3行まとめ
FY2025売上高7,518億人民元を背景にR&DとAI投資を拡大
TencentはFY2025に売上高7,518億人民元、前年比14%増を記録し、Non-IFRSベース営業利益は2,807億人民元に達した。2020年から2023年末までの研究開発投資は約300億米ドル、2025年の新規AI製品向け費用は180億人民元とされている。
公開特許85,000件超・付与45,000件超で中国インターネット企業首位
2024年末時点で、Tencentの公開済み特許出願数は85,000件以上、特許権付与数は45,000件以上に達している。この規模は中国のインターネット企業で第1位、世界で第2位と開示されている。
Weixin BPPが728,000件超の侵害リスティングを削除
Weixin Brand Protection Platformは30以上の業界、20以上の地域から700以上のブランドが参加する知財保護基盤として運用されている。2025年報告では、不審な商品リスティング232,000件をブロックし、権利侵害リスティング728,000件以上を取り下げた。
この記事の内容
事業概要: Tencent Holdings Limitedは、中国を拠点とするインターネットおよびテクノロジー企業であり、Weixin/WeChat、QQ、ゲーム、マーケティングサービス、FinTechおよびBusiness Services、クラウドサービス等を含む事業を展開している。2025年12月31日時点でWeixinおよびWeChatの合算月間アクティブユーザー数は14億1,800万人、QQのモバイル端末月間アクティブユーザー数は5億800万人、Fee-based VAS subscriptionsは2億6,700万であった。事業セグメントとして、Value-added Services、Marketing Services、FinTech and Business Services、Othersが開示され、Value-added Servicesの内訳としてSocial Networks、Domestic Games、International Gamesが示されている。[1][2]
財務: FY2025の売上高は7,518億人民元、前年比14%増であり、IFRSベースの営業利益は2,416億人民元、純利益は2,298億人民元、対象企業の株主に帰属する純利益は2,248億人民元であった。Non-IFRSベースの営業利益は2,807億人民元、対象企業の株主に帰属する純利益は2,596億人民元であった。資本的支出は792億人民元、現金総額は4,949億人民元、フリーキャッシュフローは1,826億人民元、ネットキャッシュ・ポジションは1,071億人民元であった。2025年第4四半期の売上高は1,944億人民元、IFRSベースの営業利益は603億人民元、Non-IFRSベースの営業利益は695億人民元であった。[1][2]
技術・知財: Tencentは研究開発、特許、商標、著作権、標準化、オープンソースの各領域に関する情報を開示している。2020年から2023年末までの4年間の研究開発投資額は約300億米ドル、2023年単年の研究開発投資額は約90億米ドルであった。2024年3月時点で公開済み特許出願数は78,000件超、特許権付与数は39,000件超であり、2024年9月時点では公開済み特許出願数が82,000件超、特許権付与数が43,000件超であった。2025年の欧州特許庁への特許出願件数は417件であり、EPOのTop 50 applicantsに掲載された。[4][6][9]
戦略・成長: Tencentは、Tencent AI Lab、Tencent Media Lab、Tencent Robotics X、Tencent Quantum Lab、Tencent Security Labs等の研究組織を設置し、AI、メディア圧縮、ロボティクス、量子計算、セキュリティ等の領域に関する研究開発活動を開示している。Tencent AI Accelerator、Tencent SaaS Accelerator、Tencent WeCity Acceleratorを通じたスタートアップ支援プログラムも開示されている。標準化活動では、VVC/H.266、MPEG-5 EVC、AOMedia Video、AVS/IEEE1857、PCC、NNVC、VCM、LVC等への関与が示されている。特許ライセンスの領域では、Access AdvanceのVVC Advance Patent PoolおよびVideo Distribution Patent Poolへの参加が公表されている。[7][17][18][29][30]
リスク・ESG: TencentはESGレポートおよび知的財産保護ポリシーにおいて、知的財産保護、プラットフォーム上の侵害対応、AI生成物に関する表示、著作権保護、ブランド保護、セキュリティ研究、環境目標等を開示している。Weixin Brand Protection Platformは2015年に開始され、2025年時点で30以上の業界、20以上の国・地域から700以上のブランドが参加している。2025年のBPP関連指標として、不審な商品リスティング232,000件、権利侵害リスティング728,000件超、処分を受けた権利侵害ストア9,000件超、当局支援事件37件、事件価値4億3,000万米ドル超が示されている。[8][32][34][35]
対象企業(Tencent Holdings Limited)は、インターネットベースのプラットフォーム企業であり、デジタル化の支援およびテクノロジーの研究開発を行っている。公式の法定開示および決算発表資料に基づき、対象企業の全社財務状況、セグメント別収益、および研究開発への投資実績を以下に整理する。
対象企業が公表した2025年12月期(FY2025実績)の年次および第4四半期決算発表資料によると、FY2025実績における全社売上高は7,518億人民元であり、前年比増減率はプラス14%である。[1] 2025年第4四半期(4Q2025)単体の売上高は1,944億人民元であり、前年同期比増減率プラス13%、前四半期比増減率プラス0.8%を記録している。[2]
IFRS(国際財務報告基準)ベースの全社営業利益(FY2025実績)は2,416億人民元(前年比増減率プラス16%)であり、営業利益率(FY2025実績)は32%である。[1] 純利益(FY2025実績)は2,298億人民元(前年比増減率プラス17%)、対象企業の株主に帰属する純利益(FY2025実績)は2,248億人民元(前年比増減率プラス16%)である。[1] 1株当たり利益について、基本1株当たり利益(FY2025実績)は24.749人民元、希薄化後1株当たり利益(FY2025実績)は24.153人民元である。[1]
Non-IFRSベースの指標において、全社営業利益(FY2025実績)は2,807億人民元(前年比増減率プラス18%)であり、営業利益率(FY2025実績)は37%である。[1] Non-IFRSベースの対象企業株主に帰属する純利益(FY2025実績)は2,596億人民元である。[1] 2025年第4四半期(4Q2025)単体のNon-IFRSベース営業利益は695億人民元(前年同期比増減率プラス17%、前四半期比増減率マイナス4%)、営業利益率は35.8%である。[2]
財務基盤に関して、対象企業の資本的支出(Capital expenditure、FY2025実績)は792億人民元(前年比増減率プラス3%)である。[1] フリーキャッシュフロー(FY2025実績)は1,826億人民元(前年比増減率プラス18%)、現金総額(FY2025実績)は4,949億人民元(前年比増減率プラス19%)であり、ネットキャッシュ・ポジション(FY2025実績)の合計は1,071億人民元(前年比増減率プラス40%)である。[1]
対象企業は2025年12月期(FY2025実績)における事業セグメント別の売上高を開示している。各セグメントの通期売上高および増減率、ならびに第4四半期単体の売上高は以下の通りである。[2]
|
セグメント名称 |
売上高(FY2025実績) |
前年比増減率 |
売上高(4Q2025実績) |
前年同期比増減率 |
前四半期比増減率 |
|
Value-added Services |
3,693億人民元 |
+16% |
899億人民元 |
+14% |
-6% |
|
Social Networks |
1,277億人民元 |
+5% |
306億人民元 |
+3% |
-5% |
|
Domestic Games |
1,642億人民元 |
+18% |
382億人民元 |
+15% |
-11% |
|
International Games |
774億人民元 |
+33% |
211億人民元 |
+32% |
+1% |
|
Marketing Services |
1,450億人民元 |
+19% |
411億人民元 |
+17% |
+13% |
|
FinTech and Business Services |
2,294億人民元 |
+8% |
608億人民元 |
+8% |
+5% |
|
Others |
81億人民元 |
+4% |
26億人民元 |
+10% |
-3% |
対象企業は前年度の比較データとして2024年12月期(FY2024実績)の財務結果も報告している。FY2024実績の売上高は6,602億5,700万人民元、売上総利益は3,492億4,600万人民元、営業利益は2,080億9,900万人民元、純利益は1,964億6,700万人民元である。[3] FY2024実績における総資産は1兆7,809億9,500万人民元、総資本は1兆538億9,600万人民元である。[3] 2024年第4四半期単体(3ヶ月間実績)の売上高は1,724億4,600万人民元であり、前四半期(2024年第3四半期)実績の1,671億9,300万人民元と比較して前四半期比増減率プラス3%を記録した。[3] このうち、International Gamesの売上高は160億人民元(前四半期比増減率プラス10%)であり、Domestic Gamesの売上高は332億人民元(前四半期比増減率マイナス11%)であった。[3]
対象企業は、研究開発に対する投資額を複数回にわたり開示している。対象企業が公開した公式ニュースシリーズ「Tencent Innovates」によると、2020年から2023年末までの4年間において約300億米ドルを研究開発に投資している。[4] 2023年単年(FY2023実績)における研究開発投資額は約90億米ドルである。[4] 別の公式発表では、過去3年間(2021年から2023年)における研究開発投資額は1,500億人民元(200億米ドル以上)に達しており、2023年第1四半期(単体実績)の研究開発費は約21億米ドルであったことが開示されている。[5]
新しい人工知能(AI)製品に関する投資についても費用の内訳が示されている。2025年第4四半期決算発表資料によると、新規AI製品向けのコストおよび費用は、2025年通期(FY2025実績)において180億人民元、2025年第4四半期(4Q2025実績)単体において70億人民元であった。[2] この費用には、人材確保、データ処理、大規模言語モデル「Hunyuan」向けのトレーニング、ならびに「Yuanbao」向けの推論およびマーケティング活動が含まれている。なお、この金額には既存の製品およびサービスをサポートするAIイニシアチブに関連する費用、ならびにTencent Cloudにおける外部利用向けのGPU購入費用は含まれていない。[2]
対象企業は、産業のデジタルトランスフォーメーションを支援するため「Tencent Industry Accelerator」を通じた投資および支援プログラムを展開している。このプログラムは、対象企業が保有する技術やプラットフォームリソースを活用し、パートナー企業と共同で産業インターネットソリューションを構築する枠組みである。公式発表によると、以下の3つの主要なアクセラレータープログラムが運用されている。[6]
対象企業のESG戦略および公式方針において、知的財産は事業展開と技術革新に関連する項目として記載されている。対象企業は特許、商標、著作権の各分野でデータベースを構築し、権利の取得と運用を行っている。
対象企業の全世界における特許関連実績は、公開時期ごとに以下の通り推移している。
対象企業が保有する特許ポートフォリオの特性として、国連が定める持続可能な開発目標(SDGs)への関連性が言及されている。世界知的所有権機関(WIPO)およびLexisNexisからの評価実績に基づき、対象企業の知的財産ポートフォリオの約25%がSDGsと整合していることが確認されている。[10] また、対象企業は多様性の観点から発明者の内訳に関する情報を開示しており、保有する特許のうち女性発明者が関与している特許は22,000件以上存在し、全体の35%以上を占めている。[5] 技術分野別の内訳として、データセキュリティ分野に関する特許数が1,300件以上、AI医療(AI medical care)分野における発明特許数が1,000件以上に達している。[5]
対象企業は国際的な特許出願を継続的に実施しており、公的データベースに基づく出願状況が確認されている。欧州特許庁(EPO)が発行した公式レポート「EPO TECHNOLOGY DASHBOARD 2025」によれば、対象企業(Tencent)の2025年における欧州特許庁への特許出願件数(実績)は417件である。[11] 中国国家知識産権局(CNIPA)およびEPOの2025年プレスリリースによると、2025年におけるEPOへの全特許出願企業ランキングにおいて、対象企業は上位50社以内にランクインしている。[12]
深圳市市場監督管理局(知識産権局)は、2026年の知識産権宣伝週間の活動において、対象企業(Tencent Technology (Shenzhen) Company Limited)の保有する特許がオープンライセンス(開放許可)の対象として国家知識産権運営(深セン)取引サービスプラットフォームに集中登録され、ネットワークと通信、半導体と集積回路、スマート端末などの産業クラスター向けに提供されていることを公表している。[13]
対象企業は、知的財産の管理およびイノベーションの創出に関する公的評価と賞を獲得している。以下の表は、各政府機関および専門機関から付与された主な評価と受賞内容を整理したものである。
|
受賞・評価名 |
対象事項および評価の詳細 |
出典 |
|
中国専利金賞(China Patent Gold Award) |
WIPO(世界知的所有権機関)および中国国家知識産権局(CNIPA)による共同選定。超大規模データベースを短時間で処理する技術、QQインスタントメッセージングプラットフォーム、Tencent Meetingビデオ会議ツール、WeChatデジタル紅包などに関連する特許で金賞を受賞している。 |
[8] |
|
商標創新奨(Trademark Innovation Award) |
対象企業の知的財産管理および保護活動に対する評価。 |
[8] |
|
中国版権金賞(China Copyright Gold Award) |
対象企業の著作権分野における知的財産運用に対する評価。 |
[8] |
|
国家知識産権示範企業(National Intellectual Property Demonstration Enterprise) |
中国の国家レベルでの知的財産管理に関する認定。 |
[8] |
|
国家版権示範単位(National Copyright Demonstration Unit) |
国家レベルでの著作権管理・運用に関する認定。 |
[8] |
|
深セン市知識産権優位企業(Enterprise with Intellectual Property Advantages in Shenzhen) |
深セン市における特許活動およびイノベーション推進に対する評価。認定に伴い、対象企業は30万人民元の維持基金を獲得している。 |
[15] |
|
Top 100 Global Innovators |
Clarivate社が選出するグローバルイノベーターリストにおいて、2025年に第2位にランクインした。 |
[16] |
|
Top 50 Model Enterprises for Trademark Protection in China |
中国国内における商標保護のモデル企業上位50社への選出。 |
[16] |
|
Top 100 Enterprises for Intellectual Property Protection in China |
中国国内における知的財産保護のトップ100企業への選出。 |
[16] |
対象企業は、基礎研究から応用技術の商用化に至るまで、各分野に特化した専門の研究所および研究開発拠点を設置している。公式開示資料にて確認できる主要な研究開発組織は以下の通りである。
「Tencent AI Lab」は2016年4月に設立された企業レベルの研究所であり、深センおよび北京を拠点として人工知能の認識、意思決定、および創造性の向上に向けた研究を行っている。[17] 同研究所では、技術開発の方向性を以下の4つの主要カテゴリに分類して研究を推進している。[17]
「Tencent Media Lab」は、映像および音声などのメディア圧縮標準化規格の策定に対して技術提供を行っている。対象企業は、以下の主要な次世代ビデオコーデック規格に関する活動実績を開示している。[18]
その他、Audio and Video Coding Standard Workgroup of China (AVS/IEEE1857)、Point Cloud Compression (PCC)、Neural Network-based Video Coding (NNVC)、Video Coding for Machines (VCM)、Lenslet Video Coding (LVC) に関する標準化作業への貢献も報告されている。[18]
対象企業は、AIおよびメディア技術以外の特定領域においても専門研究所を設置している。
対象企業は、自社の運用拠点についても情報を開示している。主な拠点として、深センの南山区に位置する本社機能および研究開発機能を有する「Tencent Binhai Building(Tencent Seafront Towers)」、成都の「Chengdu Tencent Buildings A and B」、武漢の「Wuhan R&D Center」が存在する。さらに、ソフトウェアの開発やITシステムの運用を行う事業子会社(OPCOs)として、「Cyber Shenzhen(Tencent Cyber (Shenzhen) Company Limited)」や「Cyber Tianjin(Tencent Cyber (Tianjin) Company Limited)」等が設立され事業を展開している。[3]
対象企業は、開発したソフトウェアや技術プラットフォームを外部の開発者や企業に共有するため、オープンソースプロジェクトを通じた提供とライセンス条項の設定を行っている。
対象企業が運用するオープンソースプロジェクト(例:Hunyuan3D-2等)においては、著作権および特許権の扱いを定めた「Contributor License Agreement (CLA)」が適用されている。[21] 公式リポジトリおよび規程ページに記載された該当ライセンスの主要な定義および許諾条件は以下の通りである。
対象企業は、AI言語モデルおよび医療ソリューションに関して、複数の技術プラットフォームをオープンソース化して公開している。
大規模言語モデルおよびAIワークフロー技術の公開
対象企業のAIモデル「Hy3 preview」は、オープンソースのエージェントフレームワーク(OpenClaw、OpenCode、KiloCode等)との統合がサポートされている。[22] このモデルの機能に関する評価として、コード関連タスク(CodeBuddy)および作業支援(WorkBuddy)において、最初のトークン出力までの時間(Time To First Token)が54%低下し、エンドツーエンドの応答時間が47%低下したことが報告されている。同時に、成功率は99.99%を超え、ドキュメント処理やデータ分析において最大495ステップの複雑なエージェントワークフローを実行する能力が示されている。さらに、Hy3 previewのAPIはOpenRouter上に掲載されており、Tencent Cloudの「TokenHub」上でも提供されている。[22]
AI創薬(AIDD)分野でのデータセット公開
AIを利用した創薬研究を促進するため、対象企業は「DrugOOD」と呼ばれるベンチマークデータセットおよび自動データキュレーション用のPythonパッケージをオープンソースで公開している。[23] DrugOODは、創薬過程で発生する実世界のノイズを伴う分布外(Out-of-Distribution: OOD)学習問題に対処するテストベッドとして機能する。高分子(タンパク質標的)と低分子(薬物化合物)間の結合親和性予測に焦点が当てられており、生化学的知識に基づいたドメインアノテーションを備えている。分子データがグラフニューラルネットワーク(GNN)で処理される特性を活かし、グラフOOD学習問題の研究向けに設計されている。[23]
新型コロナウイルス(COVID-19)関連のオープンソース活動
2020年3月の公式発表時点で、対象企業はクラウド、ビッグデータ、AIヘルスケア、ネットワークセキュリティの各領域で合計98のプロジェクトをオープンソース化している。[24] 特に公衆衛生の分野では、同月に以下のツールをGitHub上でオープンソースとして提供開始した。
これらのオープンソースプロジェクトは、GitHub上で累計287,000以上の「Star」を獲得しており、公式発表によれば、対象企業はGitHubのグローバルオープンソースStarランキングで上位10位以内に位置づけられている。[24]
対象企業は、各種技術標準化団体への参加および特許プールへの特許権提供を通じて、業界の技術規格の普及と知的財産のライセンス活動に関与している。
対象企業のESGレポートによると、対象企業は通信および情報技術に関する国内および国際的な規格策定組織に参画している。「China Communications Standards Association(中国通信標準化協会)」、「ITU-T(国際電気通信連合 電気通信標準化部門)」、「ISO/IEC(国際標準化機構/国際電気標準会議)」、「IEEE(電気電子学会)」などの組織において、標準化に関する専門的知見の提供を行っている。[8] また、「China Copyright Association」、「China Audio-video and Digital Publishing Association」、「China Intellectual Property Society」、「Patent Protection Association of China」、「International Trademark Association」、および「China Trademark Association」において、中国の特許法および商標法・規制の立法改正に関する見解や提言の共有を実施している。[26]
環境および持続可能性の分野においても、知的財産を組み合わせた標準化や業界協定に関与している。2022年8月19日、対象企業は「Internet+ Development Association of China (IDAC)」の「Carbon Neutrality Professional Committee」および「Global Carbon Neutral Technology Alliance」の設立に参加した。このアライアンスの目的は、デジタル化の推進と特許ライセンスの提供を通じて炭素排出量を削減することに設定されている。[27] 対象企業自身は、パリ協定および昆明・モントリオール生物多様性枠組に沿って、「Tencent Biodiversity Statement(Tencent生物多様性声明)」を発表し、2030年までのカーボンニュートラル達成および再生可能エネルギーの利用率を15%から85%へ引き上げる目標を掲げている。[8] また、知的交通システム(intelligent transportation systems)へのデジタル双子(Digital Twins)技術の統合に関する国際標準の開発も主導している。[7]
対象企業は、標準必須特許(SEP)をライセンスする独立系特許プール管理者である「Access Advance LLC」と協定を締結している。
VVC Advance Patent Poolへの参画
Access Advance社が2023年10月16日に公表した資料によると、対象企業(Tencent)はByteDance、NTT、NTT Docomoとともにライセンサーとして「VVC Advance Patent Pool」に加盟した。[29] この加盟により同特許プールのライセンサーは合計38社となり、VVC(H.266)技術に関する全世界の標準必須特許の約45〜50%を占めると推定されている。また、対象企業は同時にAlibaba、Kuaishou、ByteDanceとともに同プールのライセンシーとしても加盟しており、ライセンサーおよびライセンシーの双方の立場で特許エコシステムに関与している。[29]
Video Distribution Patent (VDP) Poolへの参画
2025年7月1日付のAccess Advance社の発表によれば、Tencent America LLCはHEVC、VVC、VP9、AV1の各ビデオコーデックを網羅する包括的なライセンスソリューション「Video Distribution Patent (VDP) Pool」の初期メンバーとして加盟した。このプログラムにおいても、Tencent America LLCはByteDance、Kuaishou、NTT Docomoなどとともにライセンシーおよびライセンサーの双方として名を連ねている。VDPプログラムは、オンラインビデオ配信事業者(コンテンツストリーミングプロバイダー)向けに設計された定額段階制の価格体系を持つ単一のライセンス提供の枠組みである。[30]
対象企業は自社のプラットフォーム上におけるユーザー、コンテンツクリエイター、および外部ブランドの知的財産を保護するため、技術的対策と法的執行手段を組み合わせた運用体制を整備している。
対象企業のESGレポートや知的財産保護ポリシーによると、同社は専用の権利保護チーム(intellectual property enforcement attorneys)を配置し、AIおよびビッグデータ技術を統合した自動監視システム(Automated Monitoring System)を24時間365日体制で運用している。[8][31] 侵害に対する執行方法として、民事訴訟、行政処分要請、刑事告発、および業界団体によるアライアンスという多角的なアプローチ(multi-pronged approach)を採用している。[8]
クリエイターの著作権保護に関しては、「電子授権 – 監視 – 権利保護(Electronic authorisation – Monitoring – Rights Protection)」に基づくプラットフォームを運用している。このシステムを通じて、著作権侵害の海賊版監視機能や「ワンクリック」での権利保護要請が可能となっている。[8] さらに、生成AIや深層合成技術が利用されたコンテンツに対しては、法的要件の遵守を規定するとともに、AI生成物であることを識別・ラベル付けする機能を提供している。[8]
また、対象企業は中国全土の主要都市の法律事務所と提携し、証拠保全のための物理的な拠点(physical evidence collection sites)を設けることで、証拠の収集から削除通知に至るまでのプロセスを行う体制を構築している。[8]
対象企業の主要なコミュニケーション・ライフスタイルアプリ「Weixin(微信)」では、ブランド所有者やユーザーが協力して模倣品や知的財産の不正利用を防止・監視するためのシステム「Weixin Brand Protection Platform(BPP)」を2015年に立ち上げ、運用している。[10]
対象企業が2025年に公開したレポート「2025 Weixin Brand Protection Report」および公式発表に基づく、直近のBPPの運用実績(2025年報告)は以下の通りである。[34][35]
|
指標(Metric) |
実績数値(Results) |
|
BPPに加盟しているブランド数 |
30以上の業界、20以上の地域から700以上のブランドが参加 |
|
新規参画したパブリッシングパートナー数 |
14団体 |
|
不審な商品リスティングのブロック数(Suspicious product listings blocked) |
232,000件 |
|
不審なストア申請の削除数(Suspicious store applications removed) |
14,000件 |
|
権利侵害リスティングの取り下げ数(Infringing listings taken down) |
728,000件以上 |
|
処分を受けた権利侵害ストア数(Infringing stores penalized) |
9,000件以上 |
|
当局支援事件の価値(case value) |
4億3,000万米ドル以上 |
Weixinのエコシステムは複数の機能(チャット、ライブストリーミング、ミニプログラム等)から構成されており、BPPを通じた執行実績も各機能ごとに詳細が開示されている。
Weixin BPPの運用はデジタル上での削除・ブロックに加え、オフラインでの捜査機関との協力による知的財産の執行にも及んでいる。対象企業が公開した資料によれば、2022年の実績として、中国国内の規制当局と連携して20件以上の事案に対する調査が行われ、結果として数千万米ドル相当の資産が押収された。[35] 2025年の実績においては、BPPから提供されるデータを活用することで、規制当局が37件の刑事事件(criminal cases)を追及するための支援が行われた。[34][35]
また、2025年12月には、権利者のプラットフォームへのエンゲージメントを効率化することを目的として、AIを搭載したブランド保護アシスタント機能「Mini-WA」がBPP内に導入されている。[34][35]
本レポートのPDF版をご用意しています。印刷や保存にご活用ください。
本レポートは、公開情報をAI技術を活用して体系的に分析したものです。
情報の性質
ご利用にあたって
本レポートは知財動向把握の参考資料としてご活用ください。重要なビジネス判断の際は、最新の一次情報の確認および専門家へのご相談を推奨します。
TechnoProducerは、貴社の「発明力と知財力」を最大化します
→ 月額顧問サービス
特許活用から経営戦略まで、事業成功のプロがあらゆる課題に対応
→ 発明塾®動画セミナー
個人での学習や、オンラインでの社内教育はこちら
→ まず相談したい・お問い合わせ
サービス選択に迷う場合や、個別のご相談はこちら
ここでしか読めない発明塾のノウハウの一部や最新情報を、無料で週2〜3回配信しております。
・あの会社はどうして不況にも強いのか?
・今、注目すべき狙い目の技術情報
・アイデア・発明を、「スジの良い」企画に仕上げる方法
・急成長企業のビジネスモデルと知財戦略