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発明塾式「頭のよい子が育つ家」〜思考を育てる環境設計〜

 

子どもの頭をよくするには、独立した部屋は必要なく、リビング学習、キッチン学習するのがよい。本棚はリビングに置くとよい。という話を聞いたことありますよね。
2006年に
四十万靖氏が「頭のよい子が育つ家」を提唱して以来、これまでにさまざまなところで取り上げられ、子育て世代の参考書として定着しています。ざっくり言ってしまえば、子どもの動線を考えた間取りや家族がコミュニケーションを取れる間取り、インテリアに工夫を凝らした家づくりのことですね。

これからお話しする僕の考える「頭のよい子が育つ家」は、世の中で言われている空間デザイン的なことではなく、一歩踏み込んで、「思考を育てるための環境設計」です。
つまり、「どこで勉強するか」ではなく、「どれだけ思考を生み出せるか」。
空間そのものはきっかけであって、本当に頭をよくするのは、「考える習慣」「多面的な視点」「言語化と内省」といった創造的思考力を高めることだと思うんです。
発明塾の手法と僕の経験も踏まえ、日常や家の中で自然に思考を高められるヒントをいくつかお話ししますので、一つでも参考になればと思います。

 

小さな達成感を積み重ねる 〜15分集中の力〜

僕は、中学生の時から電車で1時間以上かけて通学していました。乗り換えが3回あったので、一つの電車に乗っている時間は15分〜20分ぐらいだったんですが、その時に、それぞれの電車内での時間にどうやって勉強するかを考えていました。「まずはこの数学1問を解くぞ!」などと、15分で完結できそうなことをやっていたんです。これが意外と集中できるんですよね。

実はこの15分という時間は、人間が集中できる(限界の)時間と言われています。
発明塾では「問いを立てる→調べる→考える→構造化する」を短い時間で繰り返しますが、例えば「これから調べてみようか」となった時、調査時間は15分で一旦切っています。これも効率と集中力の限界を知った上での時間設定と思考トレーニングです。

ですから、勉強も細切れでよいので、1ページだけ読むとか、1問解くとかを繰り返すんです。15分単位でものごとを完成させるスタイルは、一つひとつが成功体験です。そうやって小さな成功体験を積ませると、学びは継続するんですよね。もちろん家や机の上だけじゃなくてもいいでしょう。まだ小さい子供なら隙間時間にちょっとした仕掛けを親が作ってあげるといいでしょう。

一旦終わった時には、日付と時間まで入れておくのがポイントです。続きをその日のうちにやることもあると思うので、さっきはここまで進んだとか、さっきはここまで考えた、というのを分かるようにしておくためです。これは仕事でも同じですね。僕はいつもそうしています。子どもも、1日の中での成功体験が何回も重なれば、達成感もより大きくなりますね。

 

手の届く場所に「思考の素材」を置く

片付いた部屋、机、本棚…。整理された部屋というのは、気持ちがいいし勉強もはかどりそうです。書類なども今ならパソコンの中に全部あったり、今は昔より机の上や空間はすっきりしている人も多いのではないでしょうか。

もちろんそれは否定しません。ただ、僕は使いたいものや大事なもの、取り掛かっているもの、やらなければならないものは、常に全部目の届く場所、手をのばせば届く場所に置くのが大事で、その方がいいと思っています。

僕の自宅には実際に本棚は机のすぐ後ろにあって、座ったまま手を伸ばせば届く場所にあります。トイレにも本棚がある。食事のテーブルも何冊も並べてあります。1日に何度も行く場所だからこそ、そこに本があると手に取り目を通すので、自然に情報が入ってくるんですよね。大事だと思う本は、2冊買って机とトイレに置いてあるので、自然と手にして目を通します。

これは、子供の学習においても同じだと思います。学ぶものは常に見える場所にあるということは、思考を促す第一歩です。だって、本棚がちょっと離れたところにあるだけで、人って読まなくなるんです。そう思いませんか? 間近で目に触れないものはつい忘れてしまうんです。
リビングや個室に本棚があるというだけではなく、座る場所から手の届く位置にあるということがポイントなんですよね。

 

思考の可視化と習慣化 ~言語化能力も育つメモ力~

付け加えると、手に届く場所に置いておくのは本や参考書だけではありません。僕は、学生時代には古文の助動詞の活用だとか、英単語だとか、書いた紙を机だけじゃなくて、階段とか、廊下までいっぱい貼っていました。そうやって物理的にいつも目に入るようにしていたんです。

その時に勉強するものだけがある片付いたキレイな机は、それはそれでよいのかもしれませんが、メモだらけになっていても全然いいと思いますね。メモや参考書や本やいっぱい手の届くところにあって、散らかっているように見えてもいいんです。本人がどこに何があるかがわかっていればいいんですから。

自動車メーカーのトヨタには「探すムダ」を徹底的に排除する、という考え方がありますが、同感です。例えば、引き出しや、本棚、パソコンの中に全部片付けられていても、探すのに時間がかかってしまったらもったいないですよね。

また、メモは覚えておきたい単語や公式だけでなく、気づいたこと、毎日の目標など、なんでもメモして壁や机に貼っておくようにするといいでしょう。お子さんにはぜひそれを習慣づけてほしいと思っています。自分の考えを言語化する習慣が育ちます。僕は今でも、仕事のデスクの周りはメモだらけですが、常に見て考えるので、いろいろ考えがすぐにアップデートされます。

 

思いつきを書いて(見える化して)常に見直して、また書く(更新する)。日々の中で自然とアップデートされていくのが思考の深まりです。思考を育てることは、社会人になってもすごく役に立ちます。
家族としても、子供が今何を考えているのかが分かるのはいいことですよね。

 

他人の頭を借りる ~家族間だけでなく多面的に考える~

みなさんは子供から意見を求められた時どうしていますか? 家族であるが故に議論になって意見が対立してしまうこともありませんか? 親も自分の意見を押し付けてしまったり、子供も反発したり、ケンカになることもありますよね。
もちろん、議論を戦わせるのは大事なスキルなのですが、普段から「他人の頭を借りる、共有する」というのを家族で心がけるようにするとよいと思います。

自分の頭なんて狭い世界です。自分のロジックだけで考えるのではなく、あの人だったらどう考えるかな?と、多面的に考えて話し合えるようにすることが大事だと考えます。
今は遥か昔の先人の知恵や、有名な本に書かれてあることをインターネットやAIで調べることができる時代です。だから調べて「この人はこんなことを言ってるよ」、と一緒に考える。とっくに先人が解決しているものだってあるし、それをきっかけに、自分たちだけでは思いつかなかったような答えやアイデアが生まれることもあるでしょう。そうやって親子で共有し考えていく方がとても建設的な気がします。


多くのムダな議論は無知によるものです。不毛な議論をしないで、調べてみましょう。発明塾でも言っていますが、親子でも実践していくとどんどん知識も、想像力も高まっていくのではないでしょうか。

 

まとめ:思考力を育てる環境設計のポイント

  • 勉強は「場所」より「思考量」:リビングやキッチンでもOK。どこで学ぶかより、どう考えるかが重要。
  • 15分単位の集中を活かす:短時間で完結するタスクを積み重ね、小さな達成感を日常に。
  • 手の届くところに本や資料を配置:思考のきっかけになるものは、いつでも触れられる場所に。
  • メモで思考を見える化・習慣化:メモや気づきは壁や机に貼って常にアップデート。言語化力も育つ。
  • 議論は多面的に・他人の知恵も活用:親子で意見をぶつけ合うだけでなく、先人や他者の視点も取り入れてみる。

日々の暮らしが、自然と「考えること」「調べること」「言語化すること」につながる仕掛けにあふれている家、というのが僕の考える頭のよい子が育つ家、ということですが、いかがでしょうか?

 

みなさんも、ご意見や、こんなこと聞いてみたい、というご要望がありましたらぜひご連絡ください。
  info@techno-producer.com 

語り:楠浦崇央
構成:鈴木素子

 

【その7】「子育てと教育」〜これからの時代に生き抜く力を〜 記事一覧

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