本記事は、当社が開催した障害特許網の突破事例紹介
~突破方程式®による突破発明®の創出(米国3M社の特許網を突破した事例)~セミナーのエッセンスをお届けするものです。
セミナーの重要な知見を、どなたでも気軽に学べる形でまとめています。
「何でもいいからアイデアを出して」と言われて困った経験はありませんか?
頭が真っ白になって、何も思い浮かばない。時間だけが過ぎて、結局ありきたりなアイデアしか出ない。そもそも何から考えればいいのかわからない。
こんな「アイデアが出ない」悩みを解決する方法があります!
実は、適度な制約条件を設けることで、むしろ画期的なアイデアが生まれやすくなります。この「制約思考」は、発明塾で400件の特許網(技術を囲い込むたくさんの特許)を突破した実績のある、実証済みのアイデア創出手法です。
適度な制約条件を設けることで、むしろ画期的なアイデアが生まれやすくなる「制約思考」は、発明塾で400件の特許網を突破した実績のある効果的なアイデア創出手法です。
本記事では以下の内容を解説します。
この制約思考を活用することで、従来の発想を突破する画期的なアイデア創出につながります。実際の特許突破事例とともに、今日から使える具体的な手法をご紹介します。
制約があった方がアイデア創出しやすいなんて、最初は意外に感じますよね。普通、自由な方がいいアイデアが出そうに思えます。
でも発明塾の塾長である楠浦はこう説明しています。「人間というのは適度の制約を頭において発明しないとアイデアが生まれないということがわかっています」
その理由は明確です。「これ以外のものを考えて」という指示では「ほぼ何でもいいみたいになるので、これは広すぎて」しまう。
一方で「これとこれを満たす発明考えて」と制約が多すぎると「実際混乱しちゃうとか、忘れちゃうとか、そういうことがよくあります」という状況になります。
つまり「狭すぎるのも広すぎるのも難しい」のです。
重要なのは「適度な大きさ、サイズ感、その人にとって有限の時間内で答えが出せそうと感じる制約条件」を設定すること。この制約設定の巧拙で、アイデア創出の成否がほぼ決まると言えるほど重要な要素なのです。
では、この方法がどれほど効果的か、まず具体的な事例からご紹介し、その後で成功を支えた3つのパターンを解説しましょう。
実際に、この制約思考で大きな成果を上げることができました。
まず、どんな技術の話かご説明します。スマホの画面に保護フィルムを貼るとき、空気が入って泡ができてしまう経験はありませんか?この問題は携帯電話だけでなく、車体の保護フィルムなど様々な場面で発生します。
泡ができるのは、フィルムを貼るときに空気が閉じ込められて逃げ場がなくなるから。スリーエムは、あらかじめ空気の通り道を作っておけば解決できると発想し、粘着剤の部分に細かい溝を事前に作り、そこから空気を逃がすという技術を開発しました。
これが市場シェア90%以上を誇る、貼り付け時に空気の泡が入らないよう工夫されたフィルムです。
スリーエムはこの技術を400件近い特許で守っている状況でした。「剥離ライナー(シールの裏についている保護フィルム)を使って溝を作る」というコア技術で「パラメーター(数値条件)を駆使して広げようとする範囲を広げ、溝の範囲をどんどん広げようとしている」状況だったのです。
そこで制約思考を使って戦略を立てました。スリーエムのコア技術である「溝を作る」技術を避け、「溝じゃないものに何かチャンスがありそう」という方向性を見出したのです。
具体的には「剥離ライナーを扱うけど、溝じゃない、突起じゃない、何かでできないか」という制約を設定しました。この制約により「溝じゃない溝」という新しいコンセプトを創出し、400件の特許網を突破する画期的なアイデアが生まれました。
では、この400件特許突破を可能にした制約思考の具体的な手法をご紹介します。実際に使われた3つのパターンがあります。
最も効果的なのが、積極的制約と消極的制約を組み合わせるパターンです。
スリーエムの特許突破では「剥離ライナーを使うという、ある意味積極的なこれは使ってくださいねっていうのと、突起とか溝はダメという消極的な制約、これの組み合わせがすごく使いやすかった」ことが確認されました。
なぜ効果的なのでしょうか。「あれはダメ、これはダメってやっぱりしんどい」し、「ライナー以外でやってくださいと言われても、何に使ったらいいかよくわからない」からです。しかし「これを使って、これ以外のものを作ってください」という組み合わせなら、考えやすい制約条件になるのです。
相手企業のコア技術を分析し、その大元の技術分野を避ける手法です。
相手企業は「自社のコア技術をベースにした製品展開しか考えていないはずなので、ある種とらわれているはず」という仮説に基づきます。つまり「全然違う技術を前提にした特許まで網羅的に出しているとは思えない」のです。
個別の特許(溝、突起など)ではなく、その背後にある技術分野そのものに注目します。
今回の例では、スリーエムが得意なのは「微細加工技術(非常に細かい加工を行う技術)」全般。だから「微細加工を使わない方法」から攻めるという制約設定をする発想です。
大きな問題を答えの出やすい小さな問いに分割する手法です。
「400件の特許を全て回避する発明」という漠然とした課題を「剥離ライナーを扱うけど、溝じゃない、突起じゃない、何かでできないか」という具体的な制約に細分化することで、急に考えやすくなります。
制約思考は、アイデア創出における強力な発明手法です。3つのパターンを活用することで、従来技術を突破する画期的なアイデアが生まれます。
重要なのは「答えが出せそうと感じる制約条件」を設定すること。この制約思考をマスターすれば、400件の特許網すら突破できる発明創出が可能になります。
※本記事はAI技術を活用して作成しています。内容の正確性に努めておりますが、表現や解釈に独自性がある場合がございます。
本記事で紹介したスリーエム400件特許突破事例は、発明塾®動画セミナー「障害特許網の突破事例紹介」で詳しく解説されています。動画セミナーでは実際の特許調査の進め方や、制約設定の詳細なプロセスまで学ぶことができます。
受講者からは「他社特許の回避案出しをするときの事前準備として役に立つ。どこに狙いを定めて、アイデア出しをすればよいか?今回の場合では、①『ライナーを使わず』、②『空気を抜くことが可能な溝以外の手段』。ここまで落とし込んでいれば、アイデアは複数は、出すことができた」との声をいただいています。
他社の特許網に課題を感じている技術者の方、より実践的な制約思考を学びたい方におすすめのセミナーです。アーカイブ形式のため、ご自身のペースで繰り返し学習いただけます。
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障害特許網の突破事例紹介|発明塾®動画セミナー
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