3行まとめ
特許出願の約8割をCN・DS分野に集中、ポートフォリオを急速転換
日本ガイシは「カーボンニュートラル(CN)」と「デジタル社会(DS)」を成長の柱に据え、全特許出願に占める両分野の割合を2022年度の約45%から2024年度には約80%(CN:48.9%、DS:31.9%)へと急拡大させた。事業・開発・知財の「三位一体」戦略により、経営方針と知財ポートフォリオの連動を加速させている。
売上高6,195億円・国内外特許7,878件の事業基盤でグローバル展開を推進
2025年3月期の連結売上高は6,195億円(5期連続増収)に達し、海外売上比率は約7割を占める。特許保有件数は国内3,275件・海外4,603件の計7,878件に上り、研究開発費296億円(売上高比4.8%)を投じてIPランドスケープ分析やオープンイノベーションを活用した技術基盤の強化を進める。
HEV回帰の追い風と資本効率改善(ROE 10%・PBR 1倍超)が今後の焦点
BEVシフトの鈍化とHEV・PHEV市場の再評価は、排ガス浄化用製品(売上高2,949億円)を主力とする同社に追い風となる。一方、ROEは7.8%(目標10%)、PBRは0.8倍と資本効率・市場評価に課題を残しており、不採算事業の整理と成長領域への集中投資によるポートフォリオ最適化が経営の最重要テーマとなる。
この記事の内容
日本碍子株式会社(NGK INSULATORS, LTD.)は、独自に蓄積したセラミック技術を中核としつつ、事業環境の劇的な変化に対応するための抜本的な事業ポートフォリオの転換を推進する方針を示す。同社が発行した「統合報告書 NGKレポート2025」におけるトップメッセージによれば、創業からの基幹事業であったがいし製品の売上高は、対象期間である2025年3月期の実績において全社売上高の1割未満にとどまる水準に至っており、中核事業の構成が歴史的に大きく変化した事実を明記する。これに伴い、同社は中長期的な経営戦略として「NGKグループビジョン Road to 2050」を掲げ、社会課題の解決に直結する「カーボンニュートラル(CN)」および「デジタル社会(DS)」の2つの領域を新たな成長の柱として設定し、経営資源の集中投下を図る計画を示す。また、同社の事業基盤はグローバル化が著しく進行しており、対象期間(2025年3月期)における実績として、売上高の約7割を海外市場が占め、従業員の6割以上が外国籍によって構成される事業環境にあることを報告する。このため、海外市場において既に広く認知を獲得している「NGK」ブランドの価値をさらに向上させ、グローバル市場における競争力を強化する方針を掲げる。経営課題の解決に向けたアプローチとして、「5つの変革」と称する自己改革のフレームワークを導入し、既存事業の競争力強化に向けた「選択と集中」を実施するとともに、新規事業の継続的な創出を通じた収益力(稼ぐ力)の向上を目標として設定する。一方、事業運営における課題として、デジタルソサエティ事業内の通信機器向けパッケージ事業において、スマートフォンやパーソナルコンピュータ市場の縮小速度に関する見通しを誤り、対応の遅れから多額の営業赤字および減損損失を計上した実績を報告する。この経験を踏まえ、急速に変化する競争環境に対する迅速な対応力の獲得と、事業ポートフォリオの柔軟かつ機動的な再構築を経営の最重要課題として位置づける。1
研究開発投資および技術イノベーションの推進体制において、同社は継続的かつ大規模な資源投下を実施し、次世代技術の創出に向けた基盤を強化する実績を示す。有価証券報告書(第159期)および統合報告書によれば、対象期間である2025年3月期の実績として、研究開発費の総額は296億円を計上し、売上高に対する研究開発費の比率は4.8%(2025年3月31日時点)に達する結果を報告する。このうち、特定の事業セグメントに帰属しない基礎研究等に係る全社的な研究開発費用として、△2,913百万円(調整額、2025年3月期実績)を計上し、中長期的な技術探索への投資を継続する。研究開発および生産のグローバルネットワークとして、対象期間(2025年3月末現在)において世界18カ国に35の事業所を展開し、33の製造拠点を保有する体制を構築する。国内における主要な技術開発拠点として、愛知県に所在する「本社/名古屋事業所」「知多事業所」「小牧事業所」の3拠点が中核的な役割を担い、各事業領域に特化した研究開発および生産活動を展開する。特に、基礎研究や先進的な技術開発を統括する専門組織として「電力技術研究所」を設置し、独自のコア技術の高度化と新製品の創出を牽引する。さらに、自社単独での技術開発にとどまらず、外部の知見を積極的に取り入れるオープンイノベーションを推進する。具体的な協業実績として、東邦ガス株式会社との間で、サブナノセラミック膜を利用した工場排ガスからのCO2分離回収プロセスに関する共同技術開発を推進する方針を示す。また、中部電力株式会社とは、環境負荷低減に向けたアンモニア専焼キルンの実用化に関する共同研究契約を締結する。生産現場における技術実装の事例としては、人工知能(AI)を活用した生産計画の最適化システムをNGKセラミックデバイス株式会社の多治見工場に導入し、電力消費のピークカットを実現するための自動化運用を開始するなどの取り組みを進める。1
知的財産戦略の展開において、同社は長年にわたり蓄積してきた膨大なセラミック技術に関するデータを競争優位性の源泉として位置づけ、特許ポートフォリオの抜本的な構造転換を推進する実績を示す。統合報告書(2025)によれば、対象期間である2025年3月末現在の実績として、日本国内において3,275件、海外において4,603件の特許権を保有する。同社は、事業戦略、開発戦略、知的財産戦略を一体化して推進する「三位一体」の体制を2030年の目指す姿として掲げる。この戦略に基づき、研究開発の注力領域である「カーボンニュートラル(CN)」および「デジタル社会(DS)」分野への特許出願を強力に推し進める。全特許出願件数に占めるCNおよびDS分野の割合の推移として、2022年度実績では両分野の合計が約45%程度であったのに対し、2023年度実績では約65%程度へと上昇し、2024年度実績においてはCN分野が48.9%、DS分野が31.9%となり、両分野の合計が初めて全体の約8割を占めるに至る結果を報告する。高度な知的財産マネジメントの実現に向け、VALUENEX株式会社が提供するデータを活用した「IPランドスケープ」分析を導入する。これにより、自社および競合他社の特許出願の分布状況を可視化するパテントマップを作成し、未開拓の新規用途の探索、研究開発の方向性決定、技術アライアンスの構築、さらには不足技術の外部調達に関する経営の意思決定を支援する体制を構築する。社内における知財活動の推進体制として、事業部門、開発部門、知財戦略部が連携する「知財活動会議」を期初および期中の年2回開催し、2024年度実績として延べ30以上の技術分野で実施する。さらに、全社的な知財マインドの醸成を目的として、2024年度に初の「NGK知財フォーラム」を開催し、営業や事務職を含む約200人の社員に対して生成AIを活用した最新の特許調査ツールの体験会等を提供する。1
事業セグメント別の市場展開と事業環境の分析において、同社は3つの主要な事業領域を通じて多様な産業向けに高付加価値製品を供給する実績を示す。有価証券報告書(第159期)および統合報告書の記載に基づく2025年3月期実績として、「エンバイロメント事業」セグメントでは、自動車排ガス浄化用製品群(ハニセラム、DPF、GPF等)が売上高2,949億円を計上し、同社の最大の中核事業として位置づけられる。同製品群は、高いPM(粒子状物質)捕集効率と低圧力損失を高次元で両立する実績のある製品として市場の評価を獲得する。世界的なバッテリー式電気自動車(BEV)への移行が規制や関税の影響で鈍化する一方、ハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)に対する市場の再評価が高まる傾向にあり、同社は内燃機関をベースとする自社の技術にとってこの市場動向が重要な追い風になると認識する。「デジタルソサエティ事業」セグメントでは、半導体製造装置用製品(セラミックヒーター等)が売上高1,138億円の実績を記録する。経済安全保障の観点に基づく各国の半導体産業育成政策や、生成AIの急速な普及によるデータ通信量の増大が、半導体製造装置需要の継続的な増加をもたらす要因として作用する。「エネルギー&インダストリー事業」セグメントでは、電力関連装置であるがいし製品が売上高511億円、エナジーストレージ分野が売上高65億円の実績を示す。エナジーストレージの主力製品であるNAS電池については、ドイツのBASF社との協業を通じて海外案件を展開するものの、原材料価格の上昇などの外部環境要因により十分な収益の確保には至っていない状況を報告し、今後の事業性を改めて見極める段階にある方針を示す。1
財務実績の推移と資本効率の改善に向けた課題分析において、同社は有価証券報告書(第159期)の「主要な経営指標等の推移」を通じ、対象期間(第155期から第159期)における事業規模の継続的な拡大と財務基盤の強化の実績を示す。第159期(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)の連結財務実績として、売上高は619,513百万円、経常利益は78,249百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は54,933百万円を計上する。売上高は第155期実績の452,043百万円から5年連続で増加傾向を維持し、同社が2025年度の経営見通しとして掲げる売上高目標6,000億円を第159期実績の段階で既に超過達成する結果を示す。財務の健全性指標として、第159期末実績の総資産は1,142,986百万円、純資産は727,506百万円に達し、自己資本比率は第155期実績の56.3%から第159期実績の63.0%へと上昇する推移を示す。一方、資本効率および市場評価に関する指標については経営上の課題が示される。統合報告書によれば、対象期間(2025年3月期)における実績として、自己資本利益率(ROE)は7.8%にとどまる。同社は2025年度の経営目標として「ROE 10%」の達成を掲げており、目標水準に向けた収益性の向上が求められる状況にある。また、株価純資産倍率(PBR)の実績は2025年3月期時点で0.8倍となり、市場からの評価が解散価値とされる1倍を割り込む状況を報告する。これらの課題に対応するため、同社は資本コストを意識した経営手法の導入を推進し、不採算事業の整理や成長領域への積極的な投資を通じた事業ポートフォリオの最適化を進める方針を示す。1
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発行体(会社名) |
ドメイン |
文書名 |
発行日/公表日 |
種別 |
URL |
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日本碍子株式会社 |
ngk.co.jp |
統合報告書 NGKレポート2025 |
2025年 |
統合報告書 |
https://www.ngk.co.jp/sustainability/pdf/2025/ngk2025_a4.pdf |
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日本碍子株式会社 |
ngk.co.jp |
統合報告書「NGKレポート2025」を発行 |
2025年8月29日 |
公式ニュース |
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日本碍子株式会社 |
irbank.net |
有価証券報告書 第159期 |
2025年6月23日 |
法定開示 |
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日本碍子株式会社 |
ngk.co.jp |
拠点情報 |
公表日未確認 |
公式企業情報 |
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金沢大学 |
kanazawa-u.ac.jp |
年報2011 |
2011年 |
公的機関資料 |
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日本碍子株式会社 |
patentimages.storage.googleapis.com |
国際公開公報 WO2005/097703A1 |
公表日未確認 |
特許公報 |
https://patentimages.storage.googleapis.com/f1/0a/c3/e407eec50662b2/WO2005097703A1.pdf |
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中部電力株式会社 |
chuden.co.jp |
テクニカルレポート |
公表日未確認 |
公式資料 |
https://www.chuden.co.jp/seicho_kaihatsu/kaihatsu/digitalbook/169/data/11245/contents.html |
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日本碍子株式会社 |
ngk.co.jp |
IRカレンダー |
公表日未確認 |
公式IR |
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日本碍子株式会社 |
edinet-fsa.go.jp |
有価証券報告書 第159期 |
2025年6月20日 |
法定開示 |
https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100W0X9.pdf |
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日本碍子株式会社 |
ngk.co.jp |
韓国での特許侵害訴訟の上告審判決について |
2019年7月10日 |
公式ニュース |
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日本碍子株式会社 |
ngk.co.jp |
マテリアリティの特定プロセス |
公表日未確認 |
公式サステナビリティ |
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日本碍子株式会社 |
ngk.co.jp |
サステナビリティ トップ |
公表日未確認 |
公式サステナビリティ |
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日本碍子株式会社 |
ngk.co.jp |
知的財産 |
公表日未確認 |
公式サステナビリティ |
https://www.ngk.co.jp/sustainability/governance-property.html |
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種別 |
公表日(または予定日) |
対象期間 |
FY |
根拠URL |
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決算発表 |
2025年4月28日 |
2024年度 |
2025年3月期 |
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機関投資家向け決算説明会 |
2025年4月28日 |
2024年度 |
2025年3月期 |
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株主総会 |
2025年6月26日 |
2024年度 |
2025年3月期 |
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第1四半期決算発表 |
2025年7月31日 |
2025年度第1四半期 |
2026年3月期 |
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第2四半期決算発表 |
2025年10月31日 |
2025年度第2四半期 |
2026年3月期 |
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機関投資家向け決算説明会 |
2025年11月4日 |
2025年度 |
2026年3月期 |
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第3四半期決算発表 |
2026年1月29日 |
2025年度第3四半期 |
2026年3月期 |
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決算発表 |
2026年4月30日 |
2025年度 |
2026年3月期 |
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機関投資家向け決算説明会 |
2026年4月30日 |
2025年度 |
2026年3月期 |
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品目ラベル(公式表記) |
シェア/ポジション(公式表記) |
対象期間または出典資料名 |
掲載場所 |
根拠URL |
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自動車排ガス浄化用製品(ハニセラム、DPF、GPF等) |
高いPM(粒子状物質)捕集効率と低圧力損失を高次元で両立、実績のある製品 |
2025年3月期 |
統合報告書 NGKレポート2025 At a Glance (P.14) |
https://www.ngk.co.jp/sustainability/pdf/2025/ngk2025_a4.pdf |
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半導体製造装置用製品(セラミックヒーター等) |
半導体の製造プロセスにおいて安定した品質を実現 |
2025年3月期 |
統合報告書 NGKレポート2025 At a Glance (P.14) |
https://www.ngk.co.jp/sustainability/pdf/2025/ngk2025_a4.pdf |
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NAS®電池(電力貯蔵用) |
大容量で長寿命な蓄電池であり、エネルギーの安定供給を支える製品 |
2025年3月期 |
統合報告書 NGKレポート2025 At a Glance (P.13, P.14) |
https://www.ngk.co.jp/sustainability/pdf/2025/ngk2025_a4.pdf |
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HDD用圧電アクチュエーター |
精密な位置決めを実現 |
2025年3月期 |
統合報告書 NGKレポート2025 At a Glance (P.14) |
https://www.ngk.co.jp/sustainability/pdf/2025/ngk2025_a4.pdf |
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ベリリウム銅加工品 |
高い強度を持ち、航空機部品などに使用 |
2025年3月期 |
統合報告書 NGKレポート2025 At a Glance (P.14) |
https://www.ngk.co.jp/sustainability/pdf/2025/ngk2025_a4.pdf |
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国 |
特許番号 |
発明名称(公式表記) |
出願人・権利者 |
根拠(公的DBまたは一次情報URL) |
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日本 |
特許第3215839号 |
調査範囲内では確認できず |
当社 (NGK INSULATORS, LTD.) |
https://patentimages.storage.googleapis.com/f1/0a/c3/e407eec50662b2/WO2005097703A1.pdf |
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韓国 |
大韓民国特許第283600号 |
半導体製造装置向けヒーターに関する特許 |
当社 |
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日本 |
特許第4773102号 |
置換フェナントレン化合物を有効成分とするがんを予防および/または治療するための医薬組成物 |
他社または未確認 |
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日本 |
特許第7519241号 |
ライフスタイル提供プログラム、ライフスタイル提供装置、及びライフスタイル提供システム |
他社または未確認 |
https://www.chuden.co.jp/seicho_kaihatsu/kaihatsu/digitalbook/169/data/11245/contents.html |
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日本 |
特許第7536617号 |
高圧流体流入阻止用片開き扉体の配置構造 |
他社または未確認 |
https://www.chuden.co.jp/seicho_kaihatsu/kaihatsu/digitalbook/169/data/11245/contents.html |
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日本 |
特許第7539438号 |
開閉装置監視システム |
他社または未確認 |
https://www.chuden.co.jp/seicho_kaihatsu/kaihatsu/digitalbook/169/data/11245/contents.html |
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日本 |
特許第7554027号 |
異常運転推定システム及びプログラム |
他社または未確認 |
https://www.chuden.co.jp/seicho_kaihatsu/kaihatsu/digitalbook/169/data/11245/contents.html |
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研究開発組織(公式表記) |
拠点(公式表記) |
根拠ページ名 |
URL |
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電力技術研究所 |
本社/名古屋事業所 |
拠点情報 |
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調査範囲内では確認できず |
知多事業所 |
拠点情報 |
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調査範囲内では確認できず |
小牧事業所 |
拠点情報 |
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調査範囲内では確認できず |
石川工場 |
有価証券報告書 第159期 |
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調査範囲内では確認できず |
多治見工場 |
有価証券報告書 第159期 |
日本碍子株式会社(NGK INSULATORS, LTD.)は、愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号に本店を置き、長年にわたる研究開発を通じて培った高度なセラミック技術を中核とする多国籍企業である。同社が提出した有価証券報告書(第159期)における企業の概況によれば、代表取締役社長として小林茂、代表取締役会長兼取締役会議長として清田徳明が経営を牽引する体制を構築する。経営陣の多様性を示す指標として、2025年6月20日(有価証券報告書提出日)時点の実績において、役員構成は男性12名、女性2名となり、役員のうち女性の比率が14%である事実を報告する。同社は創立以来、人間工学や感性工学といった多角的なアプローチを取り入れた研究開発活動を通じて、数多くのものづくりの技術を蓄積してきた。この技術基盤を活用し、きれいで快適・健康な暮らしの実現と、社会・地球環境への貢献を両立させるために、同社グループならではの「魅力的品質」を創出し、顧客に対する独自の価値提供を追求する方針を掲げる。3
同社の中長期的な経営方針を定めるフレームワークとして、「NGKグループビジョン Road to 2050」を策定し、大規模な事業ポートフォリオの転換を目指す計画を示す。同社が発行する「統合報告書 NGKレポート2025」のトップメッセージにおいて、創業以来の基幹事業であったがいし製品の売上高が、対象期間(2025年3月期実績)において全体の1割未満にとどまる水準にまで低下しており、中核事業の構成が歴史的な転換点を迎えている事実を明記する。この事業構造の変化に対応するため、新たな社会課題の解決に直結する「カーボンニュートラル(CN)」および「デジタル社会(DS)」の2つの領域を中長期的な成長エンジンの柱として設定し、研究開発リソースおよび設備投資の集中投下を進める方針を示す。事業のグローバル化の進展を示す指標として、対象期間(2025年3月期実績)において売上高の約7割を海外市場が占め、従業員の構成においても6割以上が外国籍となっている事業環境の現状を報告する。このような多国籍な組織構成と市場基盤を背景に、海外市場において既に広く認知を獲得している「NGK」ブランドの価値をグローバル市場全体でさらに向上させ、次なる成長ステージへの飛躍を目指す決意を表明する。1
経営戦略の実行にあたり、同社は「5つの変革」と称する自己改革の枠組みを設定し、既存事業の競争力強化と新規事業の創出を通じた収益力(稼ぐ力)の向上を目標として掲げる。経営課題の分析において、統合報告書(2025年)のトップメッセージは、デジタルソサエティ事業に属する通信機器向けパッケージ事業において、スマートフォンやパーソナルコンピュータ市場の縮小速度に関する予測を見誤った結果、多額の営業赤字および減損損失を計上した実績を報告する。この事例は、技術動向や需要変化に対する市場環境の読み違えと、それに対する対応の遅れが事業収益に与える甚大な影響を示すものとして位置づけられる。この経験を教訓とし、同社は競争環境の激しい変化に対する迅速な対応力の獲得と、市場動向に合わせた「選択と集中」に基づく事業ポートフォリオの機動的かつ柔軟な再構築を、経営の最重要課題として認識する。1
持続可能な成長を実現するための戦略的基盤として、同社は「マテリアリティ(重要課題)」を特定するための体系的な4つのステップからなるプロセスを導入する。ステップ1の「課題の抽出」プロセスにおいては、GRIスタンダードや持続可能な開発目標(SDGs)などの国際的なフレームワークを参照し、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)に関する課題を網羅的にリストアップした上で、NGKグループの事業特性と最も関連性の高い課題を選択する。ステップ2の「重要度評価」プロセスでは、社内にワーキンググループを組成し、選択された各課題を「事業へのインパクト」および「ステークホルダーの期待・社会へのインパクト」という2つの独立した評価軸を用いて詳細に分析する。この評価過程において、事業インパクトの観点から自社に対する「リスクと機会」を整理し、主要な取り組み案を策定した上で、サステナビリティ推進委員会における審議を実施する。ステップ3の「妥当性確認と特定」プロセスにおいては、ワーキンググループが企業として社会に提供すべき価値について議論を深め、「NGKグループビジョン」や全社的な目標設定との整合性を厳密に確認した上で、取締役会による最終的な承認を得る。ステップ4の「KPI設定」プロセスでは、特定されたマテリアリティの進捗管理と確実な実行を担保するため、具体的な取り組み項目、重要業績評価指標(KPI)、到達目標値、および達成時期を明確に設定し、これらの管理指標についても取締役会を通じて決定を行う方針を示す。1
有価証券報告書(第159期)の「主要な経営指標等の推移」セクションには、第155期(2021年3月期)から第159期(2025年3月期)までの5年間にわたる連結財務実績が極めて詳細に記録されており、同社の事業規模の拡大と財務基盤の変遷を示す。連結売上高の推移において、第155期(対象期間:2021年3月期)の実績は452,043百万円であったが、翌第156期(対象期間:2022年3月期)には510,439百万円へと増加を示す。さらに、第157期(対象期間:2023年3月期)の実績は559,240百万円に拡大し、第158期(対象期間:2024年3月期)の実績は578,913百万円に達する。直近の第159期(対象期間:2025年3月期)においては、売上高の実績が619,513百万円を計上し、5期連続の増収という継続的な規模拡大の傾向を裏付ける。統合報告書において、同社は2025年度の経営見通しとして売上高6,000億円という目標を掲げているが、第159期の実績値をもってこの規模目標を先行して上回る結果を示す。1
利益水準の推移については、外部環境の変動を反映した推移を示す。経常利益の実績は、第155期が53,006百万円であったのに対し、第156期には86,248百万円へと大幅な増加を記録する。その後、第157期には65,887百万円、第158期には63,042百万円と一時的な減少傾向を示すものの、直近の第159期においては78,249百万円へと回復する推移を示す。親会社株主に帰属する当期純利益の実績も同様の軌跡を描き、第155期が38,496百万円、第156期が70,851百万円、第157期が55,048百万円、第158期が40,562百万円となり、第159期においては54,933百万円を計上する。包括利益の実績推移は、為替変動や有価証券評価差額金などの影響を含み、第155期が65,564百万円、第156期が98,684百万円、第157期が82,753百万円、第158期が105,076百万円を記録した後、第159期においては49,751百万円となる結果を示す。5
財務基盤の安定性と資産規模の拡大傾向は、総資産および純資産の推移から確認される。連結総資産の実績は、第155期が908,967百万円であり、第156期には982,833百万円、第157期には1,029,168百万円へと着実に増加し、第158期には1,127,576百万円に達する。第159期においては総資産の実績が1,142,986百万円となり、事業規模の拡大に伴う資産の蓄積を示す。連結純資産の実績推移も同様に恒常的な拡大傾向を示し、第155期が517,892百万円、第156期が589,594百万円、第157期が642,446百万円、第158期が703,225百万円となり、第159期には純資産の実績が727,506百万円に達する。自己資本比率の推移は、これらの純資産の増加を反映し、第155期が56.3%、第156期が59.3%、第157期および第158期がそれぞれ61.7%となり、第159期においては63.0%へと自己資本の厚みが増す推移を示す。1株当たり純資産の実績は、第155期が1,617.33円、第156期が1,871.22円、第157期が2,074.66円、第158期が2,334.21円となり、第159期には2,455.87円に上昇する。5
資本効率および市場評価を示す指標については、経営上の重要課題が明確化される。収益性を示す自己資本利益率(ROE)の推移は、第155期が7.9%、第156期が12.9%、第157期が9.0%、第158期が6.1%となり、第159期においては7.8%の実績を記録する。同社は統合報告書において、2025年度の経営目標として「ROE 10%」を掲げており、直近の第159期実績(7.8%)からこの目標水準を達成するための抜本的な収益性の改善が必要な状況にある事実を示す。株式市場からの評価指標である株価純資産倍率(PBR)について、統合報告書によれば、対象期間である2025年3月期時点の実績において0.8倍となり、解散価値とされる1倍を割り込む状況を報告する。また、有価証券報告書に記載される株価収益率(PER)の実績推移は、第155期が16.6倍、第156期が7.7倍、第157期が9.9倍、第158期が15.3倍となり、第159期には9.9倍を記録する。同社はこれらの指標の現状を踏まえ、資本コストを厳格に意識した経営管理の徹底と、成長事業への適切な資金配分によるポートフォリオの最適化を進める方針を示す。1
資金創出力および投資状況を示すキャッシュ・フローの推移において、営業活動によるキャッシュ・フローは全期間を通じて強固かつ安定した資金創出能力を示す。第155期の実績が85,641百万円、第156期が94,831百万円、第157期が97,949百万円、第158期が99,159百万円となり、第159期には96,658百万円の資金を獲得する。一方で、投資活動によるキャッシュ・フローは恒常的にマイナスの実績を示し、持続的な設備投資および研究開発への積極的な資金投下を反映する。第155期の実績が△51,724百万円、第156期が△46,291百万円、第157期が△52,006百万円、第158期が△68,593百万円となり、第159期においては△55,081百万円を計上する。財務活動によるキャッシュ・フローの推移は、資金調達および配当金支払いの結果を反映する。1株当たり当期純利益の実績は、第155期が121.61円、第156期が226.56円、第157期が177.47円、第158期が133.65円、第159期が185.96円の推移を示す。潜在株式調整後1株当たり当期純利益の実績についても、第155期の121.42円から第159期の185.66円までの推移が記録される。5
同社は有価証券報告書(第159期)における事業セグメントの区分として、「エンバイロメント事業」「デジタルソサエティ事業」「エネルギー&インダストリー事業」の3つの主要な事業単位を構築し、多角的な事業運営を展開する。また、第159期(対象期間:2024年4月1日〜2025年3月31日)において事業セグメントの構成見直しを実施し、従来エネルギー&インダストリー事業に属していた産業用機器製品をエンバイロメント事業へ移管する組織再編を行う。各セグメントは、独自の高度なセラミック技術を中核としながら、それぞれのターゲット市場における競争優位性を追求し、グローバル規模での製品供給体制を構築する。5
エンバイロメント事業セグメントにおいては、自動車排ガス浄化用部品、センサー製品、産業用セラミックス、化学工業用耐食機器、および液・ガス用膜分離装置などを幅広く展開する。統合報告書に基づく2025年3月期実績として、同セグメントにおける最大の中核を担う「自動車排ガス浄化用製品」の売上高は2,949億円を計上する。主要製品であるハニセラム、ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)、およびガソリン・パティキュレート・フィルター(GPF)は、高いPM(粒子状物質)捕集効率と低圧力損失を高次元で両立する実績のある製品として、世界の自動車メーカーから高い評価を獲得する。また、同セグメントにおける「センサー(NOxセンサー等)」の売上高実績は617億円となり、「産業プロセス」分野の売上高実績は338億円を記録する。自動車排ガス浄化用製品を取り巻くマクロの市場環境として、世界的なバッテリー式電気自動車(BEV)へのシフトが各種の環境規制や関税政策の影響を受けて鈍化傾向を示す一方、内燃機関と電動モーターを組み合わせたハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)に対する市場の再評価が高まる動向が確認される。同社は、長年培ってきた内燃機関をベースとする技術領域に強力な強みを有しており、このハイブリッド車への回帰という市場動向が、自社の技術展開にとって重要な追い風になる事実を認識する。これらの製品の生産体制として、米国、欧州、インドネシア、中国、メキシコ、タイなどの各地域に製造拠点を展開し、自動車産業のグローバルなサプライチェーンの要求に対応する。1
デジタルソサエティ事業セグメントにおいては、半導体製造装置用製品、電子工業用製品、ベリリウム銅製品、および金型製品などを展開する。統合報告書に基づく2025年3月期実績として、同セグメントにおける「半導体製造装置用製品」の売上高は1,138億円に達する。主要製品であるセラミックヒーター等のコンポーネントは、半導体の製造プロセスにおいて要求される安定した品質を実現する不可欠な部品として機能する。また、「電子デバイス」分野の売上高実績は313億円、「金属(ベリリウム銅加工品等)」分野の売上高実績は265億円を記録する。ベリリウム銅加工品については、その材料特性である高い強度を活かし、信頼性が厳格に求められる航空機部品などへの用途に適用される。同セグメントを取り巻く事業環境として、経済安全保障の観点から各国政府が自国内での半導体産業の育成に強力に注力する政策動向が継続する。さらに、生成AIの急速な普及に伴うデータ処理量および通信量の飛躍的な拡大が、最先端の半導体およびその製造装置の需要を構造的に押し上げる要因として作用する。同社はこれらの環境変化を半導体製造装置用製品事業の成長を加速させる強力な追い風として位置づけ、市場供給体制の拡充と次世代製品の開発を図る。1
エネルギー&インダストリー事業セグメントにおいては、電力貯蔵用システムおよび電力関連装置(がいし等)を展開し、エネルギーインフラの安定化に寄与する。統合報告書に基づく2025年3月期実績として、同セグメントにおける電力関連装置である「がいし」分野の売上高は511億円、「エナジーストレージ」分野の売上高は65億円を計上する。エナジーストレージ分野の主力製品であるNAS®電池(ナトリウム・硫黄電池)は、2002年に事業化された大容量で長寿命な特徴を有する蓄電池システムであり、再生可能エネルギーの導入拡大に伴う電力網のエネルギー供給の安定化を支える製品として展開される。NAS電池の海外展開に向けた戦略的取り組みとして、ドイツの総合化学メーカーであるBASF社と強力な協業体制を構築し、海外の大規模案件を中心としたプロジェクト推進を実施する。しかしながら、海外案件による売上への貢献は見られるものの、昨今の急激な原材料価格の上昇をはじめとするマクロ経済の外部環境要因による影響を受け、十分な収益の確保には至っていない厳しい事業環境が報告される。同社は今後のNAS電池事業について、収益構造の改善を含めた事業性を改めて慎重に見極める段階にある方針を示す。1
同社は、持続的な成長の源泉である新規事業の創出および既存事業の競争力維持を目的として、積極的な研究開発活動を展開する。有価証券報告書(第159期)および統合報告書の記載によれば、対象期間である2025年3月期の実績として、研究開発費の総額は296億円を計上し、売上高に対する研究開発費の比率は4.8%(2025年3月31日時点)となる結果を示す。有価証券報告書の「セグメント情報」の調整額項目によれば、特定の事業セグメントに帰属しない基礎研究等に係る全社的な費用として、△2,913百万円(2025年3月期実績)が計上され、将来の技術基盤を構築するための先行的な投資が継続される。技術開発の実行基盤となる製造および研究拠点のネットワークは、2025年3月末対象期間の実績として世界18カ国に35の事業所を展開し、製造拠点としては合計33拠点を保有するグローバルな体制を構築する。1
国内における主要な事業所および子会社は、それぞれの立地と歴史的背景に基づき、各事業領域に特化した研究・生産機能を有する。「本社/名古屋事業所(愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号)」は、エンバイロメント事業、デジタルソサエティ事業、およびエネルギー&インダストリー事業の全3事業領域を統括し、全社の技術開発と事業運営の中枢拠点として機能する。「知多事業所(愛知県半田市前潟町1番地)」は1942年に建設された歴史ある拠点のひとつであり、主にデジタルソサエティ事業およびエネルギー&インダストリー事業の生産・技術開発を担当する。「小牧事業所(愛知県小牧市大字二重堀字田神1155番地)」は1962年に建設され、本社と同様に3事業すべての領域に関与し、多様な製品群の生産と技術改良を推進する体制をとる。また、事業規模の拡大に対応するための継続的な設備投資の結果として、2011年に操業を開始した「石川工場」や、2019年に半導体製造装置用製品の新たな専門製造拠点として操業を開始した「多治見工場」など、最新鋭の生産拠点が稼働する。基礎研究および中長期的なコア技術開発を担う中核組織としては「電力技術研究所」が設置され、新製品の創出や歴史に培われた独自技術の高度化を牽引する。2
特定の技術領域や製品群に特化した役割を担うグループ会社の体制として、複数の国内子会社が配置され、専門性の高い技術基盤を提供する。愛知県小牧市に拠点を置く「NGKセラミックデバイス株式会社」は、自動車用および半導体製造装置用セラミックス、電子機能部品などの高度な製造プロセスを担当する。山口県美祢市に所在する「NGKエレクトロデバイス株式会社」は、セラミックパッケージ、絶縁放熱回路基板・電子機能部品などの製造および販売を手掛け、電子デバイス分野の供給を担う。埼玉県所沢市の「NGKケミテック株式会社」は、化学工業向けのグラスライニング製品や耐食ポンプ・バルブの設計・製造・販売・保守サービスを包括的に展開する。神奈川県茅ケ崎市の「NGKフィルテック株式会社」は、医薬用水設備や高度な膜ろ過装置の設計・製造・販売を担う。愛知県名古屋市瑞穂区の「NGKキルンテック株式会社」は、セラミック製造に不可欠な加熱装置の設計・製造・販売を実施する。海外における技術および生産拠点としては、2002年に資本参加を実施した米国の「FM INDUSTRIES, INC.」が、半導体製造装置用モジュールの製造会社として同社のグローバルなサプライチェーンの一翼を担い、現地の需要に迅速に対応する体制を構築する。2
自社の研究開発リソースにとどまらず、外部の専門的な知見や技術を積極的に取り入れるオープンイノベーションの手法を通じた共同研究体制も推進する。具体的な取り組みとして、東邦ガス株式会社との間では、同社の保有するサブナノセラミック膜を利用して工場排ガスから二酸化炭素(CO2)を分離回収するプロセスに関する共同技術開発を推進し、カーボンニュートラルの実現に向けた技術の実装を加速させる方針を掲げる。また、中部電力株式会社とは、環境負荷の大幅な低減を目指すアンモニア専焼キルンの実用化に向けた共同研究契約を締結し、次世代のクリーンエネルギー燃焼技術の開発を実施する。生産現場における最新技術の実装事例として、人工知能(AI)を活用した生産計画の最適化システムを導入する取り組みが行われる。このシステムは、電力消費のピークカットを実現し、生産効率の向上と環境負荷の低減を両立させることを目的としており、NGKセラミックデバイス株式会社の多治見工場にて2025年10月に自動化運用を開始した実績を報告する。1
同社は、持続的な競争優位性を確立するための重要な経営資源として、長年にわたり蓄積してきた膨大なセラミック技術に関するデータを位置づけ、特許ポートフォリオの構造的な転換を推進する知的財産戦略を展開する。特許ポートフォリオの規模を示す指標として、対象期間である2025年3月末現在の実績において、日本国内で3,275件、海外で4,603件の特許権を保有する。同社は、経営戦略の実現に向けた「2030年の目指す姿」として、事業戦略、開発戦略、および知的財産戦略を完全に連動させる「三位一体での推進」を掲げる。この基本方針に基づき、中長期的な注力領域である「カーボンニュートラル(CN)」および「デジタル社会(DS)」の2分野に対して研究開発リソースおよび知財活動を集中的に投下し、出願特許の構成比を急速に転換させる方針を示す。全特許出願件数に占めるCNおよびDS分野の割合の推移を示すデータによれば、2022年度実績においては「その他」の分野が約半分以上を占め、CNとDSの合計は約45%程度にとどまっていた。しかし、戦略的なシフトの結果、2023年度実績には両分野の合計が約65%程度へと大幅に増加し、直近の2024年度実績においてはCN分野が48.9%、DS分野が31.9%となり、これら2分野の合計が初めて全出願の約8割に達する実績を記録する。1
知的財産の戦略的活用と高度な分析を実現するための具体的手法として、外部専門機関のデータを利用した「IPランドスケープ(IPL)」の導入を実施する。知財戦略部は、VALUENEX株式会社が提供する特許データ分析機能とコンサルティングサービスを活用し、自社および競合他社の特許出願の分布状況を直感的に可視化する「パテントマップ」を作成する。このパテントマップ上では、色が赤い領域が出願が密集している技術分野を示す仕組みとなっており、自社の技術ポートフォリオの強みと弱み、および未開拓領域の全体像を俯瞰する体制を構築する。IPランドスケープの実装により、同社は自社が保有する既存のコア技術を起点とした新しい市場や新規用途の探索を実行する。さらに、技術動向の精緻な予測や競合特許群の包囲網を分析することで、研究開発の方向性の決定、事業拡大に向けた技術アライアンスの構築、不足する技術の外部調達(特許購入)、あるいは自社特許のライセンスアウトに関する高度な経営の意思決定を支援する仕組みとして運用する。1
組織的な知的財産マネジメント体制の強化に向け、同社は2023年度に設定した4つの重点課題に基づき、2024年度を起点とする3カ年のロードマップに沿った施策を展開する。知財活動の推進と戦略策定の場として、事業部門、開発部門、および知財戦略部が一体となって議論を行う「知財活動会議」を期初および期中の年2回開催する体制をとる。2024年度実績として、延べ30以上の技術分野についてこの会議が開催され、市場分析や競合状況に基づくあるべき知財戦略の策定および実行計画の進捗フォローが実施される。全社的な知財マインドの醸成を目的とする啓発活動として、2024年度に同社初となる「NGK知財フォーラム」を開催する。同フォーラムには技術開発部門のエンジニアのみならず、営業や事務職を含む約200人の社員が参加し、外部講師による専門的な講演、商標保護の重要性に関する事例紹介、および知的財産の展示が行われる。加えて、生成AIを活用した最新の特許調査・分析ツールの体験会や相談会を実施し、社内の知財スキルの底上げを図る。さらに、優れた知的財産の創出を奨励するための「発明報奨制度」の充実や、社員の専門性向上を支援する既存の「知財教育プログラム」の抜本的な見直しを進める。全社の知財活動状況は年1回、取締役会において包括的に報告され、適切な監督と戦略の改善が図られるガバナンス体制を維持する。1
特許権の保護および権利行使に関するグローバルな動向として、同社は自他の権利を尊重する基本方針を掲げつつ、他社による自社の特許侵害に対しては必要な法的措置を厳格に講じる姿勢を示す。具体的な権利行使の事例として、同社が保有する半導体製造装置向けヒーターに関する韓国特許(大韓民国特許第283600号)に基づき、韓国の企業であるMiCo Ltd.に対して当該ヒーターの製造および販売の差し止めを求める特許侵害訴訟を提起した経緯が存在する。この訴訟の控訴審において、韓国の特許法院が2017年1月20日付で下した判決を不服とし、同社は同年1月25日付で韓国の最高裁判所に相当する大法院に上告を行った。その後の司法判断として、2019年7月10日付で大法院より上告を棄却する旨の判決が下された事実を、公式ニュースリリースを通じて公表する。同社はこの判決結果を受けた後も、引き続き他社が当社の特許を侵害するような事態が発生した場合にはこれを看過することなく、侵害防止のために必要な措置を取っていく所存であるとの強い姿勢を明示する。6
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