース |
jglobal.jst.go.jp |
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202503013665225385 |
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発行体(会社名) |
ドメイン |
文書名 |
発行日/公表日 |
種別 |
URL |
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日本精工株式会社 |
統合報告書「NSKレポート2024」発行 |
2024年09月30日 |
公式ニュース |
https://www.nsk.com/jp-ja/company/news/2024/nsk-report-2024/ |
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日本精工株式会社 |
disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp |
第160期 有価証券報告書 |
2021年06月25日 |
法定開示 |
https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100LLON.pdf |
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日本精工株式会社 |
2026年3月期 第3四半期決算短信 |
2026年02月02日 |
決算短信 |
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日本精工株式会社 |
第164期中 半期報告書 |
2024年11月06日 |
法定開示 |
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日本精工株式会社 |
2026年3月期 第3四半期 IR決算説明会 質疑応答要旨 |
2026年02月04日 |
質疑応答要旨 |
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日本精工株式会社 |
「知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言」に賛同 |
2020年05月22日 |
公式ニュース |
https://www.nsk.com/jp-ja/company/news/2020/nsk-joins-new-covid-19-countermeasure-effort/ |
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日本精工株式会社 |
NSK ESG Data Book 2024 |
2025年01月 |
データブック |
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日本精工株式会社 |
NSK ESG DATABOOK 2025 |
2025年発行 |
データブック |
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日本精工株式会社 |
食用油を長持ちさせる新技術 ~食用油劣化抑制フィルター~ |
2026年03月 |
テクニカルレビュー |
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日本精工株式会社 |
コア技術・歴史 |
発行日不明 |
公式ページ |
https://www.nsk.com/jp-ja/tools-resources/research-and-development/philosophy-and-achievements/ |
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日本精工株式会社 |
Notice Regarding the Revision of Consolidated Business Forecast |
2026年公表 |
ニュースリリース |
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資料種別 |
公表日/開催日 |
対象期間/FY |
根拠URL |
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決算短信 |
2026年02月02日 |
2026年3月期 第3四半期 |
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決算説明資料 |
2026年02月04日 |
2026年3月期 第3四半期 |
https://www.nsk.com/jp-ja/company/investors/financial-announcements/ |
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質疑応答要旨 |
2026年02月04日 |
2026年3月期 第3四半期 |
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業績予想修正 |
2026年公表 |
2026年3月期 |
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対象期間 |
金額 |
単位 |
出典資料名 |
掲載場所(項目名) |
根拠URL |
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当第3四半期連結累計期間 |
12,554 |
百万円 |
2026年3月期 第3四半期決算短信 |
15ページ表 (研究開発費 (制度会計ベース)) |
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当第3四半期連結累計期間 |
24,401 |
百万円 |
2026年3月期 第3四半期決算短信 |
15ページ表 (技術関連費用 (管理会計ベース)) |
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特許番号 |
発明名称(一次情報表記) |
出願人・権利者 |
根拠(公的DB URL) |
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特許第7626302号 |
ボールねじ装置 |
未確認 |
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202503013665225385 |
※J-GLOBAL上では出願人・特許権者として「日本精工株式会社」の記載が存在するが、特許の最終的な権利状態を裏付ける公的特許DB(J-PlatPat等)での照合が今回の調査範囲内では完了していないため、権利者は「未確認」として取り扱う。
日本精工株式会社の対象期間(2026年3月期 第3四半期連結累計期間:自 2025年4月1日 至 2025年12月31日)における連結経営成績は、複数の利益項目において前年同期を大幅に上回る実績を記録した。売上高は6,584億6,300万円(前年同期比10.3%増)の実績であり、四半期別の内訳を見ると、第1四半期の実績が1,957.6億円、第2四半期の実績が2,164.8億円、第3四半期の実績が2,462.1億円と推移している(対象期間:2026年3月期第3四半期累計、出典:2026年3月期 第3四半期決算短信 13ページ表)。この売上高の段階的な増加は、期を追うごとの事業活動の拡大と、後述する子会社化による新規セグメントの追加が寄与している。営業利益については273億9,300万円(前年同期比174.9%増)の実績となり、その四半期別の内訳は、第1四半期の実績が47.9億円、第2四半期の実績が116.7億円、第3四半期の実績が109.2億円であった(対象期間:同期間、出典:同短信 13ページ表)。利益指標のその他の項目においても、税引前四半期利益は240億6,400万円(前年同期比315.7%増)の実績、継続事業からの四半期利益は144億1,000万円の実績、親会社の所有者に帰属する四半期利益は152億8,400万円(前年同期比461.3%増)の実績をそれぞれ計上しており、全社的な収益性の向上がデータとして示されている(対象期間:同期間、出典:同短信 継続事業)。 1
通期の連結業績予想および株主還元に関する方針も示されている。通期連結業績の計画/見通しとして、売上高は9,000億円、営業利益は370億円、税引前利益は360億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は200億円を見込んでいる(対象期間:2026年3月期、出典:Notice Regarding the Revision of Consolidated Business Forecast)。この業績予想の修正は、外国為替市場において当初の想定よりも円安傾向で推移していること、および第3四半期までの業績実績を反映した結果として公表された。業績予想の前提となる為替レートの計画/見通しは、1USD=150円、1EUR=180円、1CNY=21円と設定されている(対象期間:2026年1月1日から2026年3月31日、出典:同リリース)。また、配当金については、第2四半期末の実績を15.00円とし、期末予想を15.00円、年間合計の計画を30.00円としており、今回の業績予想修正に伴う配当計画の変更はない旨が記載されている(対象期間:2026年3月期、出典:決算短信 配当の状況、業績予想修正に関するお知らせ)。 1
日本精工株式会社の事業構造は、産業機械事業、自動車事業、および新たに連結子会社化により追加されたステアリング事業の3つのセグメントから構成されている。産業機械事業においては、日本や欧州における工作機械向け需要が低迷したものの、半導体製造装置向けなどで回復の兆しが見られた結果、売上高実績は2,753億5,200万円、営業利益実績は86億4,500万円であった(対象期間:2026年3月期 第3四半期累計期間、出典:決算短信 13ページ表)。自動車事業に関しては、世界的な自動車生産が中国などで停滞した環境下においても、売上高実績は3,025億9,900万円、営業利益実績は126億8,300万円を確保した(対象期間:同期間、出典:同短信 13ページ表)。 1
ステアリング事業の再編は、当期の連結業績に大きな影響を与えた要素である。2024年3月期の第1四半期より、ステアリング事業は非継続事業として分類されていた(出典:NSK ESG DATABOOK 2025 注記1)。しかし、2025年9月1日付でRane NSK Steering Systems(現 NSK Steering Systems / NSKC)を連結子会社化したことにより、同社およびその子会社の業績が連結決算に組み込まれ、新たにステアリング事業としてセグメントが追加された(出典:決算短信 13ページ注釈)。同事業の第3四半期(3ヶ月間)における売上高実績は425億6,300万円、営業利益実績は21億9,800万円であった(対象期間:2026年3月期第3四半期、出典:同短信 13ページ表)。この連結子会社化の実施により、負ののれん発生益などの一回的要因が営業利益に含まれる結果となっている(出典:同短信 注釈)。 1
この事業再編や外部環境の変化が業績に与える影響について、2026年2月4日に開催された決算説明会の質疑応答において詳細な分析が示されている。ステアリング事業に関する通期予想の上方修正が行われた背景として、想定よりも物量が増加し、第3四半期の営業利益実績が想定を上回ったことが説明されている(出典:決算説明会質疑応答 Q1)。一方で、第4四半期の業績見通しについては、第3四半期で発生するはずであった費用の一部が第4四半期にずれ込んだことにより、赤字の計画/見通しであることが示された。これに関して、年間での黒字体質は維持できる見通しであるとしている(出典:同質疑応答 Q1)。業績予想の修正における各事業の寄与度と外部環境の要因についても言及されており、物量影響および体質改善に占める事業別の割合は、産業機械事業と自動車事業でそれぞれおおよそ同等であると説明されている。物量Mixのマイナス要因の背景として、産業機械事業においては欧州の市販向け需要の回復が弱かったこと、自動車事業においては中国市場の補助金打ち切りによる在庫調整の影響により発注が絞られていること、さらにレアアースの影響が一部生じていることが指摘されている(出典:決算説明会質疑応答 Q2)。産業機械事業の四半期ごとの利益水準の変動については、第4四半期が年間で最も売上が伸びる傾向にあり、例年12月に向けて在庫を積み増すため、第3四半期と第4四半期の間で棚卸資産の未実現利益による段差が発生しやすい構造であることが示されている(出典:同質疑応答 Q3)。インフレや売価改善の要因に関しては、当初の想定よりも鋼材価格、物流費、消耗品などの影響が縮小したため、インフレ賃金上昇に関するマイナス影響額が圧縮されたことが説明されている(出典:同質疑応答 Q4)。 13
日本精工株式会社は、持続的な技術革新と新製品開発を推進するための技術基盤として、「4つのコアテクノロジー+1」を定義し、研究開発活動を展開している。第一のコアテクノロジーである「トライボロジー(摩擦制御技術)」は、「摩擦を理解しコントロールする」ことをテーマに掲げている。これは、運動しながら接する物質の間で発生する摩擦や摩耗を、極めて薄い油膜や独自開発の潤滑剤、表面被膜・形状を介して制御する技術であり、製品の高速性、静音性、耐久性といった性能の極限までの向上に寄与している(出典:研究開発ページ コア技術)。第二の「材料技術」は、「性能の耐久性、信頼性の徹底追求」をテーマとし、材料組成や熱処理条件を最適化した金属材料、高分子材料、セラミックスを活用する技術である。機能向上、耐久性、信頼性といった要求に応えつつ、コストと生産性の両立を図ることが目的とされている(出典:同ページ)。第三の「解析技術」は、「現象をサイバー空間上に再現、性能を予測」することをテーマに、最新のシミュレーション技術を用いて製品の性能をバーチャルに試験・評価するものである。高度な解析技術により、実物での試験が困難な極限状況下での性能評価が可能となり、設計の最適化や製品開発のスピードアップを実現している(出典:同ページ)。第四の「メカトロ技術」は、「技術が人をサポートし、便利で安全で快適な未来を」テーマとし、ベアリング、ボールねじ、リニアガイドなどの機械要素技術に、モーター、センサー、コンピューター制御を組み合わせることで、機械のポテンシャルを最大限に引き出す技術として位置づけられている。自動車やバイオ医療などの産業機械に新たな機能・性能を付加し、信頼性の向上や安全性の確保に貢献している(出典:同ページ)。 3
これらの4つのコアテクノロジーから生み出された要素技術や製品を具現化し、高品質を安定して生産するための基盤として、「+1」にあたる「生産技術」が定義されている。生産技術は「コアテクノロジーを形にする」ことをテーマとし、設備の知能化やIoTの活用、生産システム全体の最適化に取り組んでいる。これにより、省スペース、省エネルギー、省人化を高度に実現する「スマートファクトリー化」を推進している(出典:研究開発ページ コア技術)。これら広範な技術基盤の研究開発活動に関連する資本投下として、研究開発費が継続的に計上されている。制度会計ベースの研究開発費実績は125億5,400万円であり、その内訳は上半期が78.8億円、第3四半期が46.6億円であった(対象期間:2026年3月期 第3四半期累計期間、出典:決算短信 15ページ表)。また、管理会計ベースの技術関連費用の実績は244億100万円であり、内訳は上半期が151.0億円、第3四半期が92.9億円であった(対象期間:同期間、出典:同短信 15ページ表)。これら二つの異なる基準による費用の計上は、財務報告目的と内部の技術管理目的の双方からの支出状況を示している。 1
具体的な研究開発の成果や新製品への応用事例については、同社が定期的に発行する技術報告書を通じて公表されている。一例として、「NSK Technical Review No.2611」においては、「食用油を長持ちさせる新技術 ~食用油劣化抑制フィルター~」が紹介されている。同文献によれば、このフィルター技術の開発は2026年3月期において技術開発本部 コア技術研究開発センター第二研究開発室によって行われ、当該フィルター使用時の食用油劣化抑制作用について電子顕微鏡写真等を用いて解説されている。同技術は、2025年9月時点で世界初(NSK調べ)である旨が記載されており、従来の機械要素部品の枠を超えた材料技術や表面処理技術の応用事例として展開されている(出典:NSK Technical Review No.2611)。 4
日本精工株式会社における知的財産や特許に関する戦略的方針は、社会課題解決への寄与と製品開発の迅速化を目的とした対外的な宣言に表れている。2020年5月22日、同社は「知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言」に賛同した旨を公表した。この宣言において、対象となる自社の特許権・実用新案権・意匠権・著作権の権利行使を行わない方針を明確にしている。これにより、侵害調査やライセンスを受けるための交渉など知的財産権に関する対応が不要となり、迅速かつ最善の開発及び製造が可能となる体制を支援する目的が示されている。関係機関の方針のもと、感染予防及び感染拡大抑制に取り組む姿勢が一次情報として公表されている(出典:公式ニュース 2020年)。 6
また、知的財産を重要な経営資本と位置づける統合的開示の枠組みが近年整備されている。2021年度より、同社は従来のサステナビリティレポートと統合報告書を一体化した「NSKレポート(統合報告書)」を発行している。この統合報告書は、財務情報とサステナビリティ情報(知的資本や戦略的特許の取り組みを含む非財務資本)を統合して提示する目的で作成されており、「知的資本」や「技術資本(Technological Foundation)」のセクションにおいて関連情報の戦略的位置づけが整理されている(出典:サステナビリティライブラリ)。2024年9月30日には、「NSKレポート2024」の発行がニュースリリースとして公表されており、企業理念として「MOTION & CONTROL™を通じて円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざす」ことや、「NSKビジョン2026『あたらしい動きをつくる。』」を掲げていることが示されている(出典:統合報告書発行ニュース)。このビジョンにおいて、世の中の期待に応える価値を協創し、社会への貢献と企業の発展の両立を目指す方針が明記されている。 5
非財務データの詳細な数値や指標については、「NSK ESG Data Book」や「SASB Standards Index」「GRI Standard Index」といった各種データ集を通じて開示が行われている。例えば、コーポレート・ガバナンスに関連する指標(最高ガバナンス機関の指名と選出など)はGRI 2-10等にマッピングされ管理されている(出典:サステナビリティページ Governance、GRI Standard Index)。一方で、具体的な特許保有数、特許出願件数、および外部ランキングにおける評価順位といった定量的な知財KPIの厳密値については、有報(直近FY)・半期/四半期報告書(直近)・決算短信(直近)・統合報告書(直近版)・公式IR/公式ニュース(直近24ヶ月)を確認した範囲では、当該情報を一次情報として特定できない(調査範囲内では確認できず)。各種データへのリンクや報告書の目次構成(技術資本セクション等)は確認できるものの、テキスト本文や提供されたサマリー情報内にこれらの具体的な数値実績は記載されていない。公的特許データベースであるJ-GLOBAL上の記録では、発明名称「ボールねじ装置」(出願番号JP2024021848、特許第7626302号)等の出願人・特許権者として「日本精工株式会社」の名称が存在するものの、当該特許の最終的な権利状態や帰属について公的特許DB(J-PlatPat等)での裏付け照合が今回の調査範囲内では完了していないため、出願人・権利者は「未確認」として取り扱う。 7
持続的な技術開発と生産体制の維持に向けた資本的支出として、設備投資および減価償却費が定期的に計上されている。設備投資額の実績は288億5,300万円であり、その四半期別の内訳は第1四半期が95.1億円、第2四半期が74.0億円、第3四半期が119.2億円であった(対象期間:2026年3月期 第3四半期累計期間、出典:決算短信 15ページ表)。設備投資額は第3四半期において最も高い水準となっている。また、同期間における減価償却費の実績は406億4,800万円であり、内訳は第1四半期が126.7億円、第2四半期が134.0億円、第3四半期が145.6億円であった(対象期間:同期間、出典:同短信 15ページ表)。減価償却費は期を追うごとに増加しており、過去の資本投下が費用として段階的に認識されている状況が示されている。 1
環境保全に関する取り組みの財務的側面については、環境省発行の「環境会計ガイドライン2005」に準拠した形で環境保全コストが算出・開示されている(出典:NSK ESG DATABOOK 2024)。2024年度の環境保全コスト投資額の実績は2,068百万円であった(対象範囲:国内グループ、対象期間:2024年度、出典:NSK ESG DATABOOK 2025 環境マネジメント表)。同年度における各分類のコスト実績は、事業エリア内のコストが1,205百万円、公害防止コストが317百万円、地球環境保全コストが738百万円、資源循環コストが150百万円であった(対象範囲:国内グループ、対象期間:2024年度、出典:同表)。これらのデータは、2024年3月期第1四半期連結会計期間よりステアリング事業が非継続事業に分類されたことに伴い、非継続事業を除外した数値として表示されている。ただし、「ISO 14001認証取得事業所カバレッジ」の指標についてはこの除外の対象外とされている(出典:同データブック 注記1)。ISO 14001認証取得事業所の環境負荷の割合は、日本精工グループ全体の温室効果ガス排出量や廃棄物等排出量などの環境負荷に占める比率として算出されている(出典:同データブック 注記2)。さらに、組織内部の人的資本と環境マネジメントの連携施策として、従業員の意識向上を図るためのeラーニングを実施したことにより、受講人数の実績が増加したことが明記されている(出典:同データブック 注記3)。このように、設備の高度化に向けた投資と並行して、環境保全コストの算出と従業員教育を通じたサステナビリティ基盤の強化が図られている事実が一次情報から確認される。 11
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