3行まとめ
特許1万件超・商標192地域でG-SHOCKとAI新事業を守る知財基盤
カシオは国内外で特許権10,476件、商標権5,730件を192の国と地域で保有し、G-SHOCKに加えてAIペットロボットや音声・省電力制御など新領域の価値保護を進めている。
時計事業の伸長で営業利益61.7%増、通期予想も上方修正
2026年3月期第3四半期は売上高2,080億5百万円、営業利益181億57百万円、純利益154億15百万円となり、特に時計事業が牽引した。通期予想も売上高2,740億円、営業利益220億円へ引き上げられ、知財とブランド投資が業績に結びついていることがうかがえる。
中国勝訴と新技術センター整備が今後の成長と模倣対策の要となる
中国ではG-SHOCK GA-110を巡る訴訟で300万人民元の損害賠償命令を獲得し、意匠権満了後も反不正当競争法で保護が認められた。さらに羽村の新技術センターは延床33,836㎡で2027年9月竣工予定となっており、AI応用や共創型開発を加速する実践基盤になる。
この記事の内容
カシオ計算機株式会社は、東京都渋谷区本町1-6-2に本社を置く製造業企業であり、1957年6月1日に設立された1。統合報告書発行に関するプレスリリースに基づく事実として、同社の資本金は485億9200万円である2。2025年3月31日現在における連結従業員数の実績は8,801名である3。同社は経営理念として「創造貢献」を掲げており、この理念を「それまでにない斬新な働きを持った製品を提供することで、社会貢献を実現するという意味」と公式ウェブサイトにおいて定義している4。さらに、事業の方向性を示すパーパスとして「驚きを身近にする力で、ひとりひとりに今日を超える歓びを。(Through the power to put wonder at hand, bring new levels of joy to lives one by one.)」を制定している4。事業セグメントは「時計事業」「コンシューマ事業(教育(EdTech)事業、楽器(サウンド)事業)」「その他(新規事業等)」で構成される5。2025年3月期からは業績管理区分の一部見直しを実施し、従来「システム」に計上していたハンディターミナルおよび電子レジスターの事業を非継続事業として「その他」に計上する変更を行っている7。
財務面において、カシオ計算機株式会社が2026年1月29日に公表した「2026年3月期第3四半期 決算短信」によれば、2026年3月期第3四半期(2025年4月1日~2025年12月31日)の連結経営成績実績は、売上高が対前年同四半期増減率6.2%増の208,005百万円、営業利益が同61.7%増の18,157百万円、経常利益が同80.7%増の20,281百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同261.6%増の15,415百万円である6。同決算短信において公表された2026年3月期通期(2025年4月1日~2026年3月31日)の連結業績会社予想(修正予想)は、売上高274,000百万円(対前期増減率4.7%増)、営業利益22,000百万円(同54.5%増)、経常利益24,000百万円(同69.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益17,000百万円(同110.8%増)である6。この通期会社予想は、時計セグメントの好調な業績を理由に2025年8月1日公表の前回予想から上方修正されたものであり、想定為替レートは1US$=145円、1ユーロ=170円としている6。配当状況に関して、2026年3月期第2四半期末(中間期)の1株当たり配当金実績は22.50円であり、期末の配当予想額は「未定」と記載している6。
技術および知的財産について、カシオ計算機株式会社は「統合報告書2025」において、国内外における特許権の現有効件数実績を10,476件、192の国と地域における商標権の現有効件数実績を5,730件と公表している10。研究開発の方針として、堅牢性・小型化・省電力などの独自に進化を重ねたコア技術と、AI応用やセンサー応用などの先進技術を融合して新たな価値を創造することを掲げている5。具体的な技術開発の成果として、米国特許商標庁(USPTO)の公的データベースにおいて、同社を出願人または権利者とする複数の特許公開および登録が確認できる。これらには、画像撮影装置が撮影状態にある場合に対象物の光をカメラ方向に反射する向きに第1のミラーが固定されている電子機器およびペットロボットに関する特許出願(Publication number: 20260084069)や、対象者の行動状態を表す状態値の変化を誘導する音声特性を特定する情報処理方法に関する特許出願(Publication number: 20250114686)、音節開始フレームのパラメータに基づく音声出力制御に関する特許出願(Publication number: 20250111844)などが含まれる11。研究開発拠点については、2025年2月14日に羽村技術センター(東京都羽村市)の新技術センター建設および本社ビル(東京都渋谷区)のリノベーション計画を発表し、新技術センターには実験設備を集約したラボ棟を新設する方針を示している13。
戦略および成長の観点では、カシオ計算機株式会社は事業成長と技術革新に向けた複数の提携および新製品の展開を実施している。2025年9月18日に共創プラットフォームの開発・運営を行うTieUps株式会社との資本業務提携契約の締結を完了した15。教育分野においては、2025年8月20日にエジプトの教育・技術教育省との間で数学教育の強化を目的とした覚書の締結を完了している15。新たな市場領域への展開として、2025年8月5日にはメタバースプラットフォーム「The Sandbox」上においてG-SHOCKの仮想体験を提供する協業を完了した15。AI技術を活用した新規事業として、2025年8月26日に効果音を生成するサービス「Waves Place」およびライブ配信専用スケジューラー「Streamer Times」の公式リリースを完了した15。さらに製品展開において、2025年7月30日に台湾における産婦人科向け専用カメラの販売開始を完了し、2025年10月21日には小型化技術を活用したリングサイズの「G-SHOCK」の導入を発表した15。
リスク管理およびESGに関する取り組みとして、カシオ計算機株式会社は知的財産権の保護に向けた法的手続きを遂行している。中国において「G-SHOCK GA-110」の意匠に関連する不正競争防止法違反を巡る訴訟を提起し、2024年12月12日に広東省高級人民法院から勝訴判決を受けたことを発表した(完了)17。この判決において、裁判所は被告企業2社に対して300万人民元の損害賠償支払いを命じ、意匠権の保護期間が満了した製品デザインに対しても中国の反不正当競争法に基づく救済が認められた17。内部統制の側面では、2025年6月26日に提出された「内部統制報告書」において、代表取締役社長CEOおよび最高財務責任者(CFO)の責任のもと、2025年3月31日を基準日として財務報告に係る内部統制の評価を実施し、内部統制が有効であると判断した旨を報告している(完了)18。この評価手続きでは、前連結会計年度の売上高を指標として選定された重要な事業拠点を対象に、売上高や棚卸資産などの勘定科目に至る業務プロセスの評価が実施された18。
カシオ計算機株式会社は、1957年6月1日に設立された製造業企業である1。本社は東京都渋谷区本町1-6-2に所在している1。同社が2025年11月6日に公表した「2026年3月期第2四半期(中間期)決算短信」において、代表者は代表取締役 社長 CEO 高野 晋と記載されている9。(なお、2025年6月26日に関東財務局長へ提出された内部統制報告書における代表者の役職氏名の記載は、代表取締役 社長 CEO 増田 裕一であった18。)資本金は、同社の統合報告書発行に関する公式プレスリリースに記載された事実に基づき、485億9200万円である2。また、2025年3月31日現在における連結従業員数の実績は8,801名である3。
事業セグメントは、「時計事業」「コンシューマ事業(教育(EdTech)事業、楽器(サウンド)事業)」「その他(新規事業等)」から構成されている5。カシオ計算機株式会社は2025年3月期より業績管理区分の一部見直しを実施しており、システム機器セグメントおよび収益構造の変化に対応するため、従来「システム」セグメントに計上していたハンディターミナルおよび電子レジスターの事業を非継続事業として「その他」セグメントに計上する変更を行っている7。
経営の根幹となる理念として、カシオ計算機株式会社は「創造貢献」を掲げている4。公式ウェブサイトによれば、この「創造貢献」という理念は「それまでにない斬新な働きを持った製品を提供することで、社会貢献を実現するという意味」であると定義されている4。同社はこの理念に基づき、新しい働きを持った製品が多くの人の生活を助け、社会を進歩させ、あるいは多くの人に楽しみをもたらし新しい文化を生み出す源となるとの方針を示している4。さらに、同社は「驚きを身近にする力で、ひとりひとりに今日を超える歓びを。(Through the power to put wonder at hand, bring new levels of joy to lives one by one.)」というパーパスを制定し、これを同社の存在理由および目指す世界を明文化したものと位置付けている4。このパーパスに加えて、社員が日々の業務に取り組む際に必要となる価値観・信条として「バリューズ」を定めており、「人の探求こそ、原点(Imagination with empathy.)」「独自の発想にこだわる(Creativity through unique thinking.)」「変革を楽しむ(Change with joy.)」「力を合わせ、実現する(Collaboration for realization.)」「いかなる時も社会への貢献心を貫く(Contribution to society as our stance.)」という5つの要素を掲げている5。「カシオ創造憲章」においては、「私たちは、独創性を大切にし、普遍性のある必要を創造します」という第1章の宣誓が掲げられており、この「普遍性のある必要を創造」という語句については「誰にとっても必要でありながら、まだ世の中になかったものを、新たに生み出すこと」との定義が明記されている4。
カシオ計算機株式会社の財務業績について、各種法定開示および決算説明資料に基づく数値を以下に詳述する。
カシオ計算機株式会社が2026年1月29日に公表した「2026年3月期第3四半期 決算短信」に記載されている、2026年3月期第3四半期(2025年4月1日~2025年12月31日)の連結経営成績実績は以下の通りである6。
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項目名 |
2026年3月期第3四半期 実績 |
対前年同四半期増減率 |
出典表記名 |
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売上高 |
208,005百万円 |
6.2%増 |
6 2026年3月期第3四半期 決算短信 |
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営業利益 |
18,157百万円 |
61.7%増 |
6 2026年3月期第3四半期 決算短信 |
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経常利益 |
20,281百万円 |
80.7%増 |
6 2026年3月期第3四半期 決算短信 |
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親会社株主に帰属する四半期純利益 |
15,415百万円 |
261.6%増 |
6 2026年3月期第3四半期 決算短信 |
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1株当たり四半期純利益 |
67.59円 |
- |
6 2026年3月期第3四半期 決算短信 |
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包括利益 |
22,847百万円 |
388.2%増 |
6 2026年3月期第3四半期 決算短信 |
同期間(2025年4月1日~2025年12月31日)におけるセグメント別の売上高およびセグメント利益(損失)の実績は以下の通りである6。
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セグメント区分 |
売上高 実績 |
セグメント利益(損失) 実績 |
出典表記名 |
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時計事業 |
138,994百万円 |
21,121百万円 |
6 2026年3月期第3四半期 決算短信 |
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コンシューマ事業 |
62,055百万円 |
2,756百万円 |
6 2026年3月期第3四半期 決算短信 |
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その他 |
6,956百万円 |
▲1,121百万円(損失) |
6 2026年3月期第3四半期 決算短信 |
セグメント利益に対する調整額の実績は▲4,599百万円である6。この調整額には、報告セグメントに帰属しない全社費用が含まれており、同社は全社費用の主な内容を「提出会社の管理部門に係る費用」および「基礎研究に係る費用」と記載している6。
各セグメントの事業状況について、決算短信等における同社の記述によれば、時計事業においてはレトロ・ヴィンテージトレンドの恩恵を受けた「CASIO WATCH」ラインや、年末商戦における「GMW-B5000」「GST-B1000」などの「G-SHOCK」新モデルが売上に寄与した旨が記載されている6。コンシューマ事業においては、EdTech分野で一部地域での価格改定前の駆け込み需要が発生したと記述されている一方で、Sound分野については厳しい市場環境が継続した旨が記載されている6。
2026年3月期第3四半期末(2025年12月31日時点)の連結財政状態実績は以下の通りである6。
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項目名 |
2026年3月期第3四半期末 実績 |
出典表記名 |
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総資産 |
344,698百万円 |
6 2026年3月期第3四半期 決算短信 |
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純資産 |
231,572百万円 |
6 2026年3月期第3四半期 決算短信 |
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自己資本比率 |
67.2% |
6 2026年3月期第3四半期 決算短信 |
総資産は前連結会計年度末と比較して13,000百万円増加しており、この主な要因について同社は有価証券の増加である旨を記載している6。自己株式の取得について、同社は2026年1月29日開催の取締役会において、自己株式の取得に関する決議を行ったことを発表した(計画)6。この取得計画では、取得株式の総数を3,800,000株(上限)、株式の取得価額の総額を5,000百万円(上限)とし、取得期間を2026年1月30日から2026年3月24日までとしている6。また、当該取得した自己株式について2026年4月30日に消却する予定である旨も併せて発表された(計画)6。
カシオ計算機株式会社が2026年1月29日に公表した2026年3月期通期(2025年4月1日~2026年3月31日)の連結業績会社予想(修正予想)は以下の通りである6。同社は、時計セグメントの好調な業績を理由として、2025年8月1日に公表した前回予想から通期業績予想の上方修正を実施している6。
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項目名 |
2026年3月期 通期 会社予想 |
対前期増減率 |
出典表記名 |
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売上高 |
274,000百万円 |
4.7%増 |
6 2026年3月期第3四半期 決算短信 |
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営業利益 |
22,000百万円 |
54.5%増 |
6 2026年3月期第3四半期 決算短信 |
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経常利益 |
24,000百万円 |
69.8%増 |
6 2026年3月期第3四半期 決算短信 |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
17,000百万円 |
110.8%増 |
6 2026年3月期第3四半期 決算短信 |
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1株当たり当期純利益 |
74.53円 |
- |
6 2026年3月期第3四半期 決算短信 |
この通期会社予想における想定為替レートについて、同社は1US$=145円、1ユーロ=170円を想定している旨を記載している6。
2026年3月期の配当実績および予想について、2025年11月6日公表の「2026年3月期第2四半期(中間期)決算短信」および2026年1月29日公表の「2026年3月期第3四半期 決算短信」に基づく状況は以下の通りである。2026年3月期第2四半期末(中間期)の1株当たり配当金実績は22.50円である6。2026年3月期の期末配当予想については、両決算短信において「未定」と記載されている6。
カシオ計算機株式会社の2025年3月期通期(2024年4月1日~2025年3月31日)の連結業績実績は以下の通りである。本データは同社の決算説明会資料に基づく7。
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項目名 |
2025年3月期 通期 実績 |
対前期増減率 |
出典表記名 |
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売上高 |
261,800百万円 |
97.4% |
7 2025年3月期 決算説明会資料 |
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営業利益 |
14,200百万円 |
100.2% |
7 2025年3月期 決算説明会資料 |
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経常利益 |
14,100百万円 |
78.9% |
7 2025年3月期 決算説明会資料 |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
8,100百万円 |
67.7% |
7 2025年3月期 決算説明会資料 |
(※注:一部の一次情報において数値の表現形式や掲載項目に差異が見られる場合があるが、上記表は決算説明会資料7に記載された実績数値の表データに準拠して転記したものである。)
カシオ計算機株式会社は、「統合報告書2025」において、独創性あふれる発想でまだ気づいていないニーズをつくり、堅牢性・小型化・省電力といった独自に進化を重ねたコア技術と、AI応用やセンサー応用など多様な先進技術を融合して新たな価値を創造するという研究開発の方針を掲げている5。製品設計・生産の理念として「壊れにくさ」「長持ちする性能」を追求し、過酷な環境でも安定して使える製品を提供することを目指している5。特にG-SHOCKは耐衝撃構造の象徴であると位置付け、高精度な生産体制が同社のものづくりを支えている旨を記載している5。具体的なG-SHOCKの設計思想として、耐衝撃構造(中空ケース構造)、20気圧防水、徹底した品質試験といった要素が「統合報告書2025」に明記されている5。
研究開発費に関する具体的なセグメント別の支出額(単独の勘定科目としての総額)は、有価証券報告書、決算短信、内部統制報告書等の提出資料を確認した範囲内では特定できない(調査範囲内では確認できず)6。ただし、前述の2026年3月期第3四半期決算短信におけるセグメント情報の調整額(▲4,599百万円)に関する注記の中で、報告セグメントに帰属しない全社費用として「基礎研究に係る費用」が含まれていることが明記されている6。
社内におけるイノベーション創出の組織体制と仕組みについて、同社は社員のモチベーション向上、新たな視点の獲得、リスクの軽減、迅速な事業化などを可能にするための各種プログラムを導入している5。具体的には、顧客視点での開発手法と事業創出戦略を学ぶための「マーケティング力強化トレーニング」を実施している5。また、多世代・多職種でのワークショップを通じて新しいアイデア湧出の機会と文化づくりを目指す「StudioEGGs」というプログラムを運営している5。さらに、新規事業創出を目的としたプログラム「C-HATCH」においては、マーケティング視点とリーンスタートアップ手法を組み合わせ、アイデア発掘から事業化までを3段階の体系的プロセスで進行させている5。このプロセスでは、外部アクセラレーターや社内メンターの支援を受けながら各段階で審査を実施し、事業リスクを抑えつつ実現可能性の高いテーマに注力する体制を構築している5。
カシオ計算機株式会社は、2025年2月14日に、開発拠点である羽村技術センターの建て替え(新技術センターの建設)および本社ビルのリノベーションを実施する計画を発表した13。同社はプレスリリースの中で、1979年竣工の羽村技術センターの老朽化を契機として本計画を決定した旨を説明しており、人が自然に集まる空間を作ることで社内外の共創とコラボレーションを促し、イノベーションを生みながら成長し続けるために働く環境を一新するとの方針を示している13。
羽村技術センターの新技術センター建設計画の概要は以下の通りである(計画)13。
本社ビルリノベーション計画の概要は以下の通りである(計画)13。
両拠点において、同社は社員の能動的な働き方を推進するため、ABW(Activity Based Working)に適応した多様なスペースを導入する方針である13。また、取引先や来訪者に対しておもてなしの気持ちとカシオらしさを伝えるため、エントランスやビジターエリアを拡大し、快適で個性的な空間に刷新する計画を提示している13。
カシオ計算機株式会社が発行した「統合報告書2025」によれば、同社が保有する知的財産の現有効件数実績は以下の通りである10。同社は国内外においてこれらの知的資本を維持している。
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知的財産の種類 |
現有効件数 実績 |
対象地域 |
出典表記名 |
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特許権 |
10,476件 |
国内外 |
10 カシオ計算機 統合報告書 2025 |
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商標権 |
5,730件 |
192の国と地域 |
10 カシオ計算機 統合報告書 2025 |
米国特許商標庁(USPTO)の公的データベースにおいて、出願人または権利者が「CASIO COMPUTER CO., LTD.」として登録・公開されている主な特許案件(2025年~2026年)の詳細は以下の通りである。これらの公開情報は、同社が掲げるAI応用、センサー技術、省電力制御などの研究開発方針と対応する技術内容を含んでいる。
1件目の特許出願は、ペットロボットの構造に関連するものである。Publication numberは20260084069、出願日は2025年9月17日、公開日は2026年3月26日であり、発明者はHiroaki YOSHIZAWAである11。この特許のAbstract(抄録)によれば、画像撮影装置(image capturer)が撮影状態にある場合において、対象物の光(object light)を画像撮影装置の方向に反射する向きに第1のミラーが固定されている構成を含む電子機器およびペットロボットについて記載されている11。
2件目の特許出願は、音声情報処理システムに関連するものである。Publication numberは20250114686、出願日は2024年9月27日、公開日は2025年4月10日であり、発明者はFutoshi YAMAMOTOである12。Abstractの記載によれば、メモリに格納されたプログラムを実行するプロセッサを含む情報処理デバイスによって実行される情報処理方法である。対象者(target person)の行動状態を表す状態値の変化と、送信される複数の音声の特性との対応情報に基づいて、状態値の変化を誘導する音声の特性を特定する機能を有している12。
3件目の特許出願は、電子楽器の音声制御に関連するものである。Publication numberは20250111844、出願日は2023年1月11日、公開日は2025年4月3日であり、発明者はMakoto DANJYO, Fumiaki OTA, Atsushi NAKAMURAである12。Abstractの記載によれば、操作子に対する操作の検出に応答して、音節開始フレームのパラメータに基づいて音節の音声出力を開始するコントローラを含む。音節に含まれる母音セクションにおける母音フレームのパラメータに基づく音声出力開始後も当該操作が継続する場合、コントローラは操作が解除されるまで母音の音声出力を継続させる仕組みを有する12。
4件目の特許出願は、ロボットの省電力および充電システムに関連するものである。Publication numberは20250105653、出願日は2024年9月24日、公開日は2025年3月27日であり、発明者はHirokazu HASEGAWA, Erina ICHIKAWA, Kouki MAYUZUMIである12。Abstractの記載によれば、電源供給装置から電力を受信する電力受信機(power receiver)、ロボット内に収容され受信電力で充電されるバッテリー、およびプロセッサを含む。プロセッサは、バッテリーの充電量が所定量未満であると判定された場合にロボットを制御して省エネモード(energy saving mode)に設定する機能を持つ12。
登録特許の一例として、推定目標時間の表示装置に関する特許が挙げられる。Patent numberは12257480、出願日は2021年2月1日、特許登録日は2025年3月25日であり、発明者はMasamichi Arai, Nobuyoshi Nishizakaである12。Abstractの記載によれば、ユーザーがランニング中の運動データに基づいて予め設定された距離を走るペースを導出する第1の導出機能と、推定目標時間を導出する第2の導出機能を備えるシステムである12。
別の登録特許として、電子楽器のフィルター効果付与装置に関する特許がある。Patent numberは12272342、特許登録日は判別できないもののリストに存在し、AssigneeはCASIO COMPUTER CO., LTD.である12。Abstractの記載によれば、複数のフィルター係数からなる係数グループに対応する可変フィルター特性を持つ特性可変フィルターと、開始点として設定された第1の係数グループから終了点として設定された第2の係数グループへ係数グループを変更する制御回路を含む12。
(※特許出願・登録件数の全体総数について、IP Force等の民間データベースで集計された日本国内の公開件数・登録件数ランキング等の数値は存在するが、引用の3原則に基づく一次情報による確認方針に従い、民間集計値の直接転記は行わず「未確認事項まとめ」にて言及する。)
カシオ計算機株式会社は、中国における自社製品「G-SHOCK GA-110」の意匠権および製品デザインの保護を巡る法的手続きを実施し、2024年12月12日に訴訟の勝訴に関する公式発表を行った(完了)17。本訴訟の被告は、Guangzhou Teyuan Watch Industry Co., Ltd.(広州特元時計工業有限公司)およびShenzhen Tasgo Watch Co., Ltd.(深圳Tasgo時計有限公司)の2社である17。
カシオ計算機株式会社は、被告企業が許可を得ることなく「GA-110」ラインと類似したデザインを使用・製造した行為が、消費者を混同させる不正競争行為に該当すると主張し訴訟を提起した17。公式発表の記載によれば、「G-SHOCK GA-110」は2010年に中国市場で発売された製品であり、2016年から2020年までの5年間において中国でトップセールスを記録した人気モデルである17。同社は訴訟手続きにおいて、自社の販売記録および広告資料を証拠として提出し、GA-110の特徴的なデザインが市場に出回る他の時計と識別可能であり、かつ中国の消費者によって広く認識されていることを立証した17。
裁判の判決を下した広東省高級人民法院(The High People's Court of Guangdong Province)は、カシオ計算機株式会社の耐衝撃G-SHOCK時計ラインであるGA-110について、「そのデザイン要素が市場で認識されており、一定の影響力を持つ製品(a product whose design elements are recognized and carry certain influence in the market)」であると認定した17。そのうえで裁判所は、被告らがGA-110ラインと類似したデザインを無断で使用したことは、消費者を混同させる可能性のある不正競争行為であると判断した17。
この判決に基づき、裁判所は被告2社に対し、300万人民元の損害賠償を支払うよう命じた17。カシオ計算機株式会社が発表資料に記載した換算式「1 CNY = 21 JPY(1人民元=21日本円)」を用いて計算すると、この賠償額は約6500万円に相当する17。賠償額の算出に際しては、被告による侵害行為の影響、悪意(malicious intent)、および販売記録などの要素が考慮された17。また、裁判の過程において被告側は、オンラインランキングを操作するための架空注文を作成する行為(brushing=ブラシ行為)によって水増しされた販売データは損害額の計算から除外されるべきであると主張した。しかし裁判所はこの主張を退け、企業はそのような欺瞞的行為に対して責任を負うべきであるとの判断を示した21。
本判決は、中国の反不正当競争法(Anti-Unfair Competition Law)のもとで、意匠権の保護期間が満了した製品デザインに対してカシオ計算機株式会社に救済が認められた初の事例であると同社は発表の中で述べている17。
カシオ計算機株式会社は、策定したパーパスに基づき、各事業領域において技術革新と新たな顧客価値の提供を目指した新製品の市場投入や、他社との提携戦略を展開している。
「統合報告書2025」において、同社はAI技術を応用した新たな価値創造の事例として、感情豊かに成長するAIペットロボット「Moflin(モフリン)」の展開を詳細に記述している5。この製品は、AIが「異なる個性」や「感情」を生み出し、飼い主との関係性を学習することで性格が変化する高度なAI感情モデルを搭載している5。同製品は、触覚、声、姿勢、明るさなどの情報を取得する「統合センサー応答システム」を備えており、「抱く」「話しかける」などの刺激に対して多様な反応を返す仕組みを実現している5。また、400万通り以上の性格バリエーションを有しており、ユーザーとの絆を感じさせるインタラクティブ体験を提供する5。同社はこれを、身体的な機能よりも心のつながり(エモーショナル面)に価値をシフトした製品設計であり、メンタルウェルネス領域での事業拡大と社会課題解決を目指す取り組みとして位置付けている5。
ソフトウェアおよびサービス領域におけるAIの活用として、同社は2025年8月26日に、AIを使用して効果音を生成するサービス「Waves Place」の公式リリースを完了した15。同日には、ライブ配信専用のスケジューラーアプリケーションである「Streamer Times」のリリースも完了している15。
その他の新領域における製品展開として、医療機器分野への参入を実施している。同社は2025年7月30日に、台湾において産婦人科向け専用カメラの販売を開始(完了)したことを発表した15。また、音楽制作支援の領域では、2025年7月29日にギターリストの理想的な音作りを支援するアプリケーション「ToneBook」をリリース(完了)している15。ハードウェアの小型化技術の進展を示す製品として、2025年10月21日にはリングサイズの「G-SHOCK」の導入を発表した15。教育事業領域(EdTech)においては、「統合報告書2025」でSTEM教育に有用な関数電卓による学習支援を推進する方針を掲げ、国や地域で異なる学習内容・ニーズに対応した製品と使いやすいUI/UXを提供する取り組みを記述している5。
カシオ計算機株式会社は、外部パートナーとの協業を通じた事業成長とブランド価値向上のための施策を複数完了させている。
カシオ計算機株式会社の製品デザインおよびパッケージデザインに関する、2025年度に発表された外部機関からの主な受賞実績は以下の通りである。これらは同社が追求する使いやすさと洗練されたデザインの調和を示す結果として公表されている15。
カシオ計算機株式会社の財務報告および事業運営に関するリスク管理体制は、金融商品取引法に基づく内部統制報告書の提出を通じて開示されている。同社が2025年6月26日に関東財務局長へ提出した「内部統制報告書(根拠条文:金融商品取引法第24条の4の4第1項)」に基づく、財務報告に係る内部統制の整備および運用状況の詳細は以下の通りである18。
本報告書提出時点において、カシオ計算機株式会社の代表取締役社長CEOである増田裕一、および最高財務責任者 取締役常務執行役員CFOである高野晋は、同社および関係会社で構成されるグループの財務報告に係る内部統制の整備および運用に責任を有している18。この内部統制の評価は、企業会計審議会が公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」に示されている枠組みに準拠して行われた18。
評価の基準日は当連結会計年度の末日である2025年3月31日であり、カシオ計算機株式会社および連結子会社29社を評価対象範囲とした18。このうち、連結子会社9社および持分法適用関連会社1社については、財務報告に対する影響の重要性が僅少であると判断したため、全社的な内部統制の評価範囲から除外している18。
評価の手続きにおいては、まず連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす全社的な内部統制の評価を実施し、その結果を踏まえて評価対象とする業務プロセスを選定する手順を踏んだ18。業務プロセスの評価対象となる「重要な事業拠点」の選定にあたっては、前連結会計年度の売上高を規模の指標として用いた18。売上高の高い拠点から順に合算を行い、その累計額が連結売上高の約3分の2に達するまでの事業拠点を重要な事業拠点として指定した18。これらの選定された拠点においては、企業の事業目的に大きく関与する重要な勘定科目である「売上高」「売掛金」および「棚卸資産」に至る業務プロセスを評価対象として選定し、内部統制の有効性を評価した18。
さらに、同社は重要な事業拠点として指定されたか否かにかかわらず、虚偽記載の発生リスクが高い特定の業務プロセスを個別の評価対象として追加している18。具体的に追加選定されたのは以下の業務プロセスである18。
これらの詳細な評価手続きを実施した結果、代表取締役社長CEOおよび最高財務責任者CFOは、2025年3月31日時点においてカシオ計算機株式会社の財務報告に係る内部統制は有効であるとの結論に至り、その旨を報告書に記載した(完了)18。
一次情報による確認を原則とした本調査において、確認できなかった事項または一次情報間で不一致が見られた事項は以下の通りである。
以下の表は、カシオ計算機株式会社の決算発表および法定開示に関連する主なIRイベントと日程である。
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日付 |
発表区分・イベント名 |
主な内容・ステータス |
出典表記名 |
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2025年6月26日 |
有価証券報告書提出(予定) |
2025年3月期 有価証券報告書提出予定日 |
26 2025年3月期 決算短信 |
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2025年6月27日 |
定時株主総会開催(予定) |
定時株主総会開催予定日 |
26 2025年3月期 決算短信 |
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2025年6月30日 |
配当支払開始(予定) |
期末配当支払開始予定日 |
26 2025年3月期 決算短信 |
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2025年8月1日 |
決算発表 |
2026年3月期第1四半期決算発表 |
1 IRカレンダー |
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2025年11月6日 |
決算発表 |
2026年3月期第2四半期(中間期)決算短信公表 |
9 2026年3月期第2四半期 決算短信 |
|
2025年11月13日 |
半期報告書提出(予定) |
2026年3月期 半期報告書提出予定日 |
9 2026年3月期第2四半期 決算短信 |
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2025年12月2日 |
配当支払開始(予定) |
中間配当支払開始予定日 |
9 2026年3月期第2四半期 決算短信 |
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2026年1月29日 |
決算発表 |
2026年3月期第3四半期決算短信公表 |
6 2026年3月期第3四半期 決算短信 |
(カシオ計算機株式会社の特定市場におけるシェア率を明記した図表が行単位で存在する一次情報は、今回の調査範囲内では確認できず。)
以下の表は、米国特許商標庁(USPTO)の公的データベースにおいて「CASIO COMPUTER CO., LTD.」を出願人または権利者として確認できる、近年の主な特許公開および登録案件である。
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出願日 / 登録日 |
公開番号 / 特許番号 |
発明の名称 (Title) |
出願人 / 権利者 |
状態 |
出典表記名 |
|
Filed: Sep 17, 2025 |
Pub No: 20260084069 |
ELECTRONIC DEVICE AND PET ROBOT |
CASIO COMPUTER CO., LTD. |
公開 (Mar 26, 2026) |
11 USPTO Patent Database |
|
Filed: Sep 27, 2024 |
Pub No: 20250114686 |
INFORMATION PROCESSING METHOD, INFORMATION PROCESSING DEVICE, RECORDING MEDIUM, AND INFORMATION PROCESSING SYSTEM |
CASIO COMPUTER CO., LTD. |
公開 (Apr 10, 2025) |
12 USPTO Patent Database |
|
Filed: Jan 11, 2023 |
Pub No: 20250111844 |
INFORMATION PROCESSING DEVICE, ELECTRONIC MUSICAL INSTRUMENT, ELECTRONIC MUSICAL INSTRUMENT SYSTEM, METHOD, AND STORAGE MEDIUM |
CASIO COMPUTER CO., LTD. |
公開 (Apr 3, 2025) |
12 USPTO Patent Database |
|
Filed: Sep 24, 2024 |
Pub No: 20250105653 |
POWER RECEIVING SYSTEM, ROBOT, POWER RECEIVING METHOD, AND RECORDING MEDIUM |
CASIO COMPUTER CO., LTD. |
公開 (Mar 27, 2025) |
12 USPTO Patent Database |
|
Filed: Dec 9, 2022 |
Pub No: 20250063673 |
ELECTRONIC DEVICE AND METHOD FOR MANUFACTURING ELECTRONIC DEVICE |
CASIO COMPUTER CO., LTD. |
公開 (Feb 20, 2025) |
12 USPTO Patent Database |
|
Filed: Feb 1, 2021 |
Pat No: 12257480 |
Estimated goal time display device, estimated goal time display control method, and storage medium |
CASIO COMPUTER CO., LTD. |
登録 (Mar 25, 2025) |
12 USPTO Patent Database |
|
Filed: Feb 9, 2022 |
Pat No: 12237592 |
Electronic device and antenna characteristic adjusting method |
CASIO COMPUTER CO., LTD. |
登録 (Feb 25, 2025) |
12 USPTO Patent Database |
以下の表は、カシオ計算機株式会社が2025年2月14日に発表した、研究開発拠点および本社の刷新に関する建設計画の概要である。
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拠点名称 |
所在地 |
面積情報 |
構造および機能の概要 |
ステータス |
出典表記名 |
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本社ビル |
東京都渋谷区本町1-6-2 |
敷地面積 4,897㎡
延床面積 26,459㎡ |
地上部 鉄骨造、地下部 鉄骨鉄筋コンクリート造。新技術センターとの連携を強化するため、サテライト機能を兼ねたマグネットフロアを新設する。 |
リノベーション計画(2025年6月着工、2026年11月竣工予定) |
13 新オフィス計画に関するプレスリリース |
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新技術センター(羽村技術センター隣接地への移転) |
東京都羽村市栄町3-2-1、2、3 |
敷地面積 44,492㎡
延床面積 33,836㎡ |
鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造。効率的な研究開発を行うため、実験設備を集約したラボ棟を新設し、横断的な開発環境を整える。 |
建設計画(2025年3月着工、2027年9月竣工予定) |
13 新オフィス計画に関するプレスリリース |
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本レポートは、公開情報をAI技術を活用して体系的に分析したものです。
情報の性質
ご利用にあたって
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