「発明塾」塾長の楠浦です。
今回は、2025年1月7日に配信を開始した、「動機づけ面接」についての以下動画を解説します。
第1回です。
個人としても仕事でも非常に使える手法であり考え方なので、3回か4回ぐらいに分けて、丁寧に紹介したいと思ってます。
「個」と「組織」を変える動機づけ面接(1)~強み(動機)を育て、行動変容へ~
https://www.youtube.com/watch?v=Qcake2grulU
なんで僕が、「発明・知財」「新規事業」ではなく、「動機づけ」の話をするのか。
実は、これから紹介する「動機づけ面接」の考え方が、「発明塾」の考え方との共通点がとても多いからなんですよね。
理由は多数あるのですが、「なんか、深ーいところでつながってるんとちゃうか?」という勘が働いたこともあって、昨年、ワークショップに参加して「シニアリーダー」の資格を取得しています。
勘は大当たりで、組織として「発明・知財」「新規事業」を進める際はもちろん、「組織変革」「個人の行動変容」に非常に役立つ、実践的かつ効率的な手法でした。
ここでは、その一部を紹介します。
では、本題へ。
この記事の内容
内発的動機付け、という概念があります。
ものすごく簡単に言うと、何か行動を起こす(起こしてもらう)には、自身の中にある動機が大事だ、という考え方ですね。
興味・関心・向上心などに注目し、行動につなげてもらうわけです。
ただ、これは言うは易し行うは難しで、面談形式でも自問自答でもいいのですが、「何がやりたいか」「なぜやりたいか」みたいな話をし始めると、だいたい「自分探しの旅」に出る羽目になります(笑)。
発散しすぎて、現場の仕事のペースに合わないんですよね。
それはそれで大事だとは思うのですが、それでは現場は回らない、というのが実態ではないかなと僕は感じています。
僕も一応社長ですから(笑)、やることが山積みな上に、それなりの数の部下がいます。いろいろ大変ですよね、皆さんも(笑)。
「動機」「動機づけ」という考え方は、理論と実践の間に、大きなギャップがある領域だ、というのが僕の解釈なんですね。
僕は、実践できない理論には興味がないんですわ。実利主義の関西人なんで(笑)。
内発的動機づけという考え方はええんやけど、それ、現場でスピード感持って活用できる手法に、きちんと落とし込まれてますか?ということです。
平たく言うと、「ふわっとした話」には興味が持てないというか、持ってられないんですよね。
ここでは、「動機」(がある・ない)のような「ふわっとした」言葉で終わらせずに、具体的な「行動変容」(アクション)を起こすための、僕が知る限り唯一の手法である「動機づけ面接」のお話をします。
動機づけ面接は、たんなる理論や机上の空論、きれいごとではなく、「依存症患者の治療」という非常にハードな現場で効率的かつ効果的な手法として認められているものですので、「動機づけ」という言葉に関心がある方は、是非お付き合いくださいませ。
多くの方は「変わりたい」という気持ちと「今のままでいたい」という安定への欲求の間で揺れ動いているものです。
これは僕でも同じですね。
目標を立ててもなかなか行動に移せなかった、習慣を変えようとしても挫折してしまった経験は、誰にでもあるでしょう。
このような「動機づけの課題」を解決し、自らの変化を促す鍵となるのが、僕が昨年学んだ「動機づけ面接(MI)」という手法なんですね。
動機づけ面接が、他の心理療法やカウンセリングと大きく異なる点は、人が本来持っている「変わりたい」という内発的な力を引き出すことに焦点を当てていることなんです。
僕が、動機づけ面接を本格的に学び始めたのも、この「誰もが本来もっている力」「強み」を引き出す手法だからなんです。
発明塾の「強みを活かす」という考え方は、新規事業や発明だけでなく、人材育成やカウンセリングにもつながるんですよね。
動機づけ面接は、「変わりたいけど、変わりたくない」という相反する気持ち(両価性)を受け入れることから始まります。
この相反する気持ちを理解し、その人自身が持つ「強み」「資源」や「ちょっとした努力」を活かすことで、無理なく、そして自然な形で行動変容を促していくのが特徴なんです。
例えば、毎日運動しようと決めたものの、実際には仕事でクタクタで、なかなか実行できないという人がいるとします。昔の僕ですね(笑)。
動機づけ面接では、まず「運動したい」という気持ちと「疲れているから休みたい」という気持ちの両方を受け止めてあげるんです。
そして、「過去に運動を続けられた時期があった」とか「今日は駅で階段を上った」など、その人が持つ強みや資源、ちょっとした努力に着目し、それを活かす方法を一緒に探していきます。
特にこの「ちょっとした努力」みたいなものが、結構重要だったりしますね。
ネガティブな気持ちも含め、相手の考えや行動をまるごと認めていくことを「是認(ぜにん)」と言ったりします。
昔僕は、部下が何か言うたびに「えんちゃう」(ええんとちゃうか=それはそれでよいのではないですか)を連呼していて、部下が「楠浦さんに”えんちゃう”って言ってもらえたー」と毎日騒いでいました。
そういう感じでしょうね(笑)。「えんちゃう」から入る、のが是認です。
今回は、「動機づけ面接」の概要を、簡単な例を交えお話しました。
僕は個人的に、「動機」「動機づけ」の議論は、「自分探しの旅」含め、結構泥沼化する領域だなと感じています。
でも、「動機づけ面接」を学んで、実践し始めてから、「ちゃんと具体的な手法が確立されていて、だれでも現場に適用できるものなんだな」「行動変容につなげられるんだな」という気がしています。
この辺りを、少しづつ伝えていって、「動機づけ」が「自分探しの旅」なんかで泥沼化しない(笑)ようになる一助になれば、と思っています。
またお話しますが、動機づけ面接は「言葉」を重視するという点で、「発明塾」との親和性が極めて高く、その結果、僕はこの手法を(日常生活やサービスに)取り入れやすいのかもしれません。
今後も不定期で、動機づけ面接(MI)の基本的な考え方、具体的な手法、そして日常生活やビジネスへの応用について、本メルマガで詳しく解説していきます。
動機づけ面接を学ぶことは、他者だけでなく、自分自身の変化を促す力をも引き出すことにつながるでしょう。
自身や家族、部下の動機づけについて「どうしたらええんやろ?」と悩んでいる方は、ぜひ今後もお読みください。
ご質問なども、お気軽にお寄せください。
できる限り、メルマガで回答して皆様に広く共有していきます。
行動変容を実現する具体的な手法としての「動機づけ面接」、要チェックですよ!
楠浦 拝
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