「発明塾」塾長の楠浦です。
今回は、人材育成xAIに関するトピックです。
生成AIは、教育研究のツールとしても、非常に便利なんですよね。
この話はあとでします。
「よどみなく考える」ではなく「飛躍しながら考える」のが人間だった!(1)~AI研究の最前線でわかったこと
https://note.com/kusuura/n/n6bbdd3641e70
このメモにある論文は、僕もまだ読んでいる最中ですので、メモは更新される可能性があります。
またこのメモは、「AIと(情報)探索」という文脈で考えると、以下の続きになります。
「探索」に興味がある方は、ぜひ、あわせてお読みくださるとうれしいです。
AI時代に最も重要な「模索の手法」を教える
https://note.com/kusuura/n/n5347a2e5696c
過去にもお話ししていますが、AIのおかげで、僕は書きたいことがメルマガに書けるようになりました(笑)。
分量や内容の問題で書けなかったことを、「noteにあるAIメモ」と「メルマガ」ですみ分け、書けるようになったからです。
僕の関西弁や脱線がどうも苦手だ、という方はnoteが良いでしょう。
好みの問題ですから、僕は気にしません。
AIには「標準語を使え!」と教えてますので、ご安心ください(笑)。
あと、僕の意見は(表面的には)ほとんどはいっていませんので、(AIによる)客観的な解説や要約だけを読むことが可能です。
表面的には、と言っているのは、「楠浦さんAI」なので、僕の好みが反映されている可能性があるからです。
プロンプトで排除することもできますが、僕のためのメモでもあるので(笑)、今のところ排除していません。
これも、今後、必要に応じて見直していきます。
脱線でした(笑)。
では、本題へ。
この記事の内容
生成AIは「言語化」と相性が良いですよね。
言葉にしないと、AIとやり取りできないからです。
僕が「振り返り」のためにAIを毎日何時間も使っていることは、以前にお話した通りです。
教育学の分野でも、授業の研究は行われていますが、録音して文字起こしして、結構大変だったんですよね。
僕も、そういう授業の研究の本をたくさん持っています。
実は、「発明塾」が「ログ」を重視するのは、昔から行われている授業の研究(教育研究)をヒントにしているんです。
測定できないものは、改善できない。
これが科学の原則。
結果をよくするには、プロセスを作りこむしかない。
これは、品質工学かな?
製造業の本質ですよね。
製造業出身の技術者(僕です)が教育を本気で考えると、こうなるんでしょうね(笑)
生成AIを使う、使わないにかかわらず、ログは残していただくのですが、生成AIを使えば、より自分の思考プロセスが明確になり、改善点も見えてくる、と僕は考えています。
できれば、自分で改善してほしいですからね。
実際、僕はAIとの対話ログをよく見直しますし、見直しやすいように、一部はnoteで公開しているわけです。
noteを読み直して、「なんかおかしいな」となれば、ChatGPTとの対話を見直し、AIの利用方法やプロンプトを改善する、みたいな感じですね。
とにかく、「見える化」しないと、そもそも教えることも難しい、というのが僕の考えで、e発明塾に「ダントツ発明力指南」「ダントツワークシート」がついているのも、同じ理由です。
書かないと、自分が正しく考えられるようになったか、わからないでしょ、というメッセージです。
実際の反応には、「書くのがめんどくさい」「最初から答えを配れ」というものもありましたが(笑)、必要に応じて理由を説明して、「とにかく書いていただく」ことにしています。
紹介した論文では「書かないと研究できない」から「LLM(生成AI)は人間の思考を研究するのに便利だ/欠かせない」という前提になっていますから、今後は反論が来ないことを祈ります(笑)。
思考プロセスを見ずに、教育はできませんからね。
答えよりも、計算用紙の方が大事なんです。
答えに自信がない方は、計算用紙を出してください(笑)。
実は、人間は「きれいに」「流れるように」は考えていない。
常に「飛躍」している。
研究結果では、探索(飛躍)のプロンプトと、深堀り(活用)のプロンプトは、おおよそ同程度使われているため、探索と深堀りを繰り返していることがわかります。
あっち行ったりこっち行ったりしながら、いいところを見つけているわけですね。
ちなみにこの研究における被験者の課題は、教育コンテンツの作成です。
また「探索」と「深堀り」は、かなり短時間に、交互に行われていることが、関連研究の成果で確認されています。
元の論文から、日本語訳になりますが、関連する記載を引用しておきます。
探索と活用はトレードオフの関係で共存する。Barkeらは、プログラマーがGPTベースのCopilotアシスタントとどのようにやり取りするかを調査することで、このダイナミクスを探求した。彼らは定性的なグラウンデッド・セオリー分析(IFT分析そのものではない)を用いて、Copilotの導入における二峰性の利用パターンを特定した。プログラマーは、探索(躊躇するユーザーがCopilotを構造を提案する計画アシスタントとして利用する)と加速(自信のあるユーザーがCopilotを小さな単位でのコード作成を高速化するために利用する)を交互に利用する。
( https://www.nature.com/articles/s41539-025-00332-3 より:該当部をGoogle翻訳にて日本語訳している)
一方通行(シーケンシャル/マニュアル通り)に、よどみなく流れていくのではなく、「行きつ戻りつ」「探索(飛躍)」と「深堀り」を繰り返して、思考は進む。
探索し、その結果を検証して、必要があれば戻って、別のところへ飛躍する...を繰り返す。
「仮説検証」が、非常に短いサイクルで行われているわけです。
これも、僕がいつも感じていたことですが、生成AIを使った興味深い研究結果が出始めました。
生成AIが進化して、違和感なく対話しながら考えられるようになったからでしょうね。
使い方次第では、生成AIは、人間の思考プロセスにかなり近づけられると、noteでとりあげた論文にもあります。
だから、「人間とAI」の対話を上手く設計して分析すれば、「人間と人間」の対話を分析するのと同じような結果が得られるわけですね。
実際、グーグルとプリンストン大学等のチームは、LLM(生成AI)を使って人間の思考を研究するプロジェクトを立ち上げています。
そういう時代なんですね。
論文では、「探索=広く情報を探る」「活用=見つけた情報を深く活用する」の2つのプロセスを、生成AIを使って、大学院生に行ってもらい、そのプロセスを分析しています。
情報探索のためには、専用のプロンプトを準備しており、そのプロンプトを用いた学生の課題が、「より幅広いテーマ」であったとしています。
興味深いのは「生成AIが提示したキーワード」を多く利用した人は、課題のテーマが狭くなっていることです。
AIの言いなりではだめだ、ということでしょう。
当然ですね(笑)。
他、協調性が高いと、生成AIが提示したワードを利用しやすい(=多様性がなくなる)、および、批判的思考が高いと、多様性が増す、とされています。
これも、まぁそうでしょうね、という感じです(笑)。
AIに「流されて」しまうとダメだと。
そもそも(探索に優れた)人の思考は飛躍が多いのですが、AIがそれを打ち消す可能性がある、ということでしょう。
飛躍しないほうが、多くの人にとっては楽ですからね。
では、どうすればよいか。
他の研究(note:研究A)では、「他者の介入が多様性を増す」という意見をサポートする結果が出ています。
「探索」は個人任せにせず、AIのプロンプトの工夫や、周囲の人がサポートすることが重要なんですね。
ちなみに、「飛躍しないほうが、多くの人にとっては楽ですからね」と言ったのは、一部には、論理的思考が(たぶん)苦手で、「飛躍したほうが楽」という人がいます。
論理的思考が得意な周りの人から見ると、「意味わからんな、こいつ」という判断になるのですが、僕は、学生向け発明塾で、こういう学生さんがいいアイデア(のヒント)を出すんだから、みんな、彼らのちょっとした意見や情報にしっかり耳を傾けるように、と指導していました。
飛躍を誰かが持ってきてくれるなんて、こんなに楽なことはないからです(笑)。
それを使いこなせる人が、創造的な人です。
変な意見・アイデアを、「変な意見・アイデアだ」というのは、誰でもできますよね(笑)。
そこにヒントや「可能性」、自分なりの活用法や「次の一手」を見つけられる人が、創造的な人なんです。
創造的な批判的能力とでも、いうのでしょうか。
それを持つ。
支援者とは、そういう人です。
精緻なトレーニングが必要です。
僕も、まだまだトレーニングの日々です。
ほっといても育ちません。
皆さんが普段お出になっている「会議」をみれば、わかりますよね(笑)。
(国会でもよいですが...)
元の論文から、日本語訳になりますが、興味深い記載を引用しておきます。
これは、参加者自身の興味が探索行動を駆り立てるという、一般的に提唱されているパーソナライズ学習のテーゼからの逸脱を示唆している。実際には、共有されたキーワードに凝縮された他者の興味が、探索のきっかけを形成する上で重要な役割を果たしていたことが観察された。
情報の匂いを共有することは、AI生成情報における探索の課題の一つと対照的です。事前定義された構造がない場合、ユーザーは代替の視点に触れることができない可能性があります。本研究では、参加者はクラスメートからのキーワードを通じて多様なトピックや視点に触れ、より強固な探索を行うことができたため、この制約はありませんでした。( https://www.nature.com/articles/s41539-025-00332-3 より:該当部をGoogle翻訳にて日本語訳している)
先ほど書いた通り、「探索」(例:研究テーマ探し)においては、「他者の介入」が極めて重要になります。
発明塾が「実働支援」であり、そのために「楠浦が過去に調べた、楠浦の見解やアイデア付きのエッジ情報のメモ」を潤沢に準備しているのは、これが理由です。
過去の研究でも示されているのですが、今回も確認されました。
「本人の興味のまま」では、大して広がらない、という、言われてみれば当たり前の結論です。
発明塾が「支援者」を重視するのも、これが理由です。
ただ、支援者なしでもできるように、「データベース」や楠浦の支援、および、そもそも「3名」での開催、などの仕組みを作っています。
必要な「飛躍」を、どう設計するか、これに尽きるということです。
発明塾では「企画の詰め」の段階では、個人作業(一人でじっくり考えていただくこと)を重視しますが、これも今回の研究と整合的です。
「活用」はAIなどを使って、個人で行うことで進められるのです。
ただ、不慣れな方には、やはり支援は必要でしょうね。
これは、別の論文を取り上げて解説する予定ですが、今回の論文中でも示されているので、日本語訳を掲載しておきます。
日本語にするとちょっとわかりづらいのですが、なんとなく意味は通じると思います。
必要に応じて、原文確認くださいませ。
まず、若く、教育経験が少なく、国籍も多様なグループ1の参加者において、協調性に関する好評価が、採餌行動におけるGPTキーワードの使用を促進する可能性があることを観察しました。CTSにおいて、協調性構成概念とは、回答者が個人およびグループメンバーの学習を最大化することを目指す学習アプローチです。
第二に、中年で教育経験の豊富なグループ2では、批判的思考力のスコアが高いほど、課題における自身のキーワードの使用頻度が低かった。この傾向は、同年齢で教育経験がはるかに豊富なフィンランド人参加者で構成されるグループ3でも観察されたが、グループ1では見られなかった。CTSは、批判的思考を、何をすべきか、何を信じるべきかを決定することに焦点を当てた、能動的で規則的かつ内省的なプロセスとして捉えている。このことから、批判的思考は匂いの検出プロセスに影響を与える可能性があり、参加者が報告された興味に大きく依存するのではなく、様々なキーワードを評価するためにより多くの認知資源を割り当てるようになるのではないかと仮説を立てた。( https://www.nature.com/articles/s41539-025-00332-3 より:該当部をGoogle翻訳にて日本語訳している)
学生版発明塾には、「学生さんのフレッシュな意見を!」という要望がよくきていたのですが(笑)、当の学生も含め、「単に知らないから好きなことを言うだけで、それは創造性ではない」というのが一般的な理解ですよね。
それを活用する側が、創造的で賢明であればいいわけですから。
ここ、重要ですよ!(笑)
実は、僕はそう考えて学生さんと一緒に発明をしていたんですよね。
彼らは、好きなことを好きなように言えばよくて、それを僕が適宜目利きして、「これ面白そう(≒儲かりそう)だから提案したら」とやってたわけです。
彼らが提案しきれなかったり、来なくなったりして放置されたアイデアは、僕が代わりに(笑)提案書を書いて、提案していました。
もちろん、彼らに手法や最先端の技術動向について詳しく教えるのですが、時間は限られていますし、結果が出ない作業を延々とやっても、相手も疲れるか、少なくとも飽きてしまいます。
150名の学生が累計で来ていますが、3年以上続いた学生は15名程度かなと思います。
仕事だとすると、1-2年でプロだと認められる(完全に任せられる)レベルで何かが身につくことは、まずないですよね。
続けてもらうことが重要なので、一緒に結果を出しながら、身につけられる部分は身につけてもらえばよい、とするしかありません。
形式知はその場の「暗記」で済むのですが、暗黙知は、基本的に経験(時間)に比例するからです。
脱線しました。
今回の研究でも、「中年」(ベテラン)のほうが、「多様性」が高まるような思考(認知)プロセスを持っていることが示唆されています。
中年期(ベテラン)に創造性が最大化する可能性については、すでに別の論文を見つけているので、後日、詳しく取りあげる予定です。
今回の研究成果によれば、多様性(≒創造性)の正体は「批判的能力」だということになりそうですね。
批判的能力の重要性は、このあと掘り下げます。
別の研究成果(note:研究C)について、noteから引用しておきます。
この研究の主な発見は、思考型プロンプト(Chain-of-Thought 等)を付加したLLMは比較的「人間らしい」探索行動(ランダム探索+誘導探索)を行えるものの、「非定常(non-stationary)」環境では人間ほど有効な誘導探索(directed exploration)を行えず、結果として「活用(exploitation)に偏る」「探索が限定的」という傾向があるというものです。
AIを用いて、深堀りしていくことは比較的容易だが、AIを用いて探索することは、やはり難しい、という研究結果です。
noteに記載の研究Dでも同様の結論で、「モデル依存」の傾向がある、としています。
ここでわかることは、「探索には、批判的思考が重要」ということでしょう。
目の前の情報を深く理解しつつも、「それ以外」を模索する思考が必要とされるわけですね。
「極端思考」は、「それ以外」を検討する上で、非常に重要です。
極端思考
https://www.techno-producer.com/column1min/extreme-thinking-technique/
AI依存にならず、視野を広げる手法として、皆さんに活用いただきたいですね。
これは、毎年、僕の大学での講義でも教えています。
また発明塾では、「これじゃない感」を重視していますが、これも同じです。
「やられた感」で終わってはいけない。
どこかに違和感を感じる、あるいは「もっと先に行ってる人がいるはずだ」「これで終わりではないはずだ」と思って、その先を探せる人が、本当に新しいテーマにたどり着ける。
発明塾の手法の正しさが、最新の教育研究でも裏付けられている、と感じます。
これは、僕がずーっと教育研究の最新成果をチェックしてきているので、ある種当然なのですが、生成AIの発展で研究が加速度的に進んでいるのが、心強いですね。
noteに関連する僕のコメントは、以上です。
長くなったのと、話題があちこち行きましたが、時間があるときに読んでいただくことを想定しているので、ご了承ください。
要点が知りたい方は、全文をコピペしてAIに突っ込んでもらえれば(笑)。
メインで取り上げた論文は、母集団が小さいという懸念点があるものの、非常に興味深い考察が多数記載されているので、今後も繰り返し読んでいく予定です。
現在は、僕一人では教育研究の最新動向がカバーしきれないので、弊社の鈴木(すずき)にも、最新の教育研究、特に、AIに関連するものや、AIを用いたものを重点的に、フォローしてもらっています。
最新の研究成果を、皆さんのスキルアップに生かすための投資です。
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1分で読める!発明塾
※『【その7】「子育てと教育」〜これからの時代に生き抜く力を〜』にまとめています
https://www.techno-producer.com/column1min/
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皆さまが気になる教育研究のテーマや、人材育成・スキルアップの課題がございましたら、弊社で調べますので、随時お知らせください。
今後のコラムやメルマガで積極的に取り上げていきます。
よろしくお願いいたします。
楠浦 拝
P.S.
鈴木は、子育てや子供の教育という側面でも、最新の教育研究に関心があるそうなので、そういったご関心についても、ご要望をお寄せください。
鈴木は、とても喜ぶと思います(笑)。
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