3行まとめ
XPengはADAS・OS・E/Eを内製するAIモビリティ企業
XPengは、スマートEVと新エネルギー車の設計・開発・製造・販売を行い、フルスタックADAS、車載インテリジェントOS、パワートレイン、E/Eアーキテクチャを社内開発している。2025年12月31日時点で、同社製品は世界60以上の国と地域に展開されている。
2025年の研究開発費は47.0%増の94億9000万人民元
2025年12月期の研究開発費は94億9000万人民元で前年同期比47.0%増となり、総納車台数は429,445台、総収益は767億2000万人民元に達した。2026年第1四半期も研究開発費は29億1000万人民元と前年同期比46.8%増を維持している。
取得特許3,761件と大手提携で知財活用を拡張
2025年12月31日時点の累計取得特許数は3,761件で、単一チップ最大750 TOPSの自社開発AIチップ「Turing AI Chip」や「VLA 2.0 Intelligent Driving System」を中核技術としている。Volkswagen GroupとはE/Eアーキテクチャの技術協力を拡大し、DiDi Globalから取得したスマートオート事業資産を活用してMONA M03を発売した。
この記事の内容
XPeng Inc.は、米国証券取引委員会(SEC)に提出された2025年度Annual Reportおよび関連する香港証券取引所(HKEX)開示資料において、スマート電気自動車(Smart EV)および新エネルギー車(NEV)の設計、開発、製造、販売を行うAIモビリティテクノロジー企業として説明されている。対象企業は、顧客のモビリティ体験を最適化することを目的として、フルスタックの先進運転支援システム(ADAS)技術、車載インテリジェントオペレーティングシステム、およびパワートレインや電気/電子(E/E)アーキテクチャを含むコア車両システムを社内で開発する方針を実施している。2025年12月31日時点で、同社製品は世界60以上の国と地域で展開されている。研究開発および事業拠点として、中国の広州、北京、上海、深セン、米国のシリコンバレー、サンディエゴ、ドイツのミュンヘン等が記載されており、車両製造は広東省の肇慶および広州に位置する自社工場で実施されている。
対象企業の研究開発費は、2020年12月期通期実績の17億2590万6000人民元、2021年12月期通期実績の41億1426万7000人民元、2022年12月期通期実績の52億1483万6000人民元、2023年12月期通期実績の52億7655万人民元、2024年12月期通期実績の64億6000万人民元、2025年12月期通期実績の94億9000万人民元として開示されている。2025年12月期通期実績の研究開発費は前年同期比47.0%増であった。2025年12月期通期実績の総納車台数は429,445台、総収益は767億2000万人民元、車両販売収益は683億8000万人民元、粗利益率は18.9%、車両利益率は12.8%、純損失は11億4000万人民元であった。2026年6月18日時点で最新の四半期決算として確認できる2026年第1四半期実績では、研究開発費は29億1000万人民元であり、前年同期比46.8%増、直前四半期比1.1%増であった。
対象企業が社内開発する中核的なインテリジェント技術として、「Turing AI Chip」が存在する。2025年度ESG報告書によると、当該自社開発AIチップは単一チップで最大750 TOPSのコンピューティング能力を備えている。また、2026年3月2日に開催されたメディア向けイベントで、次世代インテリジェントドライビングシステムである「VLA 2.0 Intelligent Driving System」のアーキテクチャおよび展開計画が発表された。対象企業の2025年度ESG報告書によると、2025年12月31日時点の累計実績として、対象企業は3,761件の特許を取得している。2022年12月31日時点の累計取得特許数は1,823件であり、2022年単年の新規取得特許は694件であった。知的財産管理については、法務部門がすべての知的財産管理の責任とプロセスを調整し、知的財産管理システムは社内プラットフォーム「Feishu」に統合されている。
対象企業は外部企業との間で技術提携や事業取得を伴う契約を締結している。Volkswagen Groupとの関係では、2024年2月5日付でプラットフォームおよびソフトウェアの協力に関するマスター契約を締結し、契約書では知的財産がバックグラウンド権およびフォアグラウンド権として定義されている。2025年8月15日には、電気/電子アーキテクチャ(E/Eアーキテクチャ)の技術協力を拡大する契約を締結し、共同開発したE/EアーキテクチャはVolkswagenの電気自動車プラットフォームに加え、中国市場向けのICEおよびPHEVプラットフォームにも展開されることが開示された。DiDi Globalとの関係では、2023年8月27日付で株式購入契約を締結し、DiDiのスマートオート開発事業資産を取得した。この取引に基づく新モデル「MONA M03」は2024年8月に発売され、同月中に納車が開始された。
対象企業のAnnual Reportのリスクファクターでは、専有権の保護が特許、商標、著作権、営業秘密、および従業員や第三者との秘密保持契約やライセンス契約の組み合わせに依存していることが記載されている。また、知的財産権侵害の主張により訴訟費用が発生し、経営陣の注意とリソースがそらされるリスクがあることも開示されている。過去の従業員関連事案については、Apple関連の元従業員が2022年8月22日に営業秘密窃取の罪について有罪答弁を行ったこと、Tesla関連の元従業員訴訟では2021年4月15日にdismissal with prejudiceが提出され、秘密和解契約により解決されたことが開示されている。ESG関連では、2025年度ESG報告書において、MSCI ESG Ratingsで2023年から2025年まで3年連続でトップ「AAA」評価を取得したこと、S&P Global Sustainability Yearbook(China Edition)に3年連続で掲載されたこと、CDP気候変動評価でB ratingを取得したこと等が記載されている。
米国証券取引委員会(SEC)に提出された『Form 20-F(2025年度)』および香港証券取引所(HKEX)の開示資料によると、XPeng Inc.(以下、対象企業)は、スマート電気自動車(Smart EV)および新エネルギー車(NEV)の設計、開発、製造、販売を事業とするAIモビリティテクノロジー企業である[1]。
対象企業は2025年に企業ミッションを更新し、「世界中のユーザーから信頼され、愛されるスマートテクノロジー企業になること」を目標として掲げている[3]。
対象企業は、顧客のモビリティ体験を最適化することを目的として、フルスタックの先進運転支援システム(ADAS)技術、車載インテリジェントオペレーティングシステム、およびパワートレインや電気/電子(E/E)アーキテクチャを含むコア車両システムを社内で開発する方針を実施している[1]。製品の市場展開においては、中国国内の中産階級消費者層を主なターゲットとしつつ、グローバルな乗用車市場の中高級セグメントにも進出している[2]。2025年12月31日時点での対象企業の開示実績において、同社製品は世界60以上の国と地域で展開されている[3]。また、グローバルな研究開発および事業基盤として、中国の広州(グローバル本社・R&D)、北京、上海、深センのほか、米国のシリコンバレー、サンディエゴ、ドイツのミュンヘン等に主要オフィスおよび研究開発拠点を設置している[1][3]。車両製造は、広東省の肇慶(Zhaoqing)および広州(Guangzhou)に位置する自社工場にて実施している[1]。2026年3月31日時点では、武漢の新製造拠点について、建設を完了し、関連政府当局による検査・受入手続の完了後に不動産所有権証を取得したこともAnnual Reportに記載されている[2]。
対象企業は2018年12月以降、戦略的に位置付けられた車両モデルの発売および継続的なアップグレードを実施している[2]。各モデルの発売および納車開始の完了実績は以下の通りである。2018年12月にコンパクトSUV「G3」の納車を開始した[4]。続いて、2020年5月にスポーツセダン「P7」の納車を開始し、2021年3月にはシザードアを採用した限定モデル「P7 Wing」の納車を開始した[4]。2024年1月には7人乗りMPVモデル「XPENG X9」の納車を開始した[6]。さらに、2025年3月には「G6」および「G9」の2025年モデルへのアップグレードを完了し納車を開始、同年4月には「X9」の2025年モデルへのアップグレードを完了した[2]。同年7月に「G7」の納車を開始し、続く8月には「Next P7」の納車を開始した[2]。
対象企業が社内開発する中核的なインテリジェント技術として、「Turing AI Chip」が存在する。対象企業のESG報告書(2025年度)によると、当該自社開発AIチップは単一チップで最大750 TOPSのコンピューティング能力を備えており、高品質な学習と意思決定の基盤として機能している[3]。また、2026年3月2日に対象企業が開催したメディア向けイベントにおいて、次世代インテリジェントドライビングシステムである「VLA 2.0 Intelligent Driving System」のアーキテクチャおよび展開計画が発表された[2]。これらのインテリジェント技術は乗用車領域に限定されず、対象企業が開発するヒューマノイドロボット「IRON」にも適用されている[3]。同ESG報告書の記載によると、ヒューマノイドロボット「IRON」は2026年の春節期間中に北京自動車博物館に導入され、来場者との対話を行う稼働実績を有している[3]。
対象企業が発行した『2025 Environmental, Social and Governance Report』によると、2025年12月31日時点の累計実績として、対象企業は3,761件の特許を取得している[3]。なお、過去の『2022 ESG Report』の記載に基づく2022年12月31日時点の累計取得特許数の実績は1,823件であり(うち2022年単年の新規取得特許は694件)、同期間における研究開発(R&D)担当従業員は対象企業の全従業員の39.9%を占めていた[7]。
社内の知的財産管理およびガバナンス体制に関して、対象企業は包括的な知的財産保護およびガバナンスの枠組みを構築しており、法務部門(Legal Department)がすべての知的財産管理の責任とプロセスを調整している[3]。この知的財産管理システムは、対象企業が社内業務で利用するプラットフォーム「Feishu」に統合されており、内部システムおよび最適化された組織的ワークフローを通じて保護措置が管理されている[3]。また、対象企業は知的財産権の侵害フィードバックメカニズムを運用しており、複数のチャネルを通じて市場における権利侵害の手がかりを監視し、法務部門が評価を実施して適時に法的措置を講じる体制を敷いている[3]。
ブランドおよび商標の保護に関して、対象企業は2025年に「製品発売前の商標登録(Trademarks Before Product Launch)」戦略を導入および実施した[3]。この戦略に基づき、新製品(ヒューマノイドロボット「IRON」等)の量産、市場プロモーション、およびチャネル開発に向けたリードタイムを確保するとともに、商標の先取りリスクを軽減する目的で、コア商標の事前登録を実施している[3]。車両開発プロセスにおいては、革新的な技術ソリューションに対する特許権侵害リスク評価を重要なチェックポイントで実施し、専用のレポートを発行している[3]。さらに、提案されたブランド名やモデルコードに対する商標権侵害のスクリーニング機能も該当チェックポイントに組み込まれている[3]。
これらの持続可能な技術経営体制は外部のESG評価機関によるレーティング対象となっており、対象企業はMSCI ESG Ratingsにおいて2023年から2025年まで3年連続でトップ「AAA」評価を取得した実績を有する[3]。また、対象企業の2025年度ESG報告書には、S&P Global Sustainability Yearbook(China Edition)に2023年から2025年まで3年連続で掲載されたこと、2025年にCDP気候変動評価でB ratingを取得したこと、Chamber of Hong Kong Listed Companiesによる2025 Corporate Governance Excellence AwardおよびESG Excellence Awardを受賞したこと、中国国家知識産権局によるNational Intellectual Property Advantageous Enterpriseに該当すること等が開示されている[3]。
対象企業のSECおよびHKEX提出書類に基づく財務実績によると、新車両モデルおよび新技術の開発に伴う研究開発費は継続的に増加している。
年度別の通期実績に関する数値は以下の通りである。『Form 20-F(2022年度)』によると、2020年12月期通期実績の研究開発費は17億2590万6000人民元、2021年12月期通期実績の研究開発費は41億1426万7000人民元であった[10]。『Form 20-F(2024年度)』によると、2022年12月期通期実績の研究開発費は52億1483万6000人民元、2023年12月期通期実績の研究開発費は52億7655万人民元であった(※資料内で2022年単体実績との比較増減に関する具体的言及は調査範囲内では確認できず、当該数値は表中のExpenses項目による)[6]。『Form 20-F(2025年度)』および関連決算発表資料によると、2024年12月期通期実績の研究開発費は64億6000万人民元であった[11]。2025年12月期通期実績の研究開発費は94億9000万人民元であり、前年同期実績と比較して47.0%の増加であった[11]。
四半期単体の実績に関する数値は以下の通りである。2024年第1四半期実績の研究開発費は13億5000万人民元[12]、2024年第2四半期実績は14億7000万人民元[13]、2024年第3四半期実績は16億3000万人民元[14]、2024年第4四半期実績は20億1000万人民元[14]であった。続いて2025年第1四半期実績の研究開発費は19億8000万人民元(前年同期比46.7%増)[12]、2025年第2四半期実績は22億1000万人民元(前年同期比50.4%増)[13]、2025年第3四半期実績は24億3000万人民元であった[15]。2025年第4四半期実績の研究開発費は28億7000万人民元であり、前年同期実績と比較して43.2%の増加、直前四半期実績と比較して18.3%の増加であった[15]。2026年6月18日時点で確認できる最新の四半期報告である2026年第1四半期実績の研究開発費は29億1000万人民元であり、前年同期実績と比較して46.8%の増加、直前四半期実績と比較して1.1%の増加であった[22]。
これらの研究開発費の増加理由について、対象企業は各四半期および通期報告書において「将来の成長を支えるための製品ポートフォリオ拡大に伴う新車両モデルおよび新技術の開発に関連する費用の増加」を主な要因として記載している[12][22]。2026年第1四半期報告では、AI関連技術の開発費用の増加も研究開発費の前年同期比増加要因として記載されている[22]。
研究開発投資を支える事業規模の推移に関して、2024年12月期通期実績の総納車台数は190,068台、2025年12月期通期実績の総納車台数は429,445台(前年比125.9%増)であった[2]。2025年12月期通期実績の総収益は767億2000万人民元であり、前年同期実績の408億7000万人民元から87.7%増加した[2]。このうち、車両販売収益の2025年12月期通期実績は683億8000万人民元であり、前年同期実績の358億3000万人民元から90.8%増加した[2]。粗利益率(Gross margin)の2025年12月期通期実績は18.9%であり、前年同期実績の14.3%から増加した[2]。車両利益率(Vehicle margin)の2025年12月期通期実績は12.8%であり、前年同期実績の8.3%から増加した[2]。純損失(Net loss)の2025年12月期通期実績は11億4000万人民元であり、前年同期実績の57億9000万人民元から損失幅が縮小した[2]。2025年12月31日時点での現金および現金同等物、制限付き現金、短期投資、定期預金を含む資金ポジション(Cash position)の実績は476億6000万人民元であり、2024年12月31日時点実績の419億6000万人民元から増加した[2]。
対象企業は、外部企業との間で技術提携や事業買収を伴う契約を締結し、知的財産の共有やライセンス供与を含む枠組みを構築している。
対象企業の子会社であるGuangdong Xiaopeng Motors Technology Co., Ltd.およびGuangzhou Xiaopeng Motors Technology Co., Ltd.は、Volkswagen Group (China) Technology Company Ltd.およびVolkswagen (Anhui) Company Ltd.との間で、2024年2月5日付でプラットフォームおよびソフトウェアの協力に関するマスター契約(Master Agreement on Platform and Software Collaboration)を締結した[17]。SECに提出された当該契約書(Exhibit 4.39)において、本提携における知的財産(Intellectual Property)は「バックグラウンド権(Background Rights)」および「フォアグラウンド権(Foreground Rights)」として定義され管理されている[17]。同契約書におけるバックグラウンド権の定義は、「契約発効日(Effective Date)以前に存在していた、またはプラットフォームおよびソフトウェアの提携とは独立して創出・開発・発明・取得された知的財産」と記載されている[17]。また、同マスター契約の一環として、両当事者はプラットフォームのコスト削減を目的とした共同調達プログラム(Joint Sourcing Program)の実施に合意した[6]。
その後、2025年8月15日付で対象企業とVolkswagen Groupは、電気/電子アーキテクチャ(E/Eアーキテクチャ)の技術協力を拡大する契約(Agreement on Expanding E/E Architecture Technical Collaboration)を締結した[18]。この合意により、両社が共同開発したE/EアーキテクチャはVolkswagenの電気自動車プラットフォームに統合されることに加え、中国市場向けのICE(内燃機関)およびPHEV(プラグインハイブリッド)プラットフォームにも展開されることが決定された[18]。
このVolkswagen Groupへの技術提携は対象企業の収益構造に影響を与えている。決算資料によると、2025年第4四半期実績のサービスその他収益(Revenues from services and others)は31億8000万人民元となり、前年同期比で121.9%増加した[15]。対象企業は、この増加の主要因として、特定の自動車メーカーに対する技術研究開発サービス(technical research and development services / technical R&D services)の提供において特定の主要マイルストーンを達成し、当該収益が増加したためであると記載している[15]。2026年第1四半期実績では、サービスその他収益は20億3000万人民元であり、前年同期比41.2%増、直前四半期比36.1%減となった。前年同期比増加の主因として、技術R&Dサービスおよび部品・アクセサリー販売からの収益増加が記載され、直前四半期比減少の主因として、前四半期における主要マイルストーンのキャッチアップ後の技術R&Dサービス収益の減少、および当四半期にカーボンクレジット取引からの収益貢献がなかったことが記載されている[22]。
対象企業は2023年8月27日付でDiDi Global Inc.(以下、DiDi)およびTarget HoldCoとの間で株式購入契約(Share Purchase Agreement)を締結し、DiDiが開発中であった新しいスマートEVモデル(プロジェクト名「MONA」)に関連する対象事業資産(Target Business Assets)を取得することに合意した[20]。当該株式購入契約の記載によると、この取引はDiDiグループが実施していたスマートオート開発事業のためのTarget Sharesの取得を対象としており、Initial Closing後、Target GroupはTarget Business Assetsを保有し、当該事業を独立して運営できる状態となることが想定されていた[20]。また、Initial ClosingおよびSOP Closingの条件として、Strategic Cooperation Agreement、Patent Licensing Agreement、Technology Service Agreement等の関連契約が有効であること、またはそれらに基づく一定の義務違反がないことが記載されている[20]。
本買収の対価(Consideration)として、対象企業は最大約58億3500万香港ドル(為替レート換算で約7億4400万米ドル)に相当するクラスA普通株式を発行する条件を設定した[20]。発行されるクラスA普通株式の最大数は91,131,790株と設定され、これは契約発表時点における対象企業の総発行済株式数の約5.26%に相当する[20]。決済条件として、Initial Closing(初回完了)の段階で58,164,217株がDiDi側へ発行され、その後SOP(量産開始)マイルストーンが達成された時点で追加の4,636,447株が発行されるスキームが採用された[20]。さらに、「MONA」モデルの量産およびDiDiが達成する販売台数目標(Qualified New Model Delivery Volume)に基づく業績連動型のインセンティブメカニズム(Earn-Out Shares)が設定されている[20]。株式購入契約に基づくクロージング対象会社の現金基準額(Benchmark Cash Amount)は6億7500万人民元と設定され、クロージング後の調整(Post-Closing Adjustment)の対象とされた[20]。
2025年度Annual Reportの連結財務諸表注記によると、対象企業は2023年11月13日に当該取得を完了し、Xiaoju Groupの100%持分を取得した。取得対価合計は37億8220万6000人民元であり、取得資産の配分には、無形資産としてVPT、VMTUDおよびSoftwareが含まれている[21]。SOPマイルストーンについては、2024年7月に達成され、追加の4,636,447株のクラスA普通株式が2024年8月13日にDiDiへ発行および交付された[21]。
この合意に基づき、買収した事業資産および関連契約を活用して開発されたAクラスのスマートEVモデル「MONA M03」は、2024年8月に発売され、同月中に納車が開始された[5]。
対象企業がSECへ提出した『Form 20-F』のリスクファクター(Risk Factors)セクションにおける開示によると、同社の専有権の保護は特許、商標、著作権、営業秘密、および従業員や第三者との秘密保持契約やライセンス契約の組み合わせに依存している[2]。対象企業は、競合他社を含む企業や個人が自社の知的財産権の侵害を主張して訴訟を起こす可能性があり、そのような知的財産権侵害の主張により高額な訴訟費用が発生し、経営陣の注意とリソースがそらされるリスクがあることを記載している[5]。
従業員の機密情報管理に関して、対象企業は全従業員に対して行動規範を導入し、知的財産、専有情報、および営業秘密に関する詳細なポリシーと手順を実施している[5]。一方で、従業員がこれらの規範を常に遵守する保証はなく、機密情報の漏洩等の不正行為を検出および防止するための予防措置が常に有効であるとは限らないとする潜在的リスクを同資料内で開示している[5]。
知的財産に関連する過去の法的係争の記録として、2020年にSECへ提出された目論見書(Form F-1)等の書類において以下の2事案が開示されている。1件目は、2019年3月に発生した事案であり、対象企業の従業員1名が過去の雇用主であるTesla社から営業秘密の不正流用で提訴された事実が記載されている[27]。対象企業はこの訴訟に関してTesla社の要求に応じて該当従業員に関する各種文書および情報を提供したが、対象企業側が不合理と判断したさらなる証拠開示要求(discovery requests)に対しては、取り消しを求める申立て(motion to quash)を行った記録がある[27]。2025年度Annual Reportでは、この元従業員とTesla社が2年以上の訴訟および広範な証拠開示手続を経た後、2021年4月15日にdismissal with prejudiceに関する共同合意を提出し、当該訴訟で主張されたすべての請求を解決するため秘密和解契約を締結したことが開示されている[2]。
2件目は、Apple社に関連する別の元従業員の事案であり、当該元従業員が対象企業に雇用される前に発生した窃盗の申し立てに関して、対象企業が大陪審(grand jury)から特定文書の提出を求める召喚状(subpoena)を受け取った事実が開示されている[27]。2025年度Annual Reportでは、この元従業員が2022年8月22日に営業秘密窃取の罪について有罪答弁を行い、司法取引(plea agreement)を締結したことが開示されている[2]。同Annual Reportは、対象企業が当該元従業員の最終量刑から影響を受けない旨も記載している[2]。
データプライバシーに関連する法規制違反の記録として、対象企業が過去に上海の特定店舗において第三者のサービスプロバイダーを通じて顔認識技術による訪問者の背景分析を実施していた事案が開示されている[5]。この慣行は訪問者の同意および必要な手続きを欠いていたため、現地の市場規制当局から中華人民共和国消費者権益保護法(PRC Customer Rights Protection Law)の違反と認定され、対象企業は少額(immaterial amount)の罰金を科された[5]。対象企業は当該第三者サービスプロバイダーとの連携を終了し、関連する訪問者データは削除されたと報告している[5]。
本資料において、以下の事項は設定された一次情報の要件(法定開示・公式発表・公的DB等)を満たす範囲内では確認できず、または原典への到達が未確認である。
以下の表は、各国の開示制度に基づく一次情報で確認された事実を整理したものである。
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発表日 / 実施日 |
イベント内容 |
ステータス |
出典 |
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2018年12月 |
スマートEVの最初のモデルであるコンパクトSUV「G3」の納車開始。 |
完了 |
[2] |
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2023年8月27日 |
DiDi Globalとの株式購入契約締結。プロジェクト「MONA」に関するスマートオート開発事業資産を取得し、Patent Licensing Agreement等の関連契約を含む取引条件を設定。 |
合意 |
[20] |
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2023年11月13日 |
DiDiのスマートオート事業に関連するXiaoju Groupの100%持分取得を完了。 |
完了 |
[21] |
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2024年1月 |
7人乗りMPVモデル「XPENG X9」の発売および納車開始。 |
完了 |
[6] |
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2024年2月5日 |
Volkswagen Group(中国関連子会社)とのプラットフォームおよびソフトウェアの協力に関するマスター契約締結。 |
完了 |
[17] |
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2024年8月 |
DiDiから取得した事業資産および関連契約に基づくAクラススマートEVモデル「MONA M03」の発売および納車開始。 |
稼働 |
[5] |
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2025年1月6日 |
Volkswagen Group Chinaとの間で、中国における超急速充電ネットワークの共同構築に向けた覚書(MOU)締結。 |
完了 |
[23] |
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2025年8月15日 |
Volkswagen Groupとの間で、電気/電子アーキテクチャ(E/Eアーキテクチャ)の技術協力を拡大する契約を締結。 |
完了 |
[18] |
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2026年3月2日 |
次世代インテリジェントドライビングシステム「VLA 2.0 Intelligent Driving System」のアーキテクチャおよび展開計画を発表。 |
稼働 |
[2] |
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2026年3月20日 |
2025年12月期(FY2025)第4四半期および通期未監査財務結果の発表。 |
完了 |
[15] |
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2026年4月16日 |
SECへの2025年度Annual Report(Form 20-F)提出。 |
完了 |
[1] |
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2026年5月28日 |
2026年第1四半期未監査財務結果の発表。 |
完了 |
[22] |
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項目名 |
数値 |
単位 |
対象期間 |
区分 |
出典表記名 |
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Research and development expenses(研究開発費) |
1,725,906 |
千人民元 |
2020年12月期 |
実績 |
Form 20-F (2022)[10] |
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Research and development expenses(研究開発費) |
4,114,267 |
千人民元 |
2021年12月期 |
実績 |
Form 20-F (2022)[10] |
|
Research and development expenses(研究開発費) |
5,214,836 |
千人民元 |
2022年12月期 |
実績 |
Form 20-F (2024)[6] |
|
Research and development expenses(研究開発費) |
5,276,550 |
千人民元 |
2023年12月期 |
実績 |
Form 20-F (2024)[6] |
|
Research and development expenses(研究開発費) |
6.46 |
十億人民元 |
2024年12月期 |
実績 |
Annual Results Announcement 2025[11] |
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Research and development expenses(研究開発費) |
9.49 |
十億人民元 |
2025年12月期 |
実績 |
Annual Results Announcement 2025[11] |
|
Research and development expenses(研究開発費) |
2.91 |
十億人民元 |
2026年第1四半期 |
実績 |
Q1 2026 Unaudited Financial Results[22] |
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Total deliveries(総納車台数) |
190,068 |
台 |
2024年12月期 |
実績 |
Form 20-F (2025)[2] |
|
Total deliveries(総納車台数) |
429,445 |
台 |
2025年12月期 |
実績 |
Form 20-F (2025)[2] |
|
Total deliveries(総納車台数) |
62,682 |
台 |
2026年第1四半期 |
実績 |
Q1 2026 Unaudited Financial Results[22] |
|
Total revenues(総収益) |
40.87 |
十億人民元 |
2024年12月期 |
実績 |
Form 20-F (2025)[2] |
|
Total revenues(総収益) |
76.72 |
十億人民元 |
2025年12月期 |
実績 |
Form 20-F (2025)[2] |
|
Total revenues(総収益) |
13.03 |
十億人民元 |
2026年第1四半期 |
実績 |
Q1 2026 Unaudited Financial Results[22] |
|
Gross margin(粗利益率) |
14.3 |
% |
2024年12月期 |
実績 |
Form 20-F (2025)[2] |
|
Gross margin(粗利益率) |
18.9 |
% |
2025年12月期 |
実績 |
Form 20-F (2025)[2] |
|
Gross margin(粗利益率) |
20.6 |
% |
2026年第1四半期 |
実績 |
Q1 2026 Unaudited Financial Results[22] |
|
Vehicle margin(車両利益率) |
8.3 |
% |
2024年12月期 |
実績 |
Form 20-F (2025)[2] |
|
Vehicle margin(車両利益率) |
12.8 |
% |
2025年12月期 |
実績 |
Form 20-F (2025)[2] |
|
Vehicle margin(車両利益率) |
12.1 |
% |
2026年第1四半期 |
実績 |
Q1 2026 Unaudited Financial Results[22] |
|
Net loss(純損失) |
5.79 |
十億人民元 |
2024年12月期 |
実績 |
Form 20-F (2025)[2] |
|
Net loss(純損失) |
1.14 |
十億人民元 |
2025年12月期 |
実績 |
Form 20-F (2025)[2] |
|
Net loss(純損失) |
1.78 |
十億人民元 |
2026年第1四半期 |
実績 |
Q1 2026 Unaudited Financial Results[22] |
|
Cash position(資金ポジション) |
41.96 |
十億人民元 |
2024年12月31日時点 |
実績 |
Form 20-F (2025)[2] |
|
Cash position(資金ポジション) |
47.66 |
十億人民元 |
2025年12月31日時点 |
実績 |
Form 20-F (2025)[2] |
|
対象技術・ブランド |
区分 |
権利者 / 主体 |
概要・ステータス |
出典 |
|
企業全体の累計取得特許 |
特許 |
XPeng Inc. 等 |
2025年12月31日時点での累計取得特許数の実績は3,761件。 |
[3] |
|
Turing AI Chip |
独自開発技術 |
XPeng Inc. |
単一チップで最大750 TOPSのコンピューティング能力を備える自社開発のAIチップ。学習と意思決定の基盤。 |
[3] |
|
VLA 2.0 Intelligent Driving System |
独自開発技術 |
XPeng Inc. |
2026年3月2日にアーキテクチャおよび展開計画が発表された次世代インテリジェントドライビングシステム。 |
[2] |
|
IRON(ヒューマノイドロボット) |
商標・製品 |
XPeng Inc. |
2025年に導入された「製品発売前の商標登録」戦略に基づき、量産前にコア商標を登録。2026年春節期間中に北京自動車博物館で来場者との対話を行った実績を有する。 |
[3] |
|
プロジェクト「MONA」関連技術 |
取得事業資産・関連契約 |
XPeng Inc.(DiDiから取得した事業資産および関連契約) |
2023年8月の株式購入契約に基づき、DiDi Globalからスマートオート開発事業資産を取得。Initial ClosingおよびSOP Closingの条件としてPatent Licensing Agreement等の関連契約が記載された。2025年度Annual Reportの取得資産配分には、無形資産としてVPT、VMTUD、Softwareが含まれる。 |
[20][21] |
|
プラットフォームおよびソフトウェア技術 |
提携・ライセンス |
Guangdong Xiaopeng Motors Technology Co., Ltd. 等 |
Volkswagen Groupとのマスター契約に基づき運用。「バックグラウンド権」および「フォアグラウンド権」を定義して管理。 |
[17] |
|
E/Eアーキテクチャ技術 |
提携・ライセンス |
XPeng Inc. |
2025年8月のVolkswagen Groupとの技術協力拡大契約に基づく。VWのEVプラットフォームおよび中国市場向けICE/PHEV基盤にも展開。 |
[18] |
|
拠点区分 |
所在地 |
主な機能・概要 |
出典 |
|
グローバル本社 / R&D拠点 |
中国・広州 |
本社機能、研究開発機能、主要オフィス。 |
[1] |
|
国内主要オフィス |
中国・北京、上海、深セン |
ソフトウェア開発、販売、管理等の主要オフィス。 |
[1] |
|
製造拠点 |
中国・肇慶(広東省) |
車両の製造を行う自社工場(Zhaoqing plant)。 |
[1] |
|
製造拠点 |
中国・広州(広東省) |
車両の製造を行う自社工場(Guangzhou plant)。 |
[1] |
|
製造拠点 |
中国・武漢 |
2026年3月31日時点で新製造拠点の建設を完了し、関連政府当局による検査・受入手続の完了後に不動産所有権証を取得。 |
[2] |
|
海外R&D拠点 |
米国・シリコンバレー |
先進技術および自動運転関連等の研究開発を担う主要オフィス。 |
[3] |
|
海外R&D拠点 |
米国・サンディエゴ |
技術研究開発を担う主要オフィス。 |
[1] |
|
海外R&D拠点 |
ドイツ・ミュンヘン |
技術研究開発および欧州市場向けのローカライゼーション機能。 |
[3] |
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