テーマ別 深掘りコラム 1分で読める!発明塾 塾長の部屋
会社概要 発明塾とは? メンバー
実績 お客様の声

ナカニシの知財戦略:コア技術と垂直統合による開発・事業拠点構築

3行まとめ

3つのコア技術を社内蓄積し垂直統合モデルを構築

ナカニシは超高速回転技術・超音波技術・マイクロモーター技術をコア技術とし、設計・製造ノウハウを社内に蓄積している。開発から製造までを自社内で完結する垂直統合型の事業モデルにより、競争力を決定づける開発能力を集積している。

国内生産100%と精密部品約90%内製化で品質とコストを支える

同社の国内生産比率は100%とされ、製品を構成する精密部品の内製化率は約90%を維持している。新工場「A1」は延床面積14,000平方メートル、約650台の加工設備を備え、24時間体制で稼働する生産拠点である。

RD1・A1・A1+・M1整備で国内開発生産体制が完了

ナカニシは2017年の新本社R&Dセンター「RD1」、2018年の新工場「A1」、2022年の「A1+」、2025年の新工場「M1」を段階的に整備した。これにより、国内における開発・生産の最適体制の構築が完了したと報告している。

エグゼクティブサマリ

事業概要: 株式会社ナカニシは、栃木県鹿沼市下日向700番地に本店を置く企業であり、歯科事業、外科事業、機工事業の3つのセグメントを中心に事業を展開している。同社は自社ブランド「NSK」製品の販売について、公式沿革では1957年、中期経営計画「NV2030」では1958年から開始したと記載されている。1982年には機工事業を開始し、1996年に株式会社ナカニシへ商号を変更した。2005年にはサージカル事業を開始し、2022年にドイツのスピンドルメーカーであるJaegerを買収、2023年には米国のデンタルチェアメーカーであるDCIと中国の医療機器メーカーであるREFINEを買収した。歯科事業ではエアータービン、コントラアングル、超音波スケーラー、歯面清掃器などを扱い、外科事業では脳神経外科、脊椎脊髄外科、整形外科、内視鏡手術向けの製品を展開し、機工事業では自動車や飛行機のエンジン部品の精密加工等に用いられる製品を取り扱っている。

 

財務: 2025年12月期の通期連結経営成績は、売上高81,179百万円、EBITDA19,899百万円、営業利益14,089百万円、経常利益16,933百万円、親会社株主に帰属する当期純損失2,398百万円であった。通期決算における純損失の主要因として、決算説明会資料ではDCI事業に関わるのれんの減損処理が報告されており、特別損失の項目では減損損失13,774百万円が計上されている。202512月期の年間配当金は1株当たり54.00円であり、第2四半期末26.00円、期末28.00円で構成される。202612月期の通期連結業績予想は、202612月期第1四半期決算短信において、売上高90,185百万円、EBITDA21,854百万円、営業利益16,215百万円、経常利益16,091百万円、親会社株主に帰属する当期純利益11,193百万円とされている。202612月期の年間配当予想は1株当たり60.00円である。

 

技術・知財: 株式会社ナカニシは、自社のコア技術として、超高速回転技術、超音波技術、マイクロモーター技術の3分野を保有している。同社は、これらの技術に関する設計・製造のノウハウを社内に蓄積し、競争力を決定づける開発能力を自社内に集積している。開発から製造までを自社内で完結する垂直統合型の事業モデルを構築し、エンジニアが製品のすべての開発工程に積極的に関与する体制をとっている。国内生産比率は公式採用サイトにおいて100%とされ、製品を構成する精密部品の内製化率について、約90%の比率を維持している。知的財産に関しては、自社の知的財産を権利化することにより第三者から防護し、情報セキュリティを推進して秘匿すべきノウハウ等の社外流出防止を図っている。第三者の知的財産権については継続的な調査を行い、侵害の予防に努めている。

 

戦略・成長: 株式会社ナカニシは、開発の迅速化とコスト競争力を実現する経営基盤づくりの一環として、国内における開発・生産体制の整備を段階的に進めてきた。19951月には下日向工場に面積3,200平方メートルの建屋を1棟増築した。20174月には新本社R&Dセンター「RD1」を竣工し、本社機能と研究開発機能を兼ね備えた拠点として整備した。20183月には新工場「A1」を竣工し、製品に必要な精密部品の約90%を一貫生産する生産拠点とした。2022年には部品工場「A1+」を竣工し、2025年には新工場「M1」を竣工した。同社は、「RD1」「A1」「A1+」「M1」の各拠点の整備完了により、国内における開発・生産の最適体制の構築が完了したと報告している。中期経営計画「NV2025+」の振り返りでは、インフレーション、医療機器規制への対応、部品不足に伴う設計変更等による費用増加も報告されている。

 

リスク・ESG 株式会社ナカニシの有価証券報告書では、知的財産に関するリスクとして、特定の国や地域において第三者の特許の使用を前提にした製品が存在していることが記載されている。今後も同社グループが許容できる条件で第三者から使用許諾を受けられる保証はなく、使用許諾が得られない場合、不利な条件で和解したり、事業展開に大きな影響を及ぼす可能性があることが開示されている。また、医療機器を取り扱う事業の性質上、医療事故訴訟や製造者責任にかかわる訴訟リスクが存在する。品質管理に関しては19974月にISO9001の認証を取得し、環境に配慮した企業活動の定着を図る目的で19991月にISO14001の認証を取得している。内部統制報告書では、財務報告に係る内部統制を整備および運用していることが表明される一方、内部統制は財務報告の虚偽記載を完全に防止または発見できない可能性があることも明記されている。

1. 企業概況および提出書類に関する情報

株式会社ナカニシは、栃木県鹿沼市下日向700番地に本店を置く企業である[1]。同社は金融商品取引法第24条第1項に基づき、第74期事業年度(自202511日 至20251231日)の有価証券報告書を関東財務局長宛に提出している[1]。当該有価証券報告書の提出日は2026327日であり、株式会社東京証券取引所(東京都中央区日本橋兜町21号)において縦覧に供されている[1]。提出会社の代表者は、代表取締役社長執行役員である[1]。同社の確認書において、最高財務責任者の役職氏名については該当事項がない旨が記載されている一方、有価証券報告書の提出会社情報の事務連絡者には執行役員CFOが記載されている[1]

 

同社の提出書類である内部統制報告書についても、金融商品取引法第24条の441項を根拠条文として、同日に関東財務局長宛に提出されている[1]。内部統制報告書において、同社代表取締役は企業会計審議会が公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠して、同社および連結子会社の財務報告に係る内部統制を整備および運用していることを表明している[1]。なお、内部統制の性質として、各基本的要素が有機的に結びつき機能することで目的を合理的な範囲で達成しようとするものであり、財務報告の虚偽の記載を完全に防止または発見することができない可能性があることが明記されている[1]

 

提出された有価証券報告書には、株式会社ナカニシの第74期事業年度の財務諸表(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記および附属明細表)ならびに連結財務諸表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記および連結附属明細表)に対する監査結果が含まれている[1]。監査報告書には、監査人が監査役および監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を「監査上の主要な検討事項」として決定し記載する方針が示されている[1]。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、報告により生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれる場合は記載しないとされている[1]。報酬関連情報は連結財務諸表の監査報告書に記載されており、会社と監査法人との間に利害関係はないことが明記されている[1]。さらに、XBRLデータは監査の対象には含まれていないことが注記されている[1]

 

株式会社ナカニシが提出した第74期有価証券報告書の第一部「企業情報」の第1「企業の概況」には、「主要な経営指標等の推移」「沿革」「事業の内容」「関係会社の状況」「従業員の状況」が記載されている[1]。同「企業情報」の第2「事業の状況」には、「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「サステナビリティに関する考え方及び取組」「事業等のリスク」「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」「重要な契約等」「研究開発活動」の項目が存在する[1]。第3「設備の状況」には「設備投資等の概要」「主要な設備の状況」「設備の新設、除却等の計画」が、第4「提出会社の状況」には「株式等の状況」として「株式の総数等」「新株予約権等の状況」が記載されている[1]

2. 沿革および事業展開の歴史

株式会社ナカニシの事業展開の推移は、中期経営計画「NV2030」関連資料等に記載された沿革において確認できる[2]。同社の自社ブランドである「NSK」製品の販売開始については、公式沿革では1957年に自社ブランドの販売を開始した旨が記載されており、中期経営計画「NV2030」では1958年から開始している旨が記載されている[2][22]1982年には機工事業を開始した[2]。その後、1996年に「株式会社ナカニシ」へと商号を変更している[2]。また、統合報告書によれば、19974月に製造・販売を統合し効率向上を図るため、株式会社エヌエスケーナカニシを吸収合併している[1]

 

品質および環境管理に関する取り組みとして、19974月に品質管理の徹底を図るために品質マネジメントシステムの国際標準化機構規格であるISO9001の認証を取得した[1]。続いて、19991月には環境に配慮した企業活動の定着を図る目的で、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001の認証を取得している[1]20007月には日本証券業協会に株式を店頭登録した[1]

 

2005年には新たにサージカル事業(外科事業)を開始し、事業領域の拡大を図っている[2]2016年には企業の価値観を明文化した「Our Core」を制定した[2]。さらに、製品ポートフォリオの拡充やグローバル展開を目的として、複数の海外企業の買収(M&A)を実施している[2]。沿革における報告として、2022年にドイツのスピンドルメーカーである「Jaeger」を買収した[2]。その後、2023年には米国のデンタルチェアメーカーである「DCI」を買収し、同年には中国の医療機器メーカーである「REFINE」の買収も実施している[2]

3. 中核となる技術と生産・開発体制

株式会社ナカニシは、自社のコア技術として「超高速回転技術」「超音波技術」「マイクロモーター技術」の3分野の技術を保有している[2]。同社は、これら技術に関する設計・製造のノウハウを社内に蓄積し、事業を展開している[2]。同社の事業体制は、競争力を決定づける開発能力を自社内に集積し、開発から製造までを自社内で完結する垂直統合型の事業モデルを構築している[2]。開発プロセスにおいては、エンジニアが製品のすべての開発工程に積極的に関与する体制がとられている[3]

 

生産体制に関する指標として、同社の公式採用サイトにおいて、国内生産比率は100%であることが明記されている[3]。さらに、同社は製品を構成する精密部品の内製化率について、約90%の比率を維持している[2]。この部品内製化率の維持は、高度な生産技術を有する栃木県鹿沼市の自社工場でのミクロンオーダーの精密部品一貫生産体制によって実現されている[2]。同社は、この生産オペレーションを通じて、多品種・少量生産に対応する体制を整え、「設計の自由度」「品質の安定化」「コスト競争力」の向上を図っていると説明している[2]。また、公式採用サイトにおける営業および販売実績の記載事項として、売上の80%が海外向けであり、営業利益率は30%であるとの指標が示されている(当該利益率の数値は2022年度実績との注記が付されている)[3]

4. 研究開発拠点および生産拠点の整備状況

株式会社ナカニシは、開発の迅速化とコスト競争力を実現する経営基盤づくりの一環として、国内における開発・生産体制の構築を段階的に進めてきた[2]

 

1995年1月には、設計・開発・生産技術の強化を図る目的で、下日向工場に面積3,200平方メートルの建屋を1棟増築している[1]。その後、開発基盤の中核となる施設として、20174月に新本社R&Dセンター「RD1」を竣工した[2]。同施設は本社機能と研究開発機能を兼ね備えており、新製品開発のレベルアップとスピードアップを実現するために、最新鋭の研究設備と開発設計者が働きやすい環境を整備した拠点として位置づけられている[2]

 

生産拠点については、20183月に新工場「A1」を竣工した[2]。同工場は、株式会社ナカニシの中長期成長戦略の核となる最新鋭工場であり、同社の製品に必要な精密部品の約90%をこの工場において一貫生産している[2]。施設規模としては、延床面積14,000平方メートルの中に約650台の加工設備を備え、年間を通じて24時間体制で稼働している[2]

 

さらに同社は、生産能力の増強および国内事業基盤の強化を継続し、2022年に部品工場「A1+」を竣工した[2]。続いて2025年には新工場「M1」を竣工している[2]。株式会社ナカニシは、これら「RD1」「A1」「A1+」「M1」の各拠点の整備完了により、国内における開発・生産の最適体制の構築が完了したと報告している[2]

 

なお、第74期定時株主総会招集ご通知の事業報告によれば、当連結会計年度(202512月期)中において実施された企業集団の設備投資の総額は5,302百万円であった[5]

5. 事業セグメント別の製品展開および研究開発活動

株式会社ナカニシは、主に「歯科事業」「外科事業」「機工事業」の3つのセグメントにおいて事業を展開している[2]。各セグメントにおいて、自社の保有する回転系および非回転系の技術を用いた製品展開と開発活動を実施している。

5.1. 歯科事業に関する展開

歯科事業部門において、株式会社ナカニシは従来から提供している歯科用エアータービンやコントラアングル等の高速回転切削機器の研究開発を継続している[1]。これに加えて、予防歯科治療において中心的な役割を果たしている超音波スケーラーや歯面清掃器など、非回転系の新技術を活用する製品分野においても積極的な研究開発活動を実施し、製品ラインナップの充実を図っている[1]。同社の202512月期有価証券報告書の記載によれば、一般管理費および当期製造費用に含まれる研究開発費は4,003,046千円であった[1]

5.2. 外科事業に関する展開

外科事業部門は2005年に開始された事業であり、超高齢化に伴い増加が見込まれる脳神経外科手術(くも膜下出血・脳梗塞等)、脊椎脊髄外科手術(脊柱管狭窄症・椎間板ヘルニア等)、整形外科手術(膝関節・股関節のインプラント手術等)、および各種内視鏡手術に向けた製品開発を行っている[2]。同分野においても株式会社ナカニシの超高速回転製品や超音波製品が利用されている[4]

 

具体的な製品展開として、同社の統合報告書において「スリムアタッチメント200155-U)」という製品が紹介されている[6]。同製品は、2孔式内視鏡手術に最適化された設計となっており、先端を極めて細く仕上げることで、狭い術野においても高い操作性を発揮する仕様を備えている[6]。また、生理食塩水などの灌流液を用いて出血や組織片を洗い流しながら手術を行う「灌流下手術」の環境下においても安定した動作を実現する構造を有しており、脊椎のような繊細な部位での術中の操作性と信頼性を確保している[6]。同資料にはその他の関連製品の名称として「VIVAace 2」および「Primado2」も併記されている[6]

5.3. 機工事業に関する展開

機工事業部門は1982年に事業を開始した[2]。同事業部門における製品の適用領域として、自動車や飛行機のエンジン部品の精密加工等において同社の技術が利用されていることが公式採用サイトにて記載されている[3]

6. 知的財産に関する方針と事業リスクの認識

株式会社ナカニシの第74期有価証券報告書「事業等のリスク」の項目において、知的財産に関する同社の方針および事業上の法的・環境的リスクが記載されている[1]

 

同社は知的財産に関する方針として、自社の知的財産を権利化することにより第三者から防護するとともに、情報セキュリティを推進し、秘匿すべきノウハウ等の社外への流出防止を図っている[1]。その一方で、第三者の知的財産権に対しては、継続的に調査を行うことにより侵害の予防に努めていると表明している[1]

 

事業展開におけるリスクの具体例として、特定の国や地域においては第三者の特許の使用を前提にした製品が存在していることが挙げられている[1]。これに関して、今後も同社グループが許容できる条件で第三者から使用許諾を受けられる保証はないことが明記されている[1]。使用許諾が得られない場合、不利な条件で和解したり、事業展開に大きな影響を及ぼす可能性があることがリスク事項として開示されている[1]。また、その他の法的リスクとして、医療機器を取り扱う事業の性質上、医療事故訴訟や製造者責任にかかわる訴訟リスクが存在していることが記載されている[1]

 

さらに、事業環境の変化による費用増大のリスクとして、中期経営計画「NV2025+」の振り返りに関する資料において、インフレーションの進行、医療機器規制(MDR)への対応、および部品不足に伴う設計変更等によって費用増加が発生したことが報告されている[2]。これらの要因により、同期間中の営業利益、営業利益率、およびROE(自己資本利益率)の各指標が目標未達となったことが記載されている[2]

7. 各会計期間における研究開発費の実績推移と費用動向

株式会社ナカニシが各四半期報告書および決算説明資料において開示している研究開発活動および研究開発費に関する実績は以下の通りである。

 

2024年12月期に関する研究開発費の実績として、第1四半期報告書において、当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は935,884千円であったことが記載されている[7]。なお、同第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はないと報告されている[7]。また、同年度の第2四半期報告書において、当中間連結会計期間の研究開発費の総額は1,983,560千円であったことが記載されている[8]。同中間連結会計期間においても、経営上の重要な契約等の決定または締結等はなかった[8]

 

2025年12月期に関する研究開発費の実績として、第2四半期報告書において、当中間連結会計期間の研究開発費の総額は1,927,935千円であったことが記載されている[9]。同中間連結会計期間においても、経営上の重要な契約等の決定または締結等はなかった[9]。また、前述の通り、同年度通期の有価証券報告書における一般管理費および当期製造費用に含まれる研究開発費は4,003,046千円であった[1]

 

2025年12月期の各四半期における費用の動向に関して、同年度第1四半期の決算補足説明資料において、予定していた研究開発費が発生しなかったことにより約17,000万円の費用圧縮が生じたことが報告されている[10]。また、同資料において、未実現利益が圧縮された結果、利益が約8億円押し上げられたことが記載されている[10]。一方で、同年度第4四半期の決算説明資料においては、第4四半期に「その他費用」が約6億円増加したことが記載されている[11]。この費用の増加要因は、主に外科事業の開発費および外注費の計上によるものであると説明されている[11]。同資料では、第3四半期における人件費が約3億円増加したことについても言及されており、その理由として株式会社ナカニシ単体の採用や、連結子会社であるNSKアメリカの外科事業における採用等によるものであることが記載されている[11]

8. 2025年12月期の連結経営成績および財務状況の詳細

株式会社ナカニシは、各四半期の決算短信において連結経営成績および財政状態に関する数値を公表している。以下に202512月期の各期間における数値を詳述する。なお、決算短信における「EBITDA」の定義は、「営業利益+減価償却費+のれん償却額」として算出されている[13]。また、包括利益等の各指標における単位は、一次情報の表記に従い百万円または円・銭で記載する。

8.1. 2025年12月期 第1四半期の連結実績

2025年12月期 第1四半期(202511日〜2025331日)の連結経営成績(累計)は以下の通りである[15]

 

  • 売上高(実績):18,542百万円(対前年同四半期増減率1%増)
  • EBITDA(実績):4,755百万円(対前年同四半期増減率1%減)
  • 営業利益(実績):3,361百万円(対前年同四半期増減率7%減)
  • 経常利益(実績):2,626百万円(対前年同四半期増減率9%減)
  • 親会社株主に帰属する四半期純利益(実績):440百万円(対前年同四半期増減率8%減)
  • 包括利益(実績):△2,658百万円
  • 1株当たり四半期純利益(実績):23
  • 潜在株式調整後1株当たり四半期純利益(実績):21

 

2025年12月期 第1四半期末時点の連結財政状態は以下の通りである[15]

 

  • 総資産(実績):151,834百万円
  • 純資産(実績):115,031百万円
  • 自己資本比率(実績):5%
  • 自己資本(実績):114,664百万円

8.2. 2025年12月期 第2四半期(中間期)の連結実績

2025年12月期 第2四半期中間期(202511日〜2025630日)の連結経営成績(累計)は以下の通りである[14]

 

  • 売上高(実績):39,189百万円(対前年中間期増減率6%増)
  • EBITDA(実績):10,390百万円(対前年中間期増減率0%減)
  • 営業利益(実績):7,587百万円(対前年中間期増減率4%減)
  • 経常利益(実績):6,930百万円(対前年中間期増減率1%減)
  • 親会社株主に帰属する中間純利益(実績):3,510百万円(対前年中間期増減率0%減)
  • 包括利益(実績):304百万円(対前年中間期増減率0%減)
  • 1株当たり中間純利益(実績):84
  • 潜在株式調整後1株当たり中間純利益(実績):70

 

2025年12月期 第2四半期末時点の連結財政状態は以下の通りである[14]

 

  • 総資産(実績):153,767百万円
  • 純資産(実績):117,297百万円
  • 自己資本比率(実績):0%
  • 自己資本(実績):116,901百万円

8.3. 2025年12月期 第3四半期の連結実績

2025年12月期 第3四半期(202511日〜2025930日)の連結経営成績(累計)は以下の通りである[13]

 

  • 売上高(実績):58,752百万円(対前年同四半期増減率8%増)
  • EBITDA(実績):14,786百万円(対前年同四半期増減率2%減)
  • 営業利益(実績):10,540百万円(対前年同四半期増減率5%減)
  • 経常利益(実績):10,934百万円(対前年同四半期増減率0%減)
  • 親会社株主に帰属する四半期純利益(実績):6,181百万円(対前年同四半期増減率5%減)
  • 包括利益(実績):5,138百万円(対前年同四半期増減率5%減)
  • 1株当たり四半期純利益(実績):85
  • 潜在株式調整後1株当たり四半期純利益(実績):61

 

2025年12月期 第3四半期末時点の連結財政状態は以下の通りである[13]

 

  • 総資産(実績):162,466百万円
  • 純資産(実績):119,564百万円
  • 自己資本比率(実績):3%
  • 自己資本(実績):119,168百万円

8.4. 2025年12月期 通期の連結実績と純損失計上の要因

2025年12月期(202511日〜20251231日)の通期連結経営成績は以下の通りである[17]

 

  • 売上高(実績):81,179百万円(前年同期比4%増)
  • EBITDA(実績):19,899百万円(前年同期比7%減)
  • 営業利益(実績):14,089百万円(前年同期比5%減)
  • 経常利益(実績):16,933百万円(前年同期比0%減)
  • 親会社株主に帰属する当期純利益(実績):△2,398百万円(当期純損失として2,398,213千円)

 

通期決算において純損失が計上された主要な要因として、決算説明会資料においてDCI事業に関わるのれんの減損処理を実施したことが報告されている[19]。当該資料の特別損失の項目において、減損損失として13,774百万円が計上されていることが記載されている[19]

 

配当の状況については、202512月期の年間配当金(実績)は1株当たり54.00円であった[13]。内訳は第2四半期末が26.00円、期末が28.00円である[13]2026330日に開催された株式会社ナカニシ第74期定時株主総会において、第1号議案である「剰余金処分の件」が承認可決され、期末配当が1株当たり28円と決定されたことにより、年間配当金54円が確定している[20]。同株主総会においては、第2号議案「取締役6名選任の件」、第3号議案「監査役1名選任の件」、第4号議案「取締役(社外取締役を除く)に対する譲渡制限付株式の付与のための報酬内容の改定の件」もそれぞれ原案の通り承認可決されている[20]

 

自己株式の取得に関する事象として、株式会社ナカニシは2025212日開催の取締役会において、会社法第165条第3項の規定により読み替えて適用される同法第156条第1項の規定に基づき、自己株式を取得することの決議を行った[21]。この決議の理由として、株主への一層の利益還元および経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を可能とするためであることが記載されている[21]

9. 2026年12月期の連結業績予想

株式会社ナカニシは、202612月期第2四半期業績予想および通期業績予想の修正に関するお知らせにおいて、次期である202612月期(202611日〜20261231日)の通期連結業績予想を公表している[23]。また、2026514日に公表された202612月期第1四半期決算短信において、直近に公表されている業績予想からの修正はないとされている[18]。この業績予想の算定において同社が設定している為替レートの前提条件は、1米ドル=150円、1ユーロ=170円である[23]

 

2026年12月期 通期連結業績予想の主要な数値は以下の通りである[18]

 

  • 売上高(会社予想):90,185百万円(前期比1%増)
  • EBITDA(会社予想):21,854百万円(前期比8%増)
  • 営業利益(会社予想):16,215百万円(前期比1%増)
  • 経常利益(会社予想):16,091百万円(前期比0%減)
  • 親会社株主に帰属する当期純利益(会社予想):11,193百万円(前期は純損失が計上されたため、前期比増減率の表記は「-」となっている)

 

配当の状況に関する予想として、202612月期の年間配当金(会社予想)は1株当たり60.00円と開示されている[18]。内訳の予想は、第2四半期末が30.00円、期末が30.00円である[18]

10. 定量データおよび拠点情報に関する集約表

本節では、各一次情報から確認された株式会社ナカニシの研究開発・業績に関する数値データおよび主要な組織・拠点の整備状況について、表形式で集約して記載する。

10.1. 研究開発費および業績関連データ表

以下の表は、各四半期報告書および有価証券報告書等の開示資料に記載された、株式会社ナカニシの研究開発費および主要業績指標を取りまとめたものである。

 

対象期間・決算期

資料名

項目名

数値等(単位・増減率等含む)

出典

2024年12月期 第1四半期

1四半期報告書

研究開発費の総額(実績)

935,884千円

7

2024年12月期 第2四半期

2四半期報告書

研究開発費の総額(実績)

1,983,560千円

8

2025年12月期 第1四半期

1四半期決算短信

売上高(実績)

18,542百万円(対前年同四半期増減率 2.1%増)

15

2025年12月期 第2四半期

2四半期報告書

研究開発費の総額(実績)

1,927,935千円

9

2025年12月期 第2四半期

2四半期決算短信

売上高(実績)

39,189百万円(対前年中間期増減率 1.6%増)

14

2025年12月期 第3四半期

3四半期決算短信

売上高(実績)

58,752百万円(対前年同四半期増減率 3.8%増)

13

2025年12月期 通期

決算短信

売上高(実績)

81,179百万円(前年同期比 5.4%増)

17

2025年12月期 通期

有価証券報告書

一般管理費および当期製造費用に含まれる研究開発費(実績)

4,003,046千円

1

2025年12月期 通期

定時株主総会事業報告

設備投資総額(実績)

5,302百万円

5

2026年12月期 通期

1四半期決算短信

売上高(会社予想)

90,185百万円(前期比 11.1%増)

18

10.2. 組織・生産および研究開発拠点表

以下の表は、株式会社ナカニシの事業を支える主要な開発・生産拠点と、その役割および施設の竣工・整備の時期をまとめたものである。

 

拠点名称

主な役割・特徴

竣工年月・増築等の時期

出典

下日向工場

設計・開発・生産技術の強化を図る目的で増築された建屋(面積3,200平方メートル)

1995年1

1

新本社R&Dセンター「RD1

本社機能および研究開発機能を兼備。新製品開発の機能向上・迅速化のための最新鋭研究設備を導入した施設。

2017年4

2

新工場「A1

製品に必要な精密部品の約90%を一貫生産する部品工場。延床面積14,000平方メートル、約650台の加工設備を導入し24時間稼働。

2018年3

2

部品工場「A1+

国内における事業基盤強化・生産能力増強を目的として拡充された生産拠点。

2022年

2

新工場「M1

開発・生産体制構築の完了を示す新規の生産工場としての機能を持つ施設。

2025年

2

11. 未確認事項まとめ

本調査プロセスにおいて、一次情報の定義に基づき事実として採用できなかった事項、および調査範囲内では確認できなかった事項を以下に記載する。

 

第一に、特許出願件数および特許番号等の詳細に関する事項についてである。民間の情報提供サイトや民間特許データベース検索サービス(IP ForceJ-GLOBAL等)において、株式会社ナカニシの特定の年における出願公開件数ランキングデータや特許取得件数、ならびに特定の公開番号(特開2023-090621等)や特許番号(特許第3126887号等)と株式会社ナカニシを直接関連付ける記述が閲覧により確認された。しかしながら、これらの詳細な特許関連数値および個別の権利関係について、公式な知財公的データベース(J-PlatPat等)の検索結果や株式会社ナカニシの公式サイト上の一次情報において直接の照合と確認を完了できなかったため、今回の調査では未確認の事項として扱う。

 

第二に、市場シェアの具体的水準に関する事項である。株式会社ナカニシの公式採用サイト内の記述において、「世界シェアナンバーワン」や「2022年度実績」といった同社製品の市場シェアに関する言及が存在している。しかし、有価証券報告書、決算短信、統合報告書、または公式の決算説明資料等において、当該シェアの算定対象となる具体的な市場範囲、対象の品目名、算定の基準となったデータソース、および具体的なシェア比率の数値(パーセンテージ)を詳細に示す記述を特定することができなかった。そのため、同項目における厳密なシェア数値は、今回の調査範囲内では確認できずとした。

引用文献

  1. 有価証券報告書 - 株式会社ナカニシ, 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/app/wp-content/uploads/2026/03/FY2025Q4_ASR.pdf
  2. 株式会社ナカニシ 2025‐2030 中期経営計画 - NV2030, 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/app/wp-content/uploads/2025/08/NV2030.pdf
  3. メッセージ- 株式会社ナカニシ採用サイト, 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc-recruitment.jp/message/
  4. 会社概要|スピンドル・モータスピンドル【株式会社ナカニシ】, 5 27, 2026にアクセス、https://nakanishi-spindle.com/company/
  5. 招集ご通知 - 株式会社ナカニシ, 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/app/wp-content/uploads/2026/03/20260306_1.pdf
  6. サステナビリティレポート 2025 - 株式会社ナカニシ, 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/app/wp-content/uploads/2025/08/SR_202508.pdf
  7. 四半期報告書 - 株式会社ナカニシ, 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/app/wp-content/uploads/2024/05/FY2024QT1_QR.pdf
  8. 半期報告書 - 株式会社ナカニシ, 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/app/wp-content/uploads/2024/08/FY2024QT2_QR.pdf
  9. 半期報告書 - 株式会社ナカニシ, 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/app/wp-content/uploads/2025/08/FY2025Q2_QR.pdf
  10. 2025年12月期第1四半期 決算補足説明資料 - 株式会社ナカニシ, 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/app/wp-content/uploads/2025/05/FY2025Q1_BMS.pdf
  11. 2025年12月期 決算説明会資料 - 株式会社ナカニシ, 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/app/wp-content/uploads/2026/02/FY2025Q4_PMS.pdf
  12. 2025年12月期第3四半期 決算補足説明資料 - 株式会社ナカニシ, 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/app/wp-content/uploads/2025/11/FY2025Q3_BMS.pdf
  13. 2025年12月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結), 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/app/wp-content/uploads/2025/11/FY2025Q3_FR.pdf
  14. 2025年12月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結), 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/app/wp-content/uploads/2025/08/FY2025Q2_FR.pdf
  15. 2025年12月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結) - 株式会社ナカニシ, 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/app/wp-content/uploads/2025/03/FY2025Q1_FR.pdf
  16. 2025年12月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結) - 株式会社ナカニシ, 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/app/wp-content/uploads/2025/08/FY2025Q2_FR.pdf
  17. 2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結) - 株式会社ナカニシ, 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/app/wp-content/uploads/2026/02/FY2025Q4_FR.pdf
  18. 2026年12月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結) - 株式会社ナカニシ, 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/app/wp-content/uploads/2026/05/FY2026Q1_FR.pdf
  19. 2025年12月期 決算説明会資料 - 株式会社ナカニシ, 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/app/wp-content/uploads/2026/02/FY2025Q4_PM.pdf
  20. 74期定時株主総会決議結果のお知らせ - 株式会社ナカニシ, 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/app/wp-content/uploads/2026/03/20260330_1.pdf
  21. 有価証券報告書 - 株式会社ナカニシ, 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/app/wp-content/uploads/2025/03/FY2024QT4_QR.pdf
  22. 沿革|企業情報|株式会社ナカニシ, 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/company/history/
  23. 2026年12月期第2四半期業績予想および通期業績予想の修正に関するお知らせ - 株式会社ナカニシ, 5 27, 2026にアクセス、https://www.nakanishi-inc.jp/app/wp-content/uploads/2026/03/20260305_2.pdf

PDF版のダウンロード

本レポートのPDF版をご用意しています。印刷や保存にご活用ください。

【本レポートについて】

本レポートは、公開情報をAI技術を活用して体系的に分析したものです。

情報の性質

  • 公開特許情報、企業発表等の公開データに基づく分析です
  • 2025年12月時点の情報に基づきます
  • 企業の非公開戦略や内部情報は含まれません
  • 分析の正確性を期していますが、完全性は保証いたしかねます

ご利用にあたって
本レポートは知財動向把握の参考資料としてご活用ください。重要なビジネス判断の際は、最新の一次情報の確認および専門家へのご相談を推奨します。

TechnoProducerは、貴社の「発明力と知財力」を最大化します

→ 月額顧問サービス
特許活用から経営戦略まで、事業成功のプロがあらゆる課題に対応

→ 発明塾®動画セミナー
個人での学習や、オンラインでの社内教育はこちら

→ まず相談したい・お問い合わせ
サービス選択に迷う場合や、個別のご相談はこちら

企業内発明塾バナー

最新レポート

5秒で登録完了!無料メール講座

ここでしか読めない発明塾のノウハウの一部や最新情報を、無料で週2〜3回配信しております。

・あの会社はどうして不況にも強いのか?
・今、注目すべき狙い目の技術情報
・アイデア・発明を、「スジの良い」企画に仕上げる方法
・急成長企業のビジネスモデルと知財戦略

無料購読へ
© TechnoProducer Corporation All right reserved