3行まとめ
SLM社買収関連で906億円の巨額減損、経営トップの報酬全額不支給へ
デジタルマニュファクチャリング事業において、金属3Dプリンター市場の成長率低下と中国メーカーの台頭により、Nikon SLM Solutions AG買収に伴うのれん・無形資産を中心に減損損失906億円を計上。会長CEO・社長COOの賞与および業績連動型株式報酬を全額不支給とする経営責任の明確化が図られた。
売上7,000億円目標は達成も、営業利益率10%・ROE8%の収益性目標は未達
中期経営計画(2022〜2025年度)において売上収益7,000億円目標は複数年度で達成したが、営業利益率10%以上およびROE8%以上の収益性目標は未達に終わる見込み。第161期のROEは0.9%にとどまり、収益力の回復が喫緊の課題となっている。
次期中計で新型ArF液浸露光装置・後工程デジタル露光装置の開発を成長の柱に
2026年5月公表予定の次期中期経営計画(2026〜2030年度)では「短期業績の回復」と「長期成長のための投資」の両立を目指す。研究開発投資率11.2%(約801億円)を維持しつつ、新型ArF液浸露光装置や後工程向けデジタル露光装置の開発、映像事業でのシネマカメラ展開を成長ドライバーとして位置づけている。
この記事の内容
事業概要
株式会社ニコンは、主に映像事業、ヘルスケア事業、精機事業、コンポーネント事業、およびデジタルマニュファクチャリング事業の主要5セグメントにおいて事業を展開している企業である。映像事業においては、新製品である「Z6III」および「Z50II」の販売が好調であり、レンズ交換式デジタルカメラならびに交換レンズともに販売数量を伸ばした実績を持つ。また、中高級機市場のコアファン層に向けたアプローチに加え、若い世代の顧客拡大に注力しており、RED Digital Cinema, Inc.の買収を通じた業務用動画市場での事業拡大を図っている。ヘルスケア事業においては、セグメント売上の6割弱を「ライフサイエンス」分野における生物顕微鏡が占めており、独自の超広角眼底カメラを用いてアイケア分野での疾患の早期発見等に貢献している。精機事業では、FPD装置事業において新型の高精細・高生産性装置の導入を通じて主要顧客との商談を拡大させており、半導体装置事業においては安定した顧客基盤の拡大に注力しつつ、後工程向けデジタル露光装置やArF液浸露光装置の開発を進めている。コンポーネント事業では、高精度光学コンポーネントやEUV関連コンポーネントの採用が進展し、米国の航空宇宙産業向けにX線/CT検査装置等の販売が拡大している。デジタルマニュファクチャリング事業では、子会社であるNikon SLM Solutions AGの大型金属3Dプリンターを中心に、防衛・航空宇宙市場でビジネスを拡大する方針である。有価証券報告書の記載によれば、株式会社ニコンは東京都品川区西大井に本店および最寄りの連絡場所を置き、代表取締役兼会長執行役員CEOが経営を統括している。
財務
株式会社ニコンの財務状況について、有価証券報告書に基づく第157期(2021年3月期、実績)から第161期(2025年3月期、実績)までの連結経営指標等の推移を確認する。最新通期実績である第161期(2025年3月期、実績、有価証券報告書)の売上収益は715,285百万円であった。中期経営計画(2022年4月~2026年3月)において目標として掲げられていた「売上収益7,000億円」については、同中計期間中の複数年度において達成した。しかしながら、収益性に関連する目標である「営業利益率10%以上」および「ROE8%以上」については未達に終わる見込みであることが、2026年3月期第3四半期の決算説明資料において報告された。さらに、2026年3月期第3四半期累計期間における実績として、売上収益はコンポーネント事業以外の事業セグメントでの販売減少や為替影響により減収となった。営業利益に関しては、半導体装置事業やインダストリアルソリューションズ事業における構造改革効果、ならびに精機事業での事業譲渡益があったものの、デジタルマニュファクチャリング事業における非金融資産の減損損失計上や映像事業における製品ミックス変化の影響を受け、大幅な営業損失に転じた。2026年3月期第3四半期の決算補足資料に基づく財務状況として、負債合計は522,204百万円(2026年3月期第3四半期末、実績)であり、親会社の所有者に帰属する持分は576,222百万円(2026年3月期第3四半期末、実績)であった。営業活動によるキャッシュ・フローは第161期(2025年3月期、実績、有価証券報告書)において48,258百万円に達している。
技術・知財
株式会社ニコンの技術および知的財産権に関する取り組みについて、統合報告書(ニコンレポート2025)および公式方針に基づく情報を示す。研究開発投資に関する実績として、2024年度(2024年4月1日~2025年3月31日)における売上収益研究開発投資率は11.2%(実績、統合報告書)であり、研究開発投資額は80,141百万円(実績、統合報告書)に達した。ヘルスケア事業においては、日本、米国、および欧州に研究開発拠点を設立し、アプリケーションの拡充ならびに病理診断のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進している。精機事業においては、将来の成長のための施策として新型ArF液浸露光装置および後工程向けデジタル露光装置の開発が着実に進捗している。知的財産権に関する基本方針は「ニコン行動規範」に明記されており、各国の法や規則が認める範囲において、他者の知的財産権を尊重し、特許、意匠、商標、著作権などの知的財産権の侵害および不適切な使用を行わないことを定めている。また、適法かつ適切な方法で他者から知的財産情報を取得することを規定している。自社の知的財産についても、許可なしで他者が株式会社ニコンの知的財産を使用することを認めない姿勢を公式に示している。なお、具体的な地域別・セグメント別の知的財産権保有件数や市場シェアの数値に関する情報は、参照した統合報告書内には記載されていない旨が確認されている。国内の主要な研究開発拠点の一つであった横浜製作所(生物顕微鏡、FPD露光装置などの研究開発等を実施)については、2025年9月30日を閉鎖予定日とすることが公式ニュースにて発表されている。
戦略・成長
株式会社ニコンの戦略および今後の成長に向けた施策について、決算説明資料および統合報告書の記述を確認する。同社は2026年5月に次期中期経営計画(対象期間:2026年4月~2031年3月)を公表する予定であり、当該計画において「短期業績の回復」と「長期成長のための投資」の両立を目指す方針を示している。事業の構造転換と拡大を目的とした施策として、映像事業においてはシネマカメラへの展開を進めており、その一環としてRED Digital Cinema, Inc.の買収を実施した。デジタルマニュファクチャリング事業においては、Nikon SLM Solutions AGの買収を通じた事業基盤の拡大を図っており、最大の市場である米国に事業拠点を構築している。同社の大型金属3Dプリンター等に関するビジネスは拡大基調にあり、米国や欧州等の防衛・宇宙市場を中心に中長期的な成長を目指す。長期成長に向けた基盤強化策としては、内部管理体制の強化、生産拠点の整備、ならびにITおよびDX(デジタルトランスフォーメーション)投資等に着手している。同時に、政策保有株式および遊休不動産の売却を実施するなど、バランスシートの効率的な運用を推進している。主要株主の状況に関する実績として、エシロールルックスオティカ社の株式を14.2%保有(2026年1月26日現在、実績、決算説明資料)しており、最大20%の保有に関するクリアランスをすでに取得済みであることが報告されている。これらの施策を通じて、既存事業の収益性改善と新規成長領域への資源投下を並行して推進する体制を構築している。
リスク・ESG
株式会社ニコンにおける事業リスクの顕在化およびESG(環境・社会・ガバナンス)に関する取り組みを記述する。事業リスクとして、デジタルマニュファクチャリング事業において、金属3Dプリンター市場の将来成長率の低下、ならびに中国メーカーの台頭を含む競争環境の激化等の状況が確認された。これらを踏まえて同事業全体の将来計画が見直された結果、Nikon SLM Solutions AGの買収に伴うのれんおよび無形資産を中心として、90,600百万円(906億円、2026年3月期第3四半期、実績、決算説明資料)の減損損失が計上された。この事態に伴い、2026年3月期の最終損失および配当予想の引き下げ等に関する経営責任を明確にするため、会長CEOおよび社長COOの2026年3月期に係る賞与ならびに業績連動型株式報酬を全額不支給とする措置が決定された。ESGおよびサステナビリティに関する方針として、同社は「ニコン調達基本方針」を掲げている。この方針は、より良い社会・地球環境づくりと社会の持続的発展の実現を目指すものであり、「ニコン行動規範」に基づいた誠実で公正な資材調達を行うことを定めている。具体的な取り組みとして、CSR調達、責任ある鉱物調達、およびグリーン調達を実施している。また、人的資本の観点においては、「ニコン行動規範」に基づき、各国の法や規則が認める範囲において結社の自由に関する従業員の基本的権利を尊重すること、ならびに多様な働き方と多様性を受容する職場環境を支持することを明記している。
株式会社ニコン(英文名:NIKON CORPORATION)は、関東財務局長に対して有価証券報告書を提出している企業である 1。同社が2025年6月26日に提出した有価証券報告書によれば、同社の事業年度は第161期として2024年4月1日から2025年3月31日までの期間が設定されている 1。同社は東京都品川区西大井1丁目5番20号に本店を置いており、最寄りの連絡場所についても同一の住所地(東京都品川区西大井1丁目5番20号)である旨が記載されている 1。代表者は、代表取締役兼会長執行役員CEOが務めている 1。また、事務連絡者として執行役員CFO、財務・経理本部長が指定されており、連絡先の電話番号は03(3773)1111(代表)であることが公式文書に記載されている 1。同社の有価証券報告書等法定開示書類は、株式会社東京証券取引所(東京都中央区日本橋兜町2番1号)において縦覧に供されている 1。EDINET提出書類における株式会社ニコンの提出者コードはE02271である 1。
同社が発行する統合報告書である「ニコンレポート2025」の編集方針および記載事項について確認する 2。同レポートは、株主をはじめとする幅広いステークホルダーの皆様に向けて、ニコングループの中長期的成長について理解を得ることを目的として制作されている 2。また、企業価値向上について理解を得ることを目的とした「統合報告書」としての位置づけを持つ 2。報告対象期間は、原則として2024年4月1日から2025年3月31日まで(2024年度)と設定されており、一部に2025年4月以降の内容を含んで構成されている 2。同レポート内には、重要性の高い情報を中心に成長戦略ストーリーが簡潔に伝えられている 2。具体的なコンテンツ構成として、マネジメントメッセージのセクションではCEOメッセージおよびCFOメッセージが掲載されている 2。フューチャービジョンのセクションでは、2030年のありたい姿、これからの価値提供領域、ありたい姿を実現するためのアプローチ、ならびに価値創造モデルに関する記載が存在する 2。ニコンのコアの強みを示すセクションでは、経営資源に関する解説、技術力に関する解説、およびブランド力に関する解説が設けられている 2。マネジメントプランのセクションでは、中期経営計画(対象期間:2022年度~2025年度)の進捗報告が行われている 2。サステナビリティのセクションにおいては、ニコンのサステナビリティ方針、社外からの評価、およびイニシアチブへの参画状況が示されている 2。ヒューマンキャピタルマネジメントのセクションでは、人的資本経営に関する方針が記載されている 2。コーポレート・ガバナンスのセクションでは、コーポレート・ガバナンス強化の取り組み、コーポレート・ガバナンス体制、および取締役対談の内容が含まれている 2。コーポレートデータのセクションでは、非財務ハイライト、重要財務指標分析、10年間の主要財務データ、およびインフォメーションが提供されている 2。同レポートにおいて、原則として「当社」や「ニコン」という表記は株式会社ニコンを指し、「当社グループ」や「ニコングループ」は株式会社ニコンおよびグループ会社を示すものと定義されている 2。
株式会社ニコンの財務実績に関する詳細な推移について、同社が提出した有価証券報告書に記載されている第157期(2021年3月期)から第161期(2025年3月期)までの連結経営指標等に基づき確認する 1。
売上収益の推移 株式会社ニコンの売上収益は、第157期(2021年3月期、実績、有価証券報告書)において451,223百万円であった 1。続く第158期(2022年3月期、実績、有価証券報告書)においては539,612百万円となり、前年度から規模を拡大させた 1。第159期(2023年3月期、実績、有価証券報告書)には628,105百万円を記録し、継続して売上収益が増加していることが確認できる 1。さらに、第160期(2024年3月期、実績、有価証券報告書)においては717,245百万円となり、700,000百万円を超える水準に到達した 1。そして、最新通期実績である第161期(2025年3月期、実績、有価証券報告書)における売上収益は715,285百万円であった 1。
税引前利益又は損失(△)の推移 株式会社ニコンの税引前利益又は損失について、第157期(2021年3月期、実績、有価証券報告書)においては△45,342百万円の損失を計上していた 1。しかし、第158期(2022年3月期、実績、有価証券報告書)においては57,096百万円の利益へと黒字転換を果たした 1。第159期(2023年3月期、実績、有価証券報告書)における同指標は57,058百万円となり、前年度と同等の利益水準を維持した 1。その後、第160期(2024年3月期、実績、有価証券報告書)においては42,669百万円となり、第161期(2025年3月期、実績、有価証券報告書)においては4,533百万円の利益を記録した 1。
親会社の所有者に帰属する当期利益又は損失(△)の推移 株式会社ニコンにおける親会社の所有者に帰属する当期利益又は損失は、第157期(2021年3月期、実績、有価証券報告書)において△34,497百万円の損失であった 1。第158期(2022年3月期、実績、有価証券報告書)においては42,679百万円の利益を計上した 1。第159期(2023年3月期、実績、有価証券報告書)においては44,944百万円の利益となり、第160期(2024年3月期、実績、有価証券報告書)においては32,570百万円の利益を確保した 1。最新通期実績である第161期(2025年3月期、実績、有価証券報告書)においては6,123百万円の利益であった 1。
当期包括利益の推移 株式会社ニコンの当期包括利益は、第157期(2021年3月期、実績、有価証券報告書)において4,168百万円であった 1。第158期(2022年3月期、実績、有価証券報告書)においては70,646百万円へと増加した 1。第159期(2023年3月期、実績、有価証券報告書)においては60,094百万円となり、第160期(2024年3月期、実績、有価証券報告書)においては91,724百万円を記録した 1。その後、第161期(2025年3月期、実績、有価証券報告書)においては1,264百万円となった 1。
資産合計の推移 株式会社ニコンの資産合計は、第157期(2021年3月期、実績、有価証券報告書)において989,737百万円であった 1。第158期(2022年3月期、実績、有価証券報告書)においては1,039,566百万円となり、1,000,000百万円(1兆円)の規模を超過した 1。第159期(2023年3月期、実績、有価証券報告書)においては1,050,267百万円となり、第160期(2024年3月期、実績、有価証券報告書)においては1,147,110百万円まで拡大した 1。最新の第161期(2025年3月期、実績、有価証券報告書)における資産合計は1,110,514百万円であった 1。
親会社の所有者に帰属する持分の推移 株式会社ニコンの親会社の所有者に帰属する持分は、第157期(2021年3月期、実績、有価証券報告書)において537,585百万円であった 1。第158期(2022年3月期、実績、有価証券報告書)においては597,681百万円となり、第159期(2023年3月期、実績、有価証券報告書)においては614,966百万円となった 1。第160期(2024年3月期、実績、有価証券報告書)においては683,795百万円へと増加し、第161期(2025年3月期、実績、有価証券報告書)においては637,977百万円であった 1。
親会社所有者帰属持分比率の推移 株式会社ニコンの親会社所有者帰属持分比率は、第157期(2021年3月期、実績、有価証券報告書)において54.3%であった 1。第158期(2022年3月期、実績、有価証券報告書)においては57.5%へと上昇し、第159期(2023年3月期、実績、有価証券報告書)においては58.6%となった 1。第160期(2024年3月期、実績、有価証券報告書)においては59.6%に達し、第161期(2025年3月期、実績、有価証券報告書)においては57.4%であった 1。
親会社所有者帰属持分利益率の推移 株式会社ニコンの親会社所有者帰属持分利益率(ROE)は、第157期(2021年3月期、実績、有価証券報告書)において△6.4%であった 1。第158期(2022年3月期、実績、有価証券報告書)においては7.5%となり、第159期(2023年3月期、実績、有価証券報告書)においては7.4%となった 1。第160期(2024年3月期、実績、有価証券報告書)においては5.0%となり、第161期(2025年3月期、実績、有価証券報告書)においては0.9%であった 1。
1株当たり親会社所有者帰属持分の推移 株式会社ニコンの1株当たり親会社所有者帰属持分は、第157期(2021年3月期、実績、有価証券報告書)において1,464.06円であった 1。第158期(2022年3月期、実績、有価証券報告書)においては1,627.34円となり、第159期(2023年3月期、実績、有価証券報告書)においては1,776.47円となった 1。第160期(2024年3月期、実績、有価証券報告書)においては1,973.68円となり、第161期(2025年3月期、実績、有価証券報告書)においては1,940.15円であった 1。
基本的1株当たり当期利益又は損失(△)の推移 株式会社ニコンの基本的1株当たり当期利益又は損失は、第157期(2021年3月期、実績、有価証券報告書)において△93.96円であった 1。第158期(2022年3月期、実績、有価証券報告書)においては116.23円となり、第159期(2023年3月期、実績、有価証券報告書)においては125.46円となった 1。第160期(2024年3月期、実績、有価証券報告書)においては94.03円となり、第161期(2025年3月期、実績、有価証券報告書)においては17.86円であった 1。
希薄化後1株当たり当期利益又は損失(△)の推移 株式会社ニコンの希薄化後1株当たり当期利益又は損失は、第157期(2021年3月期、実績、有価証券報告書)において△93.96円であった 1。第158期(2022年3月期、実績、有価証券報告書)においては115.58円となり、第159期(2023年3月期、実績、有価証券報告書)においては124.77円となった 1。第160期(2024年3月期、実績、有価証券報告書)においては93.53円となり、第161期(2025年3月期、実績、有価証券報告書)においては17.77円であった 1。
株価収益率の推移 株式会社ニコンの株価収益率(PER)について、第157期(2021年3月期、実績、有価証券報告書)においては損失を計上しているため「−倍(該当数値なし)」と記載されている 1。第158期(2022年3月期、実績、有価証券報告書)においては11.3倍となり、第159期(2023年3月期、実績、有価証券報告書)においては10.8倍となった 1。第160期(2024年3月期、実績、有価証券報告書)においては16.3倍となり、第161期(2025年3月期、実績、有価証券報告書)においては83.0倍であった 1。
営業活動によるキャッシュ・フローの推移 株式会社ニコンの営業活動によるキャッシュ・フローは、第157期(2021年3月期、実績、有価証券報告書)において4,966百万円であった 1。第158期(2022年3月期、実績、有価証券報告書)においては31,351百万円となり、第159期(2023年3月期、実績、有価証券報告書)においては15百万円となった 1。第160期(2024年3月期、実績、有価証券報告書)においては30,767百万円となり、第161期(2025年3月期、実績、有価証券報告書)においては48,258百万円を記録した 1。なお、投資活動によるキャッシュ・フロー等の詳細数値については、一次情報の記載範囲において全年度分が確認できないため記載を割愛する。
株式会社ニコンが展開する主要な事業セグメントについて、統合報告書(ニコンレポート2025)等に基づく概況および戦略的取り組みを詳述する 2。
映像事業において、株式会社ニコンは新製品である「Z6III」の販売が好調である事実を統合報告書において報告している 2。同様に、新製品である「Z50II」の販売についても好調に推移していることが確認されている 2。これらの新製品の販売好調を背景として、同事業においてはレンズ交換式デジタルカメラの販売数量を伸ばした実績を持つ 2。同時に、交換レンズの販売数量についても伸ばしている状況が確認されている 2。顧客戦略としては、中高級機市場に属するコアファン層に対するアプローチを継続するとともに、若い世代の顧客拡大に注力している 2。さらに、同社はRED Digital Cinema, Inc.の買収を実施しており、この買収を通じて業務用動画市場における事業の拡大を図っている 2。また、決算説明資料によれば、映像事業の将来の成長のための施策としてシネマカメラへの展開が着実に進捗していることが示されている 3。
ヘルスケア事業において、株式会社ニコンは複数の領域にまたがるソリューションを展開している。同事業のセグメント売上の6割弱を「ライフサイエンス」分野における生物顕微鏡が占めている事実が、統合報告書において記載されている 2。また、アイケア分野に対する取り組みとして、独自の超広角眼底カメラを用いたソリューションを提供している 2。この超広角眼底カメラの導入を通じて、疾患の早期発見等に貢献していることが報告されている 2。
精機事業は、主にFPD(フラットパネルディスプレイ)装置事業と半導体装置事業の二つの領域で構成されている。FPD装置事業においては、新型の高精細・高生産性装置を開発し、その導入を通じて主要顧客との商談を拡大させていることが統合報告書において示されている 2。一方、半導体装置事業においては、安定した顧客基盤の拡大に注力している 2。将来の成長のための施策として、新型ArF液浸露光装置の開発が進められている 2。さらに、後工程向けデジタル露光装置の開発についても着実に進捗していることが、決算説明資料および統合報告書において報告されている 2。
コンポーネント事業において、株式会社ニコンは高度な光学技術を基盤とした製品群を提供している。同事業では、高精度光学コンポーネントの採用が進展している事実が統合報告書において確認されている 2。また、EUV(極端紫外線)関連コンポーネントについても採用が進展している 2。販売市場の開拓状況として、米国の航空宇宙産業向けに対するアプローチが強化されており、同産業向けにX線/CT検査装置等の販売が拡大していることが報告されている 2。
デジタルマニュファクチャリング事業において、株式会社ニコンは先進的な製造ソリューションの提供を行っている。同事業の最大の市場は米国であり、この米国市場に事業拠点を築いている事実が統合報告書において示されている 2。同社は米国拠点をベースとして、各種ソリューションおよびサービスの提供を展開している 2。事業の核となる製品群として、子会社であるNikon SLM Solutions AGが提供する大型金属3Dプリンターが位置づけられている 2。この大型金属3Dプリンターを中心として、防衛・航空宇宙市場におけるビジネスの拡大を図る方針が示されている 2。決算説明資料においても、SLM社のビジネスは拡大基調にあることが確認されており、米国および欧州等の防衛・宇宙市場を中心に中長期的な成長を目指す方針が明記されている 3。
株式会社ニコンの直近の業績動向および財務状況について、2026年3月期第3四半期の決算短信および決算説明資料に基づき確認する。
2026年3月期第3四半期累計実績(前年比)における経営状況として、株式会社ニコンの売上収益は減収となった 3。この減収の要因として、コンポーネント事業以外の事業セグメントにおける販売減少が挙げられている 3。また、為替影響も減収の要因として働いたことが報告されている 3。一方、同第3四半期単体(Q3実績、前年比)における売上収益についても減収となった 3。この単体期間における減収の要因としては、為替効果があった一方で、主に精機事業における販売減少が生じたことが挙げられている 3。 営業利益の状況について、2026年3月期第3四半期累計実績では大幅な営業損失に転じた 3。利益を押し上げるプラスの要因として、半導体装置事業およびインダストリアルソリューションズ事業における構造改革効果が発現したことが記載されている 3。さらに、精機事業における事業譲渡益の発生もプラス要因として寄与した 3。しかしながら、これらを上回る下振れ要因が発生した。下振れ要因の一つとして、映像事業における製品ミックスの変化が挙げられている 3。そして最大の下振れ要因として、デジタルマニュファクチャリング事業における非金融資産の減損損失の計上が報告されている 3。
デジタルマニュファクチャリング事業における減損損失の計上に関する事項として、株式会社ニコンは2026年3月期第3四半期の決算説明資料において複数の事実を報告している 3。同社は、事業環境の変化を示す指標として、第一に金属3Dプリンター市場の将来成長率の低下を確認した 3。第二の要因として、中国メーカーの台頭を含む競争環境の激化を確認した 3。これらの市場環境の変動を踏まえ、株式会社ニコンはデジタルマニュファクチャリング事業全体の将来計画を見直す措置を実施した 3。この計画見直しの結果として、SLM社(Nikon SLM Solutions AG)買収に伴うのれんを中心とする非金融資産の減損損失を認識した 3。同時に、同買収に伴う無形資産を中心とする非金融資産の減損損失も認識した 3。これらにより、同社は90,600百万円(906億円、2026年3月期第3四半期、実績、決算説明資料)の減損損失を2026年3月期第3四半期の実績として計上した 3。
2026年3月期第3四半期の決算短信(補足資料)に基づく、株式会社ニコンの負債および資本の構成状況は以下の通りである 4。当第3四半期末(2026年3月期第3四半期末)における実績数値として、負債の部においては繰延税金負債が4,328百万円(2026年3月期第3四半期末、実績、決算補足資料)であった 4。その他の金融負債は13,760百万円(2026年3月期第3四半期末、実績、決算補足資料)であり、その他の非流動負債は4,858百万円(2026年3月期第3四半期末、実績、決算補足資料)であった 4。これらの各項目を含む非流動負債合計は153,822百万円(2026年3月期第3四半期末、実績、決算補足資料)となった 4。流動負債等を合算した負債合計は522,204百万円(2026年3月期第3四半期末、実績、決算補足資料)であった 4。 資本の部においては、資本金が65,476百万円(2026年3月期第3四半期末、実績、決算補足資料)として計上されている 4。自己株式は△7,207百万円(2026年3月期第3四半期末、実績、決算補足資料)であり、その他の資本の構成要素は109,513百万円(2026年3月期第3四半期末、実績、決算補足資料)であった 4。利益剰余金は408,439百万円(2026年3月期第3四半期末、実績、決算補足資料)となった 4。これらの結果として、親会社の所有者に帰属する持分は576,222百万円(2026年3月期第3四半期末、実績、決算補足資料)となり、非支配持分は1,401百万円(2026年3月期第3四半期末、実績、決算補足資料)であった 4。
株式会社ニコンは、対象期間を2022年4月から2026年3月とする中期経営計画を策定し、その進捗状況を決算説明資料において報告している 3。同中期経営計画においては、財務計数に関する目標が設定されていた。その一つである「売上収益7,000億円」の目標については、4年間の中計期間中の複数年度において達成した実績が確認されている 3。一方で、収益性に関連する目標として「営業利益率10%以上」が掲げられていたが、これについては未達に終わる見込みであることが公表された 3。さらに、もう一つの収益性関連目標である「ROE8%以上」についても、同様に未達に終わる見込みであることが示されている 3。
現行の中期経営計画に続く次期計画として、株式会社ニコンは対象期間を2026年4月から2031年3月とする次期中期経営計画を策定中であり、2026年5月に公表予定であることを決算説明資料において明らかにしている 3。この次期中期経営計画においては、経営の基本方針として「短期業績の回復」と「長期成長のための投資」の両立を目指すことが明記されている 3。長期成長のための投資の具体例として、前述の映像事業におけるシネマカメラへの展開、精機事業における新型ArF液浸露光装置および後工程向けデジタル露光装置の開発など、将来の成長のための施策が位置づけられており、これらが着実に進捗していることが報告されている 3。
経営責任の明確化に関する事項として、株式会社ニコンは決算説明資料において役員報酬の減額措置を公表している 3。同社は、2026年3月期に係る最終損失の発生、および同期間に係る配当予想の引き下げ等を受け、経営責任を明確にするための決定を下した 3。具体的な措置内容として、会長CEOの2026年3月期に係る賞与を全額不支給とすることを決定した 3。さらに、会長CEOの2026年3月期に係る業績連動型株式報酬についても全額不支給とすることを決定した 3。同様の措置として、社長COOの2026年3月期に係る賞与を全額不支給とすることを決定した 3。加えて、社長COOの2026年3月期に係る業績連動型株式報酬についても全額不支給とすることを決定した 3。
長期成長のための経営基盤の強化策として、株式会社ニコンは複数の施策に着手している。第一に、内部管理体制の強化に着手している 3。第二に、生産拠点の整備を進めている 3。第三に、ITおよびDX(デジタルトランスフォーメーション)に対する投資を実行している 3。同時に、同社はバランスシートの効率的な運用を推進しており、その一環として政策保有株式の売却を実施している 3。さらに、遊休不動産の売却についてもバランスシート効率化の手段として推進していることが記載されている 3。 主要株主の状況に関連する実績として、株式会社ニコンは決算説明資料において、特定企業との関係性を報告している。同社は、エシロールルックスオティカ社の株式を保有しており、その保有比率は14.2%(2026年1月26日現在、実績、決算説明資料)となっている 3。さらに同社に関する追加の状況として、最大20%の保有に関するクリアランスをすでに取得済みであることが同資料において明記されている 3。
株式会社ニコンは各事業分野における技術力向上を目的とした研究開発投資を継続的に実施している。統合報告書(ニコンレポート2025)の開示内容によれば、2024年度(対象期間:2024年4月1日~2025年3月31日)における売上収益研究開発投資率は11.2%(実績、統合報告書)であった 2。また、同期間における研究開発投資額は80,141百万円(実績、統合報告書)に達した 2。 研究開発拠点のグローバル展開について、ヘルスケア事業においては複数の地域にまたがる体制を構築している。具体的には、日本国内に研究開発拠点を設立している 2。同時に、米国においても研究開発拠点を設立している 2。さらに、欧州地域においても研究開発拠点を設立している事実が報告されている 2。これらのグローバルな体制の下で、アプリケーションの拡充を推進するとともに、病理診断のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進めている 2。
国内における研究開発および製造の拠点に関する事項として、横浜製作所の再編に関する公式発表が存在する 5。株式会社ニコンの公式ニュースにて公表された情報によれば、当該拠点の名称は「横浜製作所」であり、その所在地は神奈川県横浜市栄区長尾台町471である 5。当該拠点の敷地面積は、約2万m2(約2万平方メートル)となっている 5。 当該拠点における主な事業内容として、第一に生物顕微鏡の研究開発および製造が挙げられる 5。第二に、工業顕微鏡の研究開発および製造が行われている 5。第三に、産業機器の研究開発および製造が実施されている 5。ならびに、FPD露光装置などの研究開発等が含まれている 5。 同社は、この横浜製作所について、2025年9月30日を閉鎖予定日として公式ニュースで公表した 5。本報告書の調査時点(2026年4月23日)において、閉鎖が完了した旨を報告する後続の公式発表は調査範囲内では確認できず、発表時のステータスに基づき予定として記述する。
知的財産権の取り扱いに関する基本方針について、株式会社ニコンは「ニコン行動規範」を制定し、その中で詳細な規定を設けている 6。同規範において、株式会社ニコンおよび同社の従業員は、許可なしで他者が株式会社ニコンの知的財産を使用することを認めない方針を明示している 6。同時に、他者の知的財産権を尊重する姿勢を強調しており、具体的には特許の侵害および不適切な使用を行わないことを定めている 6。さらに、意匠に関する侵害および不適切な使用を行わないこと、商標に関する侵害および不適切な使用を行わないこと、著作権などの知的財産権に関する侵害および不適切な使用を行わないことを規定している 6。 また、他者から知的財産情報を取得する際の手続きについても規定が設けられており、適法な方法で取得すること、かつ適切な方法で取得することが義務付けられている 6。これらの規定を通じて、技術力とブランド力を支える知財ガバナンス体制を維持している。
サプライチェーンの管理および資材の調達に関する方針として、株式会社ニコンは「ニコン調達基本方針」を公式ウェブサイト等を通じて掲げている 7。当該方針の適用範囲については、「株式会社ニコンおよび国内外の子会社」と定義されている 7。また、関連会社に対しても当該基本方針、またはそれに準ずる内容の方針を適用することを推奨する措置をとっている 7。 この調達基本方針は、より良い社会の実現に向けた企業活動の一環として位置づけられており、同時に地球環境づくりへの貢献を目指すものである 7。さらに、社会の持続的発展の実現を目指す企業としての姿勢を示すものであり、社会に役立つ製品を提供し続けること、ならびに社会に役立つソリューションを提供し続けることを目的としている 7。 具体的な調達活動の実行にあたっては、前述の「ニコン行動規範」に基づいた行動を要求しており、誠実な資材調達を行うこと、および公正な資材調達を行うことを定めている 7。調達における具体的なサステナビリティに関する方針項目として、同社は第一に「CSR調達」の実施を掲げている 7。第二に「責任ある鉱物調達」を推進している 7。第三に「グリーン調達」の枠組みを導入し、環境負荷の低減に配慮した調達活動を展開している 7。
人的資本経営および職場環境に関連する方針として、同社の「ニコン行動規範」においては、各国の法や規則が認める範囲において結社の自由に関する従業員の基本的権利を尊重することが記載されている 6。さらに、多様な働き方を支持するとともに、多様性を受容する職場環境を支持する方針が示されている 6。他者の権利を不当に侵害するものでない限りにおいて、異なる意見を相互に認め合い、異なる価値観を相互に認め合う組織文化の醸成を目指している 6。これらの取り組みを通じて、一人ひとりの従業員が自己の能力を最大限発揮できる環境の構築を目指すとともに、嫌がらせのない職場環境の維持に努めている 6。
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開示・イベント名称 |
対象期間・期日 |
概要・内容 |
出典 |
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有価証券報告書 |
第161期(2024年4月1日~2025年3月31日) |
2025年6月26日に関東財務局長へ提出。連結経営指標等の過去5年分の実績を記載。 |
1 |
|
ニコンレポート2025 |
2024年4月1日~2025年3月31日(一部2025年4月以降含む) |
統合報告書。成長戦略ストーリー、中期経営計画進捗、財務・非財務ハイライト等を記載。 |
2 |
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2026年3月期 第3四半期 決算報告 |
2026年3月期 Q3 |
決算短信・説明資料。減損損失の計上、役員報酬の減額、次期中計の予定等を公表。 |
3 |
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拠点名称 |
所在地 |
事業内容・役割 |
状況 |
出典 |
|
株式会社ニコン 本店 |
東京都品川区西大井1丁目5番20号 |
本店・最寄りの連絡場所 |
稼働 |
1 |
|
横浜製作所 |
神奈川県横浜市栄区長尾台町471 |
生物顕微鏡、工業顕微鏡、産業機器等の研究開発および製造、FPD露光装置等の研究開発 |
2025年9月30日閉鎖予定と公表 |
5 |
|
米国事業拠点 |
米国 |
デジタルマニュファクチャリング事業の拠点。大型金属3Dプリンター等のソリューション提供のベース。 |
稼働 |
2 |
|
研究開発拠点 |
日本・米国・欧州 |
ヘルスケア事業におけるアプリケーション拡充・病理診断DX化の推進 |
稼働 |
2 |
|
指標名 |
単位 |
第157期(21/3期) |
第158期(22/3期) |
第159期(23/3期) |
第160期(24/3期) |
第161期(25/3期) |
出典 |
|
売上収益 |
百万円 |
451,223 |
539,612 |
628,105 |
717,245 |
715,285 |
1 |
|
税引前利益又は損失(△) |
百万円 |
△45,342 |
57,096 |
57,058 |
42,669 |
4,533 |
1 |
|
親会社の所有者に帰属する当期利益又は損失(△) |
百万円 |
△34,497 |
42,679 |
44,944 |
32,570 |
6,123 |
1 |
|
当期包括利益 |
百万円 |
4,168 |
70,646 |
60,094 |
91,724 |
1,264 |
1 |
|
親会社の所有者に帰属する持分 |
百万円 |
537,585 |
597,681 |
614,966 |
683,795 |
637,977 |
1 |
|
資産合計 |
百万円 |
989,737 |
1,039,566 |
1,050,267 |
1,147,110 |
1,110,514 |
1 |
※本表は有価証券報告書(提出日:2025年6月26日)の記載実績に基づく。
以下の項目については、指定された調査範囲の一次情報(有価証券報告書、決算短信、決算説明資料、統合報告書、公式ニュース等の提出済み資料)内を確認した範囲では特定できない、あるいは情報が存在しない旨が一次情報上で言及されていたため記載を見送った。
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本レポートは、公開情報をAI技術を活用して体系的に分析したものです。
情報の性質
ご利用にあたって
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