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アマダの知財戦略:板金加工イノベーションを支える特許ポートフォリオと技術経営

3行まとめ

特許約1,300件・年間100件超の出願で競合を牽制する知財ポートフォリオ戦略

アマダグループは国内外で常時1,000件超の特許を維持する方針を掲げ、実績として約1,300件の特許を保有。レーザ・自動化・サービスの3事業を軸に、発振器技術・マシン技術・加工技術の3要素を統合した特許ポートフォリオで技術障壁を構築している。

コスト1/5・加工速度30倍など、プレス加工技術で「MF技術大賞」を複数受賞

「MF技術大賞2024-2025」では、4軸ハイブリッドプレスによる成型荷重約30%低減技術が大賞を受賞。優秀賞の精密圧潰冷間プレス工法は切削比でコスト1/5・速度30倍を達成し、1台のサーボプレスで月間100万個の量産を実現した。

売上5,000億円目標に向け「地産地消」と環境・人材に計200億円を投資

「長期ビジョン2030」で売上高5,000億円を目指し、海外売上比率約6割の基盤を活かした「地産地消」戦略を推進。CO2削減の環境分野と人材教育にそれぞれ100億円を投資し、工作機械業界初のRE100加盟やSBT認証取得を目指している。

この記事の内容

エグゼクティブサマリ

1. コーポレートプロファイルと事業基盤

株式会社アマダの基本情報および事業を構成する各種要素について記述する。株式会社アマダは1946910日に創業し、194851日に設立された金属加工機械等の開発・製造・販売・サービスを手掛ける企業である。神奈川県伊勢原市石田200に本社を構えており、東京証券取引所プライム市場に上場している。2024331日時点での資本金は54,768百万円であり、20253月時点での連結従業員数は8,997名となっている。経営体制として、代表取締役会長に磯部任氏、代表取締役社長執行役員に山梨貴昭氏が就任している。アマダグループは事業持株会社である株式会社アマダを中心として、国内15社および海外83社の子会社、さらに関連会社2社を含めた計101社によって構成されており、世界100ヵ国以上で事業を展開している。主要な事業領域は、板金事業、微細溶接事業、切削事業、研削盤事業、プレス自動化ソリューション事業、大型プレス事業、基板加工機事業の7領域である。「統合報告書2023」によれば、経営理念として「お客さま視点に基づいた新たな価値の創造とその提供」を掲げている。また「事業を通じた国際社会への貢献」として、世界のモノづくりへの貢献が地域社会および国際社会の発展につながるという認識を示し、「創造と挑戦を実践する人づくり」「高い倫理観と公正性に基づいた健全な企業活動」「人と地球環境を大切にする」といった理念を創業時より共有している。1

2. 知的財産ポートフォリオと投資規模

アマダグループがグローバル市場における競争優位性を確保するために推進している知的財産戦略およびその投資状況について記述する。「統合報告書2023」の記載によると、アマダグループは国内外において随時1,000件を超える特許を維持する方針を掲げている。実績として、特許取得数は約1,300件に達しており、さらに年間100件を超える新規特許出願を実行するなど、知的財産への積極的な投資を継続している。研究開発によって生み出された技術およびブランドを知的財産権によって担保するとともに、特許ポートフォリオの形成を通じて他社に対する牽制を強化している。この知的財産戦略は、アマダグループの成長戦略の核と位置づけられるレーザビジネス、自動化ビジネス、およびサービスビジネスの推進と拡大を側面から支える重要な役割を担っている。レーザ加工分野においては、光をつくる発振器の技術、その光を補正し加工対象物にマッチさせるマシン側の技術、対象の加工物を最適に加工する加工技術という3つの技術要素を揃えることが、優位性のある加工機を成立させる条件として示されている。さらにコーポレート・ガバナンスの側面から、長年の弁理士としての知的財産権に関する専門知識および弁理士事務所の経営経験を有する三好秀和氏を社外取締役に迎え、取締役会や指名委員会、報酬委員会において適時適切な意見を取り入れることで、業務執行に対する監督体制を強化している。2

3. 技術経営とイノベーション推進の戦略的投資

アマダグループのグローバル市場展開における技術経営の基盤およびイノベーション創出に向けた設備投資等の状況について記述する。「統合報告書2023」の売上実績構成によると、地域別売上比率は日本が39%、北米が26%、欧州が20%、アジア他が15%となっており、海外市場が全体の約6割を占めている。将来的な目標として、「長期ビジョン2030」において2030年度に5,000億円の売上高を目指している。この目標達成に向けた「中期経営計画2025」では、グローバル市場拡大戦略のキーワードとして「地産地消」を掲げている。具体的な施策として、サプライチェーンマネジメント戦略を強化し、即納体制の確立、世界共通品質の実現、コスト競争力の強化、適正在庫の推進を図っている。また、既存工場の自動化システム強化を中心とした設備増強や、生産工場の新設を計画している。「統合報告書2023」記載の研究開発費の実績は65億円である。研究開発および製造の拠点展開として、主な国内および海外の製造拠点は24拠点、開発拠点は11拠点が稼働しており、世界中にソリューションセンターおよびテクニカルセンターを設置している。品質保証の体制として、ISO9001を取得した拠点は25拠点に及ぶ。本社所在地には「アマダ・グローバルイノベーションセンター(AGIC)」を構え、社会課題および顧客課題を解決するための新たな価値創造を推進する体制を構築している。2

4. 研究開発活動の実績および新技術創出の具体例

アマダグループにおける具体的な研究開発の成果および外部機関からの技術評価の実績について記述する。株式会社アマダ、株式会社アマダプレスシステム等は、一般社団法人日本鍛圧機械工業会が主催する「MF技術大賞2024-2025」において「MF技術大賞」「MF技術優秀賞」「MF奨励賞」を受賞した。「MF技術大賞」は、農業用管理機械の構成部品を対象とした「4軸ハイブリッドプレスを用いた複動加工製品の製造」技術が受賞した。絞り工程で必要な60kNの背圧を、油圧軸の追加により実現し、まがりばかさ歯車の冷間鍛造において、歯形部の充填率80%時の成型荷重を約30%低減させた。「MF技術優秀賞」は、半導体パッケージ用銅リッドおよびハイパワーLED用アルミニウムリフレクタを対象とした「精密圧潰冷間プレス工法による高放熱性金属加工部品」技術が受賞した。切削加工法との比較においてコストを5分の1に削減し、加工速度を30倍に向上させ、月間100万個(1品種)の要求に対し1台のデジタル電動サーボプレスマシンでの生産を可能とした。「MF奨励賞」は、エアサス用モーターフレームを対象とした「車載用各種モーターフレームの製造」技術が受賞した。材料投入から洗浄完成までを1名の作業者で対応可能とし、材料板厚公差±40μmから軸受け圧入部公差幅14μmに対しCPK1.63での安定成形を実現したほか、プレス加工油を極限まで絞った環境対応型プレス加工法を確立した。4

5. サステナビリティ戦略および環境対応を指向する事業展開

アマダグループが推進するサステナビリティに関する方針、環境分野および人材分野への投資計画、ならびに情報開示体制について記述する。「統合報告書2023」における「中期経営計画2025」の施策として、CO2排出量削減に向けた環境分野に100億円、人材の教育分野に100億円の投資予算を計上している。環境分野における目標として、事業所および工場を対象とした排出削減目標を設定・実行する「SBT」の認証取得を目指している。また、事業活動に必要な電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指す「RE100」に、工作機械業界として初めて加盟した。具体的な環境対策として、太陽光発電の設置や事業所のLED照明への置換を進めている。提供する製品を通じた環境対応として、ファイバーレーザの発振効率の向上や、AIを搭載した新NC装置による段取り作業の削減および生産性向上を推進している。人材教育の分野では、2024年に竣工する「アマダ・テクニカルエデュケーションセンター(ATEC)」を活用し、「長期ビジョン2030」の達成に向けた人材能力開発を進める。これらのサステナビリティに関する情報開示については、毎年10月時点の公式ホームページ上の環境関連情報をPDF化し、「環境レポート」として定期的に公開している(2024年より)。ホームページ内の環境データ等は10月以降も随時更新され、マルチステークホルダー方針を含めて持続的な開示を実施している。2

公式ドメイン一覧

 

発行体(会社名)

許可ドメイン

根拠URL

株式会社アマダ

amada.co.jp

https://www.amada.co.jp/ja/corporate/profile/

株式会社アマダ

amp.amada.co.jp

https://www.amp.amada.co.jp/ja/info/announce/detail/?id=794

Evidence Index

 

発行体(会社名)

ドメイン

文書名

発行日/公表日

種別

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株式会社アマダ

amada.co.jp

会社概要|企業情報|アマダ

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公式企業情報

https://www.amada.co.jp/ja/corporate/profile/

株式会社アマダ

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統合報告書 | IR資料 | アマダ

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公式IRページ

https://www.amada.co.jp/ja/ir/document/annual/

株式会社アマダ

amada.co.jp

環境レポート|サステナビリティ|アマダ

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公式サステナビリティページ

https://www.amada.co.jp/ja/sustainability/report/

株式会社アマダ

amada.co.jp

アマダグループ 統合報告書2023

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統合報告書

https://www.amada.co.jp/pdf/ja/ir/document/annual/online/amada2023_all_a4.pdf

株式会社アマダ

amada.co.jp

アマダグループ 統合報告書2023 (見開き)

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統合報告書

https://www.amada.co.jp/pdf/ja/ir/document/annual/online/amada2023_all_a3.pdf

株式会社アマダ

amada.co.jp

アマダグループ 統合報告書2023 (p.14-15)

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統合報告書

https://www.amada.co.jp/pdf/ja/ir/document/annual/online/amada2023_06.pdf

株式会社アマダ

amada.co.jp

有価証券報告書・四半期報告書 | IR資料 | アマダ

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公式IRページ

https://www.amada.co.jp/ja/ir/document/securities/

株式会社アマダ

amp.amada.co.jp

MF技術大賞2024-2025受賞に関するお知らせ

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公式ニュース/PR

https://www.amp.amada.co.jp/ja/info/announce/detail/?id=794

最新IR一覧表

 

資料種別

公表日

対象期間/FY

根拠URL

決算短信

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決算説明資料

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調査範囲内では確認できず

調査範囲内では確認できず

補足資料/質疑応答要旨

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調査範囲内では確認できず

調査範囲内では確認できず

決算説明会に関する資料

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調査範囲内では確認できず

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統合報告書

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2023年度版

https://www.amada.co.jp/pdf/ja/ir/document/annual/online/amada2023_all_a4.pdf

有報(直近FY)・半期/四半期報告書(直近)・決算短信(直近)・統合報告書(直近版)・公式IR/公式ニュース(直近24ヶ月)を確認した範囲では、当該情報を一次情報として特定できない(調査範囲内では確認できず)。

研究開発費 抽出表

 

対象期間

金額

単位

出典資料名

掲載場所(項目名)

根拠URL

調査範囲内では確認できず (統合報告書2023発行時点の実績)

65

億円

アマダグループ 統合報告書2023

15ページ (研究開発費)

https://www.amada.co.jp/pdf/ja/ir/document/annual/online/amada2023_06.pdf

知財対応表

特許番号

発明名称(一次情報表記)

出願人・権利者

根拠(公的DB URL

今回の調査では未確認

今回の調査では未確認

今回の調査では未確認

今回の調査では未確認

1. コーポレートプロファイルと事業展開の基盤

株式会社アマダの設立経緯と資本的基盤

株式会社アマダは、金属加工機械等の開発、製造、販売、およびそれらに付帯するサービスを提供する企業である。同社は1946910日に創業し、その後194851日に法人として設立された。本社は神奈川県伊勢原市石田200に所在し、製品の開発拠点としての機能も有している。2024331日時点での同社の資本金は54,768百万円に達しており、安定した財務基盤を背景に多様な事業展開を進めている。株式は東京証券取引所プライム市場に上場しており、国内外の投資家から資本を調達する体制を整えている。20253月時点の連結従業員数は8,997名であり、製品開発から製造、グローバルな販売および保守サービスに至るまで、多岐にわたる専門人材を抱えている。経営の舵取りは、代表取締役会長の磯部任氏、および代表取締役社長執行役員の山梨貴昭氏が担っている。1

グループ構成と主要事業セグメント

アマダグループは、事業持株会社である株式会社アマダを中核として構成される多国籍企業グループである。国内においては15社の子会社を有し、海外においては83社の子会社を展開している。さらに2社の関連会社を含め、合計101社によってグループ全体が形成されており、世界100ヵ国以上にわたる広範なネットワークを通じて事業活動を行っている。事業ポートフォリオは、金属加工プロセス全体をカバーする形で構築されており、主に7つの事業を柱として掲げている。具体的には、板金事業、微細溶接事業、切削事業、研削盤事業、プレス自動化ソリューション事業、大型プレス事業、および基板加工機事業である。主要な事業会社として、株式会社アマダマシナリーや株式会社アマダプレスシステムなどが存在し、それぞれの専門領域において製品群の拡充を図っている。また、企業買収や資本提携を通じたグループの拡大も進められており、20255月からは株式会社エイチアンドエフが、さらに同年7月からはビアメカニクス株式会社が連結子会社および関連会社としてグループに合流する計画が示されている。1

企業理念と価値創造の方向性

アマダグループの事業活動は、明確な企業理念に基づいて推進されている。「統合報告書2023」において、同社はすべての事業活動の原点として「お客さま視点に基づいた新たな価値の創造とその提供」を掲げている。この理念は、顧客とアマダグループとの相互の信頼関係をより強固なものとし、双方の持続的な発展の源泉となるという考えに基づいている。また、「事業を通じた国際社会への貢献」を明言しており、世界の顧客のモノづくりに対する貢献が、結果として地域社会やさらには国際社会全体の発展につながるという認識を示している。これに伴い、グループの経営資源をグローバルに最適配置し、各市場において最高のソリューションを提供する事業活動を展開している。人材育成の観点からは、「創造と挑戦を実践する人づくり」を掲げている。常に現状をベストと捉えることなく、さらに良い方法がないかを模索し行動することが、事業活動の改善と向上をもたらすとしている。この実践の積み重ねがアマダ独自の企業風土を醸成していくと位置づけている。加えて、「高い倫理観と公正性に基づいた健全な企業活動を行う」として、経営および業務全般にわたる透明性の確保と法令遵守の徹底を図り、企業価値の向上を目指している。さらに、「人と地球環境を大切にする」という方針の下、株主、顧客、取引先、従業員、地域住民など、アマダグループに関わるすべての人々および地球環境にとって良い企業であり続ける姿勢を示している。2

「統合報告書」を通じた情報開示の体系

アマダグループの事業戦略や価値創造のプロセスに関する全体像は、公式な開示資料である「統合報告書2023」において体系的に整理されている。同報告書は、企業の財務情報と非財務情報を統合し、ステークホルダーに対して網羅的な事業状況を説明する構成となっている。イントロダクション部分では、経営理念や代表者による挨拶、アマダの歴史、そして経営トップからのメッセージが提示されている。続く「価値創造ストーリー」の章では、アマダグループの強みやビジネスの流れ、社会課題を解決し新たな価値を生み出すプロセスが解説されている。特に、アマダ・グローバルイノベーションセンター(AGIC)に焦点を当てた特集が組まれている。「事業戦略」の章では、長期的な目標である「長期ビジョン2030」や、その達成に向けたマイルストーンとなる「中期経営計画2025」が詳述され、板金事業、切削・研削盤事業、微細溶接事業、プレス自動化ソリューション事業といった個別の事業領域の戦略が展開されている。さらに「価値創造の基盤」の章において、サステナビリティに関する取り組みやTCFD提言に基づく気候変動関連情報、人材育成、ダイバーシティ推進、ステークホルダーエンゲージメント、そしてガバナンス体制についての詳細な報告が行われている。2

2. グローバル市場戦略と技術経営基盤

海外市場の比重と「長期ビジョン2030

アマダグループは、金属加工機械のグローバルメーカーとして、世界中のモノづくりを支えるための戦略を展開している。「統合報告書2023」に記載された売上収益の地域別構成比率の実績によれば、日本市場が39%を占める一方で、北米が26%、欧州が20%、アジア他が15%となっており、海外市場での売上が全体の約6割に達している。この比率は、同社が国内市場のみならず、国際的な需要を取り込むことで成長を遂げてきたことを示している。今後の成長戦略の指針として策定された「長期ビジョン2030」においては、2030年度におけるグループ全体の売上高目標として5,000億円という数値が掲げられている。この目標を達成するための分析として、同社は国内市場において既に高い市場シェアを有しているため、さらなる成長余地(伸びしろ)が見込める海外市場の拡大が不可欠であると結論づけている。海外市場での伸びしろを拡大するための基盤づくりは、後述する中期経営計画の期間内に集中的に進められる計画である。2

「中期経営計画2025」における「地産地消」戦略

「長期ビジョン2030」の達成に向けた具体的な実行フェーズとして設定されているのが、「中期経営計画2025」(2023年度から2025年度までの3年間)である。この計画において、グローバル市場拡大戦略の中核となるキーワードとして「地産地消」が明記されている。地産地消戦略の目的は、顧客の事業拠点が所在する各地域内で、製品の製造から供給までを完結させるサプライチェーンを構築することである。この戦略を推進するため、サプライチェーンマネジメント戦略の強化が図られている。具体的な取り組みとして、顧客の要求に対する即納体制の確立、世界のどの拠点においても同一の品質基準を満たす世界共通品質の維持、現地生産によるコスト競争力の強化、および市場需要に応じた適正在庫の推進が掲げられている。これらの施策を実行するため、既存の生産工場に対して自動化システムの強化を中心とした設備増強を行うとともに、新たな生産工場の新設を進め、世界各地域の生産能力および供給能力を底上げする方針が示されている。2

研究開発拠点および製造ネットワークの構築

グローバルな事業展開を技術面および生産面から支えるため、アマダグループは広範な拠点ネットワークを構築している。「統合報告書2023」の記載時点で、主な国内および海外の製造拠点は24拠点に及んでいる。また、製品の品質保証と継続的な改善を担保する体制として、国際的な品質マネジメントシステム規格であるISO9001を取得した拠点が25拠点存在している。新たな製品や技術を生み出すための研究開発機能については、主な国内および海外の開発拠点として11拠点が稼働している。さらに、顧客の多様な課題に対して直接的なソリューションを提案し、素早い対応と供給を実現するため、世界中にソリューションセンターおよびテクニカルセンターを設置している。日本、フランス、アメリカなどを中心とした販売拠点および生産拠点の連携により、100以上の国と地域においてビジネスを展開している。本社に隣接する神奈川県伊勢原市の「アマダ・グローバルイノベーションセンター(AGIC)」は、これらの技術ネットワークの中心的な役割を担い、自動化やデジタルトランスフォーメーション(DX)を含めた次世代のモノづくり技術の研究開発拠点として機能している。1

長期成長戦略としての新領域拡大

「中期経営計画2025」における取り組みは、単なる既存事業の延長ではなく、「長期ビジョン2030」の達成に向けた長期成長戦略としての位置づけを持つ。その一例として、アマダグループが保有する強みであるレーザ技術を活用した新領域の拡大が計画されている。同社は、金属加工機械市場において競争力の高いコア技術を多数保有している。事業を通じた価値提供の範囲は、溶接、曲げ、自動化、DX、稼働保障、切断、研削、切削、穴あけ、成形、そしてこれらを制御するソフトウエアに至るまで、金属加工の工程全体を網羅する幅広い商品群によって構成されている。これら多岐にわたる技術要素を組み合わせることで、顧客の生産現場における自動化のニーズや、加工精度の向上要求に対して包括的なソリューションを提供することが、同社の技術経営の基本方針となっている。2

3. 知的財産戦略と特許ポートフォリオの構築

研究開発費と特許維持数の規模

アマダグループは、グローバル市場での優位性を確保し、持続的な成長を実現するため、研究開発および知的財産の形成に対して積極的な投資を行っている。「統合報告書2023」において公表されている実績として、同社の研究開発費は65億円が計上されている。この研究開発投資の結果として生み出される技術成果は、特許権等の知的財産権として法的に保護される体制が整えられている。同報告書に示された特許取得数の実績は約1,300件に達している。さらに、保有する特許の規模に関する同社の方針として、国内外において随時1,000件を超える特許を維持することが明記されている。既存の特許ポートフォリオを維持するだけでなく、新たな技術の権利化を継続するため、年間100件を超える新規特許出願を実行する体制が構築されている。これらの数値は、同社が技術開発の成果を単なるノウハウとして社内に留めるのではなく、積極的に知的財産権として権利化し、事業の保護と競争力の強化に活用していることを示している。3

知財ポートフォリオを通じた事業防衛と牽制戦略

アマダグループにおける知的財産戦略の主たる目的は、研究開発で生み出された技術とブランドを、知財権によって確固たるものとして担保することである。単一の特許を取得するだけでなく、関連する複数の特許群からなる「ポートフォリオ」を形成することにより、競合他社に対する牽制機能を強化している。この知財ポートフォリオ戦略は、同社の成長戦略の核として位置づけられている3つの主要ビジネス、すなわち「レーザビジネス」「自動化ビジネス」「サービスビジネス」の推進および拡大を、知的財産の側面から強力に支える基盤となっている。技術を法的に保護することで、模倣リスクを低減し、グローバル市場において独占的あるいは優位な立場で製品やサービスを展開することが可能となる。提供されるソリューションは、切断や曲げといった物理的な加工技術から、ソフトウェアによる制御、稼働保障に至るまで多岐にわたっており、これらすべての領域において知的財産権の確保が進められている。3

レーザ加工技術の競争力と3要素の統合

アマダの知的財産戦略と密接に結びつく中核技術の一つが、レーザ技術である。今後の成長戦略において、アマダの資産であるレーザ技術を進化させ、新領域への拡大を図ることが「統合報告書2023」に明記されている。レーザ加工分野において差別化された優位性のある加工機を成立させるためには、単一の技術要素だけでは不十分であり、3つの重要な技術要素を高度に統合する必要があると定義されている。第一の要素は、レーザの「光をつくる発振器の技術」である。第二の要素は、「その光を補正し加工対象物にマッチさせるマシン側の技術」である。第三の要素は、「対象の加工物を最適に加工する加工技術」である。これら3つの技術が揃うことによって初めて、市場において優位性を持つ加工機として成立する。この方針は、同社の研究開発が機器のハードウェア開発にとどまらず、光学技術やプロセス制御技術を含めたシステム全体を対象としていることを示しており、それぞれの要素技術において特許を取得し、強固な技術障壁を構築していることがうかがえる。2

コーポレート・ガバナンスと知的財産の監督体制

知的財産戦略を経営戦略と一体化させ、適切に推進するためのガバナンス体制も整備されている。アマダグループは、経営における透明性の確保と高度な専門的知見の導入を目的として、社外取締役の選任を行っている。その一例として、「統合報告書2023」では三好秀和氏の役割が紹介されている。同氏は、長年の弁理士としての知的財産権に関する専門知識を有するとともに、弁理士事務所の経営者としての経験を備えている。この専門的な観点から、三好氏は取締役会において積極的に発言を行い、当社の社外取締役として業務執行の監督を適切に行っていると評価されている。さらに同氏は、経営陣の指名や報酬を決定する指名委員会および報酬委員会の委員としても出席し、適時適切な意見を述べる役割を担っている。このように、知的財産の専門家を企業の意思決定および監督機関である取締役会に配置することは、同社が知的財産を事業上の重要課題として認識し、経営レベルでの知財ガバナンスを機能させていることを示している。2

4. 研究開発の成果と外部機関による技術評価

MF技術大賞2024-2025」における評価実績

アマダグループが研究開発を通じて創出した技術は、自社製品への適用にとどまらず、産業界における技術水準の向上に寄与するものとして、外部の専門機関からも高く評価されている。その具体的な実績として、一般社団法人日本鍛圧機械工業会が主催する「MF技術大賞2024-2025」において、同社グループの技術が複数の賞を受賞したことがニュースリリースを通じて公表された。受賞の対象となったのは「MF技術大賞」「MF技術優秀賞」「MF奨励賞」の3つの賞であり、プレス加工技術を中心とした同社のイノベーションが多角的に評価されたことを意味している。これらの受賞技術は、株式会社アマダおよび株式会社アマダプレスシステムが顧客企業と共同で開発・実用化したものであり、プレス機械の高度な制御技術が実際の製品製造において具体的な数値効果をもたらした事例となっている。4

MF技術大賞:4軸ハイブリッドプレスを用いた複動加工製品の製造

最高賞である「MF技術大賞」を受賞した技術は、「4軸ハイブリッドプレスを用いた複動加工製品の製造」である。この技術は、株式会社アマダ、株式会社アマダプレスシステム、および株式会社三陽製作所の3社共同による成果である。最終製品として農業用管理機械の構成部品を製造するための技術として評価された。受賞理由として挙げられている技術的な要点は、高い背圧を必要とする絞り工程の実現である。この工程では60kNの背圧が必要とされていたが、従来の金型にばねやガススプリングを組み込む方式では不可能な荷重であった。これを実現したのが、機械に追加された油圧軸の技術である。油圧軸の制御により、従来工法では不可能であった成形が可能となった。さらに、サーボプレスの特徴であるモーション制御を併用することにより、生産性の向上を図りつつ、更なる難加工への対応も可能にする工法を確立した。具体的な効果として、まがりばかさ歯車の冷間鍛造において、製品としての品質を満たす歯形部の充填率(金型との接触率)が80%に達した際の成型荷重について、約30%の低減を図ることができた点が、高く評価された。4

MF技術優秀賞:精密圧潰冷間プレス工法による高放熱性金属加工部品

MF技術優秀賞」を受賞した技術は、「精密圧潰冷間プレス工法による高放熱性金属加工部品」である。この技術は、株式会社アマダ、株式会社アマダプレスシステム、および株式会社大貫工業所の3社によって開発された。最終製品は、高い熱管理が要求される半導体パッケージ用銅リッド、およびハイパワーLED用アルミニウムリフレクタである。受賞理由として、精密圧潰冷間プレス工法の開発により、放熱性に優れたこれらの部品の量産を達成したことが挙げられている。この技術の導入による効果は、従来の切削加工法との比較において極めて顕著な数値として示されている。具体的には、生産コストを1/5に削減し、同時に加工速度を30倍に高めることに成功した。この圧倒的な生産性の向上により、月間100万個(1品種)という顧客からの大規模な要求に対して、複数台の機械を並べることなく、1台のデジタル電動サーボプレスマシンのみでの生産対応が可能となったことが評価対象となった。4

MF奨励賞:車載用各種モーターフレームの製造

MF奨励賞」を受賞した技術は、「車載用各種モーターフレームの製造」である。この技術は、株式会社アマダ、株式会社アマダプレスシステム、および髙橋金属株式会社の3社によって開発された。最終製品はエアサス用モーターフレームである。受賞理由として評価されたのは、生産プロセスの大幅な省力化と、極めて高い加工精度の両立である。生産体制の面では、材料の投入から洗浄が完了するまでの全工程を、わずか1名の作業者で対応できる効率的なラインを構築した。精度面での実績としては、材料板厚公差が±40μmとばらつきのある材料を使用しながらも、軸受け圧入部の公差幅14μmという厳しい条件に対して、CPK(工程能力指数)1.63という極めて安定した成形を実現した。さらに、成形時に使用するプレス加工油の量を極限まで絞り込むことに成功し、環境への負荷を低減する「環境対応型プレス加工法」を確立したことが、技術的なブレークスルーとして評価された。4

5. サステナビリティ戦略と環境課題への取り組み

環境と人材に対する100億円規模の戦略的投資

アマダグループは、企業理念である「人と地球環境を大切にする」という方針を、具体的な経営計画と投資予算に組み込んで事業を展開している。「統合報告書2023」において示された「中期経営計画2025」では、サステナビリティに関する取り組みとして、明確な投資枠が設定されている。具体的には、CO2排出量削減に向けた環境分野に対して100億円の投資予算を計上し、同時に人材の教育分野に対しても100億円の投資予算を計上している。この計200億円規模の予算措置は、サステナビリティを単なる企業の社会的責任(CSR)としての枠組みにとどめず、長期的な事業成長と競争力強化のための必須の投資領域として位置づけていることを示している。2

脱炭素社会に向けた環境イニシアチブへの参画と設備対応

環境分野におけるCO2排出量削減の具体的な目標設定として、同社は国際的な環境イニシアチブへ積極的に参画している。事業所と工場を対象として、温室効果ガスの排出削減目標を設定し、その実行を科学的根拠に基づいて評価する「SBTScience Based Targets)」の認証取得を目指している。さらに、事業活動に必要な電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目標とする国際協働イニシアチブ「RE100」に対して、工作機械業界で初めて加盟したことが報告されている。これらの目標を達成するための物理的な施策として、各事業所および工場における太陽光発電設備の設置を進めるとともに、既存施設の照明設備をLED照明へ置換する取り組みを推進し、自社拠点からの直接的なCO2排出量の削減(スコープ1およびスコープ2の削減)を図っている。2

製品を通じた顧客現場での環境負荷低減

アマダグループは自社の事業活動に留まらず、顧客の生産現場における環境負荷の低減にも技術面から貢献する「エコでつながるモノづくり」を推進している。同社が販売する商品を通じた環境へのアプローチとして、レーザ加工機の基幹部品であるファイバーレーザの発振効率の向上が挙げられている。発振効率を高めることで、金属切断等の加工時に消費される電力量を大幅に削減することが可能となる。また、AI(人工知能)を搭載した新しいNC(数値制御)装置の導入を推進している。このAI搭載新NC装置は、機械を操作する際の段取り作業の時間を削減し、全体の生産性を向上させる効果を持つ。生産性の向上は、加工プロセスにおける機械の稼働効率を高めることになり、結果として単位製品あたりの消費エネルギー削減につながる仕組みとなっている。2

教育拠点「ATEC」の設立と人材の能力開発

持続可能な事業運営を支える人材の確保と育成は、「創造と挑戦を実践する人づくり」という企業理念の具現化である。「中期経営計画2025」における人材の教育分野への100億円の投資の一環として、新たな教育拠点の整備が進められている。具体的には、2024年に「アマダ・テクニカルエデュケーションセンター(ATEC)」が竣工する計画が示されている。この施設は、「長期ビジョン2030」の達成に向けて、次世代の技術を担う人材を育成するための中心的な拠点として機能する。ダイバーシティの推進や、働きがいのある職場づくりと連動し、変化する市場環境や高度化する技術要求に対応できる人材の能力開発を全社的に進める体制を構築している。2

情報開示体制とステークホルダー・エンゲージメント

サステナビリティに関する方針や実績について、アマダグループは透明性の高い情報開示体制を維持している。環境に関する具体的な取り組みやデータについては、毎年10月時点の同社公式ホームページ上の環境情報をPDF化し、「環境レポート」として掲載する運用を2024年より開始している。このレポートには、環境レポート本編や環境データ等の数値情報が含まれている。さらに、ホームページ内の環境情報については、年に一度の更新にとどまらず、10月以降も随時更新を行うことで、常に最新の状況をステークホルダーに提供する体制をとっている。また、気候変動に関する財務情報開示の枠組みであるTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報開示を行っている。多様な関係者との対話を重視する姿勢として「マルチステークホルダー方針」を公式ホームページ上に掲載し、顧客、株主・投資家、従業員、地域社会といった関係者と健全なエンゲージメントを図ることで、企業価値の持続的な向上を目指している。2

未確認/到達性まとめ

  • 有報(直近FY)・半期/四半期報告書(直近)・決算短信(直近)・統合報告書(直近版)・公式IR/公式ニュース(直近24ヶ月)を確認した範囲では、当該情報を一次情報として特定できない(調査範囲内では確認できず)。
  • 知財対応表における特許番号および発明名称、ならびに権利者(株式会社アマダ)としての特許の具体的な帰属状況については、公的特許DBの一次情報を確認できなかったため、今回の調査では未確認。

引用文献

  1. 会社概要|企業情報 - アマダ, 3 24, 2026にアクセス、 https://www.amada.co.jp/ja/corporate/profile/
  2. 統合報告書 - アマダ, 3 24, 2026にアクセス、 https://www.amada.co.jp/pdf/ja/ir/document/annual/online/amada2023_all_a4.pdf
  3. 顧客ニーズに応えるアマダのビジネスモデル 豊富な商品ラインナップとエンジニアリング力 グ, 3 24, 2026にアクセス、 https://www.amada.co.jp/pdf/ja/ir/document/annual/online/amada2023_06.pdf
  4. 受賞MF技術大賞2024-2025 MF技術大賞」「MF技術優秀賞」「MF奨励賞」を受賞 - アマダプレスシステム, 3 24, 2026にアクセス、 https://www.amp.amada.co.jp/ja/info/announce/detail/?id=794
  5. 環境レポート|サステナビリティ - アマダ, 3 24, 2026にアクセス、 https://www.amada.co.jp/ja/sustainability/report/

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【本レポートについて】

本レポートは、公開情報をAI技術を活用して体系的に分析したものです。

情報の性質

  • 公開特許情報、企業発表等の公開データに基づく分析です
  • 2025年12月時点の情報に基づきます
  • 企業の非公開戦略や内部情報は含まれません
  • 分析の正確性を期していますが、完全性は保証いたしかねます

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