3行まとめ
研究開発費30.5%増でサプライチェーン技術へ投資拡大
JD.com, Inc.の2025年12月期の連結純収益は前年比13.0%増の1兆3,091億元となり、研究開発開支は前年比30.5%増の222億2,900万元に拡大した。2026年第1四半期も研究開発開支は前年同期比48.6%増の69億1,300万元となり、技術能力と人材への投資を継続している。
AI特許出願で中国第8位、2024年に3,800件超を出願
2024年版ESG報告書では、JD.comが中国におけるAI特許出願ランキング第8位に入ったこと、2024年に3,800件以上の特許出願を行ったことが示されている。京東物流も2024年12月31日時点で5,000件以上の特許およびソフトウェア著作権を確保している。
AI接客42億件処理と20超の自動化倉庫で実装を拡大
2025年の11.11 Grand Promotionでは、マルチシナリオ・マルチモーダルAIを備えるAIカスタマーサービスシステムが42億件以上の問い合わせを処理した。物流ではLangzuTech Goods-to-Person自動倉庫ソリューションが全国展開に入り、2025年12月31日時点で約20都市に20を超える自動化倉庫が稼働している。
この記事の内容
事業概要: JD.com, Inc.は、サプライチェーンを中核とするテクノロジーおよびサービスプロバイダーとして事業を展開するケイマン諸島設立の持株会社であり、米国ナスダック市場および香港証券取引所に上場している。中国国内の事業は、外商独資企業(WFOE)および変動持分事業体(VIE)を通じて運営されている。主要な連結子会社および関連上場会社には、JINGDONG Logistics, Inc.(京東物流)、JINGDONG Industrials, Inc.(京東工業)、JINGDONG Property, Inc.、JD Health(京東健康)が含まれる。2025年12月11日にはJINGDONG Industrialsが香港証券取引所メインボードに正式上場した。JD Retail、JD Logistics、New Businessesが同社の報告セグメントであり、JD RetailにはJD HealthおよびJD Industrialsが含まれる。2026年第1四半期決算資料では、JD Retail、JD Logistics、JD Health、JD Industrials、New Businessesの各領域における業務進捗が開示されている。
財務: JD.com, Inc.の2025年12月期の連結純収益は前年比13.0%増の1兆3,091億元(1,872億米ドル)であり、研究開発開支は前年の170億3,100万元から30.5%増加して222億2,900万元(31億7,900万米ドル)となった。純収益に占める研究開発開支の割合は、2024年12月期の1.5%から2025年12月期には1.7%に上昇した。2026年第1四半期の連結純収益は前年同期比4.9%増の3,156億9,400万元(457億6,600万米ドル)であり、研究開発開支は前年同期比48.6%増の69億1,300万元(10億200万米ドル)となった。京東物流の2025年上半期収益は985億3,178万6千元、研究開発開支は18億9,829万4千元であった。京東健康の2025年通期収益は734億4,148万7千元、粗利益は181億9,916万2千元、営業利益は37億9,799万6千元であった。
技術・知財: JD.com, Inc.は、AI、物流自動化、サプライチェーン技術、知的財産保護、データセキュリティを含む領域で研究開発投資を継続している。2024年版ESG報告書では、中国におけるAI特許出願ランキング第8位に入ったこと、2024年に3,800件以上の特許出願を行ったことが示されている。2022年12月31日時点では、グループ全体で累計6,272件の国内外特許の認証を獲得し、累計18,424件の国内外特許を公開した。京東物流は2024年12月31日時点で5,000件以上の特許およびソフトウェア著作権を確保している。JD.comのVIE契約では、契約履行から生じる所有権、著作権、特許、その他の知的財産権、技術的および営業上の秘密を含む権利および利益が、WFOEであるParty Aに単独かつ独占的に帰属する旨が規定されている。
戦略・成長: JD.comの技術実装は、サプライチェーン、物流、ヘルスケア、産業向け調達、カスタマーサービス、海外展開にわたっている。2025年の11.11 Grand Promotionでは、マルチシナリオおよびマルチモーダルAI機能を備えるAIカスタマーサービスシステムが42億件以上の問い合わせを処理した。2025年末時点で、AI搭載デジタルヒューマンJoyStreamerを利用する商家数は5万を超え、社内システム上のAIエージェント数も5万を超えた。京東物流では、LangzuTech Goods-to-Person自動倉庫ソリューションが2025年中に全国展開の新段階に入り、2025年12月31日時点で全国約20都市において20を超える自動化倉庫が稼働した。京東工業は産業サプライチェーン向けAIモデルJoyIndustrialを発表し、2026年第1四半期にはSATA Tools、3M China、Linde (China) Forklift Truckなどの主要サプライヤーとの提携を深めた。
リスク・ESG: JD.com, Inc.は、知的財産、オープンソースソフトウェア、VIE構造、規制当局による処分、データセキュリティ、競争、サプライチェーンの環境負荷に関するリスクおよび対応実績を開示している。2024年版ESG報告書では、データセキュリティまたはプライバシー侵害のインシデント0件、セキュリティ侵害に関連する罰金0元、従業員向けセキュリティおよびプライバシートレーニング135回、オンラインコンプライアンストレーニング受講率100%が示されている。2026年第1四半期決算資料では、SAMRによる行政処分として約6億元(米ドル換算約1億ドル)の罰金が一般および管理費の増加要因として開示され、脚注で処分総額は約6.35億元と説明されている。京東物流のESG関連では、2024年時点の屋上太陽光発電設備容量139.22MW、2025年ESG報告書における210.44MWへの拡大、クリーンエネルギー車両の導入、road-to-rail物流ソリューションの運用が記載されている。
京東集団(JD.com, Inc.)は、サプライチェーンを中核とするテクノロジーおよびサービスプロバイダーとして事業を展開する持株会社である[1]。米国証券取引委員会(SEC)に提出された2025年12月期(FY2025実績)の年次報告書(Form 20-F)によると、同社はケイマン諸島で設立され、米国ナスダック市場(ティッカーシンボル:JD)および香港証券取引所(HKEX:9618(HKDカウンター)、89618(RMBカウンター))に上場している[1]。
同社は持株会社であり、直接の事業運営を行わず、中国国内の外商独資企業(WFOE)および変動持分事業体(VIE)を通じて事業を運営している[1]。JD.com, Inc.の主要な連結子会社および関連上場会社には、香港証券取引所のメインボードに上場しているJINGDONG Logistics, Inc.(京東物流、HKEX:2618)、JINGDONG Industrials, Inc.(京東工業、HKEX:7618、2023年3月にJD Industrial Technology Inc.から名称変更)、およびJINGDONG Property, Inc.(2023年3月にJD Property Group Corporationから名称変更)、JD Health(京東健康)が含まれる[1]。JINGDONG Industrials, Inc.は、2025年12月11日に香港証券取引所メインボードに正式上場し、株式コードは7618である[31]。
企業の議決権および支配構造に関して、香港証券取引所に提出された公式開示資料(2025年4月17日付)によると、2025年2月28日時点(実績)で、同社の創業者兼取締役会会長であるRichard Qiangdong Liuは、Max Smart Limitedが直接保有する305,630,780株のクラスB普通株式を通じて、同社の総議決権の約71.7%を支配している[2]。この議決権には、同氏が単独株主兼単独取締役を務めるFortune Rising Holdings Limitedを通じて行使可能な3.7%の議決権(クラスB普通株式16,852,992株、2025年2月28日時点実績)が含まれている[2]。
JD.com, Inc.の2026年第1四半期(Q1 2026実績)決算発表資料によると、2024年8月に採択され2027年8月まで有効な最大50億米ドルの自社株買いプログラムに基づき、同社は2026年3月31日に終了した3ヶ月間(Q1 2026実績)において、合計約4,450万株のクラスA普通株式(2,230万ADSに相当)を6億3,100万米ドルで買い戻した[3]。この買い戻し株式総数は、2025年12月31日時点の発行済普通株式数の約1.6%に相当する[3]。また、2025年通期(FY2025実績)においては、合計約1億8,320万株のクラスA普通株式(9,160万ADSに相当)を約30億米ドルで買い戻し、2024年12月31日時点の発行済普通株式数の約6.3%に相当する当該株式の消却を完了した[4]。
JD.com, Inc.および主要子会社の公式決算発表資料ならびに法定開示資料(Form 20-F等)には、研究開発開支(Research and development expenses)を含む財務実績が以下の通り記録されている。
JD.com, Inc.の2025年12月期(FY2025実績)の決算発表資料によると、連結純収益(Net revenues)は前年比13.0%増の1兆3,091億元(1,872億米ドル)であった[6]。同期間(FY2025実績)の研究開発開支は、前年の170億3,100万元から30.5%増加し、222億2,900万元(31億7,900万米ドル)を計上した[8]。純収益に占める研究開発開支の割合は、2024年12月期(FY2024実績)の1.5%から2025年12月期(FY2025実績)には1.7%に上昇した[8]。この研究開発開支の増加は、技術能力および人材への継続的な投資によるものであると年次報告書内で明記されている[8]。
過去の通期実績に関して、2024年12月期(FY2024実績)の連結純収益は前年比6.8%増の1兆1,588億元(1,588億米ドル)であり、同期間の研究開発開支は170億3,100万元であった[8]。2023年12月期(FY2023実績)の連結純収益は前年比3.7%増の1兆847億元(1,528億米ドル)であり、研究開発開支は163億9,300万元であった[8]。
直近の四半期業績である2026年第1四半期(Q1 2026実績)の未監査決算発表資料によると、JD.com, Inc.の連結純収益は前年同期比4.9%増の3,156億9,400万元(457億6,600万米ドル)を記録した[3]。純収益の内訳は、純製品収益が前年同期比1.0%増、純サービス収益が前年同期比20.6%増であった[3]。同四半期(Q1 2026実績)の研究開発開支は、前年同期の46億4,900万元から48.6%増加し、69億1,300万元(10億200万米ドル)となった[11]。純収益に対する研究開発開支の比率は、前年同期の1.5%から2.2%へと上昇している[11]。
その他の主要な費用項目について、2026年第1四半期(Q1 2026実績)のフルフィルメント費用(調達、倉庫保管、配送、カスタマーサービス、決済処理費用を含む)は、前年同期の197億元から18.5%増加し、234億元(34億米ドル)となり、純収益に対する比率は6.6%から7.4%に上昇した[11]。マーケティング費用は、前年同期の105億元から45.8%増加し、154億元(22億米ドル)となり、純収益に対する比率は3.5%から4.9%に上昇した[11]。一般および管理費(General and administrative expenses)は、前年同期の24億元から48.7%増加し、36億元(5億米ドル)となり、純収益に対する比率は0.8%から1.1%に上昇した[11]。
セグメント別の営業利益(Income from operations)について、JD Retailの2026年第1四半期(Q1 2026実績)の営業利益は150億元(22億米ドル)であり、前年同期の128億元から増加した[11]。JD Retailの営業利益率は、前年同期の4.9%から5.6%に上昇した[11]。
物流事業を担う京東物流(JINGDONG Logistics, Inc.)の公式開示資料によると、同社単体の2024年12月期(FY2024実績)の総収益は前年比9.7%増の1,828億元であった[12]。2025年上半期(2025年1月〜6月実績)の未監査中間財務報告によると、京東物流の総収益は前年同期比14.1%増の985億3,178万6千元を計上した[13]。このうち、外部顧客からの収益は前年同期比10.2%増の661億元であり、総収益の67.1%を占めた[13]。
同期間(2025年上半期実績)の京東物流の研究開発開支は18億9,829万4千元であり、前年同期(2024年上半期実績)の17億4,326万4千元から増加した[13]。2025年6月30日時点(実績)において、京東物流は4,700名以上の専任研究開発(R&D)人員を保有している[13]。また、京東物流の販売およびマーケティング費用は29億9,302万5千元(前年同期は27億7,930万9千元)、一般および管理費は18億5,170万元(前年同期は16億6,332万5千元)であった[13]。
ヘルスケア領域を担う京東健康(JD Health)の2025年通期(FY2025実績)決算資料によると、同社の収益は前年比26.3%増の734億4,148万7千元であった[14]。粗利益(Gross profit)は前年比36.7%増の181億9,916万2千元、営業利益(Operating income)は前年比158.5%増の37億9,799万6千元を記録した[14]。
技術開発およびプラットフォーム運営を支える人的リソースの規模に関して、JD.com, Inc.の2025年第1四半期(Q1 2025実績)決算発表資料によると、2025年3月31日時点において、同社従業員、パートタイムスタッフ、インターン、および関連会社のスタッフを含む「JD Ecosystem」全体の人員数は約70万人に達した[15]。2025年3月31日を末日とする過去12ヶ月間(実績)における、これらJD Ecosystem内で業務に従事する外部人員を含む人的リソースに対する総支出額は、1,288億元であった[15]。前年同期である2024年3月31日を末日とする過去12ヶ月間(実績)の同支出額は1,066億元であった[16]。2024年12月期(FY2024実績)の人的リソースに対する総支出額は1,161億元であった[9]。
JD.com, Inc.およびその関連会社における特許、商標、ソフトウェア著作権などの知的財産(IP)の実績、および法的な帰属体制について、公式開示資料に基づき記載する。
JD.com, Inc.が発行した2024年版ESG報告書(2024 JD.com Environmental Social and Governance Report)によると、同社は中国における人工知能(AI)特許出願件数において第8位にランクインした[17]。同報告書内において、2024年に3,800件以上の特許出願(Over 3,800 patent applications)が行われたことが明示されている[17]。過去の実績として、JD.com, Inc.の2022年版ESG報告書によると、2022年12月31日時点(実績)において、グループ全体で累計6,272件の国内外特許の認証(授権)を獲得し、累計18,424件の国内外特許を公開した[18]。
物流事業を担う京東物流(JINGDONG Logistics, Inc.)の知的財産実績に関して、同社が香港証券取引所(HKEX)を通じて開示した2024年版ESG報告書によると、2024年12月31日時点(実績)で、京東物流は5,000件以上の特許およびソフトウェア著作権を確保(secured)した[19]。さらに、同社の中期報告書(Interim Report 2024)によると、2024年6月30日時点(実績)において、承認済みの特許およびソフトウェア著作権は4,000件以上であり、そのうち自動化技術および無人化技術に関連する特許数は2,000件を超えていると記載されている[20]。また、京東物流の新規株式公開(IPO)時の目論見書および公式ブログの記録によれば、2020年12月31日時点(実績)では、同社は4,400件以上の特許およびコンピュータソフトウェア著作権(出願中のものを含む)を保有し、そのうち2,500件以上が自動化および無人化技術に関連するものであった[21]。
JD.com, Inc.がSECに提出したForm 20-F(2025年12月期)の付属文書(Exhibit)に規定された変動持分事業体(VIE)との「独占的技術コンサルティングおよびサービス契約(Exclusive Technology Consulting and Services Agreement)」には、知的財産の帰属に関する詳細な条項が含まれている。
同契約の第1.1条に基づき、外商独資企業(WFOE)であるParty Aは、VIEであるParty Bに対して技術コンサルティングおよびサービスを提供する[22]。第1.2条において、Party BはParty Aから提供される技術コンサルティングおよびサービスを受け入れることに同意し、Party Aからの事前の書面による同意がない限り、第三者から同一または類似のサービスを受け入れないことが定められている[22]。
知的財産の帰属を規定する第1.3条には、本契約の履行から生じるすべての権利および利益(所有権、著作権、特許、その他の知的財産権、技術的および営業上の秘密を含む)は、Party Aによって開発されたもの、またはParty Aが所有する知的財産に基づいてParty Bによって開発されたものを含め、Party Aが単独かつ独占的に所有する旨が規定されている(will be solely and exclusively owned by Party A)[22]。
また、機密保持を規定する第4.1条において、Party Bは、Party Aの独占的なコンサルティングおよびサービスの受領に関連して認識またはアクセスしたParty Aの機密情報(Confidential Information)を秘密に保持するために合理的な最善の努力を払うことに同意し、Party Aからの事前の書面による同意なしに、いかなる機密情報も第三者に開示、提供、または譲渡してはならないと定められている[22]。
同社のForm 20-F本文の記載によれば、Jingdong 360は中国国内におけるインターネット情報サービス運営の範囲内において、Jingdong Centuryから特定の商標、特許、コンピュータソフトウェアの著作権およびその他の著作権を使用するライセンスを付与されている[23]。Jingdong 360は、ライセンス対象の知的財産に関するJingdong Centuryの権利の有効性およびその他の権利に異議を唱えないことに同意し、毎年Jingdong Centuryに対してライセンス料を支払うことが契約上定められている[23]。
JD.com, Inc.は、自社のブランドおよびプラットフォーム上の出店者や権利者の知的財産を保護し、データセキュリティを維持するためのシステムおよび運用体制を構築している。
同社の公式企業ブログおよび2024年版ESG報告書によると、JD.comはマルチモーダルAI(Multi-modal AI)と専門チームを組み合わせた「Smart Shield(スマートシールド)」と呼ばれるシステムを構築し、潜在的な知的財産権侵害をリアルタイムで監視・遮断する「デジタルシールド」体制を運用している[17]。
同報告書および公式発表に記載された実績数値によると、JD.com, Inc.の知的財産保護イニシアチブは以下の成果を達成した(2024年報告時点の累計実績)。
さらに、過去のESG報告書(2022年版)の記述によれば、社内のアルゴリズムモデルと外部の特許データベースを接続し、偽の特許番号、期限切れの特許、および不適切なラベル付けによる消費者への誤認や潜在的な損害を軽減するためのシステム的インターセプトを実施しており、その認識精度は94%に達すると報告されている[24]。また、ブロックチェーン技術に基づく偽造防止トレーサビリティプラットフォームには、400,000種類以上の製品が登録され、消費者から1,000万件の「品質トレーサビリティ」に関する問い合わせを受け付けた実績が示されている[24]。
データセキュリティおよびコンプライアンス管理に関して、JD.com, Inc.の2024年版ESG報告書によると、2024年度(実績)において以下の運用実績が記録されている。
JD.com, Inc.の研究開発投資は、主にサプライチェーンインフラストラクチャの自動化および人工知能(AI)ソリューションの社内外への実装に向けられている。
公式決算発表資料および公式プロジェクトページ(yanxi.jd.com)によると、同社は「言犀(ChatRhino)」と命名された大規模言語モデル(Large Language Model: LLM)およびAI搭載インテリジェントシステムを展開している[25]。2025年第4四半期および2025年通期の決算発表資料によると、JD.comのAIカスタマーサービスシステムは、マルチシナリオおよびマルチモーダルAI機能を活用し、2025年の「11.11 Grand Promotion(双11)」の期間中に合計42億件以上の顧客からの問い合わせを処理した[7]。
同資料によると、2025年第4四半期末時点で、AI搭載デジタルヒューマンJoyStreamerを利用する商家数は50,000を超えた[7]。また、社内ワークフローにはAIエージェントが統合され、2025年第4四半期末時点でJD.comの内部システム全体におけるAIエージェント数は50,000を超えた[7]。さらに、JD.comはロボット、玩具、デバイス向けAIエージェントであるJoyInsideを展開し、40を超えるハードウェアブランドと提携してAI製品を展開した[7]。
物流インフラにおける技術実装について、京東物流の2024年版ESG報告書では、「JINGDONG Logistics Super Brain」によるインテリジェントサプライチェーン技術のアップグレード、および新たに開発された「Zhilang」Goods-to-Personソリューションの展開が記録されている[19]。2025年第4四半期決算資料によると、2025年中に同社が独自開発した「LangzuTech Goods-to-Person (GTP)」自動倉庫ソリューションが全国展開の新たな段階に入った[7]。2025年12月31日時点(実績)で、全国の約20都市において20を超えるLangzuTech自動化倉庫が稼働を開始した[7]。また、2024年第2四半期において、京東物流は国内の半導体リーディングカンパニーに対して、自社開発の「天狼」Goods-to-Personシステムおよび全プロセス無人倉庫配送ソリューションを提供した[20]。
産業向けサプライチェーン領域において、京東工業(JINGDONG Industrials, Inc.)の公式ブログの2025年5月の発表によると、同社は産業サプライチェーンの変革を目的として設計されたAIモデル「Joy industrial」を発表した[27]。2026年第1四半期の京東工業の公式開示資料によれば、JD IndustrialsはSATA Tools、3M China、Linde (China) Forklift Truckなどの主要サプライヤーとの戦略的提携を深め、産業サプライチェーン能力を強化した[28]。同資料によれば、JoyIndustrial工業大模型に基づく工業品価格指数を公開し、企業の工業品調達における価格参照基準として提供した[28]。同資料によれば、2026年第1四半期に全鏈路AI技術能力を強化し、約40件のAI智能体をオンライン化し、3,000社を超える重点企業顧客にサービスを提供した[28]。
ヘルスケア領域におけるAI実装について、京東健康(JD Health)の2025年第4四半期決算資料によると、同社は医療シナリオにおけるAIアプリケーションのプロセスを加速させ、ユーザー、医師、病院向けに「AI Jingyi(AI京醫)」および「JD DOC(京東卓醫)」を含むAI製品の最適化を継続した[7]。また、同四半期にはNovartisの腎臓病治療用革新薬「Vanrafia」や、Grand Pharmaceutical Groupの希少疾患治療薬「Anxida」などの革新的医薬品がJD Healthプラットフォーム上で提供された[7]。
JD.com, Inc.および京東物流は、サプライチェーンの環境負荷を低減するためのインフラストラクチャー投資(Green Stream Initiative等)を行っている。
京東物流のインフラ規模に関して、2025年上半期中間報告書によると、2025年6月30日時点(実績)で、同社は1,600以上の倉庫、19,000以上の配送ステーションおよびサービス拠点を運営し、フルタイムのフードデリバリーライダーを含む660,000人以上の自社運営(in-house)のオペレーション従業員を雇用している[13]。大型・重量物(Bulky item)の物流ネットワークに関して、2024年6月30日時点(実績)で、200以上の大型・重量物倉庫と200以上の大型・重量物仕分けセンターを有し、総管理面積は400万平方メートルを超えている[20]。
グリーン物流技術に関連する環境対策の実装実績として、京東物流の2024年版ESG報告書によると、屋上太陽光発電(ソーラーパネル)の設備容量は139.22メガワット(MW)に達した[19]。2025年のESG報告書では、この屋上太陽光発電の設備容量が210.44メガワットに拡大し、年間の太陽光発電量は100,000メガワット時(MWh)に近づいていることが示されている[29]。車両インフラについて、2024年時点で道路輸送能力として10,000台以上の自社運営のクリーンエネルギー車両を導入し、水素を動力源とするトラックの大規模導入を実施した[19]。また、アルゴリズムを活用した「道路から鉄道へ(road-to-rail)」の物流ソリューションも稼働している[19]。グリーン倉庫認証に関して、2024年の報告期間末日時点で、京東物流は5つの3つ星グリーン倉庫認証および5つの2つ星グリーン倉庫認証を取得した[17]。
SECに提出されたForm 20-Fおよび各四半期の決算発表資料において、JD.com, Inc.は知的財産および市場競争に関連する法務・規制上の事実およびリスク要因を開示している。
2026年第1四半期(Q1 2026実績)の決算発表資料によると、JD.com, Inc.の一般および管理費(General and administrative expenses)は、前年同期の24億元から48.7%増加し、36億元(5億米ドル)となった[3]。資料内において、この一般および管理費の純収益に対する比率が前年同期の0.8%から1.1%に上昇した主要な要因として、「中国の国家市場監督管理総局(State Administration for Market Regulation:SAMR)によって科された約6億元(1億米ドル)の罰金(fine imposed by the State Administration for Market Regulation of the People's Republic of China (the “SAMR”) in the amount of approximately RMB0.6 billion (US$0.1 billion))」と記載されている[3]。
同資料の脚注によると、2026年4月17日、JD.comはSAMRから行政処分通知を受領した[3]。同処分は、JD.comの連結関連事業体およびその他の電子商取引プラットフォーム運営者に対して科されたものであり、JD.comについては、同社の電子商取引プラットフォーム上で装飾ケーキを販売する第三者店舗および注文移管サービスを提供する第三者サービス提供者に関して確認されたコンプライアンス上の不備に関連している[3]。SAMRは、JD.comがこれらの店舗の資格確認義務および店舗・サービス提供者の行為に対する必要な措置を適切に履行していなかったと判断し、食品安全法およびその他の適用規制への違反が生じたと記載されている[3]。処分総額は約6.35億元であり、没収および罰金を含む[3]。
過去のクラスアクション(集団訴訟)に関する開示として、2025年12月期のForm 20-Fによると、カリフォルニア州中部地区連邦地方裁判所において提起された訴訟「Yan Wang v. Dada Nexus Limited et al, No. 2:22-cv-00239」について、JD.com, Inc.を含む関係当事者間で和解が成立し、2025年3月に裁判所によって最終承認(final approval)が付与された事実が記載されている[8]。原告は、被告がDadaの事業運営および財務状況に関して誤解を招く声明または不作為を行ったと主張していた[8]。
資産の減損リスクに関して、2023年第4四半期の決算発表資料においては、Dadaに関連するのれん(goodwill)および長期性資産の非現金減損40億元、ならびにJD Propertyに関連する長期性資産の非現金減損11億元が計上された結果、同四半期の営業利益が前年同期の48億元から58.1%減少し、20億元となったことが報告されている[30]。
Form 20-FにおいてJD.com, Inc.は、急速な技術変化に伴い、事業の一部が第三者からライセンス供与された技術や第三者によって開発された技術に依存している旨を記載している[8]。同社はオープンソースソフトウェアを使用しており、所有権やライセンス条件を巡る潜在的な訴訟のリスクに直面していること、および一部のオープンソースライセンスが自社のソースコードや派生物の公開を不利な条件で強制する可能性があることを法定開示内で言及している[8]。さらに、適用される法律の下で知的財産権を登録、維持、執行するには数か月から数年かかる場合があり、権利を執行するための訴訟は費用がかかり、経営的および財務的リソースを逸らすリスクが存在することを明示している[8]。
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決算期・対象期間 |
項目 |
金額(人民元) |
金額(米ドル) |
前年同期比 |
出典表記名 |
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FY2025実績(通期) |
JD.com, Inc. 純収益(Net revenues) |
1兆3,091億元 |
1,872億米ドル |
+13.0% |
JD.com, Inc. Q4/FY2025 Earnings |
|
FY2025実績(通期) |
JD.com, Inc. 研究開発開支(R&D expenses) |
222億2,900万元 |
31億7,900万米ドル |
+30.5% |
JD.com, Inc. Form 20-F 2025 |
|
FY2024実績(通期) |
JD.com, Inc. 純収益(Net revenues) |
1兆1,588億元 |
1,588億米ドル |
+6.8% |
JD.com, Inc. Q4/FY2024 Earnings |
|
FY2024実績(通期) |
JD.com, Inc. 研究開発開支(R&D expenses) |
170億3,100万元 |
- |
- |
JD.com, Inc. Form 20-F 2025 |
|
FY2023実績(通期) |
JD.com, Inc. 純収益(Net revenues) |
1兆847億元 |
1,528億米ドル |
+3.7% |
JD.com, Inc. Q4/FY2023 Earnings |
|
FY2023実績(通期) |
JD.com, Inc. 研究開発開支(R&D expenses) |
163億9,300万元 |
- |
- |
JD.com, Inc. Form 20-F 2025 |
|
Q1 2026実績 |
JD.com, Inc. 純収益(Net revenues) |
3,156億9,400万元 |
457億6,600万米ドル |
+4.9% |
JD.com, Inc. Q1 2026 Earnings |
|
Q1 2026実績 |
JD.com, Inc. 研究開発開支(R&D expenses) |
69億1,300万元 |
10億200万米ドル |
+48.6% |
JD.com, Inc. Q1 2026 Earnings |
|
2025年上半期実績 |
京東物流 総収益(Revenue) |
985億3,178万元 |
- |
+14.1% |
JINGDONG Logistics 2025 Interim Report |
|
2025年上半期実績 |
京東物流 研究開発開支(R&D expenses) |
18億9,829万元 |
- |
+8.8% |
JINGDONG Logistics 2025 Interim Report |
|
項目 |
数値・ステータス |
対象期間・時点 |
出典表記名 |
|
JD Ecosystem全体の総人員数(パートタイム・インターン含む) |
約700,000人 |
2025年3月31日時点実績 |
JD.com, Inc. Q1 2025 Earnings |
|
JD Ecosystemの人的リソースに対する総支出額 |
1,288億元 |
2025年3月31日までの12ヶ月実績 |
JD.com, Inc. Q1 2025 Earnings |
|
京東物流(JD Logistics)の自社運営従業員数 |
660,000人以上 |
2025年6月30日時点実績 |
JINGDONG Logistics 2025 Interim Report |
|
京東物流の運営倉庫数 |
1,600箇所以上 |
2025年6月30日時点実績 |
JINGDONG Logistics 2025 Interim Report |
|
京東物流の配送ステーションおよびサービス拠点数 |
19,000箇所以上 |
2025年6月30日時点実績 |
JINGDONG Logistics 2025 Interim Report |
|
屋上太陽光発電(ソーラーパネル)設備容量 |
210.44 MW |
2025年実績 |
JINGDONG Logistics 2025 ESG Report |
|
LangzuTech Goods-to-Person (GTP) 自動化倉庫の稼働数 |
約20都市で20箇所以上 |
2025年12月31日時点稼働 |
JD.com, Inc. Q4/FY2025 Earnings |
|
項目 |
数値・ステータス |
対象期間・時点 |
出典表記名 |
|
AI特許出願の中国国内順位 |
第8位 |
2024年報告実績 |
2024 JD.com ESG Report |
|
2024年の特許出願件数 |
3,800件以上 |
2024年報告実績 |
2024 JD.com ESG Report |
|
京東物流の特許およびソフトウェア著作権確保数 |
5,000件以上 |
2024年12月31日時点実績 |
JINGDONG Logistics 2024 ESG Report |
|
グループ累計の国内外特許認証(授権)数 |
6,272件 |
2022年12月31日時点実績 |
2022 JD.com ESG Report |
|
保護に成功した知的財産アイテム数 |
240,000件以上 |
2024年報告(累計) |
2024 JD.com ESG Report |
|
保護対象となった地理的表示(GI)商標数 |
4,800件以上 |
2024年報告(累計) |
2024 JD.com ESG Report |
|
データセキュリティおよびプライバシー侵害の発生件数 |
0件 |
2024年実績 |
2024 JD.com ESG Report |
|
セキュリティ侵害に関連する罰金額 |
0元 |
2024年実績 |
2024 JD.com ESG Report |
|
従業員のオンラインコンプライアンストレーニング受講率 |
100% |
2024年実績 |
2024 JD.com ESG Report |
|
発表日(実績) |
イベント名称 |
実施状況 |
出典表記名 |
|
2026年5月12日 |
Q1 2026 JD.com Inc Earnings Conference Call |
完了 |
JD.com, Inc. IR Presentations |
|
2026年3月5日 |
Q4 and Full Year 2025 JD.com Inc Earnings Conference Call |
完了 |
JD.com, Inc. IR Presentations |
|
2025年11月13日 |
Q3 2025 JD.com Inc Earnings Conference Call |
完了 |
JD.com, Inc. IR Presentations |
|
2025年8月14日 |
Q2 2025 JD.com Inc Earnings Conference Call |
完了 |
JD.com, Inc. IR Presentations |
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