3行まとめ
FY2025/26売上高は過去最高の830.75億米ドルに到達
LenovoはFY2025/26にグループ売上高83,075百万米ドル、前年比20%増を記録し、800億米ドルを上回る過去最高水準に達した。主力のIDGは58.9十億米ドル、SSGは10.0十億米ドルの売上高となり、デバイス、サービス、インフラの複合成長が示された。
2025年4月にCTO OrganizationとLATCを設立
Lenovoは2025年4月にCTO Organizationを設立し、Lenovo ResearchとLenovo AI Technology Center(LATC)を主要なR&Dエンジンに位置付けた。FY2025/26の研究開発費は2,490,403千米ドルで、AI、ヘテロジニアス・コンピューティング、ワイヤレス通信などを重点領域としている。
SEPライセンス紛争を和解・仲裁で事業リスク管理
LenovoはNokiaとの2021年の特許クロスライセンス契約で全管轄区域の係争を解決し、Ericssonとは2025年4月に一部和解して残る紛争を仲裁へ移した。InterDigital案件では英国控訴院がFRANDレートをデバイス1台あたり0.225米ドル、総額178.3百万米ドルと判断し、SEP対応が知財戦略上の重要課題となっている。
この記事の内容
事業概要: Lenovo Group Limited(聯想集團有限公司)は、香港証券取引所に株式コード992、人民元カウンター80992で上場する企業である。同社は普通株式として香港証券取引所に上場しており、上場日は1994年2月14日である。2026年3月31日終了年度の開示では、Intelligent Devices Group(IDG)、Solutions and Services Group(SSG)、Infrastructure Solutions Group(ISG)が主要な事業グループとして示されている。IDGにはPC、タブレット、スマートフォン等のデバイス関連事業が含まれ、SSGにはマネージドサービス、プロジェクト・ソリューションサービス、サポートサービス等が含まれる。ISGにはサーバー、ストレージ、インフラ関連事業が含まれる。Lenovo Research公式サイトでは、北京、上海、深圳、天津、武漢、ローリー、シカゴ、シリコンバレー、横浜、エディンバラ、ロンドン、テルアビブ等の研究センターが示されている [1] [6] [26]。
財務: 2026年3月31日終了年度のFY2025/26 Annual Results Announcementによると、グループ売上高は83,075百万米ドルで、前年比20%増であった。同資料では、売上高が800億米ドルを上回り、過去最高水準に達したことが示されている。粗利益は12,809百万米ドル、粗利益率は15.4%、営業経費は9,547百万米ドル、営業利益は3,262百万米ドルであった。その他の営業外収益・費用の純額はマイナス592百万米ドル、税引前利益は2,670百万米ドル、当期利益は2,160百万米ドルであった。親会社の株式保有者に帰属する利益は1,912百万米ドルであり、基本的1株当たり利益は15.63米セント、希薄化後1株当たり利益は13.91米セントであった。IDGの売上高は58.9十億米ドル、SSGの売上高は10.0十億米ドルであり、SSG売上高に占めるマネージドサービスおよびプロジェクト・ソリューションサービスの構成比は62%であった [1]。
技術・知財: Lenovoは2025年4月にCTO Organizationを設立し、技術戦略の主導、グローバルR&D活動の調整、イノベーションの商業化加速を担う組織として位置付けている。同組織は、Lenovo ResearchとLenovo AI Technology Center(LATC)を主要なR&Dエンジンとしている。Lenovo Researchは1999年に設立され、LATCは2025年4月に設立された。公式研究開発サイトでは、AI、デバイスイノベーション、ヘテロジニアス・コンピューティング、持続可能なコンピューティング、ロボティクス、ワイヤレス通信、ヒューマン・マシン・インタラクション、サイバーセキュリティ、スマートな垂直ソリューション開発が研究領域として示されている。知的財産については、FY2023/24 Environmental, Social and Governance Reportにおいて、特許、著作権、商標、機密情報、関連する契約上の権利を含む知的財産権を保護する方針が記載されている [6] [9]。
戦略・成長: Lenovoは通信規格やインフラストラクチャに関連する標準必須特許を巡り、Nokia、Ericsson、InterDigital等とのライセンス契約、和解、司法判断、仲裁に関する開示を行っている。Nokiaとは2021年に複数年・複数技術の特許クロスライセンス契約を締結し、両社間の全管轄区域における係争中の特許訴訟およびその他の手続が解決された。Nokiaとのデータセンター関連では、AIおよび機械学習ワークロード向けにLenovo ThinkSystemのサーバーおよびストレージとNokia Data Center Fabricを組み合わせるSovereign AIデータセンター・ブループリントが公開されている。Ericssonとは2025年4月に特許ライセンス紛争の一部和解に達し、進行中の訴訟・行政手続を終了させ、残る特許ライセンス紛争について仲裁で解決することに合意した [16] [17] [18] [19]。
リスク・ESG: Lenovoの開示資料では、標準必須特許およびFRAND条件に関する紛争が知的財産関連の重要な論点として扱われている。InterDigitalとの英国FRAND訴訟では、英国高等法院および英国控訴院でライセンス料率、過去販売に対する支払い、利息、非FRAND要因の調整、出訴期限の扱いが争われた。2024年7月の英国控訴院判決後、InterDigitalは2024年10月にLenovoと新たな特許ライセンス契約に入ることで合意し、最終条件は拘束力ある仲裁で決定されると発表した。ESGでは、LenovoはFY2025/26までにグローバルオペレーションの電力90%を再生可能エネルギー源から調達する目標をCDP回答で示している。また、取締役会の多様性について、2025年4月1日付の非執行取締役任命後に取締役会レベルの女性代表比率が25%に達したことを2024/25 Annual Reportで記載している [2] [4] [21] [23]。
Lenovo Group Limited(聯想集團有限公司)は、香港証券取引所に株式コード992、人民元カウンター80992で上場する企業である。同社は普通株式として香港証券取引所に上場しており、上場日は1994年2月14日である [26]。
2026年3月31日終了年度のFY2025/26 Annual Results Announcementによると、対象企業のグループ売上高は83,075百万米ドルであり、前年比(Year-on-year change)で20%の増加を記録した。同資料には、この数値が800億米ドルを上回る「record US$83.1 billion」であることが記載されている [1]。
粗利益(Gross profit)のFY2025/26実績は12,809百万米ドルであり、前年比15%増であった。粗利益率(Gross profit margin)は15.4%であった。営業経費(Operating expenses)のFY2025/26実績は9,547百万米ドルであり、前年比7%増であった。営業利益(Operating profit)は3,262百万米ドルであり、前年比51%増であった。その他の営業外収益・費用の純額(Other non-operating income/(expenses) – net)はマイナス592百万米ドルであり、税引前利益(Profit before taxation)は2,670百万米ドルであった。当期利益(Profit for the year)は2,160百万米ドルであり、そのうち親会社の株式保有者に帰属する利益(Profit attributable to equity holders of the Company)は1,912百万米ドルであった。親会社の株式保有者に帰属する1株当たり利益(Earnings per share)は、基本(Basic)で15.63米セント、希薄化後(Diluted)で13.91米セントであった [1]。
各事業グループの実績に関する記述として、PC事業における第4四半期のグローバルPC市場シェアは24.4%であり、前年同期比で1.3パーセントポイント増加したことが示されている。Intelligent Devices Group(IDG)のFY2025/26実績における売上高は58.9十億米ドルであり、営業利益率は7.2%であった。Solutions and Services Group(SSG)のFY2025/26実績における売上高は10.0十億米ドルであり、前年比19%の成長を記録した。マネージドサービスおよびプロジェクト・ソリューションサービスのSSG売上構成比は62%に達した。Infrastructure Solutions Group(ISG)については、同資料において四半期売上高、営業利益、営業利益率に関する過去最高水準の実績が記載されている [1]。
コーポレートガバナンスとESG(環境・社会・ガバナンス)に関する実績と目標として、Lenovoの2024/25 Annual Reportでは、取締役会(Board of Directors)の多様性に関する記述が含まれている。同資料によれば、Lenovoは2022年にFY2025/26までに取締役会の女性比率を20%に到達させる目標を設定していた。2025年4月1日付で1名の女性と1名の男性の非執行取締役が任命されたことに伴い、取締役会レベルの女性代表比率が25%に達したことが報告されている [2]。
気候変動に関する取り組みとして、Lenovoの2025 CDP Combined Responseでは、FY2025/26までにグローバルオペレーションの電力の90%を再生可能エネルギー源から調達する目標が記載されている。同回答では、再生可能電力の調達に関する取り組みとして、太陽光発電、電力購入契約、Renewable Energy Credits、International Renewable Energy Certificates、Guarantees of Origin、Non-fossil certificates等の手段が記載されている [4]。
FY2025/26 Annual Results Announcementにおける営業経費(Operating expenses)の内訳として、Research and development expenses(研究開発費)のFY2025/26実績は2,490,403千米ドルであり、FY2024/25の2,288,204千米ドルから増加している [1]。このほか、Selling and distribution expenses(販売・流通費)のFY2025/26実績は4,049,100千米ドル、Administrative expenses(一般管理費)のFY2025/26実績は3,092,286千米ドルであった [1]。
研究開発に関連する個別の費用項目として、R&D Related Laboratory Testing, Services, and Supplies(R&D関連の実験室試験、サービス、および備品費)のFY2025/26実績は536,952千米ドルであり、FY2024/25実績の422,427千米ドルから増加した。同資料では、新製品の研究開発への継続的な投資により、当該費用が115百万米ドル増加したことが記載されている [1]。
また、Lenovoは研究開発プロジェクトおよび有形固定資産の建設に関して、政府からインセンティブおよび助成金(Government R&D Incentives and Grants)を受領している。関連する負債のFY2025/26実績は133,731千米ドル、FY2024/25実績は98,350千米ドルであった [1]。
知的財産に関連する財務項目として、特許、技術、および社内利用ソフトウェアを含むIntangible Assets(無形資産)の増減が記録されている。社内利用ソフトウェアを除く無形資産の償却費(Amortization of Intangible Assets)のFY2025/26実績は109,930千米ドルであり、FY2024/25実績の151,419千米ドルから推移した。また、無形資産の減損および償却(Impairment and Write-off of Intangible Assets)のFY2025/26実績は234,316千米ドルであり、FY2024/25実績は123,140千米ドルであった。無形資産の売却損(Loss on Disposal of Intangible Assets)のFY2025/26実績は812千米ドルであり、FY2024/25実績は2,954千米ドルであった [1]。
Lenovoの2010/11 Annual Reportにおける会計方針の記述によると、取得した特許(acquired patents)、技術、およびマーケティング権に関する支出は取得時の歴史的コストとして資産化され、最長5年の耐用年数にわたって定額法(straight-line method)を用いて償却する方針が示されている [5]。
研究開発のグローバル体制に関して、Lenovo Research公式サイトによると、2025年4月にLenovo CTO Organizationが設立された。同組織は、Lenovoの技術戦略を主導し、グローバルなR&D活動を調整し、イノベーションの商業化を加速することを目的としている。同組織は2つの主要なR&Dエンジンを基盤としている。一つは1999年に設立されたLenovo Researchであり、IT、コンピューティング、インテリジェントデバイス、デジタルサービスに関する技術開発に関与してきた。もう一つは2025年4月に設立されたLenovo AI Technology Center(LATC)であり、Lenovoの応用AIテクノロジーのハブとして機能し、Personal AI TwinおよびEnterprise AI Twinの戦略的ビジョンをサポートするコアテクノロジープラットフォームの構築に焦点を当てている [6]。
R&Dの注力領域(Areas of Research)として、公式ページにはAI、デバイスイノベーション、ヘテロジニアス・コンピューティング、持続可能なコンピューティング(sustainable computing)、ロボティクス、ワイヤレス通信、ヒューマン・マシン・インタラクション、サイバーセキュリティ、およびスマートな垂直ソリューション開発が含まれることが明記されている [6]。
CTO Organizationはグローバルな企業R&D機関として世界各地に研究センターを配置している。中国国内では北京(Beijing)、上海(Shanghai)、深圳(Shenzhen)、天津(Tianjin)、武漢(Wuhan)に所在し、米国ではローリー(Raleigh)、シカゴ(Chicago)、シリコンバレー(Silicon Valley)に所在する。英国ではエディンバラ(Edinburgh)およびロンドン(London)、イスラエルではテルアビブ(Tel Aviv)、日本では横浜(Yokohama)に研究センターが設けられている。また、ドイツとインドにもR&D professionalsが配置されている。さらに、Lenovoは技術専門家に昇進プラットフォームを提供するグローバルTechnical Ladder programを導入している [6]。
Lenovoが発行したFY2023/24 Environmental, Social and Governance Reportにおいて、知的財産に関する保護および管理方針が記載されている。知的財産はLenovoにとって価値ある資産(valuable asset)と位置付けられ、知的財産権(Intellectual property rights)には、特許、著作権、商標、機密情報、および関連する契約上の権利が含まれると定義されている。Lenovoは、これらの適用可能な法的保護形態を使用して自社の知的財産を保護する方針を示している [9]。
従業員に対する要件として、Lenovoの従業員は機密情報および知的財産に関する同社との合意文書に署名し、これを遵守する義務がある。また、同報告書では、全従業員が同社のイノベーション・リーダーシップに貢献することが期待されていると記載されている。そのための社内プロセスとして、従業員は発明およびアイデアをPatent Review Boardに提出し、Intellectual Property Law Departmentの支援を受けながら審査と保護を受ける手順が整備されている。同時に、Lenovoは他社および個人が保有する専有資料、機密情報、ソフトウェア、特許、商標、営業秘密を含む知的財産権を尊重する方針も記載している [9]。
中国国家知識産権局(CNIPA)が公開した統計データでは、2017年の中国国内企業における発明特許付与数トップ10において、Lenovo (Beijing) Limitedは1,454件の特許付与数(Number of Granted Patents)を記録し、中国国内企業の中で第6位であったことが示されている [10]。
Lenovoの2015/16 Annual Reportにおけるリスクマネジメントの項目には、製品設計においてLenovo自身の特許ポートフォリオを適切に使用することで、潜在的な損害(potential damages)を軽減させる方針が記載されている [11]。
Lenovoは自社製品の構成要素に対して自社特許が適用される可能性がある範囲を、公式ウェブサイトのLegal/Patentsページで開示している。同ページには、Lenovoが使用するすべての熱可塑性緩衝材(thermoplastic cushioning)が、Exhibit Bに記載された特許によってカバーされる可能性がある旨が記載されている。Exhibit BにはLenovo Chinese Patent CN201276264が掲載されている [12]。
Exhibit Aには、対象となる製品名および部品番号またはマーケティング名がリストアップされている。掲載例は以下のとおりである [12]。
|
Product Name |
該当製品のマーケティング名・プロダクト名 |
|
APOLL (6.6L chassis) |
M57 |
|
CAYMAN |
SL400 |
|
CORONADO |
T500 |
|
EDGE BERLIN |
Edge 40 |
|
EDGE LONDON |
Edge 50 |
|
L412 DIAMOND |
L410 |
|
L512 RUBY |
L510 |
|
LAGUNA |
R400 |
|
M58 MILAN |
M58 |
|
MALIBU |
T400 |
|
MONACO |
M57e |
|
Naginata |
X1 |
|
SL410 JADE 1/2 |
SL410 |
|
SL510 TOPAZ 1/2 |
SL510 |
|
SNOWBOARD |
Lenovo N100/200 |
|
T410 NOZOMI 1/2 |
T410 |
|
T410s SHINAI |
T410s |
|
T510 KENDO 1/2 |
T510 |
|
TARGA |
SL500 |
また、Lenovoが提供するソフトウェア製品やインフラソリューションに関する公式技術文書およびオープンソース通知書には、特許およびライセンスに関する条項が記録されている。Lenovo XClarity Orchestratorについて、公式ドキュメントは同製品を有料アプリケーション(for-fee application)として説明している。無料試用ライセンスにより最大90日間利用でき、無料試用期間終了後に該当機能およびサービス・サポートを継続して使用するには、適切なライセンスを購入およびインストールする必要がある [13]。
Lenovo PressおよびLenovo Docsとして公開されている技術文書には、Noticesという共通の免責条項が含まれている。当該条項には、文書に記載された主題をカバーするLenovoの特許または出願中の特許(patents or pending patent applications)が存在する可能性があること、および当該文書の提供がユーザーに対してそれらの特許へのいかなるライセンスも付与するものではないことが記載されている。特許ライセンスに関する書面での問い合わせ先として、LenovoのDirector of Licensingが示されている [14]。
さらに、ストレージ製品等のOpen Source Noticesには、組み込まれたサードパーティのソフトウェアやオープンソースプロジェクトに関する著作権表示およびライセンス条件が記載されている。Apache License等の条項には、Grant of Patent License(特許ライセンスの付与)として、貢献者から永続的、世界的、非独占的、無償、ロイヤルティフリーの特許ライセンスがユーザーに付与される旨の標準的なオープンソース条項が含まれている [15]。
Lenovoは、通信規格やインフラストラクチャにおける標準必須特許(SEP: Standards-Essential Patent)に関連して、グローバルなテクノロジー企業との特許クロスライセンス契約、訴訟の和解、司法判断および仲裁に関する開示を行っている。公式開示資料から確認できる主要な合意案件のステータスは以下の通りである。
Nokiaの公式発表によると、NokiaとLenovoは2021年4月に複数年・複数技術の特許クロスライセンス契約(multi-year, multi-technology patent cross-license agreement)を締結した。この契約により、LenovoはNokiaにnet balancing paymentを行うこととされ、契約条件は非公開とされた。同発表は、この契約により、両当事者間で係争中であったすべての特許訴訟(pending patent litigation)およびその他の法的手続が、すべての管轄区域において解決されたと記載している [16]。
さらに、Nokiaの公式発表によると、NokiaとLenovoはAI時代に向けたデータセンターソリューションを推進するための協業を公表している。この協業は、人工知能(AI)、機械学習(ML)、およびその他の計算集約型ワークロード向けに、データセンター・ネットワーキングおよび自動化ソリューションを開発・提供することを目的としている。Nokiaは、Nokia Data Center FabricおよびEvent Driven AutomationとLenovo ThinkSystem AI portfolioを組み合わせる方針を記載している [17]。
Lenovo PressのSovereign AI Data Center Blueprint Solutionでは、NokiaとLenovoがSovereign AIデータセンター・ネットワーキングのブループリントソリューションを構築、テスト、検証したことが記載されている。同資料は、Lenovo AI ThinkSystemサーバー、物理ストレージシステム、およびNokia Data Center Fabric switchingを組み合わせたモジュール型ラック設計のAIデータセンターポッドを説明している [18]。
Ericssonの公式プレスリリースによると、EricssonとLenovoは2025年4月、両社間の複数年にわたるグローバル特許クロスライセンス契約を巡る特許ライセンス紛争について和解に達した。この和解は、両当事者間の特許ライセンス紛争を一部解決するものであり、財務的影響は2025年第2四半期から認識される見込みであると記載されている [19]。
同発表によると、この和解の一環として、米国国際貿易委員会(USITC)で係争中の手続を含め、複数国において両社が提起していた進行中のすべての特許関連の訴訟および行政手続が取り下げられる。Ericssonは、これにより両当事者間の進行中のすべての特許関連の法的手続が終了すると記載している [19]。
同時に、両当事者は残る特許ライセンス紛争について、仲裁(arbitration)プロセスを通じて完全かつ最終的に解決することに合意している [19]。
Lenovoの2015/16 Annual Reportにおけるリスク管理および関連取引の注記には、NEC Patent Licence Agreementに関する記述が含まれている。同資料によると、この契約は、対象となる特許のうち最後に満了する特許の満了時を超えない期間まで自動的に更新される旨が記載されている [11]。
過去の年間上限額(Annual cap)の実績として、2011年7月1日から2012年3月31日までの期間は50,000,000日本円、2012年4月1日から2013年3月31日までの期間は66,000,000日本円が設定されていた事実が記載されている [11]。
Lenovoの2022/23 Annual Reportおよび株主向け開示文書等において、Lenovoに対して標準必須特許侵害請求(SEP Claims)を提起した企業として、Asus、Innovative Sonic、Ericsson、およびInterDigitalの名称が記載されている [20]。このうち、InterDigitalとの間で争われたFRAND(Fair, Reasonable and Non-Discriminatory)条件に基づくライセンス料率(FRAND rate)の算定に関する英国での司法判断は、WIPO Lex等の公的記録に保存されている [21]。
WIPO Lexおよび英国司法関連の記録によると、英国高等法院(Patents Court)のMellor裁判官は、InterDigital Technology Corporation and others v Lenovo Group Limited and othersに関する判断を下した。同事件では、標準必須特許のFRAND条件に基づくグローバルライセンス条件および過去販売に対する支払いが争点となった [21] [22]。
第一審の決定において、裁判所はLenovoが支払うべきFRAND条件に基づく一括払いのロイヤルティ(lump sum)を、2007年1月1日から2023年12月31日までの過去の販売を対象として138.7百万米ドルとし、これに4%複利で算定した利息46.2百万米ドルを追加した総額184.9百万米ドルの支払いを示した [21] [22]。
第一審の判決に対して、両当事者は控訴および交差控訴(Cross-Appeal)を提起した [21]。
InterDigital側の主張(控訴)として、第一審が算定した金額は不服であり、一括払いのロイヤルティ額は388.5百万米ドル、利息は129.3百万米ドルであり、合計517.8百万米ドルがFRAND条件に基づく支払額であると主張した。InterDigital側は、過去の比較可能なライセンス契約(comparable agreements)においてロイヤルティレートを押し下げていた非FRAND要因(non-FRAND factors)に対する調整を第一審の裁判官が行わなかったと主張した。また、将来に対する単価レートとしてデバイス1台あたり0.61米ドルの適用を要求した [21]。
Lenovo側の主張(交差控訴)として、2013年8月27日より前の販売については、各国の国内法に基づく出訴期限(limitation periods)による制限が適用されるべきであり、支払い義務はないと主張した。Lenovo側は、一括払い額を108.9百万米ドルに減額するよう求め、過去の販売に対する利息の支払いにも反対した [21]。
2024年7月12日、英国控訴院の民事部(Civil Division)は本件に対する判決(中立引用番号:[2024] EWCA Civ 743)を下した。WIPO Lexは、同判決をSEP Case Law Collectionに掲載している [21]。
非FRAND要因への修正に関する認定において、控訴院は、第一審のMellor裁判官が自ら特定した非FRAND要因に対して修正を行わなかった点を誤りとした。控訴院は、比較対象契約における過去販売レートが非FRAND要因によって低く抑えられていたことを観察しながら、最終的なFRANDレートにその歪みを反映させる調整を行わなかった点を指摘した [21]。
FRANDレート算定における数理的精度の限界について、控訴院は、FRANDレートの推定は厳密な数理的精度(strict mathematical precision)を許容する性質の作業ではないことを示した。控訴院は、FRAND条件として適格なレートには幅(range)が存在し得ること、およびSEP所有者は自身に最も有利なFRANDレートを提示できることに言及した [21]。
InterDigitalの将来レート案に関して、控訴院は、過去のレートが低く抑えられていた非FRAND要因を修正する必要性を認めた一方で、InterDigitalが要求した将来のみの単価レート0.61米ドルの適用は採用しなかった。控訴院は、比較対象契約における将来レートが、過去販売に関する値引きを補う形で上昇していたことを考慮した [21]。
Lenovoによる非差別性および出訴期限の主張について、控訴院は、Lenovoが交差控訴において主張した出訴期限(limitation periods)がFRAND条項に適用されるべきとの見解を退け、FRANDライセンスの条件決定に出訴期限は関連しないとする第一審の判断を支持した。また、Lenovo側の非差別性に関する主張についても、FRANDの非差別性が実施者に対して最も有利なライセンシー(most favoured licensee)と同じ条件を要求する権利を与えるものではないとする判断に基づき、Lenovo側の主張を退けた [21]。
最終的なレート算定に関して、控訴院は比較対象契約から導き出されたブレンドレートを再検討し、Lenovoが支払うべきFRANDレートをデバイス1台あたり0.225米ドルとした。2023年12月31日までの対象期間に関する総額は178.3百万米ドルとされた [21]。
InterDigitalは2024年10月、Lenovoと新たな特許ライセンス契約に入ることで合意したと発表した。同発表によると、両当事者は新契約の最終条件を決定するために拘束力ある仲裁に入る。また、仲裁合意の一環として、両当事者は係争中のすべての訴訟を解決することに合意した [23]。
Lenovo Research公式サイトおよびLenovoの公式開示資料に基づく、グローバルな主な研究開発拠点(Research center)、会社所在地(Company location)、および製造関連拠点の分布は以下のとおりである。製造関連拠点については、LenovoのManufacturing Sites and Suppliers資料が、自社製造拠点、外部委託製造業者、部品サプライヤーを区別して掲載している [6] [7] [8]。
|
国・地域 |
拠点所在都市・地域名 |
区分 |
出典 |
|
中国(CN) |
北京(Beijing) |
Research center / Company location |
[6] [7] |
|
中国(CN) |
上海(Shanghai) |
Research center / Company location |
[6] [7] |
|
中国(CN) |
深圳(Shenzhen) |
Research center / Company location / 製造関連拠点 |
[6] [7] [8] |
|
中国(CN) |
武漢(Wuhan) |
Research center / 製造関連拠点 |
[6] [7] [8] |
|
中国(CN) |
天津(Tianjin) |
Research center / 製造関連拠点 |
[6] [7] [8] |
|
中国(CN) |
成都(Chengdu) |
製造関連拠点 |
[7] [8] |
|
中国(CN) |
合肥(Hefei) |
製造関連拠点 |
[7] [8] |
|
中国(CN) |
重慶(Chongqing) |
製造関連拠点 |
[7] [8] |
|
中国(CN) |
東莞(Dongguan) |
製造関連拠点 |
[7] [8] |
|
中国(CN) |
恵州(Huizhou) |
製造関連拠点 |
[7] [8] |
|
中国(CN) |
崑山(Kunshan) |
製造関連拠点 |
[7] [8] |
|
中国(CN) |
嘉興(Jiaxing) |
製造関連拠点 |
[7] [8] |
|
米国(US) |
ローリー(Raleigh) |
Research center / Company location |
[6] [7] |
|
米国(US) |
シカゴ(Chicago) |
Research center / Company location |
[6] [7] |
|
米国(US) |
シリコンバレー(Silicon Valley) |
Research center / Company location |
[6] [7] |
|
米国(US) |
ウィットセット(Whitsett) |
製造関連拠点 |
[7] [8] |
|
日本(JP) |
横浜(Yokohama) |
Research center |
[6] |
|
日本(JP) |
米沢(Yonezawa) |
製造関連拠点 |
[7] [8] |
|
日本(JP) |
島根(Shimane) |
製造関連拠点 |
[7] [8] |
|
英国(UK) |
エディンバラ(Edinburgh) |
Research center |
[6] |
|
英国(UK) |
ロンドン(London) |
Research center |
[6] |
|
イスラエル |
テルアビブ(Tel Aviv) |
Research center |
[6] |
|
インド(IN) |
ノイダ(Noida) |
製造関連拠点 |
[7] [8] |
|
インド(IN) |
プドゥチェリー(Puducherry) |
製造関連拠点 |
[7] [8] |
|
インド(IN) |
ベンガルール(Bengaluru) |
Company location |
[7] |
|
メキシコ(MX) |
モンテレイ(Monterrey) |
製造関連拠点 |
[7] [8] |
|
メキシコ(MX) |
グアダラハラ(Guadalajara) |
製造関連拠点 / Company location |
[7] [8] |
|
ブラジル(BR) |
マナウス(Manaus) |
製造関連拠点 |
[7] [8] |
|
ブラジル(BR) |
インダイアトゥーバ(Indaiatuba) |
製造関連拠点 |
[7] [8] |
|
ブラジル(BR) |
ジャグアリウナ(Jaguariúna) |
製造関連拠点 / Company location |
[7] [8] |
|
ドイツ |
Germany |
Company location / R&D professionals在籍 |
[6] [7] |
|
香港 |
Hong Kong |
Company location / Registered office |
[7] [26] |
|
台湾 |
Taiwan |
Company location |
[7] |
|
ハンガリー |
Hungary |
製造関連拠点 |
[7] [8] |
|
ルーマニア |
Romania |
Company location |
[7] |
|
アルゼンチン |
Argentina |
Company location |
[7] |
LenovoのManufacturing Sites and Suppliers資料は、2026年2月時点のリストとして、自社製造拠点、外部委託製造業者、部品サプライヤーを掲載している。同資料は、これらがLenovoのproduction spendの96%を構成すると記載している [8]。
公式開示および公的記録に基づき確認できる知財・ライセンス関連の主要案件のステータス一覧は以下のとおりである。
|
相手方・当事者 |
内容・対象 |
ステータス |
備考・出典 |
|
Nokia |
特許クロスライセンス契約 |
完了 |
係争中の特許訴訟およびその他の手続が全管轄区域で解決 [16] |
|
Nokia |
データセンターAIソリューションの協業 |
公表済み |
Lenovo ThinkSystemとNokia Data Center Fabricを組み合わせたSovereign AIデータセンター・ブループリント [17] [18] |
|
Ericsson |
グローバル特許クロスライセンスに関する紛争の一部和解 |
法的手続終了、残る特許ライセンス紛争は仲裁 |
USITCを含む訴訟・行政手続を取り下げ。残る特許ライセンス紛争は仲裁で解決 [19] |
|
InterDigital |
SEP侵害請求に基づく英国FRAND条件算定訴訟 |
控訴院判決後、新ライセンス合意および仲裁 |
控訴院判決で算定ロジックを修正。2024年10月に新契約に入る合意、最終条件は拘束力ある仲裁 [21] [23] |
|
NEC |
NEC Patent Licence Agreement |
過去の開示記録 |
最後に満了する対象特許の満了時を超えない期間まで自動更新と記載 [11] |
香港証券取引所およびLenovoの公式開示に基づく対象企業(Stock Code: 992)の配当情報は以下のとおりである。2026年3月期の期末配当は、FY2025/26 Annual Results AnnouncementおよびCash Dividend Announcementにおいて提案済み配当として記載されており、2026年7月23日に開催予定の年次株主総会での承認を条件としている [1] [24]。対象企業はHKEXにおいて普通株式(Ordinary Share)として上場しており、上場日は1994年2月14日である [26]。
|
発表日(Date Announced) |
権利落ち日(Ex-Date) |
配当内容・種別 |
1株当たり金額・単位 |
ステータス |
出典 |
|
2026年5月22日 |
2026年8月5日 |
期末配当(Final Dividend) |
0.337 HKD |
提案済み。2026年7月23日の株主承認を条件とし、2026年8月19日支払予定 |
[1] [24] |
|
2025年11月20日 |
2025年12月10日 |
中間配当(Interim Dividend) |
0.085 HKD |
公表済み |
[25] |
|
2025年5月22日 |
2025年7月30日 |
期末配当(Final Dividend) |
0.305 HKD |
配当履歴に掲載 |
[25] |
|
2024年11月15日 |
2024年11月27日 |
中間配当(Interim Dividend) |
0.085 HKD |
配当履歴に掲載 |
[25] |
本レポートのPDF版をご用意しています。印刷や保存にご活用ください。
本レポートは、公開情報をAI技術を活用して体系的に分析したものです。
情報の性質
ご利用にあたって
本レポートは知財動向把握の参考資料としてご活用ください。重要なビジネス判断の際は、最新の一次情報の確認および専門家へのご相談を推奨します。
TechnoProducerは、貴社の「発明力と知財力」を最大化します
→ 月額顧問サービス
特許活用から経営戦略まで、事業成功のプロがあらゆる課題に対応
→ 発明塾®動画セミナー
個人での学習や、オンラインでの社内教育はこちら
→ まず相談したい・お問い合わせ
サービス選択に迷う場合や、個別のご相談はこちら
ここでしか読めない発明塾のノウハウの一部や最新情報を、無料で週2〜3回配信しております。
・あの会社はどうして不況にも強いのか?
・今、注目すべき狙い目の技術情報
・アイデア・発明を、「スジの良い」企画に仕上げる方法
・急成長企業のビジネスモデルと知財戦略